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モダナイゼーションを実践するEBA (後編)

こんにちは、カスタマーソリューションマネージャー (CSM) の服部です。
前編の記事で EBA (Experience-Based Acceleration) がどんなものか全体イメージをつかんでいただけたと思いますので、後編では EBA の最後の3日間でおこなうビルド&デプロイについて詳しくお話させていただきます。ここまでの5週間で準備してきたものをこの3日間で形にする際に、どういったタイムスケジュールでどのようにビルド&デプロイを行っていくのかについて理解していただければと思います。

5週間にわたりファシリテーションを担当するチームと開発作業を担当するチームに分かれて準備を進めてきた最後の6週目にデモを作成する3日間が設定されています。この3日間は参加者が一同に会して作業に集中する期間になりますので、普段の業務から離れてビルド&デプロイに集中していただくことになります。詳細なタイムテーブルは以下に記載しています。朝会と作業、昼会と作業のセットを5回繰り返すタイムテーブルで進めていきます。通常のスプリントは2週間ですが、EBA ではそれを3日間に凝縮して実施する形になります。このスプリントの中で最小限のプロダクトを完成させて、最後にエクゼクティブに対してデモを実施してフィードバックをもらいます。  このスプリント経験を通して実際のモダナイゼーション開発の流れを経験していただくことになります。

Build & Deploy Time Table

次に参加者の体制ですが、これまでの準備期間と同じように大きく分けてファシリテートを行うコマンドセンターと実際に開発を行う開発チームの2つのチーム体制で3日間のタイムスケジュールを進めていただきます。チーム分けに際してどういった方をアサインすべきかについて以下にひとつのサンプルを記載しています。コマンドセンターは、メンバー間の調整役を担っていただきメンバー間の連携を強化していただきますので、プロジェクト管理の経験者、進捗管理、問題解決の経験が豊富な方で開発チームからエスカレーションされた事項に対して、判断を下せる権限のある方がアサインされると良いです。また、アジャイル開発は未経験の場合でもウォーターフォールのプロジェクトマネジメント経験が豊富でこの機会にチャレンジしたいマインドがある方がアサインされても問題ありません。作業チームに関しては、作業をしていただく方がアサインされますので、AWS の基本スキルが必要で対象のインフラ、アプリが理解できてることが必須になります。

EBA Organization

EBA の AWS 支援領域ですが、このプログラムはあくまで伴走支援のため主体はお客様になります。AWS はアドバイスやレビューをしますが何か作るということはしません。トレーニングや座学ではありませんので、前述のように参加メンバーには必要なスキルが定義されています。

EBA AWS do and not do

モダナイゼーションEBA 実施に適しているお客様には2つのパターンがあります。1つ目は AWS をすでに利用しているものの EC2 がメインでマネージドサービスやサーバーレスなどクラウドネイティブなサービスを使ってまだアプリケーションを構築したことがない状況のお客様です。2つ目は対象がまだオンプレにあってクラウド移行時に合わせてモダナイズしたいと考えているが、経験がないので AWS に伴走支援してほしいというお客様になります。この2つの状況に当てはまるお客様は EBA の効果が大きいので是非 AWS へお問い合わせいただき EBA の実施をしていただきたいと思っております。

EBA effective customer

最後に EBA を実際に実施された 弥生株式会社様の事例を紹介させていただきます。
ご紹介するお客様は市場の変化に柔軟に対応できる製品開発サイクル実現のために組織を変革 (アジャイル開発対応) し、顧客の声をもとに改善できる製品設計 (マイクロサービス) をする必要性を感じておられましたが、いわゆるウォーターフォール型の開発に慣れていることで変化の激しいサービスを開発できる体制ができていない状態でした。お客様は AWS  利用経験のある技術者が多くいる状態で自力で変革できる可能性もありましたが、AWS がパイロット開発を約6週間短期集中支援する本 EBA の実施を決定されて以下の開発スコープを3つ設定されました。
・参加者全員が各自の役割を果たし実体験を得ること
・開発プロセスを確立させ動くものをデプロイできること
・スクラムによる開発スプリントを自分たちで回せるようになること
また本番を想定した開発プロセスをまわして改善ポイントを見つけることをビルド&デプロイ期間の目標として EBA を実施いただいた結果、EBA を通して4回のスプリントを経験され、その中でアジャイル開発のプロセスを体験するのみならずマイクロサービスアーキテクチャなどの開発生産性を高める仕組みも導入してプロセスの改善も実施されました。3日間のビルド&デプロイ期間で CI/CD Pipeline の構築も行ったことで EBA 実施後にも活用できる経験もされました。
これらの経験を当初の課題を解決する足掛かりとしていただくことで、EBA 実施の効果を最大化していただけるものと考えております。
こちらのお客様の事例は、“技術的負債との戦い、マイクロサービスとアジャイル開発への挑戦”に詳しく記載されておりますので是非ご覧ください。

まとめ

前後編に渡って「EBA とは何か」についてご説明させていただきました。EBA の概要、実施目的をご理解いただけましたでしょうか。経験不足などでモダナイゼーションの一歩を踏み出すのが難しい状況におられるお客様は、EBA 実施を通して伴走支援させていただきますので AWS へお問い合わせください。

著者

カスタマーソリューションマネージメント統括本部
カスタマーソリューションマネージャー (CSM) 服部 昌克、宮本 雅勝

参考リンク

モダナイゼーションを実践するEBA (前編)
技術的負債との戦い、マイクロサービスとアジャイル開発への挑戦
弥生×AWS×モダナイゼーション