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みんなで情シスを形創ろう


情シスの輪をみんなで作ろう


お久しぶりです。コーポレートプラットフォーム部米沢です。半年以上ぶりでの投稿となります。SHIFTにおいては、従業員・フロント部門を巻き込んで情シスを形創ろうとしています。本日はその事例を何点かお話できればと思います。

今回の記事の想定読者は、以下の通りです。

  • 情シス運営で困っていてなにかヒントを求めている方

  • 周りを巻き込みたいがなかなか難しいと考えている方

命題:「情シスだけですべてをやり切れるのか」


情シスに関わる皆様も同じように、情シスの人材確保は至上命題ではないでしょうか。SHIFTも例外ではなく、情シス人員の採用に苦戦しています。さらに、SHIFTは企業成長(=従業員の増加)が早いので、会社の成長に合わせて情シス組織を拡大するのが難しく、リソースが不足している状況は改善されることはないと考えています。人がいないからという理由で情シス業務を放棄するわけにもいきませんので、何とか解決しなければいけません。そのため、我々は少ない人数でどうやって業務を進めるかを常に考えています。それが建設的な取り組みになると考えています。

私たちの部署では、「その業務は情シスだけでしかできないのか、他部署でそれを実行できないのか」という視点を常に持つようにしています。ガバナンス等を考えるとこれは従来の情シスの流れと逆行するかもしれません。しかし、情シスの本質として、「持続的な運用」が重要であると考えています。我々が運用できなければ、全てが台無しになってしまいます。特にSHIFTのような変化が早い・多い会社においては、立ち止まることが命取りです。そのために、適切に人の力を借りるべきだという考えを基に情シスを運用しています。これは誤解を生むかもしれませんが、創業間もない会社は情シスが存在しなくてもトラブルが起きないことが多いです。もちろん専任の情シスが必要なほど作業量がないという点はありますが、ガバナンス・セキュリティにおいては、従業員がある程度、情シス機能を代替しているからだと考えています。会社が成長するにつれ、安全性・効率化等の観点から情シスに機能配置される業務も、形を変えれば現場で運用することができるのではないかと考えており、それを念頭に入れて、業務を整理しています。各社によって従業員に頼れることができる内容は異なるとはおもいますが、業務の棚卸しを行い、再考することも重要だと思います。1年ほど前に執筆した記事の中で記載のあったe-learning インシデントの可視化 などの施策も、この考えが根底(経営的視点が強めの施策)になります。意識高い従業員で構成されていれば、もしかすると情シス業務はスリム化できるかもしれません。そういう企業を創り上げるのも情シスの一つのあり方であるとは考えています。

本日はSHIFTで実践している、情シスの輪活動をいくつかご紹介したいと思います。


■棚卸

私たちは、棚卸が情シス業務の中心となるべきだと考えています。特にSHIFTのような会社においては、その重要性はかなりのものです。なぜなら、あらゆるIT資産(アカウント等も含む)を使って業務をしているわけで、それらを適切な権限で使えることがガバナンスの要となるからです。我々もその運用には大きな課題はあり、日々向きあっています。しかし、これを情シスの人手だけで行うのは困難であり、システムで対応するにしても、増え続ける様々なサービスに頼り切ることは難しいと考えています。さらに、最後の最後は従業員へのヒアリングになります。そこで我々は、従業員が自身で進んで棚卸(資産管理もそうですが、権限管理も含め)を行えるプラットフォームが必要と考えており、現在その構築に取り組んでいます(現在第2世代を開発中です)。発想は単純で、「自分の持ち物は基本自分でちゃんと管理している。だから、会社の資産についても同じようにしよう」というものです。個々の従業員に対して、すべてを一覧化し、「これがあなたの権利(責任)です、今後も使いますか?」という問いを常に投げかけます。会社が全てやってくれるという状況ではなく、従業員自身が自分の事として向き合える環境を作ることを目指しています。この考え方については、「ワスレナイ 」として、別部署が運営するSaaS管理ソリューションにも既に反映されています。もちろん、情シスがすべて管理すべきという意見もあるとはおもいます。私もその意見には賛同します。しかし、我々は重要なポイントを押さえつつ、それ以外の部分を従業員に移管していくことで、棚卸し活動を永続的に行える仕掛けづくりをしたいと考えています。そのためにも、現場の管理者との意見交換も合わせて実施しています。


■情シス作業支援

上記のような施策で現場力を高めたとしても、情シスの作業は0になるわけではないです。どうしても我々がしなくてはいけない作業はあります。それは、細かいものから大物まで様々です。細かい所が負荷になり本来すべきことがおろそかになる経験はないでしょうか。そこで我々は1年ほど前から、「社内に少なからずある空き工数」 を情シス作業の支援として時間を借りる活動を提案し、人事も巻き込み(評価等も考慮)ながら開始しています。1年程度実践してみて、延べ80人ほどの協力者が一時的に情シスに参加してくれました。これは、各方面の工夫・努力の成果です。それの結果、工数の支援だけでなく、後述する他の良い効果が得られました。さらに、SHIFTには情シスのサービスを外販する組織が存在しますが、その組織と手を組み、「彼ら部署のOJTの場」 としても活用してもらうことができました。情シス運営する中で、かなり工数が見込める施策となっており、重宝しています。



■セキュリティチェック

上記の取り組みをさらに進化させた活動も行っています。弊社には、セキュリティを専門にコンサルティングする部隊(以降、セキュリティ部とします)が存在します。我々とセキュリティ部は日々、様々な情報共有をしています。その一環として、サイバー攻撃などのデータ分析を共同で行う活動を進めています。セキュリティ部にとっては、実際のデータを用いて実践する機会が得られることがメリットであり、我々にとっては最新のセキュリティ知識を習得しながらも、我々の業務を並走して支援してもらえる点で知見の拡充とリソース不足を解消できます。これはまさに 「Win-Win」 の関係性を築けていると感じており、継続的に取り組んでいます。グループ会社も増え続ける中で、こういったチェックを内製化できていることは非常に有益な取り組みであると考えています。

頼ってみるといいことがある


当初は、自部署メンバーも少し反発的な態度を見せていましたが、様々な取り組みを進める中で段々と前向きな姿勢に変わっていきました。我々の視点から見て良かったポイントや大変だったポイントは以下に整理します。関係者同士が共にチームとして取り組むことが成功の秘訣になるとは思います。

良かった点


1.情シス内外のギャップに気付くことができる

我々は定期的にアンケートなどを通じで満足度調査を行っていましたが、それは普段から情シスと関わりのある従業員の声が中心であり、全社員の声を網羅するには至っていませんでした。これが一つの課題でした。しかし、上述のような支援活動を通じて、アンケートではカバーしきれない層からも様々な意見を聞くことができました。そこには ”情シスさんでこんなことしているとはおもいませんでした” とか、 ”情シスからのお知らせで共有されていた内容と実際が異なっていました” とか、様々です。中には我々が反省すべき点もあれば、アドバイスにつながるものもありました。これまでも我々は従業員と向き合ってきたつもりではありましたが、それは近視眼的なものだったと気付くきっかけになりました。これは情シスとしての存在意義を再認識する機会にもなりました。

2.自業務の整理につながる

従業員の力を借りるということは、タスクの引き渡し/引き受けをスムーズに行う事が必要で、業務の標準化・体系化が重要となります。情シスが自組織内に閉じこもっていると、この部分がおろそかになってしまうことはよくある問題だとは思います。そのため、この取り組みを進めるには業務の整理が必須となります。それは、ただ単なる作業手順の整理だけではなく、この作業の目的や意義も含まれます。人間は何かを行う際に、その背景や理由を理解した上で行動したほうが能動的に動けると考えます。特に情シスのように、「守りの側面」が強い業務においてはその理解は重要となり、それが変化に対応する唯一の手段だと私たちは考えています。上記の取り組みを通じて、自部署のメンバーを含めて業務の整理が進んだと感じています。それは業務の断捨離などにもつながり、大きな意義があると考えています。

3.自組織のメンバーが前向きになる

初めの頃は、メンバーは後ろ向きでした。理由は単純です。十分に忙しいのに、なぜすぐに去ってしまうかもしれない人に教えないといけないのか、という感じでした。それは理解できる意見です。しかし、私はこの取り組みを推進しました。結果的に、メンバーの見方は大きく変わり、前向きになりました。これは2の話にも関連していますが、型ができると業務自体の引き渡しがスムーズになり業務自体も整理されます。本来自分が行いたかった作業の時間を割くことができるようになります。それにより、「今後こう変えたい」「こう進化させたい」と言う声が上がり、それを実践に移せる組織ができつつあると考えています。

4.会社として情シスの有り方を考えることができる

この記事のテーマを実践すると自ずと発生する効果ですが、実はこれが会社全体として最も意義深い点ではないでしょうか。よくも悪くも、情シスは会社の在り方が反映される部署だと私は考えています。そのため、我々は本来、戦略的・戦術的な視点から物事を進める必べきだと考えています。しかし、業務を進める中で本来の存在意義よりも現状の維持や整備に終始してしまうというジレンマが存在するのではないでしょうか。そこを改めて考える良い契機になると思います。また、情シスの「現在」を見た従業員から、ただ単に「大変」だということだけでなく、「こうすれば良くなる」や「これがビジネスに繋がるかもしれない」といった具体的なヒントも見えてくることもあります。上述のワスレナイもその一例です。

情シスは従業員全員で運営することで、その真価に辿り着けるのかもしれません。

大変だった点


どの取り組みも、最初は情シスが追加で時間を割かなければならない部分があります。その時間を捻出し、メンバーに説明して理解してもらうことが一つの難点でした。もちろん、一方的に方針ということで突き通すことも可能でしたが、現場のリーダー陣と一緒に根気強く対応しました。この課題を乗り越え上記の効果が得ることができ、投資対効果(ROI)としては良い結果だと考えています。

最後に


今回は我々が実践している、「従業員を頼ってみる」 というテーマで記事を書いてみました。読者の方にはそれはSHIFTさん特有でしょと思われた方もいるかもしれませんが、この先において、情シス人員数とその担うべき業務量のバランスはよりいびつなものになっていくのではないでしょうか。そういう状況下において、一つの考え方として、捉えていただけると嬉しく思います。

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執筆者プロフィール:米沢 毅
独立系ソフトウェアハウスでSEを5年、ITコンサル会社でアーキテクトを8年経験。その後SHIFTに2014にJoin。テスト実行管理ツール「CAT」の開発マネージャを経て、2018年に情報システム部に異動、部長に着任。情報システム並びにセキュリティを管掌。未だに開発が好きで手を動かしています。

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