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地域発イノベーション人材を育てる、新潟県での AWS トレーニングの活用事例

2023 年 5 月アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 (以下、AWSジャパン)と新潟県は、地域産業の活性化に向けて、 スタートアップ支援、デジタル人材の育成を軸とした DX を加速する包括的な連携を発表しました。スタートアップ支援、地域産業のデジタルトランスフォーメーション支援、デジタル人材の育成支援、県行政の DX 支援、の 4 つの支援を軸として、県全体の包括的な DX に連携して取り組んでいくこととしています。

AWS と、AWS の認定トレーニングパートナーであるトレノケートは、新潟県の地域のリーダーを育てる新しい取り組み、NINNO ACCADEMIA において、AWSのクラスルームトレーニング Developing on AWS を提供しました。今回はその取り組みをご紹介します。

「変革と挑戦 選ばれる新潟」の実現に向けた取り組み

新潟県では、首都圏への人口流出の加速、高齢化等の地域課題を解決するため、「変革と挑戦 選ばれる新潟の実現」を掲げて、スタートアップの創出、地域産業のDX化、デジタル人材の育成に力を入れています。具体的には、スタートアップ・IT企業の集積を目指すイノベーション拠点 NINNO(ニーノ)をオープンし、J-Startup NIIGATA をはじめとした、地域のスタートアップや起業家人材育成支援等を行っています。

2023年10月に、NINNO において、DX 推進、起業家、CTO など地域のリーダーを目指す人材を育てることを目的とした人材育成事業 NINNO ACCADEMIA が開講されました。起業を志す人とスタートアップ、大手企業、行政、大学機関などが交流し、ヒト・モノ・カネの循環が生まれるイノベーションのエコシステムを新潟で創出していくことを目的としています。同事業は国土交通省の「インキュベーション施設等都市間連携プロジェクト」にも選定されており、2025 年までに累計 1800 人の受講者数を目指しています。

新潟発イノベーション人材育成に向けてー CTO人材の輩出も目指すNINNO ACCADEMIAー

NINNO ACCADEMIA をリードされている、BSN アイネット執行役員 イノベーション推進室長の坂田 源彦 氏は、NINNO ACCADEMIA について、以下のように述べています。

「IT 活用が広まる中で、新潟における IT 人材は枯渇してきており、人材の争奪戦になっています。そんな中で、社会課題をなんとかしたいと考える地域のリーダーを育てる目的でこちらの NINNO ACCADEMIAを構想しました。新潟の地域・社会課題を解決していく人材を育てるために、様々なプログラムを提供しています。AWS トレーニングを提供しようと考えたきっかけは、2023 年 5月の AWS と新潟県の包括連携協定です。AWS を使う人口は新潟では多く、AWS  ユーザーコミュニティである JAWS-UG新潟支部の活動も活発です。DERTA を始め、エンジニアコミュニティ作り・ネットワーキング活動が活発化してきており、そういった動きを加速していく狙いもあります。 CTO 人材を育成していくという狙いもありますから、AWS は、初級ではなく中級レベルのトレーニング Developing on AWS を敢えて選びました。このプログラムでは、令和 7 年度までにCTO を 3 人輩出することも目標にしています。」

NINNO ACCADEMIA 開校式の様子

新潟県 産業労働部 創業・イノベーション推進課 鈴木 純一 氏に、本取り組みの背景についてお伺いしました。

「新潟県では、県内の企業のオープンイノベーション、大企業、スタートアップ、行政や大学のオープンイノベーションを加速させることを目指し、各プレイヤーが交わる場所であるイノベーション拠点 NINNO の取組を支援してきました。県としてもエンジニアコミュニティの形成や人材育成に力を入れており、連携協定締結後は、DERTAと連携してAWSのハンズオンなどを開催してきました。

今回の NINNO ACCADEMIA は、拠点を運営する木山産業けんと放送BSNアイネットを始め、地元の民間企業が主導で立ち上げ、AWS にも協力いただけることになり、地域のイノベーションエコシステムが循環する非常に良い流れと考えています。行政としてもこの流れを後押しし、『変革と挑戦、選ばれる新潟の実現』を加速させていきたいです。」

クラスルームトレーニング Developing on AWSとは?

今回は、数ある AWS のクラスルームトレーニングのうち、デベロッパー向けの中級コースの Developing on AWS を提供しました。2013年より、AWSの認定トレーニングパートナーとして、AWS Training Partner of the Year – Global Awardを2年連続で受賞している トレノケートの高山 裕司 氏がインストラクターを務めました。

クラスルームトレーニングコースマップ

Developing on AWS コースの概要

このコースは、AWS の認定インストラクターから、AWS のサービスと AWS SDK や AWS CLI などのデベロッパーツールを使用して、安全でスケーラブルなクラウドアプリケーションを開発する方法を学ぶのに役立ちます。コードを使用して AWS を操作する方法について詳しく説明します。また、主要な概念、ベストプラクティス、トラブルシューティングのヒントについても説明します。この 3 日間のクラスルームトレーニングコースでは、プログラムで AWS のサービスを利用して、ウェブソリューションを構築する方法を学びます。

学習目標

  • AWS ソフトウェア開発キット (AWS SDK)、Command Line Interface (AWS CLI)、および IDE を使用して、シンプルなエンドツーエンドのクラウドアプリケーションを構築する
  • 開発環境をサポートするための AWS Identity and Access Management (IAM) 許可を設定する
  • アプリケーションで複数のプログラミングパターンを使用して AWS のサービスにアクセスする
  • AWS SDK を使用して、Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) および Amazon DynamoDB リソースで CRUD (作成、読み取り、更新、削除) 操作を実行する
    その他

インストラクターを務めた高山 氏は、今回トレーニングを提供した感想として、以下のように述べています。「この度は弊社をトレーニングパートナーにお選びいただき、大変嬉しく思います。オンラインだけではなく、地域のイノベーションを担っていくというモチベーションの高い受講者様と実際にお会いすることで、より濃密なトレーニングをご提供できたと思います。こうした取り組みが、その地域ならではの課題の解決や、イノベーションを進めていくことに繋がると感じられて非常に意義があると感じています。」

Developing on AWS トレーニングの様子

受講者の一人である リンクチャネル株式会社の鈴木 優紀 氏は、受講の感想についてこのように述べています。

「私はもともと業務で AWS を使う立場でしたが、自力で業務の中で勉強していくことに限界を感じていました。会社として AWS を使っていく方向性だったので、体系的に学ぶ非常によい機会と考え、受講しました。なんといっても、新潟県のお墨付きで AWSのトレーニングが提供されるため、勤務時間内でやることに関して会社にもすぐ納得いただけました。

実際に受講してみて、知らないこと、例えば Amazon CloudWatch などの運用やオブザーバビリティが軽視されがちなことなど、講義の形できっちり教わらないとできないことがあると実感しました。

コースの内容のうち、7-8 割は使ったことがあるサービスでしたが、自己流でやっていたところの裏付けができて非常によかったですし、今回初めて教わった Amazon Dynamo DB と Amazon API Gateway などは早速業務で活用できる場面がでてきそうです。業務をしながら学んですぐ実装できるのは、事業会社ならではのメリットですね。AWSが新潟県と連携協定を結んでこうして講座が提供され、地場のユーザー企業としては非常に力強く感じます。」

おわりに

いかがでしたでしょうか。今回は、新潟県のイノベーション人材育成講座  NINNO ACCADEMIA の Developing on AWS の活用事例についてご紹介しました。

AWS は今後も、様々な地域でイノベーションを担う人材育成をご支援していきます。ご紹介した Developing on AWS 以外にも、多様なレベルのAWS トレーニングをご用意しております。ご関心のある方は、お気軽にこちらよりお問い合わせください。ご連絡をお待ちしております!

このブログは、アマゾンウェブサービスジャパン合同会社 パブリックセクター シニア事業開発マネージャーである岩瀬 霞が執筆しました。