CES 2024 参加レポート - コロナ禍以前の活況を取り戻した CES

CES 2024 参加レポート

こんにちは、XR × Fashion TechやXR × Beauty Techといった領域を推進している創造開発ブロックの@ikkouです。

2024年1月9日から12日の4日間にかけてラスベガスで開催された「CES 2024」に一般参加者として現地参加してきました。私個人としては通算5度目、ZOZO所属としては2020年、2023年に続き3度目の参加となります。

techblog.zozo.com

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前半はCESの概要と関連する情報、後半は私が注目したXR TechとFashion Tech、そしてBeauty Techについてお伝えします。CES 2024全体のトレンドについては、CES Daily Show Day 1Day 2Day 3などをご覧ください。

CESとは

毎年Venetian Expoの2Fから1Fへ降りるエスカレーター付近に設置されているCESの吊り看板

CESはCTA(Consumer Technology Association)が主催する、毎年1月にラスベガスで開催される世界最大級と言える「テクノロジーのショーケース」です。

読み方は「せす」と呼ぶ方もいますが、正しくは「しーいーえす」です。また、CESは長らく「Consumer Electronics Show」という名称でしたが、現在この「Consumer Electronics Show」という表記は非推奨となっています。

CTAの100th Anniversaryを記念するモニュメント

CESを主催しているCTAは、1924年にラジオ工業会として設立され、2024年は記念すべき100th Anniversaryの年でした。

CESには毎年テーマがあり、2024/01/05に発表されたCTAのプレスリリースによると、今年のトップテーマは次の4つでした。

  • 人工知能 / Artificial Intelligence
  • 万人のための人間の安全保障 / Human Security for All
  • モビリティー / Mobility
  • 持続可能性 / Sustainability

毎年Venetian Expoの2Fに用意されている大きな看板

会場内の至るところに掲げられていた「ALL ON」の文字は「The Future is ALL ON」を意味し、「未来はすべてここにある」というCTAの強い意志を感じました。

INNOVATION AWARD SHOWCASEのエントランス

時勢もあり特に強く「AI推し」の側面が感じられ、会場の様々な場所で掲げられている各種ビジュアルも生成AIを利用して制作されているようでした。

ここ数年、CESは新型コロナウィルス感染症の影響を受け出展社数が減っていました。CES 2020の出展社数が4,400社以上だったところ、オフラインが完全復活を遂げた去年のCES 2023の出展社数が3,200社以上でした。しかし、公式発表によれば今年のCES 2024の出展社数は4,300以上と、概ねコロナ禍以前の水準に戻りつつあるように感じました。

値上がりした参加費

LVCC West Hallに設置されている#CES 2024のモニュメント

CES 2024の参加登録は現地時刻2023/09/12にオープンし、チケットの価格は同12/05までの早期登録が$149(約¥22,000)、以降は$350(約¥52,000)でした。私は「貴重なCESの卒業生(英語表記は“valued CES alum”)」向けの特典によりRegistrationは$0で済みました。

ちなみに、CES 2023以前は早期登録が$100、通常登録が$300だったので、CES 2024から$50ほど値上がりしていることになります。USは何かと高騰が進んでいるので、これは仕方がないことかもしれません。

今回はCES参加5度目にして初めて公式のカンファレンスプログラムである「AR/VR/XR」を追加しました。オンサイトでXR領域に関する3つのセッションに参加できて$400(約¥60,000)でした。

このカンファレンスプログラムは参加費も含まれるため、特典を持っていない方は実質$50で3つのセッションに参加できるということです。

会場の概要

Image Source. https://www.ces.tech/exhibits/maps-and-locations.aspx

CESの展示会場は例年通りTech East・Tech West・Tech Southという3つのエリアに大別されています。

一般の来場者向けの会期は4日間ありますが、1人で全ての会場・全てのブースを巡るのはあまりにも非現実的です。

XRエリアに近いCentral Hallの入口、初日の開場直前は多くの人が集まる。

私は例年、Tech EastのLas Vegas Convention(LVCC)のWest・North・Central HallとTech WestのVenetian Expoを中心に巡っています。LVCCにはSouth Hallもありますが、昨年に引き続き今年も改装中でした。

4日間ともその日の最初から最後までとにかく歩き回りました。見るべきものを絞って効率的に巡っているとはいえ、期間中の平均歩数は1日あたり25,000歩を超えていました。普段リモートワークであまり歩かない私にとってはかなりの運動量です。

Official Show Store

オフィシャルCESストア

過去参加したCESでは見かけていませんでしたが、CES 2024ではCES公式のオフィシャルストアが会場内に5ヵ所設置されていました。CESの公式ウェブサイトには“We’re thrilled to bring an official store back to CES”と記載されているので、過去にもあったのかもしれません。

CES 2024 Official Show Storeで購入したフーディー

私はフーディーを1着購入しましたが、このフーディーの図柄も生成AIを利用して制作されたもののように感じました。

会場間の移動

とにかく会場間の移動には時間がかかります。今回、会場間の移動には徒歩、Vegas Loop、Lyft、そしてLas Vegas Monorailを利用しました。

この他の選択肢として、会場間をつなぐ無料のシャトルバスや、有料の循環バス「DEUCE」、そして通常のタクシーなどが挙げられます。

徒歩

徒歩ルートを選ぶとVenetian Expoを出てすぐの歩道橋で話題のSphereを間近で見られる。

LVCCとVenetian Expoの間は何度か徒歩で移動しました。片道で30分程度かかります。

ライドシェアやシャトルバスの移動は乗車までに時間がかかることや、渋滞に巻き込まれることもあるため、実は徒歩の方が早いこともあります。日中であれば大通りの治安は悪くないので、時間と体力に余裕がある場合は徒歩での移動もおすすめです。

Vegas Loop

Vegas LoopのLVCC WEST STATION

Vegas Loopはイーロン・マスク氏が立ち上げたThe Boring Company社によるラスベガスの地下交通網です。ラスベガスの空港から北部のダウンタウンまで結ぶ計画が当局に承認されていますが、現在はLVCCのWest Hall・Central Hall・South Hallを結ぶ無料の路線(LVCC Loop)と、RESORT WORLDとLVCCを結ぶ有料の路線のみが運用されています。

Vegas LoopのRESORT WORLD路線の発着場

後者の有料の路線は、開通当時は1日乗り放題で$2.5でしたが、CES 2023時は1日乗り放題で$4.5に、そしてCES 2024では$5(約¥740)に値上がりしていました。ただし、この有料の路線はRESORT WORLD近辺の宿泊者以外がそう頻繁に利用することはないでしょう。私は確認するために1度だけ乗車しました。

CESの参加者はもっぱらLVCCの会場間を繋ぐ無料のLVCC Loopを利用します。LVCCのWest HallとCentral Hall間を徒歩で移動する場合は20分間程度かかりますが、LVCC Loopであればわずか2分間で移動でき、とても便利です。

Vegas Loopを走るファルコンウイングドアが特徴的なModel X

昨年同様、今年も何度か利用しました。車両はTeslaで統一され、車種はModel Yが多く、稀にファルコンウイングドアが特徴的なModel Xも走っていました。相乗りが前提になっていて、どの車両に乗れるかは運次第です。今回は運良く何度かModel Xに乗車できました。

The Boring Company社の公式Xによると、将来的にはCybertruckが走るようで、とても楽しみです。

Lyft

ホテルと離れた会場間の移動にはライドシェアのLyftを多用しました。過去のCESではAptivと連携した「自動運転」のLyftが走っていましたが、今回は見かけませんでした。

ライドシェアの価格は変動相場制になっているので、同じ行き先でも時間帯によって価格が変わります。より安価に済ませたい場合はLyftとUberで比較することをおすすめします。

注意点として、まずライドシェアの乗り場は決まっています。乗り場から離れた場所にいる場合は移動しなければなりません。また、その日の閉場時刻になると非常に多くの人が乗ろうとするため混雑します。私はライドシェア乗り場で車両を手配してから40分待った末、車両が到着しなかったため結局徒歩で移動する羽目になりました。

Las Vegas Monorail

LVCCとVenetianの移動に一度だけLas Vegas Monorailを利用しました。区間距離は関係なく片道で$6(約¥890)です。1DAY PASSから7DAY PASSまで用意されているので、駅周辺に宿泊しているなどCESの期間中の移動をすべてLas Vegas Monorailで済ませる場合は$39(約¥5,800)の4-Day Passがおすすめです。なお、紙の切符ではなく、eTicketの場合は割引があります。

ライドシェアをはじめとする道路を走る交通手段と比較すると、目的地によっては駅を降りた後の徒歩移動が必要となりますが、渋滞に巻き込まれることもなく、安定した時間で移動できます。

XR Tech

CESのProduct Categoriesに「AR/VR/XR」が存在するように、例年多くのXR関連企業が出展、あるいはCESにあわせて発表しています。また、HTCのように近くのホテルで独自に展示している企業もあります。

XR関連企業の出展動向

Image source. https://exhibitors.ces.tech/8_0/floorplan/?hallID=B

LVCC Central Hallには「GAMING | METAVERSE | XR」とカテゴライズされた一画があります。CES 2020当時は「AR/VR & Gaming」でしたが、今年は昨年のCES 2023から変わらずこのカテゴリー名になっています。ただ、個人の感覚として、2024年においてもメタバースムーブメントが去年同様盛り上がっているかどうかについて疑義があります。実際のところこのエリアにメタバース推しのブースはほとんどありませんでした。

Venetian Expoの「Gaming/XR」エリアの地図

また、Venetian Expoのスタートアップ企業が集まるEureka Parkにも「Gaming/XR」エリアが設けられていましたが、7ブースしか出展していませんでした。参考としてCES 2023では「Gaming/Metaverse/XR」エリアとして16社が出展していました。2023年から2024年の変化としてはエリアとして「Metaverse」が削除され、「Gaming/XR」に取り組むスタートアップ企業が減ったということになります。

ただし、LVCC・Eureka Parkともに、このエリアに限らずVR HMDやAR Smart Glassesを含めたXR関連のブースは多くありました。例えばEureka Parkは国ごとのエリアが設けられているので、その中でXR関連のブースは「Gaming/XR」エリアの出展数以上にありました。

XRデバイスの動向

CES 2024で体験したXRデバイスの一部

今年もたくさんのXRデバイスを実際に試してきました。CES 2023では一旦落ち着きを見せていたXRデバイスですが、今年はCES 2020の頃のように盛り上がりを見せているように感じました。キヤノンのMREALやThinkのReality A3のように既に販売されているデバイスもありますが、まだ開発中のものも多く含まれています。

いわゆる眼鏡型のデバイスは、以前からあるスマートフォンに接続するものの他、Spatial Computerを謳う「Nimo 1」のようにデスクトップを拡張するものを増えてきました。これは後述するApple Vision Proと同じ流れと言えますし、CES 2024には出展していませんでしたが、ImmersedのVisorも同様です。

MetaのRay-BanスマートグラスとAmazonのEcho Frames

Metaは昨年のMeta Connect 2023でMeta AIを組み込んだスマートグラスである「Ray-Ban Metaスマートグラス」を発表しました。また、昨年末にはこのMeta AIにマイクロソフトの「Bing」を組み込んだ物体認識機能が発表されています。

Ray-Ban Metaスマートグラスを展示しているMetaブース

CES 2024では、Metaブースでこの「Ray-Ban Metaスマートグラス」が展示され、多くの賑わいを見せていました。

Ray-Banショップで販売されていたRay-Ban Metaスマートグラス

このスマートグラスは日本からの注目度が高いものの、現時点で日本からは注文できません。しかし、ラスベガスにはこの「Ray-Ban Metaスマートグラス」を取り扱うRay-Banの店舗やグラスショップが複数ありました。私の観測範囲内ではCESにあわせて渡米した日本からの参加者が一定の割合で購入していたようでした(私はマッチするフレームとレンズの組み合わせがなく、今回は見送りました)。

Amazonブースに展示されていたEcho Frames

Amazonも昨年9月に第3世代にあたる「Echo Frames」を発表していて、AmazonのAlexa関連デバイスを紹介するブースで展示されていました。

Amazon.comで販売されていて、ブースではCES期間中の限定クーポンを配布していましたが、残念ながらこちらも現時点で日本からは注文できません。

CES 2024にあわせた発表

CES 2024にあわせてXR関連デバイスを発表した企業もあります。いくつか気になったものを紹介します。

Apple Vision Pro

Appleは例年CESに“出展”していませんが、CESにあわせてOOHを掲出したり、CES 2020ではセッションに登壇したりしています。そのAppleはCES 2024の初日に重ねる形で「Apple Vision Pro」のUSにおける予約日と発売日を発表しました。

Apple CEOのTim Cook氏によるXのポストを見かけたときは本当に興奮したことを今でも覚えています。

The era of spatial computing has arrived! Apple Vision Pro is available in the US on February 2.

本レポート記事の公開時点では、既にUSでの予約が始まっています。日本からの購入組も一定数いるように見えますが、いわゆる“技適”の関係で大手を振って国内で使えるようになるのは、日本での発売日を迎えてからになります。一刻も早く日本でも発売されることを願ってやみません。

XREAL Air 2 Ultra

XREALブースの様子

いわゆる“ARグラス”の領域で特に勢いのあるXREAL社はCES 2024にあわせて「XREAL Air 2 Ultra」を発表、予約を開始しました。開発者が待ち望んだ「Nreal Light」の正統後継デバイスです。

赤いXの目立つブースでは、既に発売されているXREAL Air 2 / Air 2 Proの他、XREAL Air 2 Ultraの実機でハンドトラッキングのデモなどを体験できました。

6DoFのトラッキング性能を確認できるデモ

別途アポイントが必要となる個別のブースでは、6DoFのトラッキング性能を確認できるデモを体験できました。これはCES 2024の会期直前にメディア向け限定して開催される「CES Unveiled」で展示されていたものと同じです。自分だけしかいない落ち着いた個室での体験となり、Unveiledのように人が多くて混雑している状況よりもじっくりと体験できたと言えるかもしれません。

SonyのVR HMDを含む没入型空間コンテンツ制作システム

CES 2024のプレスカンファレンスで突然登場したのが、SonyのVR HMDを含む没入型空間コンテンツ制作システムです。一般個人向けの製品ではなく、産業向けの製品として発表されました。

SonyのVR HMDを含む没入型空間コンテンツ制作システム

Sonyブースには展示されていませんでしたが、協業先となるSiemensのブースに実機が展示されていました。

www.youtube.com

残念ながら実機は体験できませんでしたが、YouTubeを見る限りでは、デジタル化が進んでいるファッション・アパレル領域でも使える可能性があると感じました。

ShiftallのMeganeX superlight

Panasonicの100%子会社であるShiftallはMeganeXの軽量版にあたる「MeganeX superlight」、センサーを改良した「HaritoraX ワイヤレス R」、そして防音マイクmutalkの新モデル「mutalk 2」を発表しました。

MeganeXとMeganeX superlight

CES 2020で発表された当時、その見た目からサイバーパンクやスチームパンクと話題になったVR HMDです。その後、改良を経て2023年夏に「MeganeX」として発売され、さらに実際の利用用途を考慮して軽量化されたのが「MeganeX superlight」です。

私は事前に日程をあわせた上でプライベートブースに伺い、現行品の「MeganeX」そして軽量版の「MeganeX superlight」をじっくりと試してきました。

Apple Vision Proの重さが600~650gと言われる中、約200gとされる「MeganeX superlight」は圧倒的に軽く感じました。将来的な方向性などもたくさんお話しいただき、とても有意義な時間を過ごすことができたとともに、今後が非常に楽しみになりました。

Fashion TechとBeauty Tech

昨年同様、XR領域と並行して、Fashion TechとBeauty Techも注目していました。CES 2024のProduct Categoriesには記載されていませんが、Tech WestのVenetian Expo 2FにBeauty Techエリアが設けられていました。

Beauty Techエリアの地図

昨年はLife Styleエリアに配置されていたので、これはBeauty Techの注目度が高まっていることを示唆するのかもしれませんが、ブース数としては5社に留まっていました。

ただし、必ずしも関連するブースがこのBeauty Techエリアに配置されるわけではありません。昨年も賑わいを見せていた、肌に直接印刷するプリンターのPrinker社は別のエリアに配置されていたものの、今年も大盛況でした。

LG H&H社のIMPRINTUブース

肌に直接印刷するプリンター3種

また、同じジャンルでLG H&H社がIMPRINTUをCESにあわせて発表し、こちらも賑わっていました。ともにCES 2024で特に強い勢いを見せていた韓国企業です。

Beauty Tech領域で強い存在感を示していたL'Oréal Group

Resort Worldに大きく展開されていたL'Oréal GroupのOOH

昨年のCES 2023では、『手や腕が不自由な人に向けたメイクアップアプリケーター「HAPTA」』と『世界初の家庭用電子アイブロウメイクアップアプリケーター「L'Oréal Brow Magic(現3D shu:brow)」』でCES 2023 Innovation Awardsを受賞していたL'Oréal Groupですが、今年もBeauty Tech領域で強い存在感を示していました。

Resort Worldに大きく展開されていたL'Oréal GroupのOOHもそのひとつですが、CES 2024ではBeuaty系企業として初めてKeynoteを開催しました。

Image source. https://www.youtube.com/watch?v=pArGshMSoNo

このKeynoteでは、L'Oréal GroupのCEOであるNicolas Hieronimus氏が登壇し、L'Oréal Groupのビジョンや、Beauty Tech領域における取り組みについて語りました。DE&IなBeauty Techの実現に向けて掲げていた「BEAUTY FOR EACH POWERED BY TECH」という表現が印象的でした。

また、L'Oréal Groupの持つ膨大なデータとLLMを利用したAIソリューションの「Beauty Genius」も発表されました。パーソナライズ・レコメンデーション・ARによるバーチャルトライオンなどを統合したソリューションです。

バーチャルトライオンついては2018年3月にModiFace社を買収し、その後さまざまな形で展開しているので、その一環だと考えられます。

www.loreal.com

Image source. https://www.youtube.com/watch?v=pArGshMSoNo

Beauty Geniusのデモとして、チャットUIでの会話・スマートフォンで自身の顔を撮影して送信・肌の状態を分析してスキンケア製品をレコメンドしてもらう一連の流れを披露していました。こういったソリューションが一般化することで、AIもよりいっそう自然なものになっていくのかもしれません。

L'Oréal Groupの取り組みに興味のある方はYouTubeに公開されているKeynoteのアーカイブ動画を参照してください。

www.youtube.com

CES初出展の資生堂

CES初出展となった資生堂のブース

日本企業勢として、昨年のCES 2023ではKoséが初めてCESに出展していましたが、今年のCES 2024では資生堂が初めて出展していました。

資生堂がCESに出展していることに違和感を覚える方がいるかもしれませんが、近いところではSXSW 2019でInvisible VRプロジェクト“caico”を出展しています。他にもさまざまな形でBeayty Techに取り組んでいて、今回のCES 2024でもこの“caico”プロジェクトを引っ張っていた方が出展責任者を務めていました。

corp.shiseido.com

資生堂のブースでは、適切なスキンケア美容法の実践をサポートするアプリ「Beauty AR Navigation」と、2023年11月に発表された「顔画像から将来の肌悩みを予測できるツール」をベースにした「鼻の骨格から、“未来の肌悩み”を予測するツール」の2つを体験できました。

Beauty AR Navigationの様子

「Beauty AR Navigation」は、美容液などを肌に塗る際の資生堂が考える正しい動作を、DirectionとSpeedの2軸で評価するものです。ディスプレイの前に設置されているWebカメラに自身が映り、その動作をARで表示された手の動きと比較することで、正しい動作を学べます。私が体験したところ、Directionは良かったもののSpeedに難があり、結果は60点でした。

ゲーミフィケーション的な要素を取り入れることによって、正しい動作を習得するモチベーションを高められると感じました。Beauty TechにおけるARはバーチャルトライオンが目立ちがちですが、こうした正しい動作の習得を目的としたARの利用も、今後のBeauty Tech領域の発展に大きく貢献すると考えています。

鼻の骨格から、“未来の肌悩み”を予測するツール

「鼻の骨格から、“未来の肌悩み”を予測するツール」は、iPhoneのインカメラで顔を撮影するだけで、鼻の骨格から肌の状態や肌の特徴を推定するものです。この鼻骨格による肌分析は世界初とのことで、まさか鼻の形から将来的な肌予測に繋がるとは思いもせず、資生堂の研究開発力の高さを感じました。極めて簡単に診断できるので、今後の展開が非常に楽しみです。

キヤノンのスキャンソリューション

キヤノンブース

技術カテゴリーとしてはImaging Technologyになりますが、キヤノンのブースではFashion Tech領域にも展開できるスキャンソリューションが初出展されていました。

デジタルツインなどの文脈で商品の3Dモデルを作成するソリューションは既に複数存在していますが、キヤノンのソリューションは1枚の画像からAIによってデプスを推定して立体に見せるものです。その仕組み上、360度すべてを見回すことはできませんが、ECにおいて必ずしも360度すべてを見せる必要があるわけではないので、十分に有用なソリューションだと感じました。サンプルとして服・靴・帽子が用意されていたのも非常にわかりやすかったです。

ちなみに、CES 2024では展示されていませんでしたが、同じカメラメーカーであるニコンもアバターファッションの文脈で服の3D化に取り組んでいます。Fashion Tech領域において、カメラメーカーの持つ技術も活用されていくことは想像に難くなく、今後の動向が楽しみです。

おわりに

4日目の夜明けにホテルから見たSphere

例によって今回のCES視察は開発部門の福利厚生である「セミナー・カンファレンス参加支援制度」を利用しての参加となります。

今回はCES 2023時よりも1か月早くフライトとホテルを手配したことが功を奏したのか、CES 2023当時よりも15%ほど安価にフライトとホテルを手配できました。既にCES 2025の開催日程が発表されているので、参加意向のある方は、できるだけ早く手配すると良いかもしれません。特にホテルは多くの場合で一定期間まではキャンセルできます。

実際にはフライトとホテル以外にも一定の金銭的コストが発生していて、そのコストに対して得られたことの妥当性を説明するのは難しいでしょう。しかし、昨年も言っていますが、XR領域は「百聞は“一体験”に如かず」です。CESに関するニュース記事は日本でも多く目にしますが、現地に足を運び、その目その手で体験することに価値があると考えています。

また、CESはビジネスショーという性質上、個別に会話するプライベートブースが用意されています。いくつか参加しましたが、こういったオンサイトならでの対面コミュニケーションも、インターネットメディアの記事等からは得られない大きなメリットだと考えています。

最後までご覧いただきありがとうございました。帰国便の飛行機が大幅に遅延し、ひたすらロビーで待った末にフライトがキャンセルになり予定通り帰国できなくなるといったトラブルもありましたが、それはまた別の機会に。

ZOZOでは、各種エンジニアを採用中です。ご興味のある方は以下のリンクからご応募ください。

corp.zozo.com

現場からは以上です!

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