LINEヤフー Tech Blog

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アクセシビリティカンファレンス福岡 2023

LINEヤフー Advent Calendar 2023の4日目の記事です。

こんにちは。UIT開発推進部、Webアクセシビリティチーム リーダーの富田です。

2023年11月11日(土)に福岡のLINEヤフーコミュニケーションズを会場にして開催されたアクセシビリティカンファレンス福岡に、会場提供スポンサーとして登壇してきましたので、カンファレンスのレポートをお届けします。

「ここにいる。」をスローガンに、福岡市で初めて開催されたアクセシビリティのイベントでした。全国で活躍するアクセシビリティの先駆者によるセッションがオフラインで開催されることもあり、地方開催ながら多くの参加者でにぎわっていました。

アクセシビリティに関する課題に取り組む際、組織や地域内で仲間を見つけることの難しさを多くの参加者が感じているようでした。そのため、「ここにいる。」というスローガンに込められたメッセージには、参加者から強い共感が寄せられました。このメッセージが会場全体に良い雰囲気をもたらし、その点が特に印象的でした。

アクセシビリティカンファレンスならではの環境

イベント全体でさまざまな環境への情報保障が強く意識されており、UDトークを使ったリアルタイムでの字幕提供の他に、会場には手話通訳者が3名待機しており、全セッション手話による同時通訳が行われました。会場内には託児ブースが設けられており、子連れの参加者もイベントに参加できました。また、車いすを使用されている方を含む、さまざまなニーズを持つ参加者が見られました。

会場入口に設置された企業ブースは、さまざまな方法でアクセシビリティに触れられるイベントでした。点字ラベラーを使用した名前の点字シール印刷の体験や、参加企業のアクセシビリティへの取り組みを紹介するパネル展示など、セッション外でも多彩な内容が展開されていました。

登壇内容

スポンサーセッションとして、「LINEヤフーにおけるアクセシビリティ」というタイトルで発表を行いました。

前半部分では、私がこれまで元LINE株式会社(現LINEヤフー株式会社)で行ってきたアクセシビリティに関する活動を振り返り、アクセシビリティガイドラインの普及を目的としたイベント「Accessibility Boot Camp」について説明しました。「Accessibility Boot Camp」は、社内のアクセシビリティガイドラインとWCAGへの理解を深めることを目的として、今年の3月から半年かけて実施したイベントです。元LINE株式会社(現LINEヤフー株式会社)のフロントエンド組織であるUITのメンバーを対象に実施した活動で、月に一度、ガイドラインの主要項目をピックアップして内容を解説する場を設けました。この解説をもとに、UITが関わっている各プロダクトにチェックを実施するという内容でした。

このイベントを通じて、アクセシビリティのチェック項目が限られていたとはいえ、複数のプロジェクトでアクセシビリティチェックが行われました。アクセシビリティ対応の取り組みを始めるのが難しいと感じていたなかで、このイベントが良いスタートの機会となったと考えています。

セッションの後半は、岡崎より今後の展望として現在のLINEヤフーが提供しているサービスの状況や、組織構造などを説明しました。

今回のように元LINE株式会社(現LINEヤフー株式会社)で行っていたアクセシビリティ活動について、具体的に説明するのは初めてでした。同じ問題に直面している方や、まだ実施できていないことに気付かれた方からの反応をいただけたため、有意義な発表ができたと感じています。

各セッションについて

セッションの主要なテーマは、アクセシビリティへの取り組み方や向き合い方、そして組織内でアクセシビリティをどのように推進していくかに焦点を当てていました。

『見えにくい、読みにくい「困った!」を解決するデザイン』という書籍でアクセシビリティ問題をデザインで解決する方法を紹介した間嶋さんや、駅内のアナウンスや環境音を可視化しディスプレイ表示する「エキマトペ」を企画・開発した株式会社方角の方山さんなど、普段あまり聞くことのない方からアクセシビリティへの取り組みについて直接話を聞けたのは、非常に良い機会でした。

セッションについては一部を除き、アーカイブが公開されているため、そちらからご覧いただけます。情報保障版では、UDトークによるリアルタイムキャプションと手話通訳の表示を確認できます。

最後に

どのセッションもさまざまな新しい気づきや発見があり、一参加者として非常に楽しめたイベントでした。アクセシビリティというまだまだ一般的とは言いがたい領域です。それでも会場が関心を持った人たちでいっぱいになったのが印象的でした。この熱が消えないようにアクセシビリティの活動の輪を社内外に広げていければと感じています。