こんにちは。介護/障害福祉事業者向け経営支援サービス『カイポケ』でエンジニアリングマネージャー(以下EM)を担当している小宮山(@Eirandesmsrad11)です。
先日、Developers Summit 2025に参加しましたので、参加したセッションの感想をレポートします。
参加したセッションの感想
自動テストの世界に、この5年間で起きたこと
要約
E2Eテスト界隈における5年間のお話です。資料はこちらとなります。
5年前はE2Eテストの導入に際して「テストコードの作成、テストコードのメンテナンス、テスト実行環境の構築と運用」の3点を課題として挙げる顧客が多かったが、CypressやPlaywrightといった新しいツール群やGitHub ActionsでCI/CDのパイプラインに組み込みやすくなったことで、テストのハードルが下がってきた。
今は「E2Eのカバレッジを上げたいが何をすれば良いか」「どうすれば障害予防に効果があるテストになるか」といったテスト設計に関する課題に変わってきているとのことでした。
これらは非定型の業務で改善が難しかったが、生成AIはこういった業務にも適用可能なため、生成AIを活用することでこれらの課題解決に繋げようとしているそうです。具体的には、文章以外の情報を含む仕様書を分析してテスト設計を行うようなイメージですね。
感想
E2E界隈にも生成AIの波が来ていると感じました。
一方で、E2Eテスト全体で何を保証するために実施するのかという点は、人が継続して考えなくてはならない大事な部分であり、AIを課題解決の手段としてうまく活用していかなければならないという思いを強くしました。
エンジニアキャリア図鑑 ~エンジニアリングマネージャー VS テックリード~
要約
ログラスさんによるEMとテックリード(以下TL)の対談セッションでした。
ざっくりですが、それぞれ以下のような仕事内容とのことでした。
EMの方の仕事内容
- スクラムチームのマネージャーとして、チーム全体のマネジメントを行う
- スクラムイベントでチームに問いかける
- チームの方向性が会社全体の方針に沿っているか(個別最適になっていないか)を確認する
- 未決定だが将来必要になりそうな事柄に対して、プロアクティブに対応する
TLの方の仕事内容(ログラスさんの社内ではTLという役割は明確には存在していないそうです)
- 普段はスプリントに参加して、一人のエンジニアとして働く
- チーム横断するプロジェクトの立ち上げや参加
- 事業側と連携して、これから発生するであろう課題に対して先手を打って対策をしておく
感想
EMの実際の仕事内容は組織によって大きく異なるため、ログラスさんの事例を聞けたのは参考になりました。EMとTLがうまく役割分担しつつ協力している様子も印象的でした。
仕事をする中で感じることが近い部分もあり、非常に共感できるお話でしたね。
業務理解の深化と実践~ドメインモデリングで基幹システムを捉える
要約
モノタロウさんの基幹システム刷新推進のお話です。資料はこちらとなります。
イベントストーミングに力を入れており、繰り返しながら全員でドメイン理解を深め、モデリングを進めているとのことです。
詳細は資料に記載されているので、ぜひご確認ください。
感想
エス・エム・エスでもカイポケのリニューアルを進めており、同様の事例はとても参考になりました。セッションを聞いていて、進め方が非常に合理的だと感じました。
新システムへの移行は現在進行中とのことなので、移行完了後のお話もぜひ伺いたいですね。
リーダブルテストコード~メンテナンスしやすいテストコードを作成する方法を考える~
要約
単体テスト、E2E、QAそれぞれの領域に精通されている3名の方による対談セッションでした。資料はこちらとなります。
単体テストおよびE2Eで読みやすいテストコードを作成するための留意点、セルフチェックやレビューの進め方について、具体的な事例も交えながら対談するセッションでした。
たとえば、セルフチェックやレビューの進め方として、最初に個々のテストコードを確認するのではなく、単体テストの場合はテストレポート、E2Eテストの場合はテストシナリオといったテスト設計の確認を先に行う、という提案がなされていました。
また、テストの抜け漏れを防ぐためにAIも活用されているそうです。
感想
具体的なコード例もあり、非常にイメージしやすい内容でした。
t_wadaさんのお話は以前から好んで聞いていますが、今回もテストの重要性を改めて再認識することができました。
急成長する企業で作った、エンジニアが輝ける制度
要約
エンジニアを派遣するビジネスで、成長を促す枠組みをうまく作ることができなかった部分を、VPoEの方が整備していったというお話です。資料はこちらとなります。
具体的には、エンジニアの評価制度やキャリアプラン、ナレッジ共有を通じたチーム醸成の取り組みについて語られていました。
感想
エンジニア経験のない経営層と、どのように共通の見解を持ち、会社の制度として確立していったのかという生々しいお話を聞けて有意義でした。
とても大変だったと思いますが、それでも形にしていける登壇者の推進力の凄さには敬服しました。
目の前の仕事と向き合うことで成長できる - 仕事とスキルを広げる
要約
日々の仕事の中で内省とフィードバックのサイクルを回すことで成長できるというお話です。資料はこちらとなります。
具体的には、以下のサイクルを回すことが提唱されていました。
- 日報でTODOと見積もりを作る(週報でもOK)
- 実際に自分でタスク管理しながら実施する
- その日の終わりに結果を振り返る
- 振り返りをもとにネクストアクションを設定する
感想
セッションのタイトルだけを見ると、ただ頑張って仕事に取り組めば成長できるという印象でしたが、実際には仕事の進め方そのものを仕組み化・改善することで成長につながるという、非常に納得できる内容でした。
全体を通しての感想
まず、生成AIが引き続き熱いと感じました。どの企業の方も生成AIを高いレベルで開発に取り入れるか、プロダクトに組み込んでおり、普及が進むとともに利用シーンも増えている印象です。エス・エム・エスでも、より積極的に活用していきたいと思いました。
こういったイベントに参加して、困難な課題に向き合っている人たちの話を聞くことで、自分も頑張ろうという元気をもらえます。引き続き、参加していきたいです。