KAKEHASHI Tech Blog

カケハシのEngineer Teamによるブログです。

RSGT2024に参加してきました

カケハシがスポンサーブースを出すということで、Regional Scrum Gathering Tokyo 2024に現地参加する機会をいただきました。
今回は僕が参加にあたりスポンサーとして参加する自分の役割についての部分と、自分個人の目標や感じたことの両面を書いてみようと思います。

スポンサーとして参加する自分の役割について

まずはスポンサーとして参加するにあたり自分の役割について振り返ってみようと思います。

カケハシのスポンサーブースを盛り上げる

スポンサーとしての準備のほとんどは一緒に参加したメンバーが行なってくれたので、僕はメンバーが見に行きたいセッションを見に行けるようブースに残ったり、ブースを盛り上げることが自分の役目だと思って参加していました。
ただブースを盛り上げるといっても、RSGTは商品の展示会のような場ではないのでブースにお越しいただいた方にアンケートボードへの回答などを行なっていただきながら、実際の開発について会話を盛り上げていけたらいいなと考えていました。
その想定通りDay1の午前はアンケートボードを通じて会話する機会も多く、僕自身もはじめましての方と楽しく会話できてギャザリングを楽しむことができました。

さらにDay1の昼休み以降になると、休憩時間以外にも興味を持っていただいた方やメンバーの知り合い、メンバーの登壇内容に興味を持ってくれた方が常に訪れていただき、本当に多くの方にお越しいただけたと思います。
時間によっては通路を塞いでしまいそうなぐらいに人が集まり、せっかくお立ち寄りいただいたのにアンケートボードにシールを貼れなかったりもあり、周囲の方にご迷惑をおかけした側面もあるかと思います。
それにもかかわらず最後まで本当に多くの人にお声がけいただけて本当に感謝しています。ありがとうございます。

できればオンラインも盛り上げる

一方で、オンラインの盛り上げは上手にできませんでした。
今まで自分が個人でカンファレンスに参加する際はオンライン参加が多く、ハイブリッドカンファレンスの場合は意識してボイスチャンネルにずっと張り付くなど、少しでも温めておこうと振る舞っていましたが、今回はじめて現地から同じことをやってみてハイブリッドの難しさを感じました。
とくに難しく感じたのは現地の時間の流れとオンラインの時間の流れを同時に感じること。現地からオンラインに繋ぐだけではオンラインの時間の流れに接することすらできませんでした。
この経験は、やってみたから得られる失敗の成功だと考えていますので、次回に活かしていきたいと思います。

Day 2のスポンサーセッションの発表

他者と働き、チームで成果を出す方法 ~ 人との関係からみるカケハシ ~」はkubopさんとKanehiraさんが中心に内容を検討しれくれたのですが、個別の事例発表の最後のパートを僕が担当しました。
例えスポンサーセッションだとしても、より良い発表を考え参加いただいた方に1つでも経験の共有をしようとしたkubopさんとKanehiraさんの真剣な気持ちが伝わる内容で僕自身も自信を持って発表できる内容だったのですが、その真剣な気持ちが参加者にも伝わったのか会場には多くの人が聞きに来ていただきとても嬉しかったです。
発表後もDay3になっても、発表内容についてお声がけを頂くこともあり、本当に発表して良かったなと思いました。

自分個人の目標や感じたこと

さて、上記以外に自分なりに楽しみながら学ぶためにできることを考えて以下の目標を持って参加したしたのが今回のRSGTでした。

セッションで質問する

今回の一番の目標はDay1のJoe Justiceさんの発表「ジョーが語る、Teslaでの衝撃的な開発スピード」に対して、以前から抱いている疑問について質問してみることでした。
これは、以前Joe Justiceさんの発表を聞いた時に疑問があったにもかかわらず質問できず、ずっとモヤモヤを抱えてしまったことから、今回自分の目標に設定したものです。発表が終わり、質問時間をいただけてすぐに手をあげ1番で質問できたことでモヤモヤが新たに学びに変わりました。

さらにDay2のMichael FeathersさんのKeynoteセッション「Solving The Value Equation」でも、司会の@KawagutiさんのDiscord上でのpushがあり質問することができました。
正確にはDiscord上でモヤモヤを会話していた内容を@Kawagutiさんに拾って質問までしていただいた上で追加の質問の機会をいただいたのですが、自分1人だけで勇気を出して質問するのではなく、みんなで盛り上げることができることを学べたと思います。

これらの質問の経験はこの後のOSTでの体験にもつながりました。

OSTにテーマを出す

今回は、質問だけではくOSTにもテーマを出すことを目標にしていました。
ところが実際のOSTが始まると何を出すか、僕が考えていたことはすべて忘れて頭が真っ白になってしまいました。
そこで急遽考えたのは、「発表者へ質問するのが怖い、OSTにテーマを出すのが怖い、でも勇気を出して質問やテーマを出すにはどうしたらいいか?」というテーマです。
参加者の中では発表への質問のハードルの高さを感じて質問できない方も多かったようで、最終的に10名程度で会話していたと思います。

  • 今回のRSGT参加で実際にはじめて質問してみたけど勇気が必要で怖かったという意見
  • Discord上であった質問自体への指摘されたことへの恐怖
  • RSGT自体が初体験の方からは、質問する方全員がすごい人に見える

など、今ある怖さなども共有しながら、質問しやすい環境や振る舞いを一緒に作って行こうという強い意志が感じられる有意義な時間でした。
僕が覚えている、今後を良くする振る舞いは以下のようなものです。

  • 最初に手を挙げると質問の流れを意識しなくて済む
  • 他の人も同じことを聞きたい人がいると信じて質問し、周囲もそう思ったらDiscordでも共感する
  • 誰でも質問していいんだという空気感をDiscordに出し続ける
  • 実は発表者も質問をもらえないと悲しくなるので、時間が足りなくなるぐらい、どんどん質問する

ただOSTで話して満足するだけでなく、この後のKeynoteで利用できそうな振る舞いが生まれ実際のDiscordでは意識して盛り上げている人も観測できたので、たった20分の会話が今後の各地のカンファレンスももっと盛り上がるきっかけになればといいな、と感じることができました。

とにかく色んな人と話す

RSGTには普段は会えない人、同じ熱量や似たような価値観を持った人がたくさん集まります。そのような機会は滅多にないので、とにかく色んな人と喋る機会を作る場だと考えています。 はじめて現地参加したRSGTでは、熱量や価値観だけでなく各チームや各現場の状況にある悩みなどと同時に、今のアジャイルの現在地とこれまでの変遷なども少しだけ体験することができました。

その中で印象的だった会話は、RSGTの中でとくに盛んに話されていた「ここの熱量をどう自分の組織に持ち帰るのか?どう実現するのか?」という話題でした。
確かにRSGTで得た熱量をチームに持ち帰りたいと考えたり、同じような価値観をメンバーに求めてしまいたい気持ちはわかります。でも真っ赤に焼けた鉄のような熱量をチームに持ち帰ったとして実際の現場に生まれるのはメンバーの火傷に似たような軋轢です。
自分もチームとの関係に悩むことが多く、話されている方の想いがヒシヒシと感じられる話題だったと思います。 実際にチームと自分の温度差に悩む中で具体的な質問や相談をいただくこともあったので、多くの方の課題なんだと感じています。
この課題に対する僕の考え方はまとめに書きますが、そのような中でもう1つ印象的だった会話がありました。

学生の方からの「デザイン思考って現場で本当に使えるんですか?」という発言です。
僕の中でデザイン思考は開発において必要な要素だと思いつつ、自分自身も現場にデザイン思考を深く取り入れられていない中で、自分のような人間に何ができるのか?実際にその疑問を抱いた学生の方を目の前に会話しましたが、老害にならないようにしつつ何を伝えればいいのか?
非常に重くインパクトのある疑問が自分の中で湧いてきました。

まとめ

僕は2008年ごろからアジャイルを意識した開発をしてきましたが、今も悩みながら進めることだらけだと感じています。
そんな気持ちの中RSGT2024に参加し皆さんの話を聞きながら感じた事をまとめに書いて参加ブログとさせていただきまます。

今回の参加で自分の中で浮かんだのは、 「世界はそんなに良いものでもないかもしれないが、それほど悪いものでもない。」 そんな言葉。
みんな悩むし苦むけれど、どん底まで失望するほどでもないし、今までもこれからもずっと世界をよくすることができる。
そんな気持ちが湧いたのです。

RSGTに参加して、せっかく学んだことや熱量が上がったのに、現場ですぐに生かすことができない。 RSGTで見聞きするチームは素晴らしいし、RSGTに参加している人と一緒のチームだったらもっと良い開発ができるかもしれないのに。
学生の頃からより良い開発を学んで、実際に社会に出たら思ったような世界ではなかった。
そう思うと「世界はそんなに良いものでもない。」かもしれません。
ならRSGTに参加をしない方が良いのでしょうか?
それも違います。あくまで僕個人の感想ですが同じような価値観や課題感を持った人が集まり、真剣に悩んで話す機会があること自体が素晴らしいと感じましたし、自分と組織やチームとの間に明らかな温度差がある時にでも、それらを受け止めてくれる場所がある事実が素晴らしいと感じています。
その中で、ここの熱量をどう持ち帰るのか?僕なりに今回出した結論の1つは、
「RSGTで得た熱量を、似たようで異なる熱量をメンバーもどこかに持っていると信じる熱量につなげる」でした。

確かに組織内ではRSGTに参加した人の興味と同じことに対する興味を全員が持つこともないし、全員が学ぶこともありません。
だからこそ、いつか自分の知識が組織の中でもっと役に立つ日が来ると信じ、周囲のメンバー信じながら学び続けることが、自分が世界に失望しないために一番大事なことのではないか?
メンバーに自分と同じ知識や熱量、RSGTに集う人と同じ要素を期待せず、それぞれに熱い何かがあると信じることができたら、「世界はそれほど悪いものでもない。」と感じることができるし、今以上に明るい未来が開けるのではないのかと思いました。
そしてRSGTに参加している方とお話しする中で、今以上に明るい未来が開くために一緒に考えてくれることもたくさんあったと思います。

カケハシはスポンサーだったこともあり、今日も一部のメンバーでRSGTの熱い会話をする機会がありました。一方でチームのメンバーは僕たちがRSGT2024に参加している間もプロダクトに対する取り組みを続けてくれています。
そのメンバーの中にある僕とは違う熱量を信じて、チームがより良くなる振る舞いを僕自身に求められていると信じて今日からも頑張りたいと思います。

Musubi AI在庫管理プロダクト開発チーム エンジニアリングマネージャー 笹尾 納勇仁