NRIネットコム Blog

NRIネットコム社員が様々な視点で、日々の気づきやナレッジを発信するメディアです

AWS Certified Data Engineer - Associate(DEA)の学習方法

小西秀和です。
この記事は「AWS認定全冠を維持し続ける理由と全取得までの学習方法・資格の難易度まとめ」で説明した学習方法を「AWS Certified Data Engineer - Associate」に特化した形で紹介するものです。
重複する内容については省略していますので、併せて元記事も御覧ください。
また、現在投稿済の各AWS認定に特化した記事へのリンクを以下に掲載しましたので興味のあるAWS認定があれば読んでみてください。

ALL DevOps Developer SysOps SA Pro SA Associate
DE Associate Networking Security ML Cloud Practitioner

「AWS Certified Data Engineer - Associate(DEA)」とは

「AWS Certified Data Engineer - Associate(DEA)」は、AWSクラウド環境下でデータパイプラインの設計、構築、運用、モニタリング、最適化するデータエンジニアリングに関する能力を認証する認定です。

具体的には、データの取り込み、変換、パイプラインのオーケストレーション、最適なデータストアの選択、データモデルの設計、データスキーマのカタログ化、データライフサイクルの管理、データパイプラインの運用保守、データ分析と品質保証、適切なセキュリティ対策とプライバシー保護の実装など、広範なスキルが求められます。

AWS公式のAWS Ramp-Up Guidesには、本記事執筆時点でデータエンジニアに関する「ロール別 Ramp-Up Guides」は提供されていません。ただし、「Ramp-Up Guides by Solution」で紹介されている「データ分析」が提供されており、AWSにおけるデータエンジニアリングの学習パスとして参考になるでしょう。

一方で職種を踏まえてどのAWS認定が適しているのかを紹介しているPlan your AWS Certification Journey(AWS認定パス)ではData AnalyticsにおけるCloud data engineerのAWS認定パスとして次のものが提示されているため、前提となっているAWS認定を先に取得するという選択肢もあります。

AWS Certified Cloud Practitioner -> AWS Certified Solutions Architect – Associate -> AWS Certified Data Engineer - Associate | AWS Certified Security - Specialty

このように、「AWS Certified Data Engineer - Associate」はAWSの広範なサービス知識を前提にデータパイプラインの設計、実装、セキュリティ対策の適用などデータエンジニアリングに関する知識が評価されるため、AWS認定の中でも特にデータエンジニアリングにおいて実践的な内容が問われる認定と言えるでしょう。

従来の「AWS Certified Data Analytics – Specialty」と新しい「AWS Certified Data Engineer - Associate」の違い、共通点

AWS Certified Data Engineer - Associate」の試験ガイドと「AWS Certified Data Analytics – Specialty」の試験ガイドを比較してまとめると次のような違いが見受けられます。

「AWS Certified Data Analytics – Specialty」はデータからインサイトを抽出し、分析ソリューションを提供する能力に重点を置いて、特にデータ分析に関する深い知識に焦点を当てたAWS認定でした。
具体的にはAWSのデータ分析サービスの定義、統合方法の理解、データライフサイクル(収集、保管、処理、可視化)に対するAWSデータ分析サービスの適用方法などです。
経験要件も般的なデータ分析テクノロジー分野での5年間の経験と、AWS のサービスを使用した分析ソリューションの設計、構築、保護、および保守のための最低2年間の実践的な経験という内容が挙げられています。

「AWS Certified Data Engineer - Associate」はデータパイプラインの構築・運用・最適化、データ管理、セキュリティとプライバシーに関する能力に重点を置いて、特にデータエンジニアリングにおける広範な実務経験に焦点を当てています。
具体的にはプログラミング概念の適用、データパイプラインのオーケストレーション、最適なデータストアの選択、データモデルの設計、データスキーマのカタログ化、データライフサイクルの管理、運用・保守・モニタリング、データの分析と品質確保、セキュリティとガバナンスの実装などです。
経験要件もデータエンジニアリングの分野で2~3年の実務経験と、AWS サービスによる1~2年以上の実務経験という内容が挙げられています。

一方で「AWS Certified Data Engineer - Associate」と「AWS Certified Data Analytics – Specialty」で共通する点にはAWSのデータ分析関連サービスの理解と利用、データセキュリティ(データ暗号化、アクセス管理)、データライフサイクルの管理(収集、保存、処理、分析、可視化)、データソリューションの最適化(コスト、パフォーマンス)などが挙げられます。

そのため、「AWS Certified Data Analytics – Specialty」のAWS認定を既に取得している方は既存の知識をベースにしながら、「AWS Certified Data Engineer - Associate」に向けてデータ分析に関連するAWSサービスのより具体的な設計、構築、運用を意識して学習するのが良いと思います。

「AWS Certified Data Engineer - Associate」の学習方法

この認定に関係しているAWSの関連カテゴリと主要AWSサービスには以下のものが挙げられます。
【関連カテゴリ】:分析、アプリケーション統合、クラウド財務管理、コンピューティング、コンテナ、データベース、デベロッパーツール、フロントエンドのウェブとモバイル、機械学習、マネジメントとガバナンス、移行と転送、ネットワークとコンテンツ配信、セキュリティ、アイデンティティ、コンプライアンス、ストレージ
【主要AWSサービス】:Amazon Athena、Amazon EMR、AWS Glue、AWS Glue DataBrew、AWS Lake Formation、Amazon Kinesis Data Firehose、Amazon Kinesis Data Streams、Amazon Managed Service for Apache Flink、Amazon MSK、Amazon OpenSearch Service、Amazon QuickSight、Amazon AppFlow、Amazon EventBridge、Amazon MWAA、Amazon SNS、Amazon SQS、AWS Step Functions、AWS Budgets、AWS Cost Explorer、AWS Batch、Amazon EC2、AWS Lambda、AWS SAM、Amazon ECR、Amazon ECS、Amazon EKS、Amazon DocumentDB、Amazon DynamoDB、Amazon Keyspaces、Amazon MemoryDB for Redis、Amazon Neptune、Amazon RDS、Amazon Redshift、AWS CLI、AWS Cloud9、AWS CDK、AWS CodeBuild、AWS CodeCommit、AWS CodeDeploy、AWS CodePipeline、Amazon API Gateway、Amazon SageMaker、AWS CloudFormation、AWS CloudTrail、Amazon CloudWatch、Amazon CloudWatch Logs、AWS Config、Amazon Managed Grafana、AWS Systems Manager、AWS Well-Architected Tool、AWS Application Discovery Service、AWS Application Migration Service、AWS DMS、AWS DataSync、AWS SCT、AWS Snow Family、AWS Transfer Family、Amazon CloudFront、AWS PrivateLink、Amazon Route 53、Amazon VPC、AWS IAM、AWS KMS、Amazon Macie、AWS Secrets Manager、AWS Shield、AWS WAF、AWS Backup、Amazon EBS、Amazon EFS、Amazon S3、Amazon S3 Glacier

※AWS Skill Builderに関するリンクはAWS Skill Builderにサインインしてからクリックしてください。

学習順 学習リソース 学習リソースの活用ポイント 費用(税別)
随時 AWSドキュメント AWSドキュメントのうち上記に挙げた【関連カテゴリ】および【主要AWSサービス】に関係するものを中心に読みます。ただし、量が膨大なため以降の順番の中で辞書的に使用して、最後に受験まで余裕があったら学習過程で気づいた重要部分やサービス間連携する機能から優先的に熟読するという使い方をしています。 無料
随時 AWS認定対策本 受験するAWS認定の対策本が出版されていれば、その本から学習していくことも効率的な方法だと思います。私の場合は受験当時に対策本があまり無かったため、使用する機会がありませんでした。
2,000円~4,000円程度
随時 検索エンジンでキーワード検索 後述の学習リソースでわからなかったキーワードや内容を随時、検索エンジンで検索して出てきたブログなどを参考にします。特に日本語だけではなく英語で検索することは日本語サイトにはまだ掲載が少ない情報を英語圏のサイトから得ることで理解を深めることができるためおすすめです。 無料
随時 生成AIサービスで質問応答 最近では生成AIサービスで質問応答をすることも有用です。AWSではAmazon Bedrockのマネジメントコンソールでモデルアクセスを有効化して、Anthropic Claude v2.1Amazon Titan Text G1 - Express v1などをプレイグラウンドから使用する方法やマネジメントコンソールの右のアイコンからAmazon Qを使用する方法などがあります。 サービスによって異なる
随時 AWS Skill Builder(IntroductionPrimerDeep Dive) 各サービス毎にIntroduction、Primer、Deep Diveといったデジタルトレーニングが用意されている場合があります。私は自分が詳しく知らないAWSサービスを検索して存在すれば受けるようにしていました。 無料
1 試験ガイド 試験ガイドで受験するAWS認定の試験範囲とどのような内容が出題されるかを把握します。 無料
2 サンプル問題 試験ガイドとセットで掲載されているサンプル問題を解いて、出題傾向を把握します。 無料
3 AWS Skill Builder(Learning plans) Learning plansは複数のデジタルトレーニングを分野ごとにまとめた学習プランです。「AWS Certified Data Engineer - Associate」に関連する「Data Analytics Learning Plan」「Database Learning Plan: Database Fundamentals」で学習をすすめると効率的でしょう。
※後述する「Fundamentals of Analytics on AWS」は、「Data Analytics Learning Plan」に含まれています。「Data Analytics Learning Plan」の中で受講して再度復習するのもよいですし、時間がない場合には「Data Analytics Learning Plan」全部を受講せずに「Fundamentals of Analytics on AWS」など学習したいものだけを受講するのも良いと思います。
無料
4 AWS Skill Builder(Fundamentals of Analytics on AWS) Fundamentals of Analytics on AWSはデータ分析におけるAWSサービスの基礎的な使用方法に焦点を当てたデジタルトレーニングです。AWSサービスを使用したデータ分析に関する基礎的な用語や概念、アーキテクチャやフロー、ベストプラクティスをまとめて把握できるので受けてみることをおすすめします 無料
5 AWS Skill Builder(Exam Readiness(試験準備)) Exam Readinessは試験準備のための要点がまとめられているデジタルトレーニングです。該当するAWS認定に関連するAWSサービスや出題傾向をここで把握します。「AWS Certified Data Engineer - Associate」にもExam Readinessはあるため受けてみることをおすすめします 無料
6 AWS Skill Builder(AWS Certification Official Practice Question Sets(模擬試験)) 受験するAWS認定の出題傾向や重要点を確認できるため、試験直前の腕試しではなく可能な限り早い段階で受けることをおすすめします。受験する分野の既存知識があれば最初に受けても良いと思います。模擬試験はAWS Skill Builderに移行されてからは受験料が無料になりました。 無料
7 AWSサービス別資料 AWS Black Belt Online Seminarの資料が中心に掲載されており、重要ポイントが非常によくまとめられています上記に挙げた【関連カテゴリ】「分析」「アプリケーション統合」「移行と転送」に分類される【主要AWSサービス】の知識は受験前に最低限インプットしておきます。 無料
8 Knowledge Center(情報センター) AWSのユーザーから最も頻繁に寄せられる質問と要望に対する回答がまとめられているため、AWS認定は勿論のこと実務でも非常に参考になります上記に挙げた【関連カテゴリ】「分析」「アプリケーション統合」「移行と転送」に分類される【主要AWSサービス】が関係するQ&Aの知識は受験前に最低限インプットしておきます。 無料
9 よくある質問 各サービス毎に用意されている「よくある質問」も一般的なQ&Aが記載されています。Knowledge Center(情報センター)が実践的なQ&Aであるのに対して、基礎知識の整理と確認に有用です。上記に挙げた【関連カテゴリ】および【主要AWSサービス】に関係するQ&Aを中心に読んでいきます 無料
10 データ分析レンズ - AWS Well-Architected Framework AWSにはAWS Well-Architected Frameworkと呼ばれるAWSの長年の設計経験に基づいたベストプラクティス集があります。AWS Well-Architected Frameworkは実際のアーキテクチャ設計レビューなどでも活用される実践的なもので、年々進化するAWSサービスのアップデートに伴い、その内容も変わっていくためAWSの設計概念を知るには非常に有用です。AWS Well-Architected Frameworkにはデータ分析レンズという分析の設計方法に焦点を当てたベストプラクティス集も追加されているため、各Best practicesのポイント、アーキテクチャなどは少なくとも読んでおいたほうが良いでしょう。
※特に重要なのは各Best practicesの説明ページの中で「refer to the following」として紹介されているドキュメントやブログ記事の内容です。
無料
11 AWS Blog日本語版(Category: Analytics)
AWS Blog日本語版(Category: AWS Big Data)
受験するAWS認定に関連するサービスの記事を中心に問題解決方法、アーキテクチャ、事例、認定が新設・改定される前にリリースされた機能追加について情報収集をします。AWS認定だけではなく業務でも有用なので定期的に読む習慣をつけると良いと思います。 無料
12 AWS Blog英語版AWS Big Data Blog) 英語版は「分析」分野のカテゴリに特化した「AWS Big Data Blog」があるため、問題解決方法、アーキテクチャ、事例、認定が新設・改定される前にリリースされた機能追加の内容を中心に読んでおきます。 無料
13 AWS Events Content 時間に余裕があれば、過去のAWS Summitやre:Inventの資料などを検索して、受験するAWS認定に関連するサービスを学習します。特にre:InventのSessionで説明されている内容は参考になります。 無料


参考:
AWS認定全冠を維持し続ける理由と全取得までの学習方法・資格の難易度まとめ
AWS Certified Data Engineer - Associate 認定 | AWS 認定
AWS Blog
Welcome to AWS Documentation
AWS Skill Builder
AWS Certification - Validate AWS Cloud Skills - Get AWS Certified
Tech Blog with related articles referenced

「AWS Certified Data Engineer - Associate」の学習過程で重要だと思った点

ここからは私が「AWS Certified Data Engineer - Associate」の学習過程でAWS認定のみならず実務的にも重要だと思った点をまとめてみます。
ただし、重要だと思う点に個人差があること、この記事の執筆時に思い出せず書き忘れがある可能性もあることをご了承ください。

Amazon S3

Amazon EC2

AWS Lambda

AWS Data Exchange

AWS DataSync

Amazon AppFlow

Amazon Timestream

AWS Database Migration Service

AWS Step Functions

Amazon Managed Service for Apache Flink(旧 Amazon Kinesis Data Analytics)

Application Auto Scaling

AWS Secrets Manager

AWS Systems Manager

Amazon Athena

Amazon EMR

AWS Glue

Amazon Kinesis

AWS Lake Formation

Amazon Managed Streaming for Kafka(Amazon MSK)

Amazon QuickSight

Amazon Redshift

Amazon CloudWatch Logs

Written by Hidekazu Konishi
Hidekazu Konishi (小西秀和), a Japan AWS Top Engineer and a Japan AWS All Certifications Engineer

執筆者小西秀和

Japan AWS All Certifications Engineer(AWS認定全冠)の知識をベースにAWSクラウドの活用に取り組んでいます。
Amazon.co.jp: 小西 秀和: books, biography, latest update
NRIネットコムBlog: 小西 秀和: 記事一覧