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リモートワークでのチーム開発、はいくるチームの場合【はいくる通信 第7話】

id:radiocat です。多くの企業がリモートワークに移行して試行錯誤されていることと思います。緊急事態宣言が延長されて、もうしばらくこの状況が続きそうということもあり、今回はリモートワークへの移行によって試行錯誤している私たちのチーム開発の事例をお伝えします。

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組織的な取り組みやルール

私たちの所属する配配メール開発課はメンバー10人で構成されるチームです。まずはその全員に関係する組織的な取り組みやルールを紹介します。

朝はニコニコカレンダーを更新してチェックイン

チーム全員の朝会では、事前にニコニコカレンダーを更新し、一言ずつその日の気分や意気込みを共有してチェックインをしています。季節の変わり目で体調を崩すこともありましたし、自宅の作業環境に慣れるまでは肩こりや腰痛になる人もいました。電気工事、水道のトラブルのような自宅のトラブルの共有もありました。家族がいる人から「今日は子供が隣の部屋で遊んでいるので騒がしいかも」というようなご家庭の状況の共有もリモートワークならではです。

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終業時はひとこと感想でチェックアウト

終業時にもチーム全員の夕会でその日の仕事の感想と仕事で起きた課題の共有を行っています。リモートワークによってちょっとした相談がしづらくなった、チャットの量が増えて情報が追いづらくなった、などの課題は夕会でのちょっとした共有から改善に繋げました(後述)。仕事のやり方を変えたり、新しいルールを作ったり、リモートワークによって日々小さな変化が起きているため、実際にやってみて感じたこと、課題に感じたことなどをタイムリーに共有し合って変化に対応することができています。

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朝と夕方の情報共有用スプレッドシート

リモートワークはお互いの状況が把握しにくいですし、生活環境と切り離せない問題が起きることもあります。全体での朝会・夕会は事務連絡が中心だったオフィス勤務時よりも少し時間がかかるようになりましたが、体調や自宅の状況を把握したり、お互いの状況に共感したり励まし合ったりすることで、制約のある中での1日の仕事を協力や工夫で乗り越える力になると感じています。リモートワークで健康面への課題意識が高まり、仕事の前に走ってきた、散歩してきた、ベランダで体操したと、お互いに刺激しあって健康面の取り組みが増えているのも新しい変化です。

連絡事項は履歴を残す

リモートワークでチャットの量が増えたことによって、全体への共有事項が取りこぼされて伝わらないケースが発生するようになりました。対面で話をしない分、テキスト情報の価値が高まって取りこぼさないように注意が求められるのは当然ですが、情報過多なのもまた事実です。開発の業務に集中している合間に事務的な連絡事項が流れてきたら見落としや対応漏れが起きても仕方ない面があります。また、朝会や夕会は休暇等で参加できなかったり、通信が不安定できちんとキャッチアップできない場合もあります。連絡事項の伝達で言った言っていないというやりとりが何度も発生するのはもったいないので履歴に残しておくことにしました。

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連絡事項の履歴

リモートワークのノウハウやトラブルを記録する

リモートワークでのノウハウやトラブルは記録を残すようにしています。みんなが未経験の状況なので、ノウハウにしろトラブルにしろ誰かが経験していれば小さなことでも参考になるかもしれません。インターネットの利用が世界的に増大しているため、解決しようがない通信等の問題も多々ありますが、記録しておくことで別の誰かが昨日も同じ時間に同じ問題が起きたことに気づき、落ち着いて対処できることもあります。

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リモートワークのトラブル記録

チーム開発の現場

次に、チーム開発の現場の取り組みをご紹介します。10人のチームは、4人で構成される2つのサブチームと、2人のマネジャー(プロダクトと組織)で構成されています。実際の開発現場はサブチームでの活動が中心です。

タスクはなるべく小さく分解する

オフィス勤務の時はホワイトボードのカンバンで仕事を進めていましたが、現在は Trello に移行しました。

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オフィス勤務時代のホワイトボードのカンバン

チーム全体の朝会の後、サブチームに分かれてWeb会議でTrelloのカンバンを共有しながら朝会を行っています。お互いの状況が直接見えなくなったことにより、1つのタスクが大きかったり、他のメンバーが想像しづらいタスクが進行しているとカンバン上で状況を把握することが今まで以上に難しくなりました。追加タスク、割り込みタスクも漏れなくカンバンに追加し、開発と並行で運用業務も行っているサブチームでは運用タスクも漏れなく登録しています。1つ1つのカードで、お互いのタスクの進行状態を共有することの重要性と難しさを改めて感じています。

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Trelloのカンバン

Web会議は常時つないでおく

サブチーム単位でのWeb会議を1日中オープンして常時つないだ状態にしています。オフィス勤務の時に自然と行っていたメンバー同士のちょっとした相談や、隣同士の世間話からの状況把握、なんとなく困っている雰囲気を察知してサポートするなどのチームワークがリモートワークに移行したことでできなくなり、漠然とした不安を感じるという意見が出ました。オンラインで常時繋がっていることで、オフィス勤務と同じとまではいかないものの、相談しやすい雰囲気やなんとなくお互いの状況を把握することはできるようになりました。

カメラや音声については、自宅の業務環境によっては常時ONにするのが難しいメンバーもいるためルールは決めていません(個人の判断におまかせ)。業務の不安をなるべく解消するという目的に全員が向き合ってオンラインで繋がることが重要だと考えています。

1対1の相談は電話感覚でWeb会議をコールする

常時つないでいる相手はサブチーム内のメンバーなので、サブチームを越えた相手への相談がしにくい問題が残ります。チャットだと内容が伝わりにくかったり、なかなか相手から返事がもらえないなど、ここでもリモートワークならではの課題がありました。チャット文化の浸透によって最近は減っていましたが、以前はこういうケースは直接電話をして聞いていました。なので、チームで決めたルールは以下の通り、ほぼ電話と同じです。

  • ちょっとした確認事項でも直接コールOK
  • ただし、相手が出れない場合があることを前提とする
  • 相手が出ない場合は、時間を置いて再度コールするか、チャットで折り返しを依頼する
  • 呼び出された側は無理のない範囲で応答する(忙しい場合は出なくても良い)

チーム全体で一斉にこれをやるとコール地獄に陥りそうですが、活動の中心となるサブチーム内では常時つながっているうえで、それ以外の必要なときにこの手段を選択するので成り立っていると思います。

マインドマップでふりかえり

ふりかえりなどの議論中心のミーティングでは、色々なオンラインツールを活用する手法が一般に公開されています。しかし、我々のチームでは開発用のPC環境の問題でWeb会議につないだ状態でこれらのオンラインツールを使うことが難しいケースがあります。オフィス勤務の時は、業務中いつでも思いついた時にKPT方式でTrelloに登録しておき、ふりかえりの時間はファシリテーターだけがPCを持ち込んで内容を確認しつつ、ホワイトボードに整理していく方式でした。リモートワークでも同じやり方であれば、Web会議につなぐだけで進行できますが、オンラインのホワイトボードツールをオフィスのホワイトボードと同じ要領で使うのが難しかったためマインドマップツールに移行しました。マインドマップはオフィスのホワイトボードよりも自由度が下がりますが、Web会議でのコミュニケーションにも制限があることから、あまり不便さは感じていません。一定の制限下で思考を整理するうえでマインドマップのツールとしての制限はむしろ効果的に作用しています。

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ホワイトボードがわりのマインドマップ

さいごに

リモートワークに移行して様々な変化に直面していますが、その中で気づいたことは、チームで働くうえでのコミュニケーション、言語化、可視化の難しさなどです。これらは、見えていなかっただけで実際はオフィス勤務の時から潜在的な課題だったことも多くあると感じています。そのため、慌てずしっかり向き合って対処していけば、今後オフィス勤務に戻ったときもチームにとって良い効果に繋がるのではないかと思います。

世界中が大きな変化に包まれる中で、これから我々の働き方は大きく変わっていくという話も聞こえてきます。私たちもまだまだ試行錯誤の連続ですが、このような変化の中で私たちと同じように働くみなさんにとって、何かの参考になれば幸いです。


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