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AWS Deadline Cloud のご紹介: クラウドベースのレンダーファームを数分で設定する

建築、エンジニアリング、建設 (AEC) や メディア & エンターテイメント (M&E) などの業界のお客様は、映画、テレビ、ゲーム、工業デザインのビジュアライゼーション、および 2D/3D デジタルコンテンツデータを取得して、画像や動画ファイルなどの出力を計算するレンダリングと呼ばれるプロセスを伴うデジタルメディア向けに最終フレームを生成します。また、特に映画やテレビ向けに 16K もの高解像度の 3D グラフィックスや視覚効果 (VFX) を生成するために、レンダリングにはかなり高いコンピューティング性能も必要です。これにより、お客様が一度に実行できるレンダリングプロジェクトの数が制限されます。

高解像度コンテンツのレンダリングに対する需要の高まりに対応するために、お客様は多くの場合、数百または数千のコンピューティングノードの性能を組み合わせてレンダリングジョブを処理する、いわゆる「レンダーファーム」を構築します。従来、レンダーファームの構築とデプロイには数週間、場合によっては数か月間かかる場合があり、ハードウェアを調達するために多大な計画と事前の取り組みが必要となります。

その結果、効率的な制作のために、お客様はますます、非常に高額な固定費が必要となる可能性のあるオンプレミスの専用レンダーファームではなく、スケーラブルなクラウドベースのレンダーファームに移行しています。しかし、クラウドでのレンダリングでは、依然としてお客様が独自のインフラストラクチャを管理し、プロジェクトごとにコストを管理するための特別なツールを構築するとともに、優先パートナーから提供されるソフトウェアライセンスのコストを自らモニタリングする必要があります。

4月2日、AWS Deadline Cloud の一般提供の開始を発表しました。これは、クリエイティブチームが数分でレンダーファームを簡単に設定し、より多くのプロジェクトを並行して実行できるようにスケールしながら、使用したリソースについての料金のみを支払うことを可能にする、新しいフルマネージドサービスです。AWS Deadline Cloud は、レンダーファームの作成と管理、進行中のレンダーのプレビュー、レンダーログの表示と分析、およびこれらのコストの簡単な追跡を行う機能を備えたウェブベースのポータルを提供します。

Deadline Cloud を利用すると、デジタルコンテンツ作成 (DCC) ツールの統合とカスタマイズツールが組み込まれているため、ゼロからレンダリングを高速化できます。各ジョブのニーズに合わせてレンダリングパイプラインをカスタマイズするために必要な労力と開発時間を削減できます。また、既に所有しているライセンスを柔軟に使用することも、サードパーティーの DCC ソフトウェアやレンダラー (MayaNukeHoudini) 用のサービスによって提供されるライセンスを使用することもできます。

AWS Deadline Cloud の概念
AWS Deadline Cloud を利用すると、DCC パイプラインやワークステーションから直接、Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) インスタンス上でレンダリングプロジェクトやジョブを作成および管理できます。レンダーファーム、キューのコレクション、フリートを作成できます。キューは、送信されたジョブが配置され、レンダリングがスケジュールされる場所です。フリートは、複数のキューをサポートできるワーカーノードのグループです。キューは複数のフリートで処理できます。

プロジェクトに取り組む前に、必要なリソースにアクセスできる必要があります。また、ワークフォースの認証と認可を管理するには、関連付けられたファームを AWS IAM アイデンティティセンターと統合する必要があります。IT 管理者は、閲覧者、コントリビューター、マネージャー、所有者など、さまざまなレベルのユーザーやグループに対して、アクセス許可を作成したり、付与したりできます。

Deadline Cloud の 4 つの主要なコンポーネントは次のとおりです。

  • Deadline Cloud モニター – ジョブ、ステップ、タスクのステータス、ログ、他のトラブルシューティングメトリクスにアクセスできます。Deadline Cloud モニターは、ジョブの進行状況に対するリアルタイムのアクセスと更新を提供します。また、ログや他のトラブルシューティングメトリクスに対するアクセスも提供し、複数のファーム、フリート、キューのリストを閲覧してシステム使用率を確認することもできます。
  • Deadline Cloud サブミッターAWS SDK または AWS コマンドラインインターフェイス (AWS CLI) を使用してレンダリングジョブを直接送信できます。Deadline Cloud サブミッターを使用して DCC ソフトウェアから送信することもできます。Deadline Cloud サブミッターは、オープンソースのテンプレート仕様である Open Job Description (OpenJD) をサポートする DCC 統合プラグインです。これを使用すると、アーティストは Maya や Nuke などの使い慣れたサードパーティーの DCC インターフェイスから Deadline Cloud にレンダリングジョブを送信でき、そこでプロジェクトリソースが管理され、ジョブが 1 か所でモニタリングされます。
  • Deadline Cloud 予算マネージャー – プロジェクトのコスト管理に役立てるために予算を作成および編集したり、使用されている AWS リソースの数とそれらのリソースの推定コストを表示したりできます。
  • Deadline Cloud 使用状況エクスプローラー – 使用状況エクスプローラーを使用すると、Amazon EC2 の公開料金レートと使用状況ベースのライセンス (UBL) に基づいて、おおよそのコンピューティングコストとライセンスコストを追跡できます。

AWS Deadline Cloud の利用を開始する
AWS Deadline Cloud の利用を開始するには、Deadline Cloud モニターを使用してファームを定義および作成し、Deadline Cloud サブミッターをダウンロードして、お気に入りの DCC アプリケーション用のプラグインをわずか数回のクリックでインストールします。DCC アプリケーションでレンダリングジョブを定義し、プラグインのユーザーインターフェイス内で作成したファームにそれらのジョブを送信できます。

DCC プラグインは、必要な入力シーンデータを検出し、アカウント内の Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) バケットにアップロードするジョブバンドルを構築して、ジョブをレンダリングするために Deadline Cloud に転送し、完成したフレームを S3 バケットに提供して、顧客がアクセスできるようにします。

1.Deadline Cloud モニターを使用してファームを定義する
まず、Deadline Cloud モニターインフラストラクチャを作成し、ファームを定義しましょう。Deadline Cloud コンソールで、[Deadline Cloud を設定] を選択して、キューとフリート、グループとユーザーの追加、サービスロールの選択、タグのリソースへの追加など、ガイド付きエクスペリエンスを使用してファームを定義します。

このステップでは、Deadline Cloud リソースのすべてのデフォルト設定を選択するために、モニターの設定後のステップ 3 で [レビューにスキップ] を選択します。それ以外の場合は、[次へ] を選択して、Deadline Cloud リソースをカスタマイズします。

モニターのインフラストラクチャを設定し、[モニターの表示名] を入力します。この名前により、ファーム、キュー、フリート、使用状況を管理するためのウェブポータルである [モニター URL] が作成されます。設定完了後は、モニター URL を変更することはできません。AWS リージョンはレンダーファームの物理的な場所であるため、レイテンシーを低減し、データ転送速度を向上させるには、スタジオに最も近いリージョンを選択する必要があります。

モニターにアクセスするために、新しいユーザーとグループを作成して、ユーザーを管理したり (グループ、許可、アプリケーションを割り当てるなど)、モニターからユーザーを削除したりできます。ユーザー、グループ、許可は IAM アイデンティティセンターで管理することもできます。そのため、リージョンで IAM アイデンティティセンターを設定していない場合は、最初にそれを有効にする必要があります。詳細については、AWS ドキュメントの「Managing users in Deadline Cloud」にアクセスしてください。

ステップ 2 では、ファームの名前や説明などのファームの詳細を定義できます。[追加ファームの設定] では、AWS Key Management Service (AWS KMS) キーを設定してデータとタグを暗号化し、リソースのフィルタリングや AWS コストの追跡のために AWS リソースを割り当てることができます。データはデフォルトで、AWS が所有および管理するキーを使用して暗号化されます。別のキーを選択するには、暗号化設定をカスタマイズします。

[レビューおよび作成にスキップ] を選択すると、デフォルト設定を使用してクイック設定プロセスを完了できます。

さらにオプションの設定を見てみましょう。 キューの詳細を定義するステップでは、キューのために S3 バケットを設定できます。ジョブアセットは、レンダリングプロセス中にジョブのアタッチメントとしてアップロードされます。ジョブのアタッチメントは、定義された S3 バケットに保存されます。さらに、キューのデフォルトの予算アクション、サービスアクセスロール、環境変数を設定できます。

フリートの詳細を定義するステップでは、フリート名、説明、インスタンスオプション (スポットインスタンスまたはオンデマンドインスタンスのいずれか)、およびインスタンスの数とフリートワーカーの要件を定義するための自動スケーリング構成を設定します。デフォルトでは、保守的なワーカー要件が設定されています。これらの値は、レンダーファームを設定した後でいつでも更新できます。詳細については、AWS ドキュメントの「Manage Deadline Cloud fleets」にアクセスしてください。

ワーカーインスタンスは、vCPU とメモリサイズを使用して EC2 インスタンスタイプを定義します (例: c5.largec5a.largec6i.large)。ワーカーインスタンスのタイプを許可または除外することで、最大 100 個の EC2 インスタンスタイプをフィルタリングできます。

ファームを作成するために入力したすべての情報を確認し、[ファームを作成] を選択します。

Deadline Cloud オンボーディングの進行状況が表示され、モニターとファームが使用できる状態になると成功メッセージが表示されます。プロセスの詳細については、AWS ドキュメントの「Set up a Deadline Cloud monitor」にアクセスしてください。

左側のペインの [ダッシュボード] で、作成したモニター、ファーム、ユーザー、グループの概要にアクセスできます。

[モニター] を選択してウェブポータルにアクセスし、ファーム、キュー、フリート、使用状況、予算を管理します。ユーザーアカウントにサインインした後、ウェブポータルにアクセスして、作成した Deadline Cloud リソースを探すことができます。[ダウンロード] ページから、同じユーザーエクスペリエンスを備えた Deadline Cloud モニターデスクトップアプリケーションをダウンロードすることもできます。

モニターの使用方法の詳細については、AWS ドキュメントの「Using the Deadline Cloud monitor」にアクセスしてください。

2.ワークステーションを設定し、レンダリングジョブを Deadline Cloud に送信する
アーティストが Maya、Nuke、Houdini 内からレンダリングジョブを簡単に送信できるように、Deadline Cloud サブミッターアプリケーションをインストールして、デスクトップでアーティストのためのワークステーションを設定しましょう。左側のメニューペインで [ダウンロード] を選択し、オペレーティングシステムに適したサブミッターインストーラーをダウンロードして、レンダーファームをテストします。

このプログラムは、Maya、Nuke、Houdini 用に Deadline Cloud サブミッター向けの最新の統合プラグインをインストールします。

例えば、デスクトップで Maya とアセットを開きます。テストするレンチファイルのサンプルがあります。メニューバーで [Windows] を選択し、サブメニューで [設定/詳細設定] を選択します。[プラグインマネージャー] で、DeadlineCloudSubmitter を検索します。[ロード済み] を選択して、Deadline Cloud サブミッタープラグインをロードします。

Deadline Cloud サブミッターでまだ認証されていない場合は、[Deadline Cloud ステータス] タブが表示されます。[ログイン] を選択し、ブラウザのサインインウィンドウでユーザー認証情報を使用してサインインします。

次に、Deadline Cloud シェルフを選択し、「Deadline」シェルフにあるオレンジ色の Deadline Cloud のロゴを選択してサブミッターを起動します。サブミッターウィンドウから、レンダリングの送信先のファームとキューを選択します。必要に応じて、[シーン設定] タブでフレーム範囲をオーバーライドしたり、[出力パス] を変更したり、その両方を行ったりできます。

[送信] を選択すると、レンチターンテーブル Maya ファイルが、必要なすべてのテクスチャおよび Alembic キャッシュとともに Deadline Cloud にアップロードされ、ファームでレンダリングされます。Deadline Cloud モニターでレンダリングジョブをモニタリングできます。

レンダリングが完了したら (ジョブモニターの [成功] ステータスで示されます)、ジョブ、[ジョブアクション]、および [ダウンロード出力]を選択します。ジョブのスケジューリングとモニタリングの詳細については、AWS ドキュメントの「Deadline Cloud jobs」にアクセスしてください。

DJView などの画像表示アプリケーションを使用して、レンダリングされた画像を表示します。画像は次のようになります。

コマンドラインを使用したデベロッパー側の設定プロセスの詳細については、AWS ドキュメントの「Setting up a developer workstation for Deadline Cloud」にアクセスしてください。

3.Deadline Cloud の予算と使用状況の管理
Deadline Cloud のコスト管理をサポートするために、予算マネージャーを使用して予算を作成および編集できます。また、使用状況エクスプローラーを使用して、使用されている AWS リソースの数とそれらのリソースの推定コストを表示することもできます。

ファームの予算を作成するには、Deadline Cloud モニターページで [予算] を選択します。

予算の金額と制限を作成し、自動アクションを設定して、予算を超過する支出を削減または停止できます。

Deadline Cloud モニターページで [使用状況] を選択すると、各ファームで発生しているアクティビティに関するリアルタイムメトリクスが表示されます。ファームのコストをキュー、ジョブ、ユーザーなどのさまざまな変数ごとに確認できます。さまざまな時間枠を選択して、特定の期間中の使用状況を検索し、一定期間における使用状況の傾向を確認できます。

使用状況エクスプローラーに表示されるコストは概算です。リソースを管理するためのガイドとしてご利用ください。Amazon S3、Amazon CloudWatch、および使用状況エクスプローラーでは考慮されていない他のサービスなど、接続されている他の AWS リソースの使用により、他のコストが発生する可能性があります。

詳細については、AWS ドキュメントの「Managing budgets and usage for Deadline Cloud」にアクセスしてください。

今すぐご利用いただけます
AWS Deadline Cloud は現在、米国東部 (オハイオ)、米国東部 (バージニア北部)、米国西部 (オレゴン)、アジアパシフィック (シンガポール)、アジアパシフィック (シドニー)、アジアパシフィック (東京)、欧州 (フランクフルト)、および欧州 (アイルランド) リージョンでご利用いただけます。

Deadline Cloud コンソールで AWS Deadline Cloud をぜひお試しください。詳細については、Deadline Cloud の製品ページや AWS ドキュメントの「Deadline Cloud ユーザーガイド」にアクセスしてください。また、AWS Deadline Cloud の AWS re:Post 宛てに、または通常の AWS サポートの連絡先担当者を通じて、ぜひフィードバックをお寄せください。

Channy

原文はこちらです。