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日米の生成AI×広告・PR活用事例5選!ユーザーは生成AI広告をどう感じているか調査してみた

本記事は  生成AIウィーク  6日目の記事です。
👨‍💻  5日目  ▶▶ 本記事 👩‍💻

こんにちは。デジタルマーケティングコンサルタントの太田です。

本記事では、日本とアメリカで生成AIを活用した広告とPR事例を紹介します。

また、生成AI広告に関する調査を行い、今後生成AIをどのように広告に活用していくべきなのかをまとめました。

生成AIを活用した広告事例5選

①株式会社伊藤園

www.youtube.com 出典:伊藤園公式チャンネル

株式会社伊藤園は、AI生成によるAIタレントを日本で初めて採用しました。 メリットとしては、タレント出演契約料・CM制作期間の削減や不祥事などの不測のリスクを回避できることが挙げられます。

②株式会社宮崎銀行

出典:PRTIMES

株式会社宮崎銀行はAIで生成した架空の女性を専属タレントに起用。2024年11月からホームページなどで使用し、2025年2月からはテレビCMにも起用する予定であることが発表されました。AIの活用で先進的な活動をアピールしていくものと考えます。

③東日本電信電話株式会社

出典:東日本電信電話株式会社ニュースリリース

2025年2月19日にバーチャルプロダクションと生成AIを活用した新たな店舗体験をビックカメラ新宿西口店で提供を開始することが発表されました。 店舗体験したユーザーが生成AIで制作された映像と体験風景が自動で合成されたショート動画をダウンロード。その後、その動画に「#ビックに眠る」のハッシュタグを付けてSNSに投稿することで睡眠に関する興味と利用促進を図るものと考えます。

④米コカ・コーラ

www.youtube.com 出典:Coca-Cola公式チャンネル

米コカ・コーラは、2024年11月にクリスマスの到来を告げるホリデーシーズンの広告を公開。このCMは、生成AIで生成した動画で効率化を図ったと考えます。

⑤米トイザらス

youtu.be 出典:Toys“R”Us公式チャンネル

米トイザらスは、2024年6月に動画生成AI『Sora』を使ったwebCMを公開。 創業者であるチャールズ・ラザラス氏の幼少期を実写映像のように公開したことで大きな反響がありました。

生成AI広告に関するユーザー調査をしてみた

先述した生成AIを活用した広告の反響をYouTube・Xなどで確認したところ、『先進的』『面白い』といった肯定的な意見や『奇妙』『怖い』といった否定的な意見が見受けられました。

どうして生成AIを活用した広告は賛否が分かれるのでしょうか。詳しく調査をしてみました。

Yahooリアルタイム検索で感情調査

Yahooリアルタイム検索は、入力したキーワードがどのような言葉とともにつぶやかれているかを機械的に分析し、その割合を円グラフで表示してくれるツールです。 2025年2月21日に『生成AI 広告』と入力し、過去30日間の結果を確認ところポジティブ10%、ネガティブ90%という結果がでました。

主に、生成AIを使った広告は違和感がある。といったネガティブな意見が目立っているように感じます。

具体的には、

  • AIモデルが人間味がなく不気味

  • AIモデルの外見が実際の人物(モデル)と類似している。AIにモデルの画像を学習させすぎでは

  • 企業はタレントに出演料を出すのが惜しいのか

  • クリエイターを軽視していないか

というものでした。

生成AIを広告活用しようという試みは斬新なアイデアですが、法的にグレーゾーンに置かれていることがネガティブな感情を人々に与える一つの要因ではないかと考えます。

Googleトレンドで動向調査

次に、Googleが提供する『Googleトレンド』を使い、過去のキーワードの検索傾向・人気度を調査しました。 2025年2月26日までの過去12か月間を対象に、どの地域で『生成AI 広告』というキーワードの人気度が高かったかを確認したところ、 主に関東地方・東海地方であることが判明しました。

また、同様の期間を対象に『生成AI』は、どのような関連キーワードでニュース検索をされているのか確認しました。 人気の高い検索クエリとしては

  • 画像・動画といった制作物に関するワード

  • 著作権といった法律に関するワード

注目の高い検索クエリとしては、

  • Openai・Geminiといったアメリカ企業・ツールに関するワード

  • リスキリング・aiセキュリティ・生成ai 規制といった学びにつながるワード

が挙がりました。

これらの結果から、『生成AI』について検索しているユーザーには、

  • 法的にグレーゾーンであるからこそ積極的に調べ、行動している人

  • ビジネス・クリエイティブ・テクノロジーに関心のある人

  • 最新トレンドや効率化を求める人

  • 個人でもAIを活用しようとする情報感度の高い層

などが存在し、新しい技術やトレンドのキャッチアップに努めていることが伺えます。

しかし、広告は生成AIを活用しよう!学んでいこう!という人以外にも配信され、拡散されていくものです。 作り手が積極的に生成AIを活用して商品をプロモーションし、先進的でポジティブなイメージを促そうと努力をしても 受け手に「制作費やタレント出演料を出し惜しみをした。」と批判されてしまう場合もあります。

また、生成AIの広告への活用は日本で始まったばかりのため、内容が理解されにくく、関心を引くことが難しい可能性もあります。 生成AI広告に慣れていないユーザーの中には「人間味がなく、不気味だ」ととらえてしまう人もいます。

このようなネガティブな印象を持たれるリスクを考慮した広告設計がこれからの生成AI広告の発展に必要になってくるのではないかと感じています。

今後生成AIをどのように広告に活用していくべきなのか

進化をし続けている生成AIコンテンツを広告に活用する上で法的留意点や対応策を検討していくことが重要であると考えます。 経済産業省が2024年7月にコンテンツ制作のための生成AI利活用ガイドブックを公表しているので、社内ガイドラインの作成などに活用していきたいと思います。

執筆者太田千尋 WEB広告の運用・コンサルティングを行っています。