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日本経済再生と「少子化問題」にアジャイルが効くって本当なのか?Day.2

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昨日の記事は、
『バズワードから紐解くIT業界のこれから ~ユビキタスからLLMまで~』
でした。いかがでしたか?さて本日はこちら!


~日本経済再生、少子化対策のための「労働時間の短縮」にアジャイルが効くというお話~

はじめに

こんにちは。 SHIFTアジャイルコーチの谷川です。
私は、大企業病が蔓延する環境から脱したいという思いで、5年ほど前からWell-beingや働き方改革、働き甲斐改革について、研究を続けてきております。
日本では、「失われた30年」と言われるように、世界各国と比べて、経済成長が止まっていると言われており、その原因分析が様々なところで行われております。
今年に入って、日本における働き方改革関連法案の成立にも尽力された株式会社ワークライフバランスの小室淑恵さんの講演に参加させていただき、日本の労働人口構造から、日本の少子化問題を分析されており、とても感銘を受けたのですが、私は、このときに、この問題解決方法とアジャイルの関係性に気付き始めておりました。

そして、10月になり、YouTube界ではとても有名な某タレントの方が、この問題に着目した「日本経済再生計画」という題目の動画を出されており、広く拡散されています。

【日本経済再生計画】脱ブラック労働国ニッポン!労働基準法が変われば日本は成長する
 URL:https://i.r.cbz.jp/cc/pl/xfws5953/l6m9r2kytus3/rs6kl9v5/ (*1)

今回は、この情報を多くの人に拡散させていただく意味を込めて、上記2つのイベントで解説している「日本経済再生計画」、「少子化問題」について解説し、その後、長年Well-beingとアジャイルの関係を研究してきた私の私見を加えてその対策について、みなさんに説明したいと思います。


日本の「労働人口構造」について

日本の労働人口構造は、1990年代半ばまでは、「人口ボーナス期」が続きましたが、それ以降は、「人口オーナス期」に突入している状況にあります。
「人口ボーナス期」は、簡単に言ってしまえば、若い労働人口が多く、労働人口が増える時期であり、支出が少ないため、世界中から様々な仕事を受けることができ、それに伴い経済も自然に発展していくという状況です。
1990年代までの日本の高度成長の原因は、この労働人口比率により達成されたという分析結果が出ています。
その反面、「人口オーナス期」は、労働人口が減っていく状況であり、人口構造が経済の重荷になり、働く人よりも支えられる人が多くなる状況になります。そのため、人口ボーナス期と同じ戦略では、経済発展が見込めません。
一度、人口ボーナス期が終わると二度と来ないという特徴があります。

人口ボーナス期では、経済の高度成長となるため、富裕層が子供に教育投資し、高学歴化と非婚化・晩婚化が進み少子化になってしまいます。何も対策を打たなければ、どんどん少子化が進むことになり、現状、日本はそのような状況になっています。
人口オーナス期には、現在・未来の労働力の同時確保が重要な政策になるのですが、このときに人口ボーナス期の政策や企業戦略を取ってしまうと、少子化が更に進み、未来労働力が確保できない状況になってしまいます。

日本の失われた30年

人口オーナス期に入る1990年頃から2030年頃まで、日本では経済成長が止まってしまったため、「日本の失われた30年」 と言われています。
日本では、人口ボーナス期にかなり大きな経済成長をしたため、このときの良い経験した方が、現在の各企業の経営陣に多くます。 あまりにもこの成功体験が強かったため、ここから脱することができずに、人口ボーナス期の企業戦略のまま、人口オーナス期に突入してしまった企業が多いのです。
そのため、男性中心社会で、長時間労働当たり前の風土となっており、企業内で評価されて出世する人は、とにかく多く残業をする、家庭を犠牲にして単身赴任でどこにでも異動する、が当たり前となってしまい、男性にも女性にも働きにくい社会となってしまいました。
その結果、大企業病がだんだんと蔓延し、職場の活気が失われ、生産性が落ちたり、新しい事業が起きにくくなるため、どんどん企業の競争力が弱まり、その結果、日本全体として、経済成長が止まってしまったということです。

※大企業病については、私の過去のブログを参照してください。
「大企業病あるある」と、それに強いSHIFTの企業文化について
 https://note.com/shift_tech/n/ne35d7c5e783d

企業文化と「少子化問題」の関係

前述のように、「少子化問題」には、労働基準法や企業文化が密接に関係しております。
まず、男性も女性も仕事を続けながら、結婚する、家庭を持つ、子供を作っても、自分の将来の明るいキャリアプランが望めるような企業文化、組織制度にしていかなければいけません。

そして、結婚した夫婦に子供を作っていただくことが少子化問題の一番の対策になるのですが、 日本の人口を減らさないようにするためには、夫婦に二人以上の子供が望ましいようです。。
そのため、各家庭に、二人目以降の子供を作ろうとする余裕(金銭的、肉体的、精神的)があるのか?というところがかなり重要になってくる訳であり、ここにお父さんの育児参画の割合がとても大きく関係しているようです。
データ分析において、「一人目が生まれた時に、夫が家事・育児に参画しないと、二人目が産まれていない」 という結果が出ています。
同時に、一人目で孤独な育児が妻のトラウマになってしまっており、 産後女性の死因の第一位が自殺(産後うつ) という、かなり深刻なデータも出ており、この問題が社会的にとても大きな問題になっています。
現状、「日本は、簡単に結婚できない、子供を二人生めない社会になっている」 ということなのです。

ここまでの流れで、日本のお父さんの育児参画の問題がとても大きく感じると思いますが、 実は、日本のお父さんは育児にはとても積極的であるというデータも出ています。

では、なぜ、育児に関わる時間が少ないかと言うと、一日のうちのお父さんの労働時間がとても長いため、「お父さんの自由時間がとても少ない」 ことにより、相対的に育児時間が少ないという結果になっているようです。

ここで日本の 「労働基準法の問題」 が出てくる訳です。
日本の労働基準法は、下記の3つの理由により、世界的にみて、あまりにもブラックであり、企業にとって、働かせ放題の残業激安国家である、ということを中田さんも言っていました。

◆過去の日本の労働基準法の問題
 ・2018年まで事実上、残業上限はなかった
 ・残業代金がとても安い
 ・勤務インターバルの設定がない

また、このことを認識してない人が多いということも大きな問題であり、 社会的に大きな問題として捉えられることなく、現状に至ってしまっています。

少子化問題の対策として、労働基準法や企業文化を見直し、労働時間を短縮することをやらなければならない状況なのです。

「人口オーナス期」の経済発展する働き方

世界各国を見ると、欧米の先進国はほとんど既に人口オーナス期に入っています。 中国も2010年には、人口ボーナス期が終わっている状況で、インドはまだ2040年頃まで人口ボーナス期が続くとみられています。

人口オーナス期に入った国がすべて日本のように失速しているか?というとそんなことはありません。
日本以外のほとんどの国は、人口オーナス期の企業戦略への展開に成功しており、経済成長が続いています。
特に、フランスの成功事例が有名であり、政府の減税施策で、企業側にメリットを与えるようにして(社会保険料を減税)、 所定労働時間の短縮を実現させた国もあります。

人口オーナス期に経済成長をするためには、労働基準法の改正と、現場レベルの働き方改革の両面で対策を進めていく必要があります。
まず、国の施策として、労働基準法の改正により、企業が労働時間短縮に積極的に動くような仕組みを作ることが大切であると、中田さんは主張しておりました。

また、現場レベルの働き方改革の戦略として、労働力の確保が挙げられますが、これを効果的に実現する方法として下記の3つが紹介されています。

1.なるべく男女ともに、いろんな人が働く
労働力は足りないので使える労働力(女性、介護者、シニア)はフルに活用する。

2.なるべく短時間で働く
労働時間を短くするため、短時間で着実な成果を出す働き方に変える必要があり、ミスなく質の高いアウトプットが求められるようになる。
集中力と創造性を担保するには睡眠とWell-being がとても大事であり、生産性と創造性の要である睡眠とWell-beingの確保が経営戦略になる。

3.なるべく違う条件の人をそろえ、チームワークで働く
今まで当たり前にやっていたビジネスが通用しなくなる。
社会の課題を解決するような新しい価値の創造が求められる。
多様な人材がフラットに議論できて、はじめてそのイノベーションが生まれる。
働き方を変え、心理的安全性を確保し、多様な人が活躍し、イノベーションで勝つ!

ちなみに、私は、「シニア」に相当するので、実際に55歳を過ぎてから管理職を引退して専門職としてやっていくために様々な体験をさせてもらいましたが、年齢別の社員構成でシニア層が非常に多いため、いかにこのシニア層を活用するか? という戦略ではなく、いかにこのシニア層を削減するか? という戦略を持っている企業が多いような気がしました。
55歳になっても、60歳になってもやる気のある人は自ら貪欲に勉強をして、新しいものに挑戦することができると思いますし、 特に、「シニア」は、子育てや介護から解放されている方も多く、「社会貢献意欲」 を持っている方が多いのが特徴だと思います。
「世の中の役に立ちたい」「自分が必要とされたい」この気持ちを少し満たしてあげるだけで、

シニア豚でも、おだてれば木に登る!

ので、もっとシニアの活用を積極的に考えるべきだと思います。
そして、人口オーナス期の働き方として、

イノベーション、心理的安全性、チームワークとなると、アジャイル、スクラム型の働き方が人口オーナス期の働き方として注目されてくる!

ということに私は気付いてしまいました。

働き方改革としての心理的安全性マネジメントとアジャイル

株式会社ワークライフバランスの小室さんは、講演の題目の、「業績とエンゲージメントが向上する働き方改革 ~秘訣は心理的安全性マネジメント~」が示すように、働き方改革の対策として、心理的安全性のマネジメント をあげています。

労働時間を短くしていく中で、成果を高く出していくためには、生産性を高くする必要があります。
そこで、生産性の高いチームの共通点を探った有名なプロジェクトである、Google社の「プロジェクトアリストテレス」を例にあげ、「心理的安全性」 が、チームの生産性を高めていることを紹介しています。
つまり、高い生産性は「有能な人材」「リーダーシップ」等が要因ではなく、「心理的安全性が高い」環境が整備されていることが要因であった ということなのです。

そして、心理的安全性を高めるために、関係の質向上のマネージメントが必要であると紹介されています。(*2)

実は、心理的安全性を高める働き方として、アジャイル型の働き方が有効であることを、私は、前回のブログ記事で紹介しています。

※心理的安全性とアジャイルの関係性について
 https://note.com/shift_tech/n/nd8d2d1eb59c1

小室さんの講演にも、既述の方の動画にも、アジャイルやスクラム系の用語は出てきませんが、人口オーナス期の働き方として、短時間で、チームワークで、心理的安全性を高めて働くことが求められるということは、それを実現する具体的な手法として、組織アジャイル、業務スクラムの活用を私はお勧めしたいと思っています。

心理的安全性を高めるための手法として、「組織アジャイル」 が有効であることを私の過去のブログで紹介しておりますので、詳細は下記の記事を参照してください。

※「組織を幸せにする「組織アジャイル」とは?」
 https://note.com/shift_tech/n/nc21f87ffe0d4

つまり、日本経済再生や、少子化問題の対策として、アジャイルが効く可能性があるということなのです!

アジャイルが企業価値を高める(人的資本経営の観点)

私は、過去のブログで、Well-beingとアジャイルの関係や、組織アジャイル、業務スクラムの効果について説明してきています。
労働時間の短縮は、従業員エンゲージメントを向上させ、人をWell-beingな状態にしやすくなります。
Well-beingな人は、生産性や創造性がとても高くなるという研究結果が出ているとおり、これを目指すことで、高業績をあげている企業が増えています。

※Well-beingについては、私の下記のブログ記事を参考にしてください。
 私の人生を変えてくれたWell-beingとはなにか?
 https://note.com/shift_tech/n/n4811493f9db3

これからの時代、人的資本経営により、総労働時間、従業員エンゲージメント、Well-being指数などの様々な数値を各企業が公表していくことになりますが、これら数値が見える化されることにより、それが企業価値として判断されるようになると思います。

今はまだ、これらの対策を進めるために、1on1面談以外に何をしたら良いのか迷っている企業が多いと思いますが、それを解決するヒントが上述のように 「組織アジャイル」 にある訳です。

日本経済再生のため、日本の少子化問題解決のため、企業価値向上のためにも、皆さんも 「組織アジャイル」 を積極的にチャレンジしていきましょう!

まとめ

私は、自身のプロフェールに、
”真剣に「組織アジャイル」でいきいき、ワクワク、幸せに働くことができ、日本を元気にすることができると思っている”
ということを書いています。

今回のこのブログ記事で、これが冗談ではなく、本気で言っているということを理解していただけたのではないかと思います。

日本の社会課題の解決である、日本経済再生、少子化問題に、アジャイルが効く可能性がある!こんな魅力的で夢のある話はないと思いますので、もっといろんな職場で皆さんと一緒にアジャイル型の働き方ができるように、アジャイルコーチとして活動を続けていきたいと思っています。


◆参考文献
(*1) YouTube 「【日本経済再生計画】脱ブラック労働国ニッポン!労働基準法が変われば日本は成長する」 2023年10月
※タレントさんご本人および所属事務所へご迷惑にならないようお名前の記載を控えてます。
(*2) 株式会社ワークライフバランス 小室 淑恵さん
「業績とエンゲージメントが向上する働き方改革 ~秘訣は心理的安全性マネジメント~」2023年6月


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明日の記事は、
『マークダウンでの快適な執筆を実現するためのワークスペース構築』
お楽しみに!


◆執筆者プロフィール:谷川 智彦(たにかわ ともひこ)
2023年5月にSHIFTに入社。
組織アジャイル教信者。真剣に「組織アジャイル」でいきいき、ワクワク、幸せに働くことができ、日本を元気にすることができると思っている。

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