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生成 AI を使用して従業員の生産性向上を支援する Amazon Q Business の一般提供開始

AWS re:Invent 2023 では、Amazon Q Business のプレビューを行いました。Amazon Q Business は、エンタープライズシステム内のデータと情報に基づいて質問に答え、要約を提供し、コンテンツを生成して、タスクをセキュアに完了することができる、生成 AI 駆動のアシスタントです。

Amazon Q Business を使用することで、組織のユーザーが想像力、効率性、および生産性を高め、データに基づいて行動し、準備を整えることを可能にする、セキュアでプライベートな生成 AI アシスタントをデプロイできます。プレビュー中、私たちはお客様からたくさんのフィードバックをいただき、そのフィードバックを使用してサービスの機能強化に優先順位を付けました。

4月30日、Amazon Q Business の一般提供が開始されたことをお知らせします。これには、カスタムプラグインに加えて、単一のステップで自然言語を使用して、組織のためにカスタマイズされた共有可能な生成 AI 駆動のアプリケーションである Amazon Q Apps のプレビューが含まれます。

このブログ記事では、利用可能になった新機能を含めた Amazon Q Business の主な機能を簡単に紹介し、Amazon Q Apps の機能を見ていきたいと思います。それでは、始めましょう!

Amazon Q Business の紹介
Amazon Q Business は、Amazon Simple Storage Service (Amazon S3)、Microsoft 365、および Salesforce などの 40 を超える一般的なエンタープライズデータソースにシームレスに接続し、ドキュメントや許可情報を保存します。ユーザーがその許可に基づいて、シングルサインオンを使用して既存の認証情報でコンテンツにセキュアにアクセスすることを確実にし、エンタープライズレベルのアクセスコントロールも含まれています。

Amazon Q Business は、ユーザーがウェブベースのチャットアシスタントを使用して、会社のポリシー、製品、業績、またはコードといった質問に対する回答を簡単に得られるようにします。Amazon Q Business をエンタープライズデータリポジトリにポイントすると、Amazon Q Business がデータ全体での検索、論理的な要約、傾向の分析を行って、ユーザーと対話します。

Amazon Q Business では、エンタープライズグレードのアクセスコントロールを備えた、セキュアでプライベートな生成 AI アシスタントを大規模に構築できます。また、管理上のガードレール、ドキュメントエンリッチメント、関連性の調整を使用して、会社のガイドラインに合わせて応答をカスタマイズし、制御することもできます。

以下は、利用可能になった新機能を含めた Amazon Q Business の主な機能です。

エンドユーザーのウェブエクスペリエンス
組み込みのウェブエクスペリエンスでは、質問をたずね、応答を受け取ってからフォローアップ質問をたずねて、以前の回答からの文脈を維持しながら、文中でソース引用を使用して新たな情報を追加することができます。応答は、アクセスできるデータソースからのみ取得できます。

一般提供に伴って、ウェブエクスペリエンスには新しいコンテンツ作成モードも導入されます。このモードでは、Amazon Q Business が応答の要約やパーソナライズされた E メールの作成などのクリエイティブなユースケースのためにエンタープライズコンテンツを使用したりアクセスしたりせず、その代わりに Amazon Q Business に組み込まれた生成 AI モデルを使用します。コンテンツ作成モードを使用するには、会話設定で [承認されたソースから応答] をオフにすることができます。

詳細については、AWS ドキュメントで「Using an Amazon Q Business web experience」と「Customizing an Amazon Q Business web experience」を参照してください。

事前構築されたデータコネクタとプラグイン
40 を超える事前構築されたデータコネクタAmazon Kendra レトリーバーを使用する、およびウェブクローリングを行ったりドキュメントを直接アップロードしたりすることで、エンタープライズデータを接続、インデックス化、同期化できます。

Amazon Q Business は、組み込みのセマンティックドキュメントレトリーバーを使用してコンテンツを取り込みます。また、アクセスコントロールリスト (ACL) などの許可情報を取得して順守し、それらを使用して取得後のデータへのアクセスを管理することを可能にします。データが取り込まれるときは、AWS Key Management Service (AWS KMS) のサービスマネージドキーを使用してデータがセキュア化されます。

プラグインは、JiraSalesforceServiceNow、および Zendesk などのエンタープライズシステムでアクションを実行するように設定できます。ユーザーは、チャットアシスタントでのチャット中に Jira 問題または Salesforce ケースを作成できます。Microsoft Teams ゲートウェイSlack ゲートウェイをデプロイして、チームまたはチャンネル内で Amazon Q Business アシスタントを使用することもできます。

一般提供の開始により、API 経由で任意のサードパーティアプリケーションに接続するカスタムプラグインの構築が可能になるため、ユーザーは自然言語プロンプトを使用して、Amazon Q Business アシスタント経由で休暇申請の提出やミーティング参加依頼の送信などのアクションを直接実行できるようになります。ユーザーは、残りの休暇日数や、スケジュールされているミーティングなどのリアルタイムのデータを検索することもできます。

[カスタムプラグイン] を選択するときは、サードパーティアプリケーションに接続するための OpenAPI スキーマを定義できます。OpenAPI スキーマは、Amazon S3 にアップロードする、または Swagger の OpenAPI 仕様との互換性を備えた Amazon Q Business コンソールのインラインスキーマエディタにコピーすることができます。

詳細については、AWS ドキュメントで「Data source connectors」と「Configure plugins」を参照してください。

管理者コントロールとガードレール
グローバルコントロールを設定して、大規模言語モデル (LLM) 限定の応答を生成するか、接続されたデータソースから応答を生成するかを選択するオプションをユーザーに提供できます。エンタープライズデータのみを使用してすべてのチャット応答を生成するかどうか、またはアプリケーションがエンタープライズデータ内に回答を見つけられないときには応答の生成に基盤となる LLM も使用できるかどうかを指定することが可能です。特定の単語をブロックすることもできます。

トピックレベルのコントロールでは、制限付きのトピックを指定して、そのトピックに対する応答での動作ルール (エンタープライズデータを使用して回答する、または完全にブロックするなど) を設定できます。

詳細については、AWS ドキュメントで「Admin control and guardrails」を参照してください。

メタデータフィールド名を指定し、条件を選択して、値とターゲットアクション (更新や削除など) を入力または選択するための基本的なロジックを設定することで、ドキュメントの取り込みプロセス中にドキュメントのメタデータや属性、およびコンテンツを変更することができます。また、画像からテキストを抽出するための光学文字認識 (OCR) の使用など、ドキュメントのフィールドとコンテンツを操作するために AWS Lambda 関数を使用することもできます。

詳細については、AWS ドキュメントで「 Document attributes and types in Amazon Q Business」と「Document enrichment in Amazon Q Business」を参照してください。

強化されたエンタープライズグレードのセキュリティと管理
4 月 30 日から、すべての新しいアプリケーションのユーザー ID 管理には、レガシー ID 管理ではなく、AWS IAM アイデンティティセンターを使用することが必要になります。従業員は、ウェブエクスペリエンスで、または独自のインターフェイスで Amazon Q Business アプリケーションにセキュアに接続できます。

また、IAM アイデンティティセンターを既存の IAM ロールやポリシーとともに使用して、従業員のアクセスを一元的に管理することもできます。アカウントの数が増えてくると、IAM アイデンティティセンターが、すべてのアプリケーションへのユーザーアクセスを一元的に管理する場として IAM アイデンティティセンターを使用するオプションを提供します。詳細については、AWS ドキュメントで「Setting up Amazon Q Business with IAM Identity Center as identity provider」を参照してください。

一般提供に伴い、Amazon Q Business は、データにセキュアに接続して保存し、アクセスログを簡単にデプロイして追跡するために、さまざまな AWS サービスと統合されました。

AWS PrivateLink は、VPC エンドポイントを使用して、Amazon Virtual Private Cloud (Amazon VPC) 内で Amazon Q Business にセキュアにアクセスするために使用できます。インフラストラクチャリソースの作成とプロビジョニングを簡単に自動化するには、AWS CloudFormation 用の Amazon Q Business テンプレートを使用できます。AWS CloudTrail を使用して、Amazon Q Business 内でユーザー、ロール、または AWS サービスが実行したアクションを記録することもできます。

また、機密情報を保護する暗号モジュールに対する米国およびカナダ政府の基準とセキュリティ要件に基づいて、米国連邦情報処理規格 (FIPS) エンドポイントもサポートしています。

詳細については、AWS ドキュメントの「Security in Amazon Q Business」と「Monitoring Amazon Q Business」を参照してください。

新しい Amazon Q Apps (プレビュー) を使用したアプリの構築と共有
4月30日、Amazon Q Apps のプレビューが発表されました。これは、Amazon Q Business 内の新機能で、これまでにコードを作成した経験がなくても、組織のユーザーが会社のデータに基づく生成 AI 駆動のアプリを簡単にすばやく作成できるようにします。

Amazon Q Apps を使用すると、ユーザーは自然言語で作成したいアプリを説明するだけで済み、Amazon Q Business が問題解決を支援した既存の会話を使用することもできます。数回クリックするだけで、Amazon Q Business が目的のタスクを実行するアプリを瞬時に生成し、組織全体で簡単に共有できます。

PartyRock を使い慣れているならば、このコード不要のビルダー簡単に使用でき、既に Amazon Q Business にあるエンタープライズデータに接続するという追加的なメリットもあります。

新しい Amazon Q アプリを作成するには、ウェブエクスペリエンスで [アプリ] を選択し、入力ボックスにタスクに関する簡単なテキスト式を入力します。コンテンツクリエーター、インタビュー質問ジェネレーター、議事録サマライザー、文法チェッカーなどのサンプルを試すこともできます。

ここでは、以下のプロンプトを使用して、ドキュメントのレビューと修正を行うドキュメントアシスタントを作成します。

あなたはプロの編集者で、文法的な誤り、つづりの間違い、文章のスタイルやトーンの不一致についてドキュメントをレビューし、修正する任務を負っています。ファイルが与えられたときの目標は、著者の本来の意図と意味合いを維持しながら、ドキュメントが最高の文書作成基準に従っていることを確実にするための変更を推奨することです。提案した修正と、それを裏付ける理由のすべてを、番号付きのリストで提供する必要があります。

[生成] ボタンを選択すると、ドキュメント編集アシスタントアプリが 2 つのカードとともに生成されます。カードの 1 つは入力としてドキュメントファイルをアップロードするためのカードで、もう 1 つは編集提案を提供するテキスト出力カードです。

[カードを追加] ボタンを選択すると、ユーザー入力、テキスト出力、ファイルアップロード、または管理者が事前設定したプラグインなどのカードをさらに追加できます。著者として企業ブログチャネルでの記事の公開をリクエストする Jira チケットを作成したい場合は、アップロードされたファイルからの編集済み提案の結果を用いる Jira プラグインを追加できます。

アプリを共有する準備ができたら、[公開] ボタンを選択します。このアプリは、他の人が使用できるように組織のカタログにセキュアに共有して、生産性を向上させることができます。同僚たちは、アプリの構築をゼロから始めるのではなく、共有されたアプリを選択し、それらを変更して、独自のバージョンを組織カタログに公開できます。

公開されているすべての Amazon Q Apps を表示するには、[ライブラリ] を選択します。カタログをラベルで検索して、お気に入りのアプリを開くことができます。

Amazon Q Apps は、Amazon Q Business から堅牢なセキュリティおよびガバナンスコントロールを受け継いでいます。これには、ユーザー認証やアクセスコントロールが含まれ、統制されたコラボレーションとイノベーションを必要とする部門全体で、組織がアプリを安全に共有できるようにします。

Amazon Q Apps は管理者コンソールで表示でき、ライブラリから管理したり削除したりできます。

詳細については、AWS ドキュメントで「Amazon Q Apps」を参照してください。

今すぐご利用いただけます
Amazon Q Business は、4月30日より米国東部 (バージニア北部) および米国西部 (オレゴン) の各リージョンで一般提供されます。これには、新たな 2 つの料金サブスクリプションオプションがあります。

Amazon Q Business Lite (3 USD/ユーザー/月) サブスクリプションは、Amazon Q Business の基本的な機能へのアクセスをユーザーに提供します。

Amazon Business Pro (20 USD/ユーザー/月) サブスクリプションは、Amazon Q Business の全機能へのアクセスに加えて、Amazon Q Apps (プレビュー) と、生成ビジネスインテリジェンス機能を使用してビジネスアナリストとビジネスユーザーの生産性を向上させる Amazon Q in QuickSight (Reader Pro) へのアクセスもユーザーに提供します。

Amazon Q Business は、無料トライアル (50 ユーザー、60 日間) を使用して試すことができます。料金オプションの詳細については、Amazon Q Business Pricing ページを参照してください。

Amazon Q Business の詳細については、自分のペースで進めることができる AWS Skill Builder の無料デジタルコース、Amazon Q Business Getting Started で学び、Amazon Q Developer Center でさらに多くのサンプルコードを入手することができます。

Amazon Q Business コンソールで今すぐお試しください! 詳細については、Amazon Q Business 製品ページと、AWS ドキュメントにあるユーザーガイドを参照してください。フィードバックは、AWS re:Post for Amazon Q、または通常の AWS サポート担当者を通じてお寄せください。

Channy

原文はこちらです。