Timee Product Team Blog

タイミー開発者ブログ

静かなSquadの進化: エンゲージメントが高まるきっかけ

こんにちは!株式会社タイミーでプロダクトマネージャーをしているAndrewです。 私はオフショアメンバーが関与するSquadに所属しています。このSquadはエンジニア組織の中でもユニークな環境であり、ここで直面した問題とそれを乗り越えるための取り組みをこの記事で紹介したいと考えています。

オフショアメンバーとのコラボレーションの課題

約半年前、オフショアメンバーのいるSquadと関わり始め、このSquadの各メンバーを知るきっかけとなりました。 最初は、日本メンバーとオフショアメンバーのコミュニケーションがスムーズでないと感じました。ミーティングでは通訳担当の方以外、オフショアメンバー全員がほとんど発言しませんでした。 また、ミーティングで話されている内容が彼らが理解できる言語で記録されていないケースが多く、情報の透明性に欠けていました。開発した機能の目的が何かを理解しない場面を見かけたこともありました。

しかし、これは単なる課題ではなく、Squad全体のポテンシャルを引き出すためのチャンスでもあると考えました。 エンジニアは機能を作るだけでなく、プロダクトに関心を持ち、価値を届けることに注力すれば、より多くのアイディアやソリューションが生まれ、良いプロダクトが作れるのではないかと。そのためには、オフショアメンバーが積極的にディスカッションに参加できるようにする必要がありました。 最初は言語の壁があると感じたため、心配もありましたが、様々な施策を試してみました。その一環として、ドキュメントの整理とオンライン言語交流会を実施してみました。

情報透明性を向上するためのドキュメント

「ドキュメントのメンテナンスが面倒くさい!」、「コードを読む方が早い!」と思う方は少なくないでしょう。 コードにコメントがないと、そのコードが何をしているか理解することが難しくなります。それと同様に、ドキュメントがないと、システムや機能の全体像を把握するのに時間がかかり、理想的な状態と言えません。 コードで説明できない背景や設計の意図、特定の決定の背後にある論理をコメントで説明することで、コードを読む人が理解しやすくなります。しかし、コードのコメントでわかりやすく説明できる内容はテキストベースの情報に限られているということもあり、コードは特定のメンバーしかアクセスできないため、ここでドキュメントが強力な情報共有手段になります。

ドキュメントに対する工夫

ドキュメントを書くときにわかりやすくするためにいろんなテクニックがあります。 テキストに色をつけたり、フォントサイズを変えたり、ページの余白を活かすことで視覚的なメリハリをつけることが重要です。 これにより、複雑な情報も読みやすくなり、重要な情報を強調することができ、逆に強調したくない情報を目立たなくすることもできます。デザインが好きな私にとっては、ドキュメントは良いデザインを表現することのできる優れたツールです。

わかりやすいドキュメントを書くことは簡単ではありません。いろんなドキュメントの種類の中で、エンジニア向けのものもあれば、ステークホルダー(非エンジニア)向けのものもあるので、伝わるように読み手のバックグラウンドや知識に合わせて書くことが必要です。 難しい単語ではなく、あえてシンプルな単語を選び、物事を説明することで言語の壁をなくせるので、自分の言葉の知識を見せびらかす必要なんてありません。

このような意識をもって書けば、ドキュメントを書くことは単調な作業ではなく、実は楽しい作業なんです。

バランスがすべて

口頭でコミュニケーションが取りづらい状況では、ドキュメントは尚更重要です。 ドキュメントがあることで、メンバーはいつでも情報にアクセスでき、フィードバックや提案もしやすくなります。ただし、あまりにも詳細な内容、たとえばコード実装のレベルの情報まで書いてしまうと、細かなコードの変更が生じるたびにドキュメントを更新しないといけなくなってしまいます。 同様に、テキストだけの長い文章を書いてしまうと、ドキュメントの恩恵が受けられなくなり、わかりやすさが損なわれ、逆に効果が薄れてしまいます。適度な詳細と抽象度のバランスを取ることが大切であり、ドキュメントが管理の手助けとなるよう心がけが必要です。

活用されるドキュメント

実際にこの取り組みを導入して、Squadの振り返りミーティングで「ドキュメンテーションをよく参照するようになって、仕事において役立った」「ドキュメントが整理されていてわかりやすい」というメンバーからの声がありました。 今後、ドキュメントを書くのは私ではなく、オフショアメンバー全員も同じようなケイパビリティを持たせたいので、以上に書いたポイントを彼らに教えました。 今ではオフショアメンバー全員がドキュメントを書くようになり、ステークホルダーから仕様確認の問い合わせが来ても、すぐ回答できるようになりました。これにより、プロジェクト全体の透明性が向上し、知識の共有がスムーズになりました。

長期的な視点で見れば、ドキュメントはSquad全体の知識の蓄積として機能し、メンバーが増えても情報の共有の負担は軽減されます。

オンライン言語交流会

ドキュメント整理が進む中、私たちはSquadメンバーがより積極的に参加し、アイディアを共有できる環境を整えるためにもう一つの取り組みを始めました。それが、オンライン言語交流会です。

知っている人とコミュニケーションを取ることは楽ですが、知らない人となると相手の意図がどのようなものかもわからないし、ミスコミュニケーションの原因にもなります。できるだけオフショアメンバーとのコミュニケーションを増やすことで、彼らもより気軽に話しかけてくれるだろうと期待しています。しかし、日本語もできず、英語にも自信がないメンバーとどのようにすれば交流できるのか悩んでいました。そこで、オンラインで言語交流会を試してみました。

オンラインで実施しやすいアイスブレイク

いきなり何かを英語で話せと言われても難しいですよね。 そこでアイスブレイクゲームを導入し、わざわざ自分でトピックを考える必要がなく、よりカジュアルに話せる環境にしました。最初は簡単なものから始め、英語で自分のカバンに入っているものを紹介したり、謎解きをしたりしました。 カバンに入っているものを紹介する中で、お弁当の中身だったり、意外なエアコン用のリモコンの話も出てきて、会話が弾みました。謎解きをするときもトリッキーな謎が多く、あるメンバーがたくさん正解を回答できて、他のメンバーからカンニングしているだろうと冗談で言われたりしていた覚えがあります (笑)。 これにより、お互いの趣味や考え方を知ることができ、メンバー同士のコミュニケーションが深まりました。

伝わることの喜び

オフショアメンバーと会話を重ね、最初は英語に対して悲観的で、喋ろうとしないメンバーも自然と喋るようになりました。この記事を書く際に彼らにその理由を聞いてみました。 「英語の発音は下手ですが、理解してくれる人がいるので勇気が出る」「私の英語で喋っても笑われていないし、Andrewからの促進で一歩踏み出そうと思うようになって、ディスカッションに関与する重要性を理解できるようになった」という素敵なコメントをいただきました。 これらの言葉を通じて、協力し合いながら成長するプロセスに感謝しています。

このオンライン言語交流会のファシリテーションは最初は私が担当していましたが、現在はオフショアメンバーが積極的にファシリテーションすることもあります。今では毎回アイスブレイクゲームだけでなく、単純に英語で雑談することもできる環境になりました。 また、この会の名前の通り、英語に限らず、最近私が彼らから言語を学ぶ機会も得ました。

Squadの成長と今後

まだ完璧な状態には達していませんが、Squad全体がどんどん成長している実感があります。オフショアメンバーが積極的にコミュニケーションに参加し、自ら意見を言うようになったことは、大きな進歩と言えます。

異なる文化やバックグラウンドの人と仕事することは、チームが結束するまでには時間がかかりますが、結束ができた際には異なる視点から物事を判断でき、それによるメリットも大きいです。 私の過去の経験では、さまざまなバックグラウンドを持つ人々が集まれば、クリエイティブなアイディアが生まれやすくなります。そのため、このような多様性を大切にしていきたいです。

最後に、今後もSquad全体で協力し、より良いプロダクトを生み出すために努力していきたいと思います。