こんにちは、小島です。この記事はRevComm Advent Calendar 2023 12/5 分の記事です。
2023年のRevCommに起きた大きな変化のひとつは、英語話者(日本語の読み書きや会話を前提としない)のエンジニア採用を始めたことです。
昨年までは日本語能力の採用要件がありましたが、今年からその要件なしで採用するようになりました。そのため、日本語を母語とする僕もチームメンバーに英語話者が増えていくにつれて適応することになりました。
僕自身は今までまったく英語学習に興味がなく、英語で仕事をすることになるなどとは思ってもみなかったです。そんな人が実際に業務をやってみてどう感じているかについて書こうと思います。
なお、この記事ではRevCommの業務での英語の使われ方や、自分視点での英語を使った業務を進めることへの感想を書きます。英語学習のTipsといった話はこの記事では書きません。
まえおき
- 2023年12月現在、日本語が公用語の会社に一部英語話者もいるという状態の組織です
- すべてのエンジニアに英語の読み書き・会話が求められているわけではありません
- 言語のスキルも含めてチームを編成をするよう努力をしています
- 僕が所属しているVideoチーム(MiiTel Meetings開発チーム)を前提にした記事となっています
- 社内の日英話者混合の別チームで異なる体制をとっているチームもあります
筆者の英語スキル
前提として筆者の英語スキルを書いておきます。
正式に受験したことはないのですが、TOEICの問題集を買って模試をやってみたところだいたい600点ちょっとくらいでした。つまり別に良くもないし、悪くもない、普通といったところです。
受けたのは英語学習をちゃんと始める前(今年の5月ごろ)のスコアですが、現時点でもスコアとしてはそんなものではないかなと思います。
自分の自認としては、
- 読み書きは遅いけどできる、リスニング、スピーキングはあんまりできない
- コードレビューで一言コメントとかは英語学習をちゃんとする以前からできてた
- 長文を書くのはだいぶ難しい
- 会話の経験はほぼないので、議論をするみたいなことは基本できない
- ただ何言っているのかの大意はわかる。賛成か反対かとか
という感じです。イメージとしては、受験勉強をちゃんとやった大卒社会人が持っている感じの英語力は最初から持っていた、と想像してもらえれば。
今年起きた変化
僕の所属するチームで今年起きたことを簡単に書いておきます。
2022年まで | 2023年12月現在 | |
---|---|---|
ミーティング | 日本語のみ | 基本英語に。ただ日本語を話してもOK |
Slack | 日本語のみ | 特定のチャンネルでの会話は英語に。チーム同士の会話は日本語話者どうしでも英語で行う機会が増えた |
GitHubのPRタイトル | 特に指定なし | 英語のみ |
チーム内のドキュメント | 日本語のみ | 翻訳して日英対応を適宜実施。新規ドキュメントは英語のみのものもある。 |
これらがある日を境に一斉に起きたわけではないのですが、徐々に変わっていき現在はこのような形になりました。もちろん日本語の読み書きも自然と行いますが、開発に関することで日本語を書くことはだいぶ減った印象です。
英語で仕事をして思ったこと
純粋に学習に時間がかかる
シンプルに英語学習には時間がかかることがわかりました。
AWSのIAMとかで権限設定しているJSONを読み解けるようになるのって、そんなに根詰めて勉強しなくても1, 2ヶ月あれば自ずと意味がわかってくると思います(諸説あります)。しかし、英語は3ヶ月与えられても目に見える成果を出すのは結構難しいです。
自然言語って難しいですね(遠い目)
主体的にならない限り、仕事中にスキルはあがらない
当たり前なんですが、仕事中は仕事を進めるのが重要です。英語の学習になるからと回り道をさせてもらうなんてことはありません。
ということで、意思疎通が難しければ通訳(僕のチームの場合はPjMがバイリンガル)をしてもらったり、あとでSlackで聞き直したりとかで仕事は十分に前に進みます。別に会話の機会とかも増やそうとしなければ増えません。
一方で業務外で勉強した表現を仕事で使うとか、業務外でインプットした表現が実際に同僚の口から出てくる、といったアウトプットの補助/インプットの強化という観点でスキルを上げる機会を作ることはできると思いました。
リモートでの会議がよりむずかしく感じる
日本語でもビデオ会議は対面での会議とは異なるクセがあると想うのですが、英語だとそれがさらに強く出る気がしています。
これは英語(僕にとっての外国語)のせいなのか、ビデオ会議のせいなのか、はたまたその両方同時にあるからなのかは正直わからないです。
なんとなく英語話者の傾向として、一度話し始めるとこちらが止めない限り止まらないことが多いように思います*1。そこで一度、相手の話を止めて深掘りするとか、自分のわからないところを伝えて詳細を話してもらうとかいうのが必要だと思うのですが、思っているだけでなかなか行動に移すことができません。
仕事の話をしてないからかもしれませんが、飲み会とか対面で会った時のほうが英語を話しやすい感じがします。
テクノロジーのサポート(Google Meetの自動字幕など)はなにもないはずなのに、なにもない方が外国語を喋れるというのは不思議なものですね。
チームに新たな風が吹く
課題ばかり挙げてしまったのでよいところも書くと、チームの中に新たな視点がもたらされるのでそこはとてもエキサイティングです。
例えば、あるエンジニアがフロントエンドのアーキテクチャーに抜本的な指摘をしたりとか、ブランチ戦略の改善を考えないかと提案してもらったりとか。普段なかなか意識しない、議題にあがらないことを議論のテーブルに挙げてくれる人がいて助かっています。
必ずしも英語話者じゃないとできない指摘ではないのですが、持っている知見や過去開発していたバックグラウンドが日本人チームで日本語を使って開発してきた僕とは明白に違うので、意見をあげてくれてその背景を解説してくれるのはとても勉強になります。
具体的にはFeature FlagやDesign Doc、Trunk ベース開発について、教えてもらったりしました。
相手も外国語学習に苦労してる
弊社で採用している英語話者の場合、英語話者といっても母語が英語とは限りません。たとえば、母語はスペイン語やインドの言語という人が第二外国語として英語を学習し英語を話している、という人の方が多いです。
そんなわけで、外国語学習って大変だよねという意見には多くの人が共感してくれます。
弊社のSlackには #club-language-exchange というチャンネルがあり、日本語についての質問や英語についての質問、英語で雑談を振るなど自由に使われています。そういう場に、英語話者の人がさっと現れてニュアンスの違いを説明してくれたり、逆に日本語話者の僕らも日本語の質問に答えたりします。
基本的にほぼ全員がなんらかの外国語を勉強したことがあるので、質問にはみんなとても優しく答えてくれます。
RevCommに入社してくる英語話者の方は来日が前提になっているのもあり、日本に関心が高い人が多いです。そういう方は日本語の学習も熱心だったりするので、一緒に高め合おうという会話をしたりもします。
終わりに
この記事ではRevCommの英語話者エンジニアとの仕事について書きました。
もちろん課題や難しいところもありつつも、複数の言語の交流は複数の文化の交流で楽しい側面もたくさんあります。メキシコのお祭りの話を聞いたり、スイスの列車の話を聞いたりしながら業務ができるのは楽しいです。
異文化交流に興味がある人がこの記事を読んで、日本にも面白い環境があるんだなと思っていただければ幸いです。
*1:ファシリテーターのPMは、何を言ったかを全部覚えられないのでたまにノートとったりしているそうです。