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【開催報告&資料公開】AWS メディア業界向け勉強会開催報告

2023 年 6 月 30 日(金)および 2023 年 12 月 7 日(木)に、メディア業界のお客様向けに AWS 勉強会を開催いたしました。両日共に放送局のお客様にご登壇いただき、 AWS の活用事例についてご紹介いただきました。登壇者の所属部署および肩書きは登壇当時のものとなります。

AWS メディア業界向け勉強会 #3 (2023 年 6 月 30 日開催)

AWS の基盤を活用したディープラーニング系ハンズオンの取り組み

朝日放送テレビ株式会社
技術局 技術戦略部
荒木 優 氏

朝日放送テレビでは、人材育成と機械学習の中でもディープラーニングに関する知見の蓄積を目的とした、若手および中堅エンジニアから構成される AI 研究会を立ち上げました。ハードウェアを購入しなくても必要な環境が用意できること、クラウドの知識も同時に習得できることから、Amazon EC2GPU インスタンス(G4 インスタンス)上で環境の構築を行い、今後の放送での利用も見据えて、ディープラーニングを使ったモデルによる物体認識や顔認識などの画像認識の実証実験を行なっています。また、AWS AmplifyAWS Cloud9AWS CodeCommit などを用いることで、これらの活動で得られた知見や手順、ソースコードの管理もクラウド上で実現しています。

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AWS でLIVE 配信をやってみた

株式会社静岡第一テレビ
技術プロデュース局 技術プロデュース部 システム室
泉地 裕史 氏

静岡第一テレビでは、COVID-19 下の無観客試合の中でも全国高等学校サッカー選手権大会(以下、高校サッカー)を多くの視聴者の方に楽しんでもらうために、2021年に自社サイト内でのインターネット配信を実施しました。高校サッカーは3ヶ月間に渡って開催されるため、より運用負荷の少ない体制や配信基盤を選定する必要があります。そこで、簡単にセットアップが可能で、低コスト、かつトラフィックに合わせてスケールが可能な Amazon Interactive Video Service(Amazon IVS)を選択し、わずか1週間でのセットアップを実現しました。Amazon IVS を使用することで大規模な自社配信設備の構築が不要となり、また広告を挿入することでインターネット配信のマネタイズも実現しています。

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AWS メディア業界向け勉強会 #4 (2023 年 12 月 7 日開催)

話題の衛星通信サービスでIVSに映像を上げてみた~AWS+低軌道衛星 = 災害時の最強タッグ~

関⻄テレビ放送株式会社
技術推進本部 DX推進局 DX戦略部 専⾨部⻑
栗⼭ 和久 氏

災害報道を行う際には、さまざまな手段を組み合わせていかに中継現場から本社までの映像伝送路を確保するか、という点が重要です。そこで関⻄テレビ放送では、衛星通信サービスやモバイル映像中継ソリューション、Amazon Interactive Video Service(Amazon IVS)を組み合わせて映像を伝送する実験を行いました。その結果、設定するパラメータによって、伝送路の安定性や遅延量が大きく異なることが分かりました。安定した伝送路が確立されると、映像の伝送だけでなく避難所向けの情報配信や行政情報の共有などにも使える可能性があり、これらの知見の蓄積をすることは非常に重要です。例えば本実験では約4秒のレイテンシーが観測され、これは Amazon IVS が謳う5秒未満のレイテンシーの範囲内に収まっていることが分かります。Amazon が計画中の低軌道衛星を用いたブロードバンドサービス Project Kuiper についても期待の声をいただきました。

1日最大150球場超!大規模配信を支えるバーチャル高校野球ライブ配信技術の舞台裏

朝⽇放送グループホールディングス株式会社
DX・メディアデザイン局 R&Dチーム
村中 貴彦 氏

朝日放送テレビでは、朝日新聞社と共同で高校野球の総合情報サイト「バーチャル高校野球」を運営しています。年を追うごとに配信試合数が増加し、2023年には地方大会全3434試合、全国大会48試合を配信。配信担当者のスキルに依存しない仕組みを実現するために、AWS マネジメントコンソールから設定やステータスの確認が可能である AWS Elemental Link を導入し、これによりエンコーダーの集中管理が可能となりました。また、年々増加する試合数に対応すべく、オンプレミスソリューションの AWS Elemental Live に加えて、わずか数分で新たなライブチャンネルをデプロイ可能な AWS Elemental MediaLive を導入しました。ワークロードの冗長性を担保するために、2 つのエンコーディングパイプラインを持つ標準チャンネルを採用しています。

また、担当者間で配信スケジュールの共有を行うために Amazon EC2Amazon RDSAmazon ElastiCache などを用いた試合ステータス情報の管理システム ACOMS(Asahi Communication System)を構築しました。このシステムを用いることで、試合スケジュールや運用ステータスの管理が可能となり、Web サイトの運営から配信対応まで、各担当者が連携して作業を行えるようになったことで、運用負荷(1 試合単位の運用対応人数が従来の 50% と半減)とトラブルの軽減を実現しています。

導入事例「朝日放送グループホールディングス、AWS を活用し『バーチャル高校野球』で 1 日最大 156 球場での試合を大規模配信」に詳細の記載がございますので、ぜひこちらもご覧ください。

まとめ

メディア業界向け勉強会の開催概要をご紹介させていただきました。内容について詳しく知りたい方は、記事上部より資料のダウンロード及び動画を視聴いただけますのでご確認ください。引き続き業界の皆様に役立つ情報を、セミナーやブログで発信していきますので、どうぞよろしくお願い致します。

参考リンク
AWS Media Services
AWS Media & Entertainment Blog (日本語)
AWS Media & Entertainment Blog (英語)

AWSのメディアチームの問い合わせ先: awsmedia@amazon.co.jp
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この記事は SA 小南英司が担当しました。