これからは標準で使える Gemini for Google Workspace とは
ここからは、2025 年 1 月 15 日の Google の発表により、Google Workspace の標準プランで使えるようになった機能「Gemini for Google Workspace」の概要を紹介します。
- Gmail や ドキュメント等に組み込まれたAIがユーザー業務をサポート
- Google Workspace のライセンス費用とは別にアドオンの購入が必要だった
- Gemini は企業が持つデータを学習しない、且つレビューしない
なお、最新プランについては以下記事でも紹介していますのでこちらもご覧ください。
関連記事:【2025最新】Google Workspace のプラン比較!もう迷わない!比較ポイントとすべきことを紹介
Gmail や ドキュメント等に組み込まれた AI がユーザー業務をサポート
Gemini for Google Workspace は、 Workspace を活用するユーザーの生産性をサポートするアドオンツールでした。具体的には、自然言語で指示を出すことで、業務上で活用可能なアウトプットを AI が自動生成してくれます。例えば、以下参考画像の通り、「ドライブにファイルをアップロードする方法という記事を書いて」と指示を出すと、指示通りに文書を生成してくれるのです。
Google ドキュメントだけでなく、スプレッドシートやスライド、 Meet にも対応しており、 Workspace を基盤とした業務の生産性をさらに高めることができます。
Google Workspace のライセンス費用とは別にアドオンの購入が必要だった
Gemini は 今や Google Workspace の標準プランで利用できるようになりましたが、従来は、Google Workspace を利用する全てのユーザーが無条件で利用できませんでした。
Gemini を利用するためには、別途アドオンの購入が必要であり、以下2つのプランから選択する必要がありました。
機能
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Gemini Business
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Gemini Enterprise
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費用
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¥2,260/user/month (年契約)
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¥3,400/user/month (年契約)
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利用回数制限
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1,000回/user/month
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無制限
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Gemini
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ドキュメント
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◯
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◯
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スライド
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◯
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◯
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スプレッドシート
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◯
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◯
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Gmail
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◯
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◯
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Meet
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△
※他言語翻訳キャプションなし
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◯
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Gemini チャットツール(旧 Bard)
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◯
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◯
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Gemini チャットツール(旧 Bard)は、 Gemini for Google Workspace に含まれるサービスの一つで、このツールについては日本語化対応されていますが、その他の機能( Google ドキュメントや Meet に組み込まれた Gemini )については、現状日本語化対応されていません。
Gemini は企業が持つデータを学習しない、且つレビューしない
生成 AI を導入する企業が持つ懸念点として、セキュリティ上の不安を挙げる企業は多いのではないでしょうか。しかし、それについては心配する必要はありません。 Gemini for Google Workspace ではセキュリティポリシー上で、企業のデータを学習しないこと、及びレビューしないことを明文化しています。
Gemini for Google Workspace が登場した背景
ここでは、Gemini for Google Workspace が登場した背景について紹介します。
- 高齢化と止まらない労働人口の減少
- 雇用全体の70%以上を占める中小企業が抱えるジレンマ
- 日本企業の生存戦略に生成AIは不可欠
高齢化と止まらない労働人口の減少
インドネシア国内の2023年の平均年齢は30歳を下回っているそうです。インドネシアに限らず、ASEANが昨今注目されている理由は、高い経済成長率に他なりませんが、それを実現しているのが若い労働人口です。
一方、日本の平均年齢は40を超えています。日本は出生率についても下降傾向にあり、定年を迎える労働者よりも新たに社会に進出する労働者の方が数を下回っています。これは何を意味するかというと、単純に労働者の数が減っているということです。これは、ある特定の年に発生する事象ではなく、今後も継続的に発生する事象になります。労働人口の母数が今後も下がっていく中で、事業を継続していくためには、従業員一人当たりの生産性を上げていく必要性があります。
雇用全体の70%以上を占める中小企業が抱えるジレンマ
日本は中小企業が多いと言われますが、意外にもアメリカやヨーロッパの国々も中小企業の割合が高いと言われています。他国と比較した場合に問題になっているのは、雇用に占める割合です。アメリカも中小企業の割合が99%以上というデータがありますが、雇用全体で見れば50%未満となります。
一方、日本では、中小企業庁が公開するデータによると、中小企業の従業員数は全体の70%を占めています。日本全体の生産性をあげるためには、中小企業の業務改革を推進していく必要がありますが、大企業と比較した場合、資金(時間)的にも人員的にも余裕があるわけではないため、改革を推進しづらいという側面もあります。また、中小企業の課題として、過去の実績から古い技術に固執してしまい、新たな技術やアイデアの導入が遅れてしまう傾向も指摘されています。
日本企業の生存戦略に生成AIは不可欠
これらの社会的な背景もあり、日本企業は限られたリソースの中で生産性をあげることが求められています。これまでのようなハードワークではなく、如何にスマートに生産性をあげるのかということが重要で、それこそが生成AIが注目されている理由にもなります。生成AIは、自動翻訳、コンテンツ生成、データ分析など、多岐にわたる業務を支援する技術であり、企業の競争力強化、効率化、イノベーションの推進に寄与しています。この技術が今後の日本企業の成長のキーになると考えています。
Gemini for Google Workspace の主な機能
ここからは、Google Workspace の標準プランで利用できる Gemini の主な機能について紹介します。
- Help Me Write
- Help me organize
- Help me visualize
- Generate a background
- Studio look
Help Me Write
Help Me Write は、Gmail や Google ドキュメントで文章作成をサポートする機能です。
ユーザーがプロンプト(生成 AI への指示文章)を入力すると、メールの下書きやプロジェクト計画書などの素案を自動生成できます。
特に、謝罪文や依頼文など、表現に悩みがちな文章も瞬時に作成できるため、メール作成にかかる時間を大幅に短縮可能です。
さらに、作成した文章を自然で適切な表現に書き換えることもできるため、より質の高いコミュニケーションを実現できるでしょう。
Help me organize
Help Me Organize は、Google スプレッドシートでのデータ整理をサポートする機能です。
ユーザーがプロンプトを入力すると、必要な表を自動生成し、罫線やプルダウンリストなどのフォーマットも整えらます。手作業でのレイアウト調整が不要になるため、表作成の効率も大幅に向上するでしょう。
例えば、タスク管理表や予算管理表などを短時間で作成でき、業務のスムーズな進行をサポートします。機能を活用することで、データ整理の手間を省き、より重要な作業に集中することが可能でしょう。
Help me visualize
Help Me Visualize は、Google スライドでの画像生成をサポートする機能です。
ユーザーが簡単なプロンプトを入力し、生成したい対象や画像のテイスト(水彩、写真、スケッチなど)を選択するだけで、オリジナルの画像を自動作成できます。難しい指示や専門的なデザインスキルは不要で、プレゼンテーションに最適なビジュアルを素早く作成可能です。
例えばプレゼン資料のイメージに合う画像を探す手間が省け、作業効率が向上します。視覚的に魅力的なスライドを手軽に作成できるため、より効果的なプレゼンテーションを実現できるでしょう。
Generate a background
Generate a background は、Google Meet でのビデオ会議用にオリジナルの背景画像を生成できる機能です。ユーザーがプロンプトを入力するだけで、会議の雰囲気や目的に合った背景を作成できます。
例えば、プロフェッショナルなオフィス風やカジュアルなカフェ風など、シーンに応じたデザインを簡単に設定可能です。これにより、背景画像を探す手間が省け、より快適で一貫性のあるオンラインミーティングの環境を整えられるでしょう。
Studio look
Studio look は、Google Meet でのオンライン会議をより快適にするための機能です。自動的に音声や映像の品質を最適化し、周囲の騒音や照明の影響を軽減します。
例えば、背景の明るさやカメラ映りを調整することで、暗い環境でもクリアな映像を提供し、雑音を低減することで発言を聞き取りやすくします。
自宅やカフェなどの環境が整っていない場所でも、スムーズに会議を進めることが可能です。
Gemini for Google Workspace のメリット
前述したとおり、Gemini はすでにグローバルで活用が進んでおり、Google は導入企業から成果に関するフィードバックを受け取っています。
ここからは、標準プランに統合された Gemini for Google Workspace のメリットをご紹介します。
- 生産性(業務の量・質)の向上
- 従業員エンゲージメントの向上
- イノベーション創出機会の増加
生産性(業務の量・質)の向上
Gemini 導入前、私たちの業務では、顧客へのメールや議事録の作成、文書の作成等々…あらゆる業務は従業員それぞれが考えながら実施していました。アウトプットされる内容には各人で差異があり、スピードも異なります。 Gemini はこれらの課題を解決してくれます。 Gemini を利用することでこれらのルーチンワークや定型業務を自動化することができ、これにより、従業員が創造的な業務や戦略的なタスクに集中できるようになります。また、AIは大量のデータを迅速に処理し、分析する能力があります。これにより、データ駆動型の意思決定が可能となり、人間では見落とす可能性のあるインサイトやパターンを発見できます。例えば、スプレッドシートでまとめられたセミナーアンケートの結果から顧客の関心を分析し、次回実施するセミナーの企画を立案することができます。 Gemini for Google Workspace は従業員一人当たりの生産性を上げるだけに留まらず、チーム・組織全体の生産性をあげるためのアイディア獲得のための支援もおこないます。
従業員エンゲージメントの向上
ドラゴンクエスト等のRPGゲームをプレイしたことがある方ならわかるかもしれないですが、主人公とそのパーティは旅の道中で、自身が持つ武具をより強いものにアップデートしていきます。新しい武器を獲得できた時の感動と、戦闘中の武器の威力により、プレイヤーはさらにモチベーションが向上します。それと同じようなことが Gemini 導入によってもたらされることもわかっています。 Google によると、 Gemini を導入することで、従業員の会社に対する満足度が向上したというフィードバックを Gemini 活用企業から得ているそうです。
イノベーション創出機会の増加
Gemini 自体がイノベーションを起こすアイディアを創出してくれるかもしれないですが、重要なのは、①②が推進されることで、従業員に時間と余裕が生まれるところです。 Gemini はあくまで人間を助けるツールであり、イノベーションを起こすのは人間自身です。 Gemini により生産性が向上し、時間が生まれ、人間自身が新たなイノベーションを作る機会を作れるようになります。 これも Gemini を導入する上でのメリットになると思います。
Gemini for Google Workspace の導入方法
Gemini for Google Workspace は、2025年1月15日の発表以降、標準プランで利用可能となり、従来のアドオン導入が不要になりました。 そのため、Google Workspace を導入すればsぐに利用できます。
Google Workspace の導入方法には、Google 公式サイト経由とパートナー経由の2種類 があります。公式サイトからの申し込みはシンプルですが、AI 活用方法の詳しい説明や、既存システムからのスムーズな移行を希望する場合は、パートナー経由がおすすめ です。
吉積情報は、Google 社公認のプレミアパートナーであり、専門知識を持つスタッフが在籍しています。 経験豊富な Google Cloud エンジニアによるサポートも充実しており、導入だけでなく、活用方法や移行の相談も可能です。
Google Workspace を最大限に活用したい企業の方は、ぜひお問い合わせください。
関連記事:【2025年最新】Google Workspace 料金値上げ!メリットや各プランの詳細を紹介
Gemini for Google Workspace を更に知りたいなら吉積情報まで
本記事では、Google Workspace に統合された「Gemini for Google Workspace」 の概要・主な機能・導入のメリットについて紹介しました。
2025 年 1 月 15 日以降、Google Workspace のBusiness / Enterprise のプラに、生成 AI 機能「Gemini」が標準搭載され、Gmail・Google ドキュメント・スプレッドシートなど、さまざまなシーンで AI を活用できるようになっています。
Gemini の主な機能には、メールの要約・文章作成・データ分析・会議メモの自動作成などがあり、業務の効率化やアイデア創出に役立ちます。
ただし、業務の効率化やイノベーションを実現するのは AI そのものではなく、「AI をどう活用するか」が重要 です。Gemini は、単なる自動化ツールではなく、人の能力を引き出し、より効果的に業務を進めるためのサポート役として活用できます。つまり、Gemini の導入を成功させるには、「 AI をどう活用するか」だけでなく、「 Gemini を導入し、人材をどう活かすか」という視点が欠かせません。
吉積情報では、従業員の生成 AI リテラシー向上や生産性向上を目的とした、Google Workspace の導入支援プログラム「AI Driven」を提供しており、安全かつ倫理的に生成 AI を活用しながら、業務の効率化を進めることが可能です。
生成 AI の誤用やリスクを抑え、責任ある AI 活用を推進したい企業の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。