Interop Tokyo 2024 ~ L5G x Celonaの取り組み紹介 ~

はじめに

こんにちは、イノベーションセンターの福永です。
NTTコミュニケーションズ株式会社は、日本最大級のネットワーク展示会である「Interop Tokyo 2024(会場:幕張メッセ、会期:2024年6月12日〜14日)」において構築されるShowNet に対して、Celona製品を用いてローカル5G環境を構築しました。
また、ShowNetウォーキングツアー用にローカル5G端末を提供しました。

ローカル5Gの構成について

ローカル5Gとは、自治体や企業など通信事業者ではない組織が、自らの建物内・敷地内でユースケースに応じて個別に構築する専用の5Gネットワークをいいます。
5Gには、4Gのインフラを基盤として動作するタイプ (NSA: Non Stand Alone) と5Gのインフラのみで動作するタイプ (SA: Stand Alone) に分けられますが、今回はSA構成で構築しています。

Celonaとは

Celonaとは2019年4月設立、カリフォルニア州キャンベルに拠点を置く企業向けプライベート5Gネットワークの新興ベンダーです。
Celonaプライベート5G LANは、組織に容易に導入できるよう設計されています。
設定はすべてCelona Orchestrator上で一元管理されており、ローカル5Gに接続されている各種端末情報を確認することも可能です。

今回の取り組みではCelona製品を利用し、ローカル5Gの環境を構築しました。

事前準備・事前検証

ShowNetに機器を持ち込む前に事前準備や事前検証を行っています。
ローカル5Gの利用にあたり無線局の免許(電波法第四条)の申請が必要であり、Interop Tokyo 2024に向けて屋内でのみ設置可能な周波数帯である4.6GHzの電波の免許を取得しています。
また、スペクトルアナライザで4.6GHzから4.7GHz以内に電波が収まっていることを確認しています。

提供端末について

ShowNetウォーキングツアー用に今回私達はローカル5G端末としてiPadを提供しています。
iPadをローカル5Gで利用するためにはいくつか条件があり、その1つがプライバシーの秘匿要件です。
これを満たすためにローカル5G製品ではSUCI(Subscription Concealed Identifier)への対応が必要です。
また、指定されたMCC(モバイル国コード)及びMNC(モバイルネットワークコード)を利用する必要があり、IMSIが999002から始まるSIMカードを利用しています。
MCCが999、MNCが002で始まるIMSIについては、総務省総合通信基盤局電波部移動通信課に対して指定申請を行う必要があり、今回のイベントに向けて申請を行っています。

今回の提供端末は、最新のM4チップのiPadを使用しました。これには物理的なSIMカードを刺すスロットがなく、eSIMのみに対応しています。
アメリカで発売されているiPhoneはすでに物理SIMスロットがなくeSIMだけで今後、日本においても同様にeSIMのみとなる可能性もあるかもしれません。
また、工場やIoTで使用される端末ではeSIMのみに対応する端末もあり、対応が必須となりますが、今回はその実用性も実証できました。

eSIMは大きく分けるとコンシューマ(スマホ向け)とM2M(IoT等の機器向け)の二種類があり、今回はコンシューマ向けのeSIMを利用しています。
その場合、QRコードを読み込んでSIM製造ベンダ側が提供しているeSIMサーバ(SM-DP+)と通信させプロファイルのダウンロードが必要となります。

現地測定について

無線品質の測定はWindows端末にネットワーク測定ツールをインストールして測定しています。
下の散布図は、現地の測定結果で縦軸がスループット(NR PDSCH Tput(Mbps))、横軸が電波強度(NR PCell SS-RSRP (dBm))で表しています。
会場内を歩き回り測定を実施したところ、電波強度が-130dBmを超えたあたりでローカル5Gとの接続が切れることがわかりました。
また、ダウンリンクが500Mbps、アップリンクが70Mbpsを超えたあたりで頭打ちとなっており、会場内での最大スループットはその値までは電波強度と比例関係にあることがみてとれますが、その値が限界となっていることが散布図の傾向から考察できます。

下のヒートマップは会場内の電波強度を色の濃淡で表しています。
展示ホールの4の2箇所から電波を発出しており、中央や奥の展示ホール6に行くにつれて電波強度が弱くなっていることが確認できました。

終わりに

本記事では、Interop会場に構築したローカル5G環境について紹介しました。 今回、屋内環境について検証ができたので、今後は屋外環境での導入検討も進めていく予定です。
今後もローカル5Gについて情報発信していくことにより、多くのお客さまに利用して頂けるよう努めていきたいと思います。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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