はじめに
テックブログは技術広報において強力なツールです。その一方テックブログを始めてみたものの、なかなか記事を書いてくれる人がいなかったりView数も伸びなかったりで、続けることができないことがあります。 そのためテックブログの更新頻度が下がることで読者の減少や印象の低下することを懸念し、ちゃんと運用できないならやらない方がいいという判断になっているという話も見聞きします。
幸いカケハシのテックブログは立ち上げてから2年間継続して運用することができており、採用活動の場でもテックブログ経由で応募してくれる人も出てくるなど、自社を認知してもらうきっかけになっています。
この記事ではテックブログを運用する際に直面しがちな問題について、カケハシテックブログがどのように対応しているかとその現況をまとめようと思います。
前提
- カケハシのテックブログ運営チームは専業ではなく、開発チームと兼業しています。
- 採用活動は各チームが主体で動いています。
課題: テックブログのView数が増えない
テックブログを運用し始めると当然View数を伸ばしたい気持ちになります。そして結果が伴わないとやっても効果がないと感じ書き手もモチベが上がらなくなり、記事の公開が止まってしまうことがあります。
対応方針
View数は気にしないようにしました。View数を意識し1つ1つの記事執筆にコストをかけすぎてしまうと、記事執筆のハードルが上がり社内での書き手が少なくなります。またテックブログに関していえば、面白い記事でも技術スタック的にニッチな内容でView数が伸びないことも多々あります。(自分がモバイルの開発をメインにやっているので特にそう感じるのかもしれませんが) そのため、運営チーム目線では、1つ1つのView数を伸ばすことに意識を向けることよりも、記事数を増やすことと記事の公開を絶やさないことで、多面的に自社を伝えていくことが大事と考えるようにしました。 記事数を担保し公開を絶やさないように具体としては、ミニマムでも隔週に1度の記事公開というKPIを置いています。
現況
テックブログをリリースしてからこれまで隔週に1度の記事公開を続けることができました。各週の1度のリリースを絶やさないように必要に応じて記事の公開タイミングは調整し、記事ストックが十分にある時は毎週の記事公開に切り替えていました。 現在は幸いなことに記事執筆者も増え、定常的に毎週記事を公開できるようになりました。
またView数を伸ばすという観点においても、定期的に記事を出していくほうが前回の記事で興味を持った人が続けて記事を見てくれるので、結果的には効果が出るということもわかりました。
テックブログは短期で成果を求めるものではなく、焦らず続けていればView数も伸びてくるものと考えるのが良いです。それでは技術広報で成果を出したいタイムラインに合わないというようであれば、技術広報の手段の見直しをした方が効果的なのかなと思います。
課題: テックブログを書いてくれる人がいない
テックブログを運用開始したものの、記事執筆してくれる人がなかなか出てこず、結果公開する記事がなくなっていき運用が滞ることがあります。
対応方針
とにかく執筆のハードルを低くすることを意識しました。自分がこれまでの会社でメンバーとしてテックブログ向けに記事を執筆していた際、記事のレビューどうやってもらえばいいかや記事公開のために必要なアカウント情報は誰に聞けばいいんだろうなど、執筆以外の部分でも意識を持っていかれて、執筆に億劫になることがありました。 そのため、記事の管理をgithub repositoryで行うようにし、blogsync を利用することで、記事の執筆開始から公開までgithub上の作業で完結できるようにしています。
具体的な自動化内容は下記に記載しています。
また執筆者を確保するために、当番制にしている会社も多いと思いますがカケハシは有志に委ねています。理由として当番制ではテックブログ運営側と執筆者の間で後追いするコミュニケーションが必要になり、お互いの状況を知らないままそういったコミュニケーションをすることの負荷が高かったためです。それでは執筆者目線では次回執筆しようという気持ちが削がれていくし運営側も辛くなってきます。 有志と言ってもただ手放しだったわけではなく、技術広報は採用も念頭に置いたものという前提のもと、人事や各チームのManagerと協力して採用課題解決の中長期アクションとして推進してもらいました。
現況
githubを利用した自動化で執筆のハードルを下げることはできました。下記のような コメントをもらうこともあり、そういう時は心の中でガッツポーズをしています。
執筆は有志に委ねているものの記事の公開は継続的に実施できています。なんだったら自社のAdventCalndarも枠が足らなくなって2つ作ることができました。
個人的には隔週に1度の公開という無理のないスケジュールを設定しテックブログの運用を絶やさなかったことが良かったのかなという気持ちです。テックブログがアクティブに存続していることで、PJの状況などで執筆できなかった人にも執筆の機会を提供することができるので。
あとソフトな面でも当番になって書かないといけないプレッシャーがかかるよりも、能動的に書きたい時に書いてもらう状態の方が、健全な気持ちでより良い執筆体験になっているのではないかなと思っています。
その一方で、チーム状況や個々のメンバーの頑張りに依存してしまった部分はあるので今後の課題として解決に取り組んでいきたいです。
チーム別の執筆数
課題: テックブログを書く時間がない
執筆者からテックブログを書く時間がないので記事を書けないというFBを受けることがあります。
対応方針
あまり参考にならない内容で恐縮ですが、執筆時間の捻出はテックブログ運営の守備範囲としないようにしています。というのも執筆時間を作るには開発PJを調整する必要があり、テックブログ運営側で開発PJ内の調整まで入っていくことは難しいためです。
ただし何もしないのではなく、開発チームのManagerがテックブログのためにPJを調整しやすいように、会社の中で技術広報の価値を認識してもらえる土台作りや評価に反映してもらえるように動いていく必要はあるかと思います。 技術広報の価値を会社として認知してもらえてない状況では、何をするにしても難しくなってしまうので、ここに課題があるようであれば強い気持ちで立ち向かっていく必要があるのかなと思います。
現況
幸いなことにカケハシではすでに評価に組み込んでもらえるようになっていました(=評価に値する価値のある取り組みと認識されていた)。一方でそういった認知ができていないチームもいたので、そこは改めて上長から周知してもらいました。 また人事とも協力して、採用課題解決の具体のアクションとして伝えてもらうことで、ボトムアップ的に技術広報の価値を認知してもらうことも意識しました。
課題: テックブログを書くネタがない
テックブログを書こうにもネタがないので記事を変えないというFBをもらうことがあります。
対応方針
テックブログが業務の中の学びを発信するものとして認識してもらうように努めています。
具体の一例としてはslackスタンプを押すとブログ運営チームに周知されるようにしています。スタンプを押すとブログ運営チームに周知されるものの、そこから執筆を後追いするようなことはなく、自分だけでは認識できていない業務の学びを周囲の力も借りて抽象化できるといいなと思って導入しています。
気合を入れて記事を執筆するというより、当たり前に業務の延長線上にあるものという意識を作ってもらえるのが理想です。
現況
頻繁に使われているわけではないですが、一定数スタンプが利用されているかつそこからの記事執筆につながっているので効果は出ているのかなと思います。
またスタンプだけではなく、社内LTも定期的に開かれており、そこで発表された内容をテックブログの記事として書き起こすという取り組みも生まれています。
まとめ
テックブログを運用する際に直面しがちな課題について、カケハシがどう考えて取り組んできた内容をまとめました。
これまで運営してきて感じたのは、何よりも活動を止めないことが大事ということです。そのためにいかに無理せず継続的に運用できる体制と仕組みを整えるかを考えられるいいのかなと思います。
これは執筆者に対してもそうですし、自分たちテックブログチームに対しても同様で、テックブログ運営チームで全部どうにかしないといけないという気持ちは持たない方がいいかなと思います。
多くの会社では開発PJの状況はテックブログチームからは見えないし調整もできないので、そこら辺は各チームのマネジメントに委ねた方が良いです。また各チームの採用活動に入っていくこともできないので、人事と協力して一緒に解決していく方が楽だし遥かにいいアイデアも出てきます。
記事の内容についても、社内チェックを厳しくしすぎると執筆者体験が悪くなり執筆するのが億劫になります。もちろん手の込んだ記事を出せるには越したことはないですが、それらは執筆者や執筆者が属するチームが目的に応じて自分たちで判断してもらう方が納得感が出ます。
最後に
色々書きましたが社内の皆さんが能動的に協力してくれたというのが一番です。 この場を借りて感謝感謝。
みなさんも無理せずテックブログ運営頑張っていきましょう。