Amazon Web Services ブログ

週刊AWS – 2024/4/1週

みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクトの杉山です。
今週も 週刊AWS をお届けします。

4/1 にチーフエバンジェリストの Jeff Barr さんによるエイプリルフールの投稿がありました。AWS “Chips” Taste Test と呼ばれるポテトチップスの味を食べ比べするミニ動画です。Graviton チップス、Inferentia チップス、Trainium チップス、Nitro チップスと名付けられた 4 種類のポテトチップスを試食しています。これらの名前は、AWS で提供される CPU やアクセラレーター、専用 HW の名称で、エイプリルフール的に紹介しています。Graviton チップスはチーズ味でした。興味があれば視聴してみてください!

それでは、先週の主なアップデートについて振り返っていきましょう。

2024年4月1日週の主要なアップデート

  • 4/1(月)
    • Announcing per-second billing for EC2 Red Hat Enterprise Linux (RHEL)-based instances
      Amazon EC2 で Red Hat Enterprise Linux (RHEL) を稼働する際に、1 時間単位の課金から、1 秒単位にアップデートしました。この変更により、利用時間に応じてよりきめ細かく料金が算出されるようになり、短時間の利用でも無駄な支払いを抑えられるようになります。例えば、10 分間のみ利用した場合でも、従来は 1 時間分の料金が発生していましたが、今回の変更により実際の利用時間に応じて計算され、安価に利用しやすくなりました。留意点として、最小課金下限として 1 分が定義されています。RHEL を起動して 1 分を越えた場合に、1 秒単位の粒度で料金が計算されます。また、RHEL の料金体系そのものも変更がアナウンスされています。12 vCPU 以下のインスタンスは安価になる一方、16 vCPU 以上のインスタンスは上昇する傾向にあります。詳細は公式の価格ページをご確認ください。
    • Amazon EKS extended support for Kubernetes versions now generally available
      Amazon EKS の延長サポートが一般提供を開始し、EKS クラスターのサポート期間が最大 26 か月間に延長されました。従来の EKS では、新しい Kubernetes バージョンが利用可能になってから 14 か月間が標準のサポート期間でした。延長サポートを利用することで、標準サポート期間の終了後、最大 12 か月間の追加サポートを受けられるようになります。延長サポート期間では、Kubernetes コントロールプレーン、Amazon VPC CNI、kube-proxy、CoreDNS アドオン、EKS 最適化 AMI、EKS Fargate ノードのセキュリティパッチと重要なパッチが提供されます。Kubernetes バージョン 1.21 以降で延長サポートが利用可能です。延長サポートの料金について、1 個の EKS クラスターに対して、1 時間あたり 0.60 USD の料金が発生します。料金については、こちらをご覧ください。バージョンとサポート期間の詳細は、こちらをご覧ください。
    • Private Access to the AWS Management Console is now available in all commercial AWS Regions
      AWS マネジメントコンソールのプライベートアクセスが、すべてのリージョンで利用ができるようになりました。この機能の主なユースケースは、組織内の端末から AWS マネジメントコンソールにアクセスする際に、個人利用の AWS アカウントのアクセスを制限することがあげられます。誤解されやすい点ですが、Private Access 機能は閉域網などのプライベートネットワークで、完全に閉じた環境で利用できるのではありません。Web Proxy の利用など、インターネットのアクセスは必要です。画像や JavaScript、CSS はインターネット経由で取得が必要です。また、Private Access で利用できないサービスも存在します。詳細については、こちらのドキュメントを参照してください。
    • Amazon RDS for SQL Server supports Single-AZ Read Replica
      Amazon RDS for SQL Server で、シングル AZ リードレプリカをサポートしました。以前はデータベースインスタンスをマルチ AZ 構成にする必要がありましたが、今回の変更によりシングル AZ データベースインスタンスでもリードレプリカを使用できるようになります。リードレプリカは、ソースデータベースインスタンスとレプリカ間でデータベースを非同期的に複製します。このアップデートで、マルチ AZ が不要な場合でもパフォーマンスを損なうことなく可用性と耐久性が向上します。
  • 4/2(火)
    • Amazon Aurora zero-ETL integration with Amazon Redshift now in additional regions
      Amazon Aurora MySQL と Amazon Redshift 間のゼロ ETL 統合が、東京と大阪リージョンを含めた、11 のリージョンで追加サポートしました。ゼロ ETL 統合を使用すると、Aurora MySQL のデータを Amazon Redshift に自動レプリケートできます。データ連携の仕組みを構築する負担を軽減して、データ分析基盤や機械学習に活用いただけます。レプリケーションのデータフィルタリング機能を利用でき、柔軟なゼロ ETL 統合をご利用いただけます。
    • Announcing AWS Deadline Cloud
      AWS Deadline Cloud をサービスを新たに提供開始しました。 AWS Thinkbox Deadline のフルマネージドサービスとなっており、映画、テレビ、CM、ゲーム、産業デザインのビジュアルアセットのレンダリング管理を支援するサービスです。Autodesk Arnold、Autodesk Maya、Foundry Nuke、Luxion KeyShot、SideFX Houdini などの組み込み統合機能と、幅広いカスタマイズツールが用意されています。東京リージョンを含めた 8 リージョンでサービスが提供されています。
  • 4/3(水)
    • Mistral Large foundation model now available on Amazon Bedrock
      Amazon Bedrock で Mistral AI 社が開発した Mistral Large モデルを一般提供開始しました。トップクラスの推論能力、特定の指示に従う能力、そして多言語翻訳能力で広く知られています。コーディングと数学的タスクに優れ、英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語に堪能です。バージニア北部、オレゴン、パリの 3 リージョンで提供されています。
    • AWS Clean Rooms ML is now generally available
      AWS Clean Rooms ML の一般提供を開始しました。企業がそのままの生データを他の企業に共有することなく、データを活用した共同活用をしながら、機械学習を利用して予測的な洞察を生成できます。この機能は、企業が類似セグメントの作成を支援するMLモデルとともに提供されます。例えば、ヘルスケア分野のお客様は、望ましい特性を持つ参加者の一覧を使って、臨床試験や医学研究の参加者の募集に活用できます。東京を含めた 11 リージョンで利用可能です。
  • 4/4(木)
    • Announcing general availability of Amazon EC2 G6 instances
      Amazon EC2 で、新たに G6 インスタンスの一般提供を開始しました。G6 インスタンスは、NVIDIA の L4 Tensor Core GPU を搭載しており、グラフィックス処理や機械学習の利用に適しています。G4dn インスタンスと比較して、ディープラーニングの推論およびグラフィックスワークロードのパフォーマンスを最大 2 倍に向上させています。G6 インスタンスは現在、バージニア北部、オハイオ、オレゴンの 3 つのリージョンで利用可能です。
    • AWS Lambda adds support for Ruby 3.3
      AWS Lambda で Ruby 3.3 のランタイムをサポートしました。この新しい Ruby 3.3 ランタイムは、Amazon Linux 2023 の minimal コンテナイメージを基に作られています。以前の Amazon Linux 2 ベースと比べると、より小さなリソースで効率的なデプロイが可能になりました。この Ruby 3.3 ランタイムは、AWS Lambda が利用可能なすべてのリージョンで提供されています。
  • 4/5(金)
    • Amazon CodeCatalyst now supports adding tasks to issues
      Amazon CodeCatalyst のアップデートで、課題管理の Issue ボードに新しい機能が追加されました。これまでは 1 つの Issue に対してサブタスクを設定することができませんでしたが、今回のアップデートで 1 個の Issue に最大 100 個のサブタスクを紐づけられるようになりました。プロジェクトを進めていく上で、大きな課題を細かなサブタスクに分割して管理することは重要です。この新しいサブタスク機能を活用すれば、Issue 単位で進捗を把握しやすくなります。例えば、「新しい機能を実装する」という大きな Issue に対して、「設計を行う」「コーディングを行う」「テストを行う」などのサブタスクを設定することができます。
    • Amazon IVS Low-Latency Streaming now supports SRT ingest
      Amazon IVS で SRT (Secure Reliable Transport) プロトコルを使って、映像や音声を配信できるようになりました。これまでの RTMPS に加えて、SRT が利用できるようになった形です。SRT は、信頼性の低いネットワークでのストリーミングを改善し、ジッター、パケットロス、ネットワーク帯域幅の変動から保護するように設計されたプロトコルです。視聴者にとっては、バッファリングが少なく、より高品質の視聴体験が得られやすくなりました。
    • Amazon VPC CNI now supports automatic subnet discovery
      Amazon EKS で IPv4 アドレスの枯渇の対応しやすくするため、Enhanced Subnet Discovery の機能を提供開始しました。デフォルトでは、VPC CNI プラグインは、EKS ワーカーノードが稼働する Subnet 上の IPv4 アドレスを Pod に割り当てます。表現を変えると、ワーカーノードが接続されていない Subnet の IPv4 を Pod に割り当てることはできませんでした。Enhanced Subnet Discovery の機能により、VPC 内でタグ付けされたすべてのサブネットを利用して Pod の IP アドレスを設定できるようになりました。VPC 上で IP アドレスが枯渇した場合にも、VPC として CIDR を拡張する機能があり、これも併せることで柔軟な拡張が可能です。Enhanced Subnet Discovery を利用するには、バージョン EKS 1.25 以上、VPC CNI 1.18.0 以上といった前提条件があります。詳細は、こちらのブログをご確認ください。

それでは、また来週お会いしましょう!

ソリューションアーキテクト 杉山 卓 (twitter – @sugimount)