登壇者を5倍に増やした秘策 - iOSDC Japan 2020に向けたZOZOテクノロジーズの取り組み

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こんにちは! ZOZOTOWNのiOSアプリ開発をしている林と松井です。先日、9/19から9/21までの3日間iOSDC Japan 2020が開催されました。

ブログを書くまでがiOSDC!#didyoublog?

今年はコロナ禍でオンライン開催となり、現地の盛り上がりを体感できませんでしたが、ニコニコ生放送の弾幕などオンラインならではの楽しみがありましたね。また、例年通り素晴らしい発表が盛り沢山でした!

オンライン開催においても弊社はスポンサーとして協賛し、10名を超えるメンバーが参加しています。うち5名はスピーカーとしての参加でした。この記事ではiOSDC Japan 2020で登壇するために行った弊社の取り組みと、登壇した社員の発表をご紹介いたします。

採択率向上と登壇内容ブラッシュアップのための取り組み

iOSDC Japan 2019ではZOZOテクノロジーズの登壇者が1名のみでしたが、今年はなんと5名も採択されました! 担当しているプロダクトとしてはZOZOTOWNから4名、WEARから1名が登壇しました。今回はZOZOTOWN iOSチームからの採択率を大幅に向上させた取り組みを大公開します。

ネタの整理

過去にCfPに応募する際に、「何を発表すればいいのかわからない」という悩みを持っているメンバーがいました。

ZOZOTOWN iOSアプリは10年以上、改善を続けて進化しているサービスです。レガシーからモダンへのリファクタリング、新しい技術を導入してファッション業界を盛り上げたサービスなど、普段の開発業務でも掘り下げてみると面白い内容がたくさんあったはずです。

それらを可視化するために、iOSチームではネタ表を作成し、整理してみました。まず、最近導入した技術・解決した問題・または興味があって研究したいことを定期的に記入します。そしてチーム内に共有することで、ネタがどんどん集まりました。

実際にこのネタ表から展開して今回のiOSDC Japan 2020の発表タイトルとなった内容がいくつも存在します。

作業時間の確保

ネタがあっても、なかなか調査や検証に着手できないことが多々ありますよね。そこで「もくもく会」を導入しました。もくもく会とは、ネタに対して集中して作業できる専用の時間です。毎週の通常業務として1時間を確保し、チームメンバーが黙々と各自のネタを検証し、最後に進捗を共有します。CfPの応募期限が直前となった時期には、1回のもくもく会を2時間へ増やしたこともありました。気を散らさず集中的に作業することで、スムーズに調査や検証ができました。

このような取り組みを通して、チーム全体の力を合わせてメンバー一人一人をサポートし合っています。その結果、ZOZOTOWN iOSチームがCfPに応募した7件のうち、レギュラートーク2件、LT2件の合計4件が採択されました。

技術顧問レビュー

そして採択された後も、当日を迎えるまでサポートは続きます!

たとえば、弊社では毎月iOS技術共有会を開催しています。この会は弊社のiOS開発者全員が集まり、それぞれのプロダクト開発で得た知見を共有する場です。共有会には技術顧問である岸川さんも出席しており、毎月様々なアドバイスを頂いています。iOSDC Japan 2020開催直前は、発表資料に対するレビュー会が行われ「iOSDC Japan殿堂入り」のスピーカーから貴重な意見をいただけました。チーム内の手厚いレビューを経て登壇資料が完成します。

iOSDC Japan 2020当日の工夫

今年のiOSDC Japan 2020は初のオンライン開催となりましたが、弊社ではすでにオンライン開催でのWWDC20参加を経験していたため、大きな混乱はありませんでした。WWDC20についてのまとめは他の記事にてまとめていますので、ぜひご覧ください。 techblog.zozo.com

ここでは、開催期間中の働き方、効率的にトークを見るためにチームで行った取り組みをお話します。

開催期間中の働き方

弊社はカンファレンスへの参加が推奨されており、今回のiOSDC Japan 2020も勤務扱いとし、3日間それぞれ振替休日をとる形となりました。

チーム内での効率化

どの発表も興味深い内容であったため、トークの選択に迷われた方も多かったのではないでしょうか。より多くのトークを効率よく視聴するために、チーム内で視聴予定を共有できる工夫をしました。

まず、Miroというツールで事前にどのトークを見る予定か、もしくは迷っているかを宣言するタイムテーブルを作成します。その上にみんなそれぞれ自分の名前ラベルを貼っていき、どの時間帯にだれがどのトークを見ているのかをわかるようにしました。

このようにすると、迷っていた方のトークを他の人が見る予定であれば、もう1つの方を視聴し、後で共有し合うなどといった選択も可能になります。

実際にMiroで用意した画面をご紹介します。

iPadでフルページスクリーンショットを3枚撮り、貼って置くだけの簡単運用です。フルページスクリーンショット便利ですね! image

拡大してみると、こんな感じです。 image

登壇内容の紹介

最後に、弊社のCTO今村からスポンサーセッション1件、採択された5件、技術顧問である岸川さん2件の合計8件のトークをご紹介します。

「ファッション業界を技術で変える、ZOZOの挑戦〜CTOが語る理想の組織像とは〜」

最初に紹介するのは、CTO今村(@kyuns)のスポンサーセッションです。

本セッションではiOSエンジニアの働き方やこの1年間の組織・プロダクトの変遷と改革について紹介しました。私たちiOSエンジニアが日頃どのように開発に取り組んでいるのか、組織やプロダクトはどのように進化しているのかを様々な数値やキーワードとともに説明しています。iOSエンジニアが日頃活用している開発環境や補助制度(iPad Proの貸与やApple Siliconの開発者Kit購入補助など)についても紹介しております。 fortee.jp

「iOSではじめるWebAR」

次は、@ikkouのレギュラートークです。

ARやVRといったXR領域が大好きなikkouは、ARKitに関する技術を定常的にキャッチアップしています。今回テーマとした選んだWebARは、Web技術ということもあり取っつきやすさはピカイチです。もっと多くの人にARについて知ってもらいたく、iOSDC Japan 2020に登壇しました。ARの基礎からサンプル付きで主流の技術まで、目的別で各技術を詳しく紹介しています。これからWebARをはじめたい方はぜひご覧ください!

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「iOSアプリのバッテリー消費を意識する」

次は、@arara_jpのレギュラートークです。

Appleやユーザーはバッテリーを非常に重視していますが、デベロッパーはクラッシュフリー率や起動速度など他の指標と比べると、バッテリーにそれほど関心を示していない傾向があります。

ですが、この発表の後、Ask the Speakerで「バッテリーの調査方法ありがとう!」とコメントをいただいたり、「自分のアプリも見てみよう」とツイートがあったりと、少しでもバッテリー消費に関心を持つきっかけを生み出せた気がします。ぜひご覧いただき、開発者の皆さんに少しでもバッテリー消費に関しての意識付けがされたら幸いです。

fortee.jp

「テストコードが増えるとバグは減るのだろうか?「0%→60.3%」で見えた世界の話」

次は、@ahiruのレギュラートークです。

テストコードを書く文化がなかったZOZOTOWNのコードにテストを導入し、この1年でテストカバレッジの割合を0%から56.4%(タイトルの60.3%から訂正)にまで増加させたお話です。

当日はトーク後のAsk the Speakerも大行列ができており、自動テストやQAチームとの勉強会の内容など、ZOZOTOWNの実情に関する質問が途切れませんでした。他社のテストコード導入事例に興味のある方が多いのではないでしょうか。本トークでは実体験を軸にしたメリット・デメリット、組織や開発体勢に適したテスト手法の一例も紹介しています。テストコードを導入した他社事例をはじめ、テストに興味がある方はぜひこのトークを見てください。

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「文字列をコピーできるスクリーンショットを作る」

次は、@re___youのLTです。

こちらのLTでは、文字列をコピーできるスクリーンショットの作り方について、コードやわかりやすい図を使って解説しています。画像を文字に起こす必要がなくなり、iOSエンジニアとしてもデザインデータの検索をする際など、とても便利だと思います。iOS 13からフルページのスクリーンショットが可能となったことについて「知らなかった!」という声も多くありましたが、フルページのスクリーンショットの作成については他の記事にまとめてありますので、ぜひこちらもご覧ください! techblog.zozo.com

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「100人以上の中高大学生にiOSアプリ開発を教えていて感じたこと」

次は、@tosh_3のLTです。今回、初めてのカンファレンス参加かつ登壇となりました。

新卒のtosh_3は、なんとすでに100人以上の中高大学生へ教える立場にあったんです! その驚異の経験から、発表中のニコ生コメントも「新卒とは」「新卒ですでに教える立場」とかなり盛り上がっていました。教え方の工夫だけではなく、iOSエンジニアとして考えるべき視点についても語っていますので、ぜひスライドを覗いて見てくださいね。

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「SourceKit LSPをブラウザでコードを読むために活用する」

ここからは岸川さんのレギュラートークを紹介します。

本トークは、岸川さんが今年仕事や趣味で携わってきた、SourceKit-LSPについての発表でした。ブラウザでGitHub上のSwiftコードを読むときに、Xcodeのようにメソッドの定義元にジャンプできるデモが行われた際には、ニコ生コメントで弾幕ができるほど盛り上がりました。SourceKit-LSPの基礎から活用まで一連の知識がわかりやすく紹介されて、コードレビューの効率が革命的に上がる技術になりますので、ぜひご覧ください。

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「400種類のアプリを毎日ビルドする自動化の技術」

次にも、岸川さんのレギュラートークとなります。

このトークでは、Slackbot・fastlane・Bitriseなどの機能を活用して、CIビルド用の情報の自動収集や更新・プッシュ証明書の自動更新・App Store Connectの申請情報の自動更新など、究極の自動化を追い求める技術が幅広く語られました。現状のZOZOTOWNアプリでも、究極を求めて改善できるところが多々あります。岸川さんにご協力を頂きながら、より自動化されたZOZOTOWNアプリを目指していきます。 fortee.jp

以上、セッションの紹介でした。

After iOSDC Japan 2020を開催

ブログを書くまでがiOSDC! と言いますが……いえいえ、iOSDC Japan 2020はまだ終わりませんよ!

今回開催されたiOSDC Japan 2020について、弊社ではAfter iOSDC Japan 2020を9月29日(火)に開催します。Sansan(株)、note(株)、(株)ZOZOテクノロジーズの3社による合同イベントです。

各社の社員によるLT、パネルディスカッションを行いますので、興味のある方はぜひご参加ください!

こんな方におすすめです。

  • iOS関連技術およびすべてのソフトウェアエンジニア
  • iOSDC Japan 2020の振り返りを一緒にしたい方
  • iOSDC Japan 2020には参加していないけど、情報が知りたいという方

本イベントには、ZOZOテクノロジーズの技術顧問でもある岸川さんも登壇します。

iOSDC Japan 2020に参加した人もそうでない人も、みんなで振り返りましょう!

イベント申し込みはこちらから!

zozotech-inc.connpass.com

さいごに

ZOZOテクノロジーズでは、一緒にモダンなサービス作りをしてくれる方を募集しています。ご興味のある方は、以下のリンクからぜひご応募ください! tech.zozo.com

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