Google Cloud Next '24 参加レポート

Google Cloud Next '24 参加レポート

こんにちは、MA部MA開発ブロックの@gachi-muchi-engineerです。

4/9-4/11に開催されたGoogle Cloud Next '24へ参加してきました。去年に続きオフライン開催で、今年はアメリカ・ラスベガスで開催されました。弊社からはMA部の@gachi-muchi-engineer@da-sugi・佐久間の3名が参加しました。去年参加した際の様子は以下のテックブログで紹介しています。

techblog.zozo.com

今年はどのようにAIを利用しているのか、利用していくのかを紹介したセッションが多かったように感じられました。本記事では、現地での様子と特に興味深かったセッションをピックアップして紹介します。

また、今回のテックブログで紹介できなかった内容などを含めてRecapのオンラインイベントを2024/5/13に開催予定です。このイベントでは、Google Cloud Japan合同会社の方にも登壇していただき今回のGoogle Cloud Next '24について詳しくお話いただきます。ぜひご参加ください。

zozotech-inc.connpass.com

現地での様子

Google Cloud Next '24の会場であるマンダレイ・ベイのコンベンションセンター

今回のイベントは、ラスベガスのマンダレイ・ベイで開催されました。会場はホテルに併設されているコンベンションセンターで、東京ドーム4個分ほどの広さだそうです。フルリモートで運動不足だった私達の足腰は、会場内を歩き回るだけでかなり鍛えられたと思います。

セッション会場の様子

各セッションは、センター内の大きな会議室で行われました。たくさんの会議室があり、それぞれ広々とした会場でした。

エキスポ会場内の地図

企業ブースは、とても大きな展示スペースで大変な数が出展されていました。お話した企業ブースの方が「この雰囲気はクレイジーだぜ」と言っていたのがとても印象深かったです。

それ以外にも企業ブースでは、Passport Program(いわゆるスタンプラリー)が行われていました。特定のブースを回ってQRコードを読み込むとCloud Nextのグッズがもらえるというものもありました。

エキスポ会場内の様子

以降で現地参加したメンバーが気になったセッションについて紹介します。

セッション紹介

@gachi-muchi-engineerです。

私は主にバックエンドの開発・運用に携わっています。今回参加したGoogle Cloud Next' 24の発表の中から今後の開発・運用が大きく変わっていくと感じた内容を紹介します。

Gemini for Google Cloud

今回のGoogle Cloud Next '24では、Google CloudのサービスにGeminiを導入した機能の紹介が多かったです。

まずGeminiについて簡単に紹介します。GeminiはGoogleが提供する最新のAIモデルです。テキストや画像、動画、音声などの複数の異なるデータを一度に理解できるマルチモーダルモデルの生成AIです。

詳しくは、以下のGoogleブログの記事をご覧ください。

blog.google

GeminiをGoogle Cloudのサービスに導入することで、エンジニアをサポートする機能が追加されました。私のパートでは、Google CloudのサービスにGeminiが導入された機能を中心に紹介していきます。

What's next for Google Cloud databases in the gen AI era

データベースに関して、"What's next for Google Cloud databases in the gen AI era"のセッションからいくつか紹介します。

Gemini in Databases

データベースの開発・管理・運用を支援する3つの機能の紹介がありました。

1.Database Studio

What's next for Google Cloud databases in the gen AI era」の27:32より引用

Cloud SQLにDatabase Studioが追加されました。BigQueryのWebコンソールと同じような操作性で、Webコンソールからクエリを実行し結果を確認できるようになります。

それに加えて、Geminiのサポートによりコンソールで自然言語を利用してクエリを生成できるようになります。他にも既存クエリを最適化してもらえるのはとても便利だと感じました。また、Query Insightsと合わせて利用することによりクエリの実行計画の可視化やクエリの実行時間の比較なども行えるので、開発者にとって非常に使いやすいと感じました。Database Studioを実際に利用してみましたが、とても操作性がよく利用しやすかったです。

今までは運用時に、Cloud SQL Auth Proxyを利用したり、Cloud Shellからデータベースに接続したりしていました。ただ以下の課題を感じていました。

  • Cloud SQL Auth Proxyでは意図しないデータベースに接続してしまうなどのリスクがある
  • Cloud Shellから接続する場合は、接続するのに時間がかかってしまう

Database Studioを利用することで、これらの課題を解消し、より簡単に運用ができると感じました。

これだけでもとても便利ですが、これに加えてGeminiによるクエリのサポートを得られるようになります。Geminiに「こういうデータがほしい」と問いかけるだけでクエリを生成してくれるので、調査などの運用コストが下がると感じました。

2.Database Center

What's next for Google Cloud databases in the gen AI era」の27:56より引用

Google Cloudのプロジェクトごとに運用しているデータベースを一元管理できるサービスです。自然言語で「セキュリティリスクを含んでいるデータベース」や「特定の状態になっているデータベース」などの検索が可能です。もちろん検索しただけではなく、そのデータベースに対してセキュリティアップデートの適応やスケールアップなどの操作も可能です。

3.Database Migration Service

What's next for Google Cloud databases in the gen AI era」の35:22より引用

データベース移行を支援するサービスです。データベース移行は、データの整合性や移行後のパフォーマンスなど様々な課題がありますが、プロシージャーなどの移行や最適化もサポートされているので、簡単に行えると感じました。

紹介したサービスのAIによる支援は開発に関して大幅に生産性を向上させるだけでなく、セキュリティの課題やパフォーマンス向上に関するレコメンドなどは運用コストの大幅な削減に繋がると感じました。MA部では、月1回程度の頻度でアップデートの確認や対応をしています。地味に運用コストが結構掛かってしまったり対応漏れがあったりするので、Database Centerの活用でこういった課題の解決ができそうだと感じました。Database Migration Serviceは、データベース移行における課題やタスクをほとんど解消してくれるサービスなので、もし機会があればぜひ利用したいと思いました。

ベクトル検索に対応したデータベースプロダクト

What's next for Google Cloud databases in the gen AI era」の5:04より引用

まずベクトル検索に関して簡単に紹介します。一般的なキーワード検索は、ある単語が文字列に含まれているものを検索する方法です。文章内に検索対象のキーワードが含まれていないと検索されません。一方でベクトル検索は、キーワードをベクトル(数値)に変換して、そのベクトルの類似性を利用した検索する方法になります。検索対象のキーワードが含まれていなくても検索されます。

これまでAlloyDB, Cloud SQL for PostgreSQLがベクトル検索に対応していましたが、これに加えて下記のデータベースプロダクトでもベクトル検索に対応予定です。

  • Cloud SQL for MySQL
  • Spanner
  • Firestore
  • Bigtable
  • Memorystore for Redis

これにより、Google Cloudが提供するあらゆるデータベースプロダクトで最新データを利用してベクトル検索が可能になります。これによりリアルタイム性が求められるプロダクトでデータベースの選択肢が増えたと感じました。

MA部ではリアルタイムマーケティングシステムを運用しています。詳しくは以下のテックブログで紹介しています。

techblog.zozo.com

今回のベクトル検索の対応により、上記のテックブログで紹介したイベント検知とユーザー抽出の領域や最適化の領域において、将来的にベクトル検索を利用するアプローチが考えられ非常に興味深かったです。

このセッションでは、デモやユースケースの紹介もあり、どのように開発や運用に活用されるかを具体的な例を用いて非常にわかりやすく紹介されていました。運用に関しては、よくある社内でのケースを元にDatabase Centerがどのように活用できるのかが紹介されていました。特に自然言語からSQLを生成し実行するアプリケーションのデモは非常に興味深かったです。ぜひセッションのアーカイブ動画をご覧ください。

cloud.withgoogle.com

Cloud Run: What's new

"Cloud Run: What's new"のセッションからいくつか紹介します。

Volume Mounts

公開資料「Cloud Run: What's new」のP.9より引用

Cloud RunにおいてNFSとCloud StorageのVolume Mountsがサポートされます。これにより、Cloud Run上でのファイルの読み書きが可能になります。

これまでのCloud Runではファイルの読み書きがインメモリのファイルシステムだけでしたが、この機能が追加されることでメモリを気にせずファイルの読み書きが可能になります。この機能により、Cloud Run上で構築できるアプリケーションの幅が広がると考えられます。

Automatic Security Updates

公開資料「Cloud Run: What's new」のP.10より引用

デプロイされたimageのbase imageのセキュリティアップデートが自動で適用されるようになりました。

ダウンタイムはなく、リビルドの必要もありません。セキュリティインシデントに対して48時間以内にアップデートが自動で適用されるので、セキュリティのリスクを最小限に抑えられます。App EngineとCloud Functionsで運用されてきた機能のようで、Cloud Runでも利用できるようになります。

Gemini in Cloud Run Recommendations

公開資料「Cloud Run: What's new」のP.12より引用

Cloud Runのサービス一覧のページでGeminiがサポートされます。今までもレコメンドは表示されていましたがGeminiを利用することで、チャットを通してより積極的に利用してほしいと考えているようです。例えば、コストについての推奨事項があった場合に「より効果的なコストパフォーマンスを提供するための構成」などGeminiに質問ができるようになります。

Application canvas

公開資料「Cloud Run: What's new」のP.19より引用

Application canvasを使うことで、システムアーキテクチャをWebコンソール上で簡単に設計できるようになります。設計された各サービスの起動や接続に必要なロールの設定などを画面上で全て設定できるようになるサービスです。特にシステム構築の初期段階でアーキテクチャ図を作成する際にこちらを利用することで、そのままプロトタイプも開発できるようになるので非常に便利なサービスだと感じました。

これだけでも非常に便利なのですが、Geminiに自然言語で「こんなことができるアプリ」のように問いかけると適切なアーキテクチャを構築してくれます。セッションのデモで実際に自然言語で問いかけを行って、アーキテクチャの生成からアプリケーションのデプロイやアーキテクチャを修正する一連の流れが紹介されていました。

MA部では、現在運用しているマーケティングに関するシステムのリプレイスを行うZMPというプロジェクトを進めています。詳しくは以下のテックブログで詳しく紹介しています。

techblog.zozo.com

その中で、Cloud RunはAPIや管理画面を構成する際に利用しています。Gemini in Cloud Run Recommendationsが利用できるようになると運用や改善点を発見するのに非常に役立ちそうだと感じました。私たちのチームでは、プロジェクトが進行していく中でリプレイスするシステムが増えていきます。Application canvasは、そこでシステム構築を検討する初期段階でアーキテクチャ図を作成する際に非常に便利だと感じました。自然言語で問いかけるだけでよいのも非常に便利です。

What's new with BigQuery

続いて"What's new with BigQuery"のセッションからいくつか紹介します。まず、このセッションでは様々な機能がBigQueryに統合され「AIに対応した単一のデータ分析プラットフォーム」であることが強調されていました。統合(unified)というキーワードがとても多く使われていたのが印象的で、新機能も様々なサービスとの連携強化やプラットフォームとしてより使いやすくなるような機能が多く紹介されていました。

公開資料「What's new with BigQuery」のP.12より引用

以下では、BigQueryの新機能の中から特に興味深かったものを紹介します。

Continuous real-time analytics in SQL

公開資料「What's new with BigQuery」のP.19より引用

この機能は、ストリーミングデータに対して継続的にSQLを実行できるようになるといったものです。

今まではDataflowを利用することが多かったですが、この機能によって選択肢が増えると思いました。BigQuery Studioなどから簡単に利用できるのであれば、Dataflowを構築する手間が省けるので非常に便利だと感じました。

BigQuery data canvas

公開資料「What's new with BigQuery」のP.27より引用

BigQuery data canvasは、自然言語を利用してデータ分析とビジュアライゼーションの作成が可能になります。

特に非エンジニアのデータ分析のハードルが大きく下がると感じました。

BigQuery data preparation

公開資料「What's new with BigQuery」のP.28より引用

BigQuery data preparationは、AIの支援を受けながらデータのクレンジングや変換が行えます。

AIがデータ変換に対してレコメンドしてくれる点が非常に便利そうだと感じました。大量にデータがあった場合に、意図しないデータや想定外のデータが含まれているときの警告を出したり変換を提案したりしてくれるようになります。以前データ分析をした際に、意図しないデータが入っていることで予想と違う結果になってしまい分析結果を検証しなければならないケースがありました。この機能を利用することで、そういった課題を解消できると考えられました。

BigQuery Workflows

公開資料「What's new with BigQuery」のP.25より引用

BigQuery Workflowsは、BigQuery Studioから簡単にワークフローを作成できる機能です。

Webコンソールからノーコーディングでワークフローを構築できます。構築されたワークフローはスケジュール実行ができるだけでなく、Cloud DataformやCloud Composer用にエクスポートできるようです。これはデータマートの作成や集計などで利用できそうなイメージが湧きました。BigQuery data preparationやBigQuery data canvasと組み合わせることで、データの前処理から分析、ビジュアライゼーションまでを一貫して行うことができると感じました。

What's next data analytics in the AI era

こんにちは、MA部MA施策推進ブロックの@da-sugiです。私のパートでは、BigQueryで新たに発表があった機能を活用したデータ分析の進化について紹介します。

こちらのセッションでは、他セッションでも紹介されたBigQueryの新機能を前半で紹介しつつ、後半では、Geminiを活用したデータ分析のデモが行われました。AIに対応したBigQueryによって、スピーディーな分析と意思決定がいかに実現可能か、デモを交えて発表していました。会場の雰囲気としては1つ1つのプレビューの発表でも拍手が出るくらい、盛り上がっていました。

この章では、主にデモについて紹介します。新機能はデモに関連するものについてだけ紹介します。

BigQuery Studio (GA)

What’s next for data analytics in the AI era」の24:09より引用

BigQuery Studioはデータの探索、分析、可視化、および共同作業を行うためのツールで、SQL、Python、自然言語などを使用してデータにアクセスできるデータ分析プラットフォームです。

わずか7 ~ 8か月前のGoogle Cloud Next '23でプレビューとして発表されたばかりですが、今回のGoogle Cloud Next '24で一般提供となりました。

BigQuery integration with Vertex AI for multimodal AI (GA)

What’s next for data analytics in the AI era」の29:17よりスライド部分を強調して引用

BigQueryとVertex AIの統合によってマルチモーダルAIを実現できることが発表されました。

この統合により、BigQueryに保存されているデータを使用して、マルチモーダルデータを処理し、Vertex AIで機械学習モデルをトレーニングすることが可能になります。

Vector search in BigQuery (preview)

What’s next for data analytics in the AI era」の31:59より引用

BigQueryにおける「ベクトル検索(Vector Search)」のプレビューが発表されました。

特定のカラムにベクトルデータが保存されており、そのデータをクエリして類似性の高いベクトルを持つレコードを見つけ、これにより画像検索など様々な分野で類似性検索を効率的に行うことが可能となります。

Gemini in BigQuery(preview)

直感的なインタフェースを使用してデータを探索し、インサイトを抽出できるGemini in BigQueryのプレビューが発表されました。Geminiを使用すると、SQLクエリを記述することなく、データセットの傾向やパターンを視覚的に理解できるようになります。またBigQuery Data Canvasを使うことで、インタラクティブな操作や自然言語でのデータ検索を共同で作業でき、その結果をビジュアル化して分析・共有できます。

デモ

GeminiとLookerを使用して、オンラインファッションECサイトのデータを分析するデモが行われました。画像は、カスタムLookerアプリケーションで作成したもので、このリッチなレポートはGeminiとLookerで、なんとわずか数分で構築されたものだと言っていたのには驚きました。

What’s next for data analytics in the AI era」の36:08より引用

実際にデモを通して、ビジュアライズに必要なデータをどのように構築されたのかを見ることができました。

まずデータ分析までの重要な3つのステップについて説明がされました。

What’s next for data analytics in the AI era」の37:12より引用

  1. ソーシャルメディアデータなどの複数のソースから取り込まれたデータを、全てまとめて分析できるようにGeminiとBigQueryを使用して変換
  2. BigQuery Data CanvasとBigQueryのツールを使用して、トップトレンドの商品を発見・分析し、チャートを作成
  3. BigQuery Vector Searchを使用して、トップトレンドの商品に似ている商品を見つける

1. GeminiとBigQueryを使用したデータのクリーニング

クリーニング前のデータ

What’s next for data analytics in the AI era」の38:14より引用

クリーニング作業

What’s next for data analytics in the AI era」の38:25と38:49よりスライド部分を強調して引用

右側に表示されたAI生成コードの適用をクリックするだけで、瞬時に投稿日のフォーマットを整え、商品名のみが抽出されました。

クリーニング後のデータ

What’s next for data analytics in the AI era」の38:54より引用

2. BigQuery Data Canvasを使用したトップトレンドの可視化

自然言語でのデータ検索と分析

Data Canvasを使用することで、自然言語でデータの検索ができ、即座にテーブルを作成できていました。

What’s next for data analytics in the AI era」の39:43より引用

そのデータを元に、GeminiとBigQueryが自然言語からSQLを作成してデータ分析を可能にし、またVISUALISEから、わずか数秒でチャートだけでなくテキストのインサイトを作成していました。

What’s next for data analytics in the AI era」の40:03より引用

What’s next for data analytics in the AI era」の40:31より引用

3. BigQuery Vector Searchを使用した商品の類似性検索

Vector SearchはBigQuery内で、テキストから画像、動画からテキストなど、様々なデータ形式の類似性検索を行えます。これを使用して、デモではトップトレンドの商品に似た商品を検索していました。

What’s next for data analytics in the AI era」の41:30より引用

4. MLの活用

また、BigQueryの機械学習を使用することで、トップ5の商品の今後1年間の販売予測もすぐに可能でした。これもGeminiとの対話によって実現されています。

What’s next for data analytics in the AI era」の42:12より引用

セッション内のほとんどの作業が、単一のアプリケーション上で自然言語での対話によって実現可能であるのは非常に便利だと感じました。AIを活用したデータ分析がどれほど進んでいるのかを再認識できました。

ZOZOでは、BigQueryの新機能(GeminiとVector Search、Vertex AI)を組み合わせて、デモにあったように簡単な手順で様々な指標でのデータ分析が可能になり、次にどんな施策・配信をするのかなどの意思決定をよりスピーディーに行えるようになると思いました。

またMA部としては、前章(What's new with BigQuery)でも紹介があったSQLの継続的な実行(Continuous real-time analytics in SQL)と組み合わせ、最新のトレンド・販売予想などのデータを利用した配信も可能になるので、開発・運用しているマーケティング関連のシステムの改善や新規機能にも活用していけそうだと考えています。

What's new with IAM

こんにちは、MA部MA開発ブロックの佐久間です。私からは "What's new with IAM - from least privilege to organization policies and AI-powered assistance"のセッション内容について紹介します。

私は普段バックエンドエンジニアとして開発・運用業務を行っていますが、IAMというセキュリティに関係する部分において、AI/MLがどのように機能していくのか興味がありました。管理者だけではなく、私のようなアプリケーション開発者の目線においても理解が深まる内容でした。

以降、IAMについての最新情報とともに、気になったトピックを紹介していきます。

Identity Provider

こちらはGoogle CloudのIAM全体像です。

公開資料「What’s new with IAM」のP.6より引用

Identity Platformはその根底に位置し、多様なIdentityで構成されます。Identity Providerにはユーザーのものを使用できますが、以下の3通りの使い方があります。

  • 【Cloud Identity】IdPをGoogleに同期して使用
  • 【Identity Federation】Workforce Identity Federationを使用してGoogleに同期せず使用
  • 【Mixed Mode】上記2つを合わせ、従業員の拡大や買収などで同期しきれない分にIdentity Federationを使用

今回、120以上の製品がIdentity Federation対象としてGAとなりました。一例ですが、Microsoft Power BIのEntra IDでBigQueryを利用できるようになっています。

Access Boundary

多層防御のアクセス管理として、IAMのGrant、Denyに加え、Access Boundaryが紹介されました。

公開資料「What’s new with IAM」のP.14より引用

こちらはアクセス可能なリソースの範囲、境界を制限するポリシーです。この境界には組織、フォルダー、プロジェクトといったレベルで定義できます。これらのポリシーはGrantを意味するのではなく、アクセス可能な最大の範囲を定義します。こちらは間もなくプレビュー版が公開されるそうです。

たとえ誤操作や誤認識で許可されてしまってもセーフティネットとして機能してくれそうです。

Privileged Access Manager

Privileged Access Managerでは権限を資格として定義し、申請や承認の仕組みが利用できます。更新や承認が監査ログとして残る他、任意のEメールアドレスへ経過を送信できます。この度プレビューになりました。

公開資料「What’s new with IAM」のP.20より引用

Compute Adminなどの特権をそのまま付与するのではなく、資格として付与する権限や期間を定義できるため、一時的なトラブルシューティングのために1時間だけ払い出す、などの使い方ができます。そのため、作業後には意図しない権限が残り続けることはなく、不要な棚卸し作業から解放されそうです。

CIEM (Cloud Infrastructure Entitlement management)

Google Cloud-AWS間でCIEMがプレビューになりました。年内にはMicrosoft Azureとの連携が予定されています。

公開資料「What’s new with IAM」のP.25より引用

CIEMではマルチクラウド環境でのアクセス権限管理を可能にし、IAMロールの最適化についてもレコメンドを受けることができます。また、Chronicle SOARというセキュリティプラットフォームに統合することで、発覚した過剰な権限がどのような脅威になるのかやその修復方法がわかり、JIRAチケットの自動発行なども可能になります。Chronicle SOARの詳細については以下のドキュメントをご覧ください。

cloud.google.com

セッションでは過剰な権限付与がどれほど一般的に行われているかが説明され、最小権限の原則の重要性を強調されているようでした。

Resource Configuration

既に110以上のビルトインポリシーが、ガードレールのようにデフォルトで有効になっていますが、さらに組織レベルでのカスタムポリシー作成がGAとなりました。

公開資料「What’s new with IAM」のP.29より引用

例えば、GKEクラスターの作成にはバイナリ認証を有効にする必要がある、などを組織のポリシーとして定義できるようになります。

バイナリ認証が有効になっていると、検証環境で合格したイメージのみが本番環境にデプロイされることを担保できるなど、開発者にとってもうれしいポイントです。

Gemini Cloud Assist

最後に、Geminiによるアシストについての紹介です。こちらは間もなくプレビューになるそうです。

公開資料「What’s new with IAM」のP.37より引用

IAMやRoleに10,000もの推奨事項があるとして、必ずしも全てに対応する必要はないはずです。そこでGeminiが何から取りかかれば良いか、優先すべき事項を提案してくれます。また、あるサービスアカウントが最後に使われたのはいつだったのか、複雑なアクセスポリシーからどんな権限で拒否されているのかなどについても、自然言語で質問できるようになります。

やはり自然言語でどんな相談にも乗ってくれるのは、初学者や管理者などあらゆる立場の人にとって頼もしい存在に感じられました。ただセキュリティに関する部分なので、AI/MLが修復を推奨しなかったものはどのようなものなのか、なぜ推奨に至らなかったのかなどにも個人的には注意しようと思います。

まとめ

今年のGoogle Cloud Next '24は、去年同様にAIに関するセッションがとても多かったです。

去年はAIの可能性や今後についての観点でのセッションがメインだったと感じましたが、今年は進化したAIと実際の利用事例の紹介や今後Google CloudにどのようにAIが組み込まれ、進化していくかという内容が多かったと思います。

セッションだけでなく、世界中の企業が集まる企業ブースでAIの活用事例や現場のエンジニアとコミュニケーションを通して、本当にいろいろなところでAIが活用されているとを知ることができました。

この一年でAIが進化する速度の凄まじさを感じるとともに、次の一年でどこまで進化するのかが楽しみになりました。

紹介したセッション以外にもたくさんの興味深い発表がありました。全てのセッションは参加登録すれば公式サイトのSession Libraryから視聴できます。ぜひご覧ください。

最後に

カンファレンス参加に伴う渡航費や宿泊費は福利厚生のひとつであるセミナー・カンファレンス参加支援制度によって全て会社負担です。

ZOZOでは一緒にプロダクトを開発してくれるエンジニアを募集しています。ご興味のある方は下記リンクからぜひご応募ください!

corp.zozo.com

カテゴリー