現在、多くの企業がAIモデルの開発とシステム化に取り組んでいます。
その中で、効率的にモデル開発を進めるためのMLOpsにも注目が集まっています。
MLOpsの概要については、「MLOps構築によるAIモデル開発の効率化」で説明していますので、ぜひご覧ください。
今回は、MLOps環境構築の際に使用したKubernetesというツールについて説明します。
Kubernetes(以下、K8s)を一言で表すと、コンテナオーケストレーションツールです。
ここではまず、コンテナとは何かを説明し、コンテナをオーケストレーション(管理)するとはどういうことなのか、AIモデル開発で使用するとどのようなメリットがあるのかを説明します。
Kubernetesの概要
コンテナとは
コンテナは、アプリケーションとその実行環境をパッケージ化し、どの環境でも同一の動作をするようにする技術です。
ホストOSのカーネルを共有しながら、アプリケーションごとに独立した実行環境を提供します。
コンテナの構成要素として、コンテナの実行環境を定義するテンプレートであるイメージ、イメージから作成される実行可能なインスタンスのコンテナ、コンテナイメージを保存し、共有するコンテナレジストリがあります。
Kubernetesとは
K8sは、コンテナ化されたアプリケーションのデプロイ、スケーリング、および運用を自動化するためのオープンソースのコンテナオーケストレーションプラットフォームです。
Googleによって開発され、現在はCloud Native Computing Foundation(CNCF)によって管理されています。
K8sの主な機能として、以下のものがあります。
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コンテナの管理:
コンテナのライフサイクル管理を行い、障害が発生した場合には自動的に再起動や再配置を行います。 -
自己修復:
障害が発生したコンテナを自動的に再起動し、ノードに障害が発生した場合には他のノードに再スケジュールします。 -
機密情報の管理:
パスワードなどの機密情報を安全に管理し、アプリケーションに提供します。
K8sの主要なコンポーネントをいくつか紹介します。
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クラスタ:
K8sは、複数のノードと呼ばれる、コンテナを実行するためのワーカーマシン(物理マシンもしくは仮想マシン)で構成されるクラスタ上で動作します。 -
Pod:
K8sの最小デプロイメント単位であり、1つ以上のコンテナを含むことができます。 -
Deployment:
Podの作成と管理を自動化するためのオブジェクトです。
Podの望ましい状態を定義し、その状態を維持するために必要な動作を自動的に実行します。 -
Secret:
パスワードなどの機密情報を保持するオブジェクトです。
MLOpsにおけるKubernetesの利用例
AIモデル開発において必要な作業には、データセットの前処理、学習、推論、モデルのデプロイなどがあります。
これらを独立したコンテナとして運用すると、1つのマシンに負荷がかかりすぎたり、必要な数のコンテナが起動しないといった問題が発生することがあります。
しかし、K8s を使用することで、効率的なリソースの割り当てや必要なコンテナ(Pod)の起動を自動で行うことができ、管理の手間を大幅に削減できます。
これにより、モデル開発に集中することが可能になります。
また、Kubeflowなどのツールを使用してパイプラインを定義しておくことで、データの前処理からデプロイまで一気通貫で実行することができます。
まとめ
K8sを活用することで、AIモデル開発の効率化を図ることができます。
コンテナの管理やリソースの最適化を自動化することで、開発者はモデルの精度向上や新機能の開発に集中できる環境を整えることが可能です。
最後に
私たちのTech Blogを最後までお読みいただき、ありがとうございます。
私たちのチームでは、AI技術を駆使してお客様のニーズに応えるため、常に新しい挑戦を続けています。
最近では、受託開発プロジェクトにおいて、MLOps構築のニーズが高くなってきていますが、弊社ではAI開発経験者の目線で使いやすい環境を構築するように努めています。
また、このようなシステム開発にチャレンジしたいという技術者も募集しております。
AI開発経験のある方やMLOps、LLM開発に興味のある方は、ぜひご応募ください。
あなたのスキルと情熱をお待ちしています。