スタメンのCTOの@tnirです。前回は9年選手のTUNAG RailsアプリをRuby 3.4にアップデートしたという記事を書きました。スタメンでは、従業員体験プラットフォーム「TUNAG」の開発にGitHub Copilotを導入し、特にCopilot WorkspaceとGitHub Copilot pull request summaries・GitHub Copilot code review(旧Copilot for Pull Request)を活用しています。
- 注)Copilot Workspaceは執筆時点(2025年2月)でpublic previewです。
先週末にOpenAI o3-miniがGitHub Copilot上でも利用可能になり利用を開始し1週間ほど経過したので、この記事では10年選手のモノリスアプリケーションを継続的に改善していく上で、GitHub Copilotがどのように役立っているかをご紹介します。previewである機能の利用は GitHub Pre-release License Terms - GitHub Docs に基づきます。
モノリスの課題と継続的改善
TUNAGは、10年以上の歴史を持つモノリスアプリケーションです。長年にわたって機能追加や改修を重ねてきた結果、コードベースが複雑化し、以下のような課題を抱えていました。
- コードの可読性・保守性の低下
- 新機能開発・改修コストの増大
- 技術的負債の蓄積
これらの課題を解決し、TUNAGの成長を支えるためには、継続的な改善が不可欠です。
GitHub Copilotの導入
開発効率向上のため、2022年ごろよりGitHub Copilotを導入しました。当時のエンジニアからはこのような評価を得ており、その後現在に至るまでエンジニアには有償版Copilotアカウントを付与しています。

先週末の以下のGitHub CopilotのOpenAI o3-mini (preview)サポートの発表を踏まえ、今回は、特にCopilot WorkspaceとGitHub Copilot pull request summaries・GitHub Copilot code review(旧Copilot for Pull Request)に注目し、モノリス改善への効果を期待しました。
GitHub Models users with a paid Copilot plan will also be able to leverage the o3-mini model to enhance their AI applications and projects later today. In the GitHub Models playground, you can explore o3-mini’s versatility as you experiment with sample prompts, refine your ideas, and iterate as you build. You can also try it alongside other models available on GitHub Models including models from Cohere, DeepSeek, Meta, and Mistral. OpenAI o3-mini now available in GitHub Copilot and GitHub Models (Public Preview) - GitHub Changelog
Copilot Workspaceの活用
Copilot Workspaceは、IDE上でコードの補完や提案を行ってくれるため、開発効率を大幅に向上させることができます。筆者はVisual Studio Codeを利用していますが、そのエクステンション vscode:extension/GitHub.copilot?referrer=docs-copilot-ai-powered-suggestions
を利用しています。
- Copilot Chat
- Copilot Edits
TUNAGの開発では、Copilot Workspaceを活用することで、以下のような効果が得られています。
- エラーハンドリングの抜け漏れの回避
- 類似コードの提案によるコーディング時間の短縮
- API仕様の自動生成による開発効率化
特に、初期実装から時間が経過したコンポーネントにおいては、Copilot Workspaceがコードの理解を助け、開発スピードを向上させる上で非常に役立っています。
Copilot for Pull Request (GitHub Copilot pull request summaries・GitHub Copilot code review)の活用
Copilot for Pull Requestは、プルリクエストのレビューを支援してくれる機能です。2023年3月時点ではGitHub NextでCopilot Enterpriseユーザーのみに提供されていたため、利用を断念していた人・組織が多いのではないかと思います。GitHub Web上で利用しています。(Copilot for Pull Requestは2023年12月に廃止されました)
現在はCopilot for pull requestsという形で独立したドキュメントになっており、GitHub Copilot pull request summariesとGitHub Copilot code reviewが主な機能です。
TUNAGの開発では、 Copilot pull request summariesとCopilot code reviewを活用することで、以下のような効果が得られています。
- 変更箇所の説明文の自動生成
- レビュー観点の提案
- コード品質の向上
プルリクエストのレビューは、コード品質を維持する上で重要なプロセスですが、多くの時間と労力を必要します。Copilot for Pull Requestは、レビュープロセスを効率化し、より質の高いレビューを実現する上で貢献しています。
モノリス改善への貢献
GitHub Copilotの導入により、TUNAGの開発Developer Experience (DevEx) チームは、モノリスアプリケーションの継続的な改善を効率的に進めることができるようになりました。
- コードの可読性・保守性の向上
- 新機能開発・改修コストの削減
- 技術的負債の解消
2025年に入ってから、DevExチームではバンドリングツールをwebpack 4/5からesbuildへのリプレースするプロジェクトを推進していたのですが、そちらでも活用ができています。
コミットメッセージも次のようになっていて、Copilotというエンジニアと開発している感覚にもなりました。
Co-authored-by: Copilot <175728472+Copilot@users.noreply.github.com>
新モデルの利用
先に書いた通り、1/31にo3-miniがリリースされると同時に、GitHub Copilotでも利用が可能になりました。特にGitHubを運営するMicrosoftグループとOpenAIの協力なパートナーシップの元、高速なo3-mini対応が実現したと認識しています。これはシングルプロダクト・all-in-oneプロダクトの強みを最大限活かしたものであり、TUNAGが同様にシングルプロダクト・all-in-oneプロダクトであることのSaaS事業運営上の強みと通じるものがあると感じることができました。
o3-miniだけではなく、既にGemini for Google WorkspaceやGoogle AI Studioで活用できていたGemini 2.0も利用可能にしています(オプトインが必要でした)。
今後の展望
私たちは、以下の施策を通じてさらなる改善を目指しています。
- 本日発表されたagent modeを活用した開発の深掘り
- 既に手元では利用できていましたが、公式に使えるようになったということもあり、深掘りして利用できればと思います。
- テスト自動化の拡充
- テストケースの自動生成を通じたテストカバレッジの向上ができそうだと感じています。
- リグレッションテスト強化にも使えそうです。
- ドキュメンテーションが不足しているケースがあるので、その解消にも役立ちそうです。
- コードベースの自動ドキュメント生成
- ADRの整備にも一役買いそうです。
- Gemini 2.0の統合
- これまではGeminiとGitHub Copilotでいったりきたりが必要でしたが、それらが統合されたことにより、IDEまたはWebブラウザで操作できるのは快適でした。同じ画面上で用途に応じて使い分けをしていこうと思います。
まとめ
GitHub Copilot、特にCopilot WorkspaceとCopilot for Pull Requestは、モノリスアプリケーションの継続的改善を支援する強力なツールです。DevEx・プラットフォームエンジニアリングの領域においては、まだ適用できないケースもありましたが、それでも生産性向上への貢献は絶大だと感じました。
スタメンでは、GitHub Copilot以外のGenerative AI技術・プロダクトを活用を進めているため、そちらについても別途共有できればと思います。GitHub Copilotの導入は、複雑なアプリケーションを抱える開発チームにとっても非常に有効な手段なので、未導入で迷っているようでしたらぜひ試してもらえればと思います。
- 注)本記事の内容の執筆に関して、GitHub Copilot の利用規約 (GitHub Copilot プライバシーに関する声明など) を遵守しています。Copilot Workspaceを含む一部の製品機能においてプレビュー版が含まれているため、将来の仕様変更やサービス提供終了に注意が必要です。
この領域でアクセルを踏むため、以下のポジションでエンジニアを募集していますので、チェックいただけると幸いです。