Amazon RDS for MySQL での MySQL 5.7 系の終了と延長サポートの取り扱いについて

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みなさん、こんにちは。AWS CLI が好きなテクニカルサポート課の市野です。

Amazon RDS for MySQL での MySQL 5.7 系の終了と延長サポートの開始がアナウンスされていますが、AWS 通知内の説明で、延長サポートの取り扱いでわかりづらい点がありました。
AWS サポートへの問い合わせで判明した内容で、みなさまにご注意いただきたい内容がありましたので、注意喚起の意味も込めてブログを公開いたします。

クリックで目次が表示されます。

2023年12月22日 14:00 追記 本件に関する続報について

AWS blog および AWS 公式文書の改訂が行われ、延長サポートの方針が、任意の延長サポートオプトインから、延長サポートへの自動的な移行に変更となるようです。

aws.amazon.com

docs.aws.amazon.com

そのため、以降の記述は過去の通知に基づくものであり、本日時点では、上記内容が正しいものとご判断ください。

## 2023年12月20日 18:10 追記 本件に関する続報について

RDS 延長サポートのオプトイン開始について詳細情報をお待ちいただいておられるお客様が多くいらっしゃると存じます。

RDS for MySQL において、2023年11月2日 よりバージョン 5.7.44 のリリースがされていることを確認し、再度、AWS サポートへの問い合わせを行い、現時点で、お客様が取りうるアクションについて再整理しました。

詳細は、以下のブログをご覧いただきたく存じますが、現時点で不確定要素の多い延長サポートの開始を待つ間にお客様で明示的に取りうるアクションとして MySQL 5.7.44 へのアップデートが有用、かつ、最善策と思われますので、ご案内いたします。
エンジンバージョンのアップデートにはダウンタイムを伴うため、すぐさまのご変更は容易ではないものと存じますが、必要に応じてご計画いただけますと幸いです。

blog.serverworks.co.jp

2023年12月13日 15:50 追記 本件に関するお問い合わせにつきまして

本件に関しまして、延長サポートのオプトインの開始日時や予定についてのお問い合わせを多くいただいておりますが、2023/12/13 14:30 時点において AWS サポートでも下記通知内容以上の情報を持ち得ない状況でございます。

延長サポートのオプトインが可能となった場合には、AWS Health Dashboard への通知、ならびに下記 AWS 公式ドキュメント [1] 等にてその手順等が公開される予定となっております。
大変恐れ入りますが、延長サポートは 2023 年 12 月中に利用可能となる予定でございますので、今しばらくお待ちいただきたく存じ、また、必要に応じて定期的に AWS Health Dashboard やドキュメントの更新をご確認いただきたく存じます。

docs.aws.amazon.com

Note
You must enable Extended Support for a particular version before the RDS end of standard support date for that version.
Extended Support will be available through the AWS Management Console or the Amazon RDS API in December 2023.

前提

以降の記事中に記載の日時は UTC となっております。
文中、なるべくタイムゾーンの省略を避けておりますが、記載が漏れている箇所があれば、UTC での日時であるとご理解いただけますと幸いです。

通知の件名

現時点で、バージョン 5.7.37 から 5.7.42 の RDS for MySQL をお使いのお客様へは、AWS から、以下のような件名で通知が送られているかと思います。

[Action Required] Amazon RDS for MySQL minor versions 5.7.37 to 5.7.42 will reach end of standard support on January 16, 2024 <${AWS_ACCOUNT_ID}> [${AWS_REGION_ID}]

通知文面内で案内されているタイムライン

AWS では、2024 年 1 月 16 日 までにお客様でのメジャーバージョン 8.0 へのアップグレード実施を推奨しています。

期日 内容
2023 年 12 月 16 日午前 00:00:01 UTC 以降 MySQL マイナーバージョン 5.7.37、5.7.38、5.7.39、5.7.40、5.7.41、5.7.42 の新しい RDS インスタンスを AWS コンソールまたは CLI のいずれからも作成できなくなります。
2024 年 1 月 16 日 00:00:01 UTC から 2024 年 2 月 16 日 00:00:01 UTC まで 該当期間の定期メンテナンス時間中にマイナーバージョン 5.7.37、5.7.38、5.7.39、5.7.42 を実行している MySQL データベースと、これらのバージョンのスナップショットから復元されたインスタンスを MySQL メジャーバージョン 8.0 にアップグレードします。
2024 年 2 月 16 日午前 00:00:01 UTC 以降 マイナーバージョン 5.7.37、5.7.38、5.7.39、5.7.40、5.7.41、5.7.42 を実行している MySQL データベースが残っている場合は、インスタンスの定期メンテナンス期間に関係なく、メジャーバージョン 8.0 にアップグレードされます。

延長サポートのオプトイン

以下の通知文の通り、2024 年 2 月 29 日までにメジャーバージョン 8.0 へのアップグレードを完了できず、引き続きメジャーバージョン 5.7 で RDS for MySQL DB インスタンスの実行を希望する場合、MySQL 5.7.44 として提供される RDS 延長サポートを利用することが可能です。

また、2023 年 12 月から RDS 延長サポートにオプトインできるようになり、AWS Health Dashboard に通知されるとも記載があります。

〜中略〜 On September 1, 2023, Amazon RDS announced Extended Support for MySQL 5.7 major version. MySQL version 5.7.44 is the only minor version eligible for Extended Support. If you are unable to complete your upgrade to major version 8.0 before February 29, 2024, and would like to continue running RDS for MySQL DB instances on major version 5.7, you can opt in to RDS Extended Support and upgrade your instance to version 5.7.44 anytime before the end of standard support date on February 29, 2024. You can also opt in to Automatic Minor Version Upgrade so RDS can auto upgrade your minor version to the Extended Support eligible version, 5.7.44. To learn more about RDS Extended Support, supported versions and associated charges, refer to the Amazon RDS for MySQL pricing page. If RDS Extended Support is the right option for your business, you can opt in to RDS Extended Support starting in December, 2023. We will publish a notification on AWS Health Dashboard when it’s time to opt-in.

If you have opted in to RDS Extended Support on your RDS for MySQL 5.7 DB instance, RDS will NOT auto-upgrade that DB instance to MySQL 8.0, but your instance will be upgraded to MySQL 5.7.44, if it’s not already running this version. Such DB instances will be covered under RDS Extended Support and charged for Extended Support as per the prices on the Amazon RDS pricing page. 〜以下略〜

(当方での和訳) 〜中略〜 2023 年 9 月 1 日、Amazon RDS は MySQL 5.7 メジャーバージョンの延長サポートを発表しました。MySQL バージョン 5.7.44 は、延長サポートの対象となる唯一のマイナーバージョンです。2024 年 2 月 29 日までにメジャーバージョン 8.0 へのアップグレードを完了できず、引き続きメジャーバージョン 5.7 で RDS for MySQL DB インスタンスを実行したい場合は、2024 年 2 月 29 日の標準サポート終了日より前に RDS 延長サポートにオプトインし、インスタンスをバージョン 5.7.44 にアップグレードできます。マイナーバージョン自動アップグレード を選択することもできます。これにより、RDS はマイナーバージョンを延長サポート対象バージョンの 5.7.44 に自動的にアップグレードできます。RDS 延長サポート、サポート対象バージョン、および関連料金の詳細については、Amazon RDS for MySQL 料金表ページ を参照してください。RDS 延長サポートがお客様のビジネスに適している場合は、2023 年 12 月から RDS 延長サポートにオプトインできます。オプトインする時期になると、AWS Health Dashboard に通知が発行されます。

RDS for MySQL 5.7 DB インスタンスで RDS 延長サポートにオプトインしている場合、RDS はその DB インスタンスを MySQL 8.0 に自動アップグレードしません。しかし、インスタンスが MySQL 5.7.44 のバージョンをまだ実行していない場合は、MySQL 5.7.44 にアップグレードされます。このような DB インスタンスは RDS 延長サポートの対象となり、Amazon RDS 料金ページに記載されている料金に従って延長サポートの料金が請求されます。 〜以下略〜

疑問点

上記タイムラインの案内、および RDS 延長サポートの案内の双方を確認したところ、以下のような疑問がわきました。

2024 年 2 月 29 日の標準サポート終了日より前に RDS 延長サポートにオプトインし、インスタンスをバージョン 5.7.44 にアップグレードでき」るとあるものの、タイムラインでは、2024 年 1 月 16 日 から 2 月 16 日 00:00:01 の間の定期メンテナンスで、メジャーバージョン 8.0 にアップグレードを実施、2024 年 2 月 16 日 の時点でも存在していた場合は、定期メンテナンス期間に関係なくメジャーバージョン 8.0 への自動アップグレードが行われると読み取れます。

上記理解ですと、「2024 年 2 月 29 日までに、5.7.44 にしようと思っていたのに、それより前に 8.0 にアップグレードされてしまった。」というようなことが起こりえるように思われました。

確認結果

AWS への問い合わせの結果、AWS による自動アップグレードを回避するためには、2024 年 1 月 16 日より前に RDS 延長サポートにオプトインしておく必要があるとのことです。

まとめ

AWS による自動メジャーアップグレードと RDS 延長サポートの提供、そしてそのオプトインについてのタイムラインを整理すると以下の通りとなります。

オプトインを後でやろう、と思っていて、気がついたら期日が過ぎていた、ということが起こり得ますので、くれぐれもご留意ください。

現時点で、バージョン 5.7.37 から 5.7.42 の RDS for MySQL をお使いのみなさまが対象となりますので、対象は限定的ではありますが、この記事がどなたかの参考になれば幸いです。

ではまた。

市野 和明 (記事一覧)

マネージドサービス部・テクニカルサポート課

お客様から寄せられたご質問や技術検証を通じて得られた気づきを投稿していきます。

情シスだった前職までの経験で、UI がコロコロ変わる AWS においては GUI で手順を残していると画面構成が変わってしまって後々まごつくことが多かった経験から、極力変わりにくい AWS CLI での記事が多めです。

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