KAKEHASHI Tech Blog

カケハシのEngineer Teamによるブログです。

日報を自分のために書いてみよう

はじめに

こんにちは、株式会社カケハシでエンジニアリングマネージャーをやっている小田中( @dora_e_m )です。 今回は、タイトルの通り「日報を書くといいよ!」、とくに「組織のニューカマーにはオススメだよ!」という話を書きます。

日報って何?

まず、日報とは何でしょうか。一般には、日々の業務内容や進捗などを報告する文書を指します。 この定義に従えば、受益者は報告される立場の上長であり、日報を作成する当の本人にはあまりメリットがありません。 私自身、ただ進捗を共有するだけの日報にはあまり意味を感じません。たとえばJiraなりTrelloなりで進捗管理している現場であれば、そのうえで進捗報告のための日報を作成することは作業の重複、情報の二重管理の発生を意味します。

ですが、日報を以下の目的で作成するようにすると、それは作成者本人にとって役立つものにできます。

  1. 毎日のふりかえり
  2. 思考プロセスの記録
  3. 社内ナレッジへのエントリーポイント

毎日のふりかえり

1日の終わりに、その日やったことをふりかえり、翌日以降の働きをもっとよいものにするために役立てます。日報を書く習慣があると、自然と一日の活動を思い出すことになり、ふりかえりやすい状況が生まれます。

私の場合、「YWT(やったこと/わかったこと/つぎにやること)」のフォーマットでふりかえりを行っています。たとえば、こちらの画像は入社初日の日報です。社内のドキュメントはかなり充実しているものの、中にはアップデートされていないものがあることに気づき、であれば今後そういうドキュメントに出会ったら自分でアップデートしてしまおう、というふりかえりアクションにつなげています。

ふりかえりとしての日報

思考プロセスの記録

なぜその設計に至ったのか、意思決定のプロセスを記録するADRのような取り組みが開発の現場で広まってきています。なぜ現状がそうなっているのか?という問いは多くの人を悩ませるものですし、悩んだところで現状が覆るわけではないので悩む時間を長引かせたくありません。また、過去の経緯を知っていると目の前の現状が妥当なものだと気づくこともあります。 そういった観点で、ADRのように意思決定プロセスを記録する試みは有効です。

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私は自分自身の思考プロセスを日報に記録するようにしています。 下記の画像では、「ワーキングアグリーメントはチームのもの。チームから湧き出てきたものがベスト。」という自分なりの結論と、そこに至るプロセスが記載されています。

思考プロセスの記録としての日報

実際にチームからワーキングアグリーメントが提案された、それがとても嬉しかった、自分たちで考えたほうがいいものになると思っている、ということからこの結論に至っていることがわかります。 提案という事実と、嬉しかったという感情、「そのほうがいいとおもっている」という自分の考え方が入り混じって記述されているため、私自身以外には読み解きづらいものになっていますが、自分自身で読み返す限りは「なぜその結論に至ったか」を思い返すことができるものになっています。

これがどのような効果をもたらすのか。たとえばワーキングアグリーメントをアップデートしたいと考えたときに、「チームから湧き出てきたものがベスト」という最終的な結論からだけ考えたとします。 そうすると「チームから湧き出た」を実現するために、「ワーキングアグリーメントをアップデートしたいから、1人2件ずつアイデアを出してください!」というようなアプローチをとる可能性が出てきます。ところが、この結論に至ったプロセスまで追うと、そこには「メンバーが自分たちで考えて話して、そこからでてきた約束」という文言があります。つまり、恣意的にメンバーからアイデアを募るやり方は、この結論に至った背景とは乖離があるアプローチになります。言語化しておくと、こういったズレに気づくことができます。

社内ナレッジへのエントリーポイント

「先週やったあのミーティング、なんだっけ?あれだよ、あれ。」と、つい最近やったはずのミーティングの詳細を思い出せないことはありませんか?私はあります。頑張れ40歳。 また、作業を進める中で社内の有用なナレッジを探し当てたものの、翌日になると見つからない、今日はNOT FOUND・・・なんてこともあります。

参加したミーティング、有用なナレッジへのリンクを日報に書き留めておくと、そういった悲しい出来事とおさらばできます。

社内ナレッジへのエントリーポイントとしての日報

副次的な効果として、私の日報を見た人が「へぇ、こういうナレッジがあるんだ」と気付いたり、「こういう会議に出席しているんだー。」ということを知ったりする機会にもつながっています。 また、私はチームメンバーとの1on1もテキストで記録しているのですが、日報から1on1の記録にもリンクを貼っており、それを読んだ他のメンバーが「ここで悩んでいるならこういう取り組みしてみようか」と動き出すきっかけになったりもしています。これらは「自分のために書く」という今回の主旨とは少し外れますが、日報が社内ナレッジの輪に加わり行動変容にも影響する興味深いエピソードだったので紹介しました。

とくに組織のニューカマーにはオススメです

私がカケハシに入社したのは2023/10/2ですが、入社してから今日まで、ほぼ毎日ここに書いたようなポイントをおさえて日報を書いています。 ニューカマーの時期はインプットする情報が多く、消化不良を起こしやすいのですが、日報にインプットしたことを書き留めておくことで後追いでインプットを消化するという時間差攻撃が使えるようになります。

また、周囲のメンバーにとっても、謎の新人が何を考え、何に取り組んでいるかを知る良い機会になります。私自身の経験では、ちょっとしたつまずきを日報に書き留めておくことで先輩社員に助けてもらえるということが何度かありました。「そんなの誰かに日報で拾ってもらうのを期待するんじゃなくて、自分で聞けよ」という意見もあるでしょうが、助けてもらうつもりで書いていなくても助けてもらえることで「ああ、この組織だとこれくらいの課題感のものは手助けしてくれるんだ」ということを学べたりします。だから、日報につまずきを書くことは、私は良いと思っています。

書こう、日報、自分のために。

私の目線で日報を書くメリットについてつらつらと書いていきました。良さそうだなと思うポイントがあったら、ぜひ試してみてください。