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株式会社 明治、老朽化した基幹システムをクラウドで近代化 AWS Mainframe Modernizationを活用した日本国内初のお客様に

システム維持運用コストを約80%削減しながら、技術的負債を解消し、データドリブン経営を加速

イントロダクション

経済産業省が2018年に「DXレポート~IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開~」を発表して6年が経過しました。しかし2024年に入った今もなお、大型コンピュータと呼ばれるメインフレームで基幹システムを運用するお客様から、技術面で老朽化した基幹システムの近代化(モダナイゼーション)に関するお問い合わせをいただくことが増えています。

こうしたなか、明治グループの食品事業を担う企業として、幅広い世代に笑顔と健康価値を提供する株式会社 明治(以下、明治)は、AWS Mainframe Modernizationを活用して、30 年以上の長きにわたり運用してきた基幹アプリケーション群のモダナイゼーションを進めました。2022年9月に AWS Mainframe Modernization のプレビュー版による検証を開始し、2024年2月に、第 1 弾として販売系基幹システムなどを含むメインフレームアプリケーション群 のモダナイゼーションを完了しました。このモダナイゼーション第1弾により、技術的負債を解消しながら、システム維持運用コストを約80%削減し、データドリブン経営を加速することが可能になりました。

メインフレームにおける課題

明治では、もともと、社内の多くの領域でクラウドを活用したITシステムが運用されており、2024年1月には経済産業省が定めるDX認定制度に基づく「DX認定事業者」の認定を取得しています。育児応援サイト「ほほえみクラブ」で提供するLINEによるオンラインビデオ通話での相談サービス「明治 つながる栄養士」など、AWSを基盤として運用することで、デジタルを活用した新たな顧客価値の提供と、顧客接点の多様化に向けた取組も進めていました。

一方、業務システムなどの基幹系システムは、30年以上にわたって、メインフレームで構築・運用されてきました。時代の流れとともに段階的にメインフレームからオープン系システムへの移行も進めてきましたが、2022年9月に抜本的なモダナイゼーションに着手するまでは業務アプリケーションの14%がメインフレーム上で稼働しており、その運用には年間数億円ものコストがかかっていました。

そのような中、同社が直面したメインフレームアプリケーション運用上の課題は大きく分けて3つあります。

  1. 30年以上に及ぶシステム構築の積み重ねによる複雑化やブラックボックス化
  2. それに伴う保守・運用コストの増大傾向
  3. COBOLなどレガシー言語を扱える人材の高齢化と確保難といった人員面でのリスク

こうした課題に対処すると同時に、2025年4月に控えたメインフレームのアウトソーシング契約更新を前に、同社はシステム全体の刷新を含めた新たな方針を検討しました。

出典:明治

明治のAWSを活用したメインフレーム・モダナイゼーションの方針

業務アプリケーションを棚卸し、同社のメインフレームで稼働する基幹システムの全体像を確認した結果、大まかに以下の3つのカテゴリーに分類できました。

  1. ビジネスのトレンドや変化に迅速に追随可能なように変革するアプリケーション群
  2. 基幹システムなど非競争領域にあり、再構築を行うアプリケーション群
  3. 現時点でビジネスモデルに大きな変更がなく現行維持するアプリケーション群

そこで、同社は本プロジェクトにおいて、3つ目のカテゴリーに該当する一部のアプリケーションを対象に、メインフレーム上のロジックをそのまま維持しつつ、基盤のみを汎用機からAWS環境に移行し、クラウドでのモダナイゼーションを進めることを決定しました。実現手法の1つとしてAWSが提供するAWS Mainframe Modernizationサービスに着目し、まず概念実証(Proof of Concept、PoC)でその有効性を検証することとしました。
出典:明治

AWS Mainframe Modernization

AWS Mainframe ModernizationはAWSが2021年の年次イベントで発表したサービスで、お客様のメインフレームアプリケーションのより迅速かつ容易なクラウド移行を支援するサービスです。老朽化した基幹システムのモダナイゼーションには、その複雑さゆえに、既存システムの業務フローを含めた評価・分析から、検証、移行、テスト、運用までの長期にわたるプロセスが求められ、同時にお客様のビジネス上、重要性が高い既存システムに関しては、経営環境の変化に柔軟かつスピーディーに対応するクラウドを活用した最新のアプリケーションを開発、実行、運用する必要があるというお客様の声をもとに開発されました。その後、2022年12月にAWS アジアパシフィック(東京)リージョンでAWS Mainframe Modernizationの一般提供を開始した後、2023年12月にはAWS アジアパシフィック(大阪)リージョンでも一般提供を開始しました。

明治では2022年9月から、本サービスのPoCを開始しました。

国内初のモダナイゼーションへのチャレンジ

AWS Mainframe Modernizationの有効性を検証するPoCの結果は予想以上に良好でした。そのため、明治では約5か月という短期間でのPoC及び社内検討を経て、2023年1月にはAWS Mainframe Modernizationを利用した国内初の本格的なメインフレームモダナイゼーションプロジェクトを始動させました。

メインフレーム上で稼働する業務アプリケーションのうち、販売系基幹システムは新システムとして再構築します。一方、それ以外のアプリケーションについては、AWS Mainframe Modernizationサービスを用いて自動変換し、これまでのロジックを継続利用するものの、基盤はメインフレームからAWSに移行しました。

モダナイゼーション対象の各アプリケーションは、メインフレーム上で動作するCOBOL、PL/1といったレガシーな言語で開発されており複雑を極めました。しかし、AWS Professional Services、AWS Mainframe Modernizationで提供するリファクタリングソリューション AWS Blu Ageを提供するBlu Ageチームの支援のもと、明治独自のビジネスロジックを事前に組み込むことで、当初は数年が必要とみられていたJavaベースのプログラムコードへの自動変換を、7ヶ月という短期間で完了することが可能となりました。

明治では、メインフレームアプリケーションのモダナイゼーションにあわせて、関連する周辺システムの改修や、業務フローや帳票の電子化推進といった取り組みも並行して進めており、2024年6月をめどに新システムへの全面移行が完了する計画です。

メインフレーム・モダナイゼーションによる成果

明治では新システムへの全面移行完了後、これまでのメインフレームの維持運用コストを約80%削減できる見込みです。技術的負債を解消しながら、AWS を活用したモダナイゼーションを機にデータ連携が強化されることで、データドリブン経営を加速する効果も期待されています。

株式会社 明治 執行役員 デジタル推進本部 本部長 古賀 猛文氏は、今回の成果を踏まえ、次のようにコメントしています。「今回のメインフレーム・モダナイゼーションは、当本部のミッションである『デジタルで「やりたい」を「できる」に変える』を実践したものです。最新のIT・データ連携基盤が構築された現在、この基盤を活かしたデジタルトランスフォーメーション(DX)の本格的な推進が次なる挑戦です。明治は今後も、AWSの強力なサポートを活かし、新しいビジネスモデルを創出するための『攻めのDX』と、自社のバリューチェーンを支えるプロセスを効率化し、劇的に省力化する『守りのDX』をさらに推進していきます」
出典:明治

終わりに

老朽化したメインフレームシステムのAWSクラウドへの移行やモダナイゼーションにご興味をお持ちのお客様は、Webフォームからお問い合わせいただくか、担当営業までご連絡ください。また、AWS で移行とモダナイズのページをご確認いただくと、AWSへの移行やモダナイゼーションに必要な情報が網羅されています。

AWSへの移行やモダナイゼーションにご興味をお持ちのお客様は、是非AWSへのコンタクトをお待ちしております。

サービス&テクノロジー統括本部 マイグレーション&モダナイゼーションビジネス本部
マイグレーションスペシャリスト 富松 卓郎