BIGLOBEの「はたらく人」と「トガッた技術」

「エンジニアは未来を切り拓ける存在」“魂のエバンジェリスト”常盤木龍治さんが語る、マーケットバリューの高いエンジニアとは

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こんにちは。BIGLOBE Style編集部です。

BIGLOBE 基盤本部主催で“熱い”講演会を、社内イベントとして開催しました。テーマは、「魂のエバンジェリスト常盤木龍治さんが語る、マーケットバリューの高いエンジニアとは」。

イベント後半の部では、BIGLOBEの取締役執行役員常務であり、開発部門(基盤本部)の責任者でもある鴨川 比呂志との対談も行いました。

主に自社のエンジニア向けでしたが、“トッキー”こと常盤木さんの熱量と、BIGLOBEの技術部門のトップの想いを届けることで勇気づけられる方も多いと思い、BIGLOBE Styleでもその内容の一部を公開します。

エンジニアの仕事の醍醐味、学ぶことの楽しさ、これから何をすべきかまで、常盤木さんと鴨川のクロストークから、その想いを感じとっていただけると嬉しいです。

【目次】

激動の時代を前向きに生きるヒント

昨今は新型コロナウイルス感染症の影響で、社会状況は大きく変わっています。BIGLOBEも、その変化においては例外ではありません。激動の時代の中で、働き方やキャリアについていろいろと思いを巡らせているエンジニアも多くいるはずです。 講演会の事前アンケートでも以下のような要望があがっていました。

  • BIGLOBEの外部から見た強みを知りたい
  • 社外のロールモデルを知りたい
  • スキルアップの方法やポイントを知りたい

そこで、今回はエンジニアの皆さんに、これからの時代を前向きに生きるヒントや、マネタイズ(収益化)できるエンジニアを目指す上での考え方を伝え、会社を使い倒してもらいたい。そんな想いからイベントを開催しました。

そして、「前向きに生きるヒントを伝える」という目的にふさわしいゲストスピーカーが“トッキー”こと常盤木さんだったのです。

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※(編集部注記)このイベントは本来、会場開催を予定しておりましたがコロナ禍の状況を考慮し、オンラインにて開催しております。
※(編集部注記)常盤木さんには今回のイベントのためだけ特別にBIGLOBEのTシャツを着用いただきました。

常盤木さんは定時制高校を卒業後、入学した大学を中退。数学好きを活かしてエンジニアとしてのキャリアをスタートしたものの、最初は「底辺エンジニアだった」といいます。しかし、常盤木さんは努力と情熱で道を切り拓いていきました。

例えば、“仕事のための仕事”だった膨大なドキュメント作成業務に違和感を覚えたところから、ドキュメントを簡単に作成できるツール「Dojo」をチームとゼロからつくりあげ、売れる仕組みまで構築。他にも、日本において基幹業務領域でのクラウドの普及が進む前からクラウド化を実現など、その実績が業界内で注目され、日本の有力ベンダーが集う「MIJSコンソーシアム」の副委員長にも抜擢されました。

そして、その地位に満足せず「世界一」を目指し、基幹業務システムで世界トップレベルのシェアを誇るSAPでエバンジェリストとして採用されるなど、まさに「魂のエバンジェリスト」と呼ばれるにふさわしい実績を残してきました。

常盤木 龍治

No.1シェア請負人。パラレルキャリアエバンジェリスト/プロダクトデザイナーとして“差別化要素をもち市場提供価値/社会的意義が明確にある仕事のみ”を軸とし活動中。さまざまな企業の最高戦略責任者/最高技術責任者/エバンジェリスト


  • Developers Summit KANSAI 2019 ベストスピーカー1位
  • MIJSコンソーシアムプレゼンコンペ 2011 2012 優勝
  • TECH PLAYER AWARD 2020審査員
  • 16,000人を超えるFBカレー愛好家コミュニティ カレー部キャプテン

エンジニアに伝える、常盤木さんの熱いメッセージ

では、いよいよ講演会の内容を見ていきましょう。今回の講演会は「日本とBIGLOBEの明日を変える エンジニアの本気が “できない” を無くす~オーナーシップを皆で持とう!~」と題され、常盤木さんの経験をもとに熱いメッセージが届けられました。

野心を持つこと。自分の価値を言語化していくこと

まず、冒頭で強調されたのは「エンジニアには野心が欠かせない」ということ。 会社を変える主役はエンジニアで、「エンジニアが野心的にならないと組織は埋没する」と、常盤木さんは語ります。

実際、昨今はコロナ禍の影響で、全世界が同じ課題に直面し、オンライン化が急速に進んでいます。現状、BIGLOBEの業績は順調に伸びていますが、常盤木さんはダーウィンの名言を引き合いに、「生き残れるのは変化できる者である」と説きます。 ※(編集部注記)複数の説があります。

そして、価値あるエンジニアになるためにはこの2つが必要だと。

  • 自分には何ができるのかを言語化して伝えること
  • 特定の領域で認知される存在になること

他者に認知されないと声がかからなくなり、愚痴が増え、給料が下がっていくケースが多い……と。こういったことに心当たりがありドキッとしてしまう人もいるかもしれません。

課題解決の本質的な価値に目を向けること

常盤木さんは長くIT業界で働く中で、日本中の中小企業の課題に目がいくようになり、そこでもエンジニアとして培ってきた価値を提供しようと考えました。伊勢神宮のお膝元として知られる三重県伊勢市の老舗飲食店・ゑびやの差別化を成功に導いた事例では、このように語ります。

「正直に言って、グルメサイト上での評価もいま一つな普通の老舗飲食店だったのですが、私たちがAIによる来客予測システムの導入を支援し、システムを外販したところ、この分野では極めて高い知名度を誇る企業に急成長できました。その結果、ゑびや|EBILABの取り組みは世界中のパートナーが集うMicrosoftのイベントでサティア・ナデラCEOのコアノートでとりあげられ、数多くのメディア掲載や講演依頼が殺到するようになりました。」

ここで大事なポイントは、課題の改善こそが価値という点です。

EBILABが提供しているのは、「来客予測」という機能ではなく、あくまでデータを活かした廃棄ロスの抑止やメニュー提供の高速化といった課題の改善です。お客様の課題解決の本質は、データ活用の先にあるのです。

学ばない人には明るい明日は訪れない

エンジニアとして、誰かを救うための「能力」はどう鍛えればいいのか。常盤木さんは学びの中でも「読書」の重要性を強調し、「人生の時間を1とすると、良書を読めば0.05が手に入る。つまり、20冊の良書と出会うと人生は1+1で2になる」とまで言います。実際、今でも月に30~40冊は読んでいる常盤木さんは、読書は多様な価値観を受容することにも役立つといいます。

「様々な開発言語や手法、エンジニアを取り巻く世界は、時として価値観が異なる場合があります。そうした他者の価値観を受け入れることは、コミュニケーションのハブ的な役割を担うエンジニアの成果に直結します」

そして、これからの社会で、自らの所得水準の維持だけを考え逃げ切るのは困難という真実がある中で、自分の知見とチームの知見でどう稼ぐかを考えることが必須である。そんなメッセージを送られました。

「外」から見るBIGLOBEと、「内」から見るBIGLOBE

講演会の後半では、常盤木さんとBIGLOBE開発部門(基盤本部)の責任者である鴨川との対談を行いました。内容を一部お届けします。

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鴨川 比呂志

1987年 国際電信電話株式会社(KDD)入社

2006年 同 IPソリューション商品企画部長

2007年 株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ代表取締役副社長

2009年 KDDI株式会社アプリケーション推進部長

2015年 同 グローバルコンシューマビジネス本部長

2017年 ビッグローブ株式会社執行役員常務

2018年 同 取締役執行役員  基盤ライン長

2019年 同 基盤本部長


<鴨川> 常盤木さんから見て、BIGLOBEの強みは何だと思いますか?

<常盤木> 同規模の売上のISP (Internet Service Provider) に比べて、自由度がとにかく高いことです。社風を強要されない会社だと思っています。ただこれは長所でもあり短所でもあって、自分自身でキャリアパスを設計したり、ロールモデルを探せない人は成長しにくい環境かもしれません。

<鴨川> 同感ですね。私も4年前に外部からBIGLOBEに来ていますが、同じことを思っていました。なんだかんだ言いながら自由な会社。でも、自ら動かないと何にも起こらないんですよ。

また、経営サイドの人間として聞いてみたいのですが、常盤木さんは会社の「中期経営計画」ってどんなものだと思いますか?

<常盤木> あくまで中期経営計画は骨子に過ぎないと思いますが、会社が一定の方向性を示し、そこに向けた意見を吸い上げ、会社を育てるための「幹」としての役割は重要です。会社の方針と自分の想いとのギャップを感じても、形がなければそれをぶつけられないので、その箱を与えてくれるようなイメージです。

<鴨川> それはいい意見ですね。確かに想いを想いのままにしておいても、形にならない。だから、中期経営計画のように「形」をつくらないとダメですね。

<常盤木> 中期経営計画に対して意見を集めて肉付けし、あるいは削っていくことで会社はよくなるので、そうした意見交換の場は積極的につくるべきです。

<鴨川> ありがとうございます。多くの会社は経営層だけで計画を作りがちですが、BIGLOBEでは現場エンジニアを中心に作り、最終的に私がまとめました。

そして決まった中期経営計画のテーマは「あくまでも自身のマーケットバリューの最大化とマネタイズできるエンジニアを目指し、その結果、会社への貢献も最大化する」です。まさに本日の講演会で学んだことが活かせそうで嬉しいですね。

さらに、講演会開催の目的でもある、エンジニアが「会社を使い倒す」についても常盤木さんにお聞きしたいです。どうしたらいいと思いますか?

<常盤木> 既存の顧客層に重ねて、自分が提供できる価値を逆算するのが手っ取り早いです。自分の実現したい夢を、そもそもなぜ実現したいのか棚卸し、そのために会社をどう使うか。ただ、これは自分がなぜエンジニアになったかを自覚することと同じなので、現場のエンジニアからこの質問が出るとすれば、その人は自分が何者になりたいかを定義できていないのかもしれません。

<鴨川> 常盤木さんにとって「稼げるエンジニア」が稼ぐのは「お金」でしょうか?というのも、以前ある社員から「年収に興味はないけど、後世に作品を残したい」と言われたことがあり、お金以外の価値を求めているエンジニアもいるのかなと。

<常盤木> 「信用」と「愛情」を得られるエンジニアが稼げるエンジニアです。ポジティブな気持ちが循環すると、副次的に仕事も増えます。感謝の上にお金は乗ってきますから、まず感謝が先ですね。

<鴨川> なるほど、参考になります。今回は、リアルタイムで数百人のBIGLOBE社員がオンラインで参加しています。常盤木さんへのQ&Aもたくさん来ていますので、ご回答いただけますか?

  1. 常盤木さんの野望は?

  2. いまは15社くらいにかかわっているのですが、ゆくゆくは渋沢栄一さんのように100社の企業にかかわってみたいです。その理由は、100個の組織内のチームをメンタリングしてみたいから。自らの意思決定能力が、どこまで情報を処理できるのかを試してみたいんですよ。あと、海外展開を目指しているので、日本を救えるようなエンジニアになりたいです。

  3. エンジニアは何歳まで活躍できますか?

  4. 自分の魂が学ぶことがしんどくなったり、社会課題解決のために魂を燃やせなくなった時が辞め時だと考えます。それは20歳かもしれないし、70歳かもしれない。つまり、年齢の問題ではないんです。そのために学び続け実践し続けています。

  5. 人と話すときに気を付けていることはなんですか?

  6. 相手を追い詰めないよう、愛をこめて接するようにしています。理由は、相手が言語化している内容が、誰も傷つけないことばかりになってしまわないためです。お客さんはそれを言うと誰かが傷ついたり、タスクが増えることは言わない傾向にあります。だから、私は相手が言語化していることが真なるゴールではないことを前提にしているのです。

    自分が話しているときは、あえて弱点をさらけ出しています。若いうちは難しいですが、昔の闇に葬った「マンホールの下にいる汚い自分」と一体化してからが人生のスタート。自分の闇に目を向けると、他人の想いに目を向けられる人間になります。社会に目を向ける前に、まず自分に目を向けましょう。

  7. 新たな強みをつくるためにはどうしたらいいですか?

  8. 私は自分の嫌いなタイプの人を遠ざけないようにしています。その人を嫌いな理由は、たいてい自分の過去のトラウマに重なってしまうことが原因です。でも、目の前にいる人は過去に出会った人ではない。それに目を向けず、同じく嫌いと決めつけて、相手を勝手に区分する失礼な振る舞いをしているケースが多いんです。その嫌いを「なぜそう思っているのか」と棚卸することは、強みの創出につながります。

<鴨川> 熱いメッセージ、ありがとうございます。私からエンジニアの皆さんに伝えたいのは、社内が愚痴ではなく、改善の要求で満たされてほしいということ。究極の目標ではありますが、ついつい社員には期待してしまいます。できないではなく、こうすればできるという心持ちで「そうかそうか、そうだよね」と活発な話し合いが生まれる会社になったら最高ですね。

まとめ

最後に、常盤木さんから以下のメッセージがありました。

「エンジニアは第三者に褒められる機会が少ない職業ですが、確実にこの国を生きている人たちを支えています。エンジニアは、未来を切り拓き、未来への道を照らす光になれる存在です。私も、社会課題解決のために魂が燃やせなくなるまで、エンジニアとして活動を続けていきます」

たいへん熱く、参考になるメッセージがつまっている講演会だったので、この記事を読んでいるエンジニアの皆さんの心にも火が灯ったのではないでしょうか?

また、「会社全体を改善要求で満たしてほしい」と言う鴨川の懐の広さは、自由度が高く意見を上司に伝えやすいBIGLOBEそのもの。それが、今回のこの講演会を社内で開催することにも繋がりました。

そんなBIGLOBEは、ただいま絶賛エンジニアを募集しています。皆さんもBIGLOBEに入社し、一緒に社内を改善要求で満たしてみませんか?

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