G-gen の杉村です。2025年2月のイチオシ Google Cloud(旧称 GCP)アップデートをまとめてご紹介します。記載は全て、記事公開当時のものですのでご留意ください。
- はじめに
- 生成 AI アプリ保護のフルマネージドサービス Model Armor が公開
- Google スプレッドシートの性能が改善
- OneDrive から Google ドライブへのデータ移行ツールが一般公開
- Gemini 2.0 Flash が GA。2.0 Flash Lite や 2.0 Pro も利用可能に
- NotebookLM(Plus)が Google Workspace がコアサービスに
- Gemini Code Assist で50ライセンスが1ヶ月間無料
- IAP でWorkforce Identity Federation を使った認証が可能に
- BigQuery データセットが Marketplace で購入/販売可能に
- Spanner で Managed autoscaler が GA
- Google チャットに投票機能が登場
- Looker Studio のテーブルで閲覧時に複数列の並べ替えができるように
- VPC Service Controls で「違反ダッシュボード」が Preview 公開
- Sensitive Data Protection(旧 DLP)で日本の法人番号が検知可能に
- Cloud Run service で手動スケーリングが Preview 公開
- Compute Engine で A4X VM が Preview 公開
- Data Loss Prevention が Gmail で一般公開(GA)
- Cloud Run API での関数(functions)のデプロイが Preview -> GA
- Gemini Deep Research が Google Workspace で使用可能に
- Cloud SQL で最終バックアップが取得可能に(GA)
- Cloud DNS でパブリック IP ヘルスチェックが GA
- VPC Service Controls violation analyzer(違反アナライザー)が登場
- Gemini in Looker で複数の生成 AI 機能が Preview 公開
- Gemini 2.0 Flash-Lite が 一般公開
- 無償版の個人向け Gemini Code Assist が Public Preview 公開
- Cloud SQL for PostgreSQLでプライマリとレプリカの同時アップグレード
- Vertex AI Agent Builder の answer メソッドで Personalize answers
- Vertex AI Agent Builder の search メソッドで関連度スコアが取得可能に
はじめに
当記事では、毎月の Google Cloud(旧称 GCP)や Google Workspace(旧称 GSuite)のアップデートのうち、特に重要なものをまとめます。
また当記事は、Google Cloud に関するある程度の知識を前提に記載されています。前提知識を得るには、ぜひ以下の記事もご参照ください。
リンク先の公式ガイドは、英語版で表示しないと最新情報が反映されていない場合がありますためご注意ください。
生成 AI アプリ保護のフルマネージドサービス Model Armor が公開
Model Armor overview (2025-02-03)
生成 AI アプリ保護のフルマネージドサービス Model Armor が公開。
不快なコンテンツやプロンプトインジェクション、データ漏洩等を検知・緩和。トークン数に応じた課金だが、無料枠あり。Security Command Center Premium が必要(プロジェクトレベルの有効化で OK)。
Google スプレッドシートの性能が改善
Additional improvements to everyday actions in Google Sheets (2025-02-03)
Google スプレッドシートの性能が改善。
データの表示速度やスプシ間のデータのペースト時の速度、フィルタ条件指定時の表示速度などが性能向上する。昨年にも、関数やピボットテーブルなどの速度向上のアップデートがあったが、引き続いてのアップデートとなる。
OneDrive から Google ドライブへのデータ移行ツールが一般公開
Now generally available: Easily migrate files from Microsoft OneDrive to Google Drive (2025-02-04)
OneDrive から Google ドライブへのデータ移行ツールが Google から一般公開。
最大100ユーザーのデータ移行が同時に実施可能。Google Workspace の特権管理者が使用できる。
以下の記事も参照。
Gemini 2.0 Flash が GA。2.0 Flash Lite や 2.0 Pro も利用可能に
Gemini 2.0 is now available to everyone (2025-02-05)
Vertex AI や Google AI Studio で新しいモデルが利用可能に。
- Gemini 2.0 Flash (プレビュー → 一般公開)
- Gemini 2.0 Flash Lite([NEW] プレビュー)
- Gemini 2.0 Pro([NEW] 試験運用版)
NotebookLM(Plus)が Google Workspace がコアサービスに
NotebookLM and NotebookLM Plus now available as a Google Workspace core service with enterprise-grade data protection (2025-02-05)
NotebookLM と NotebookLM Plus が Google Workspace がコアサービスとして利用可能に。
エンタープライグレードのデータ保護により企業データは Google に利用されない。2025-02-05から順次リリース。
Gemini Code Assist で50ライセンスが1ヶ月間無料
Gemini Code Assist release notes - January 30, 2025 (2025-01-30)
Gemini Code Assist で、初めて契約する場合に限り、50ライセンスが1ヶ月間無料。
デフォルトだと自動更新なので注意。設定で自動更新をオフにできる。
以下の記事も参照。
IAP でWorkforce Identity Federation を使った認証が可能に
Configure IAP with Workforce Identity Federation (2025-02-07)
Identity-Aware Proxy(IAP)でWorkforce Identity Federation を使った認証が可能に(GA)。
Okta や Entra ID、ADFS など外部 IdP から SAML や OIDC を使って、Google Cloud でホストしたアプリに認証する仕組みを簡単に実装できる。
BigQuery データセットが Marketplace で購入/販売可能に
BigQuery datasets now available on Google Cloud Marketplace (2025-02-08)
BigQuery データセットが Google Cloud Marketplace で購入/販売可能になった。
データは Analytics Hub を通して公開され、データを複製することなく共有できる。データの購入や販売を、Google Cloud の仕組みを通して適切に行うことができるようになった。企業が保有データをマネタイズするためのプラットフォームができあがったといえる。
Spanner で Managed autoscaler が GA
Managed autoscaler (2025-02-11)
Spanner で Managed autoscaler 機能が GA。
有効化すると負荷の増減に応じて自動的にスケールアップ/ダウン。CPU負荷やストレージ使用率に応じて反応。ストレージは自動的に再シャーディング。リードレプリカだけのスケールアウトも可能。
以下の記事も参照。
Google チャットに投票機能が登場
Create and vote on polls directly in Google Chat (2025-02-11)
Google チャットに投票機能が登場。簡単にチャット参加者から意見を募ることができる。
Looker Studio のテーブルで閲覧時に複数列の並べ替えができるように
Sort your data (2025-02-13)
Looker Studio のテーブルで、レポート閲覧時に Shift キーを押しながら列をクリックすることで複数列で並べ替えができるように。
これまでは表の編集時にのみ、「サブの並べ替え」で2列まで設定できた。
VPC Service Controls で「違反ダッシュボード」が Preview 公開
Set up and view the violation dashboard (2025-02-14)
VPC Service Controls で「違反ダッシュボード」が Preview 公開。
境界への違反が一覧表示できるダッシュボード。以下のブログ記事を参照。
Sensitive Data Protection(旧 DLP)で日本の法人番号が検知可能に
InfoType detector reference (2025-02-14)
Sensitive Data Protection(旧 Data Loss Prevention、DLP)で日本の法人番号が検知できるように。
InfoType として JAPAN_CORPORATE_NUMBER が追加された。Sensitive Data Protection とは、BigQuery や Cloud Storage 等から機密情報を検知、保護できるサービス。
Cloud Run service で手動スケーリングが Preview 公開
Manual scaling (2025-02-18)
Cloud Run service で手動スケーリングが Preview 公開。
コンテナインスタンス数を手動で指定可能。Cloud Scheduler で Cloud Run API を叩くことでスケジュールに基づいたスケーリングもノーコードで実現。
以下の記事も参照。
Compute Engine で A4X VM が Preview 公開
Introducing A4X VMs powered by NVIDIA GB200 — now in preview (2025-02-20)
Compute Engine で A4X VM が Preview 公開。
72 個の NVIDIA Blackwell GPU と 36 個の Arm ベースの NVIDIA Grace CPU を搭載した NVIDIA GB200 NVL72 がベース。chain-of-thought やマルチモーダルモデルなどの推論に利用。
Data Loss Prevention が Gmail で一般公開(GA)
Workspace data loss protection (DLP) for Gmail is now generally available (2025-02-18)
Data Loss Prevention(DLP、データ流出防止)が Gmail で一般公開(GA)。
従来から Google ドライブ、Google チャットで利用可能。本文、添付ファイル、ヘッダー、件名などから機密情報を検知してブロックまたは通知。
Cloud Run API での関数(functions)のデプロイが Preview -> GA
Cloud Run functions (formerly known as Cloud Functions) release notes - February 19, 2025 (2025-02-19)
Cloud Run API 経由での関数(functions)のデプロイが Preview -> GA。
ただし引き続き Cloud Functions v2 API も使用可能。今後、Cloud Run API のほうに寄せられていく可能性がある。
Google Cloud コンソールでも、Cloud Run functions の独自画面が消えて、Cloud Run に統合された(第1世代 function が存在しないプロジェクトのみの可能性あり)。
Gemini Deep Research が Google Workspace で使用可能に
Gemini Deep Research and experimental models now available to Google Workspace users in Gemini Advanced (2025-02-20)
Gemini Deep Research が Google Workspace で使用可能に。
Business Standard 以上のエディションで利用可能。Gemini ウェブアプリから実行できる。2025-02-20から順次リリース。
Gemini Deep Research では、AI がインターネットから情報収集してレポートを作成。業界調査、顧客調査、教育・研究などに活用できる。
Cloud SQL で最終バックアップが取得可能に(GA)
Final backups (2025-02-20)
Cloud SQL で最終バックアップが取得可能に(GA)。
Cloud SQL のインスタンス削除時に、最終バックアップが取得可能になった。保持期間は1日〜最長365日。
インスタンスを削除すると自動バックアップも手動バックアップもすべて削除されるので、従来までは Cloud Storage へのダンプファイルのエクスポートが必要だった。
Cloud SQL のバックアップについては以下の記事を参照。
Cloud DNS でパブリック IP ヘルスチェックが GA
Introducing Cloud DNS public IP health checks, for more resilient multicloud deployments (2025-02-22)
Cloud DNS でパブリック IP ヘルスチェックが GA。
パブリック IP を最も地理的に近いリージョンからヘルスチェックして、正常でない場合は別の IP アドレスに名前解決する。マルチリージョン、あるいはマルチクラウドのフェイルオーバーに使える。
VPC Service Controls violation analyzer(違反アナライザー)が登場
Diagnose an access denial event using the VPC Service Controls violation analyzer (2025-02-24)
VPC Service Controlsでviolation analyzer(違反アナライザー)が登場。
境界違反ログに一意のIDであるトラブルシューティングトークン(vpcServiceControlsUniqueId)が記録され、そのIDから辿ると何が原因で拒否されたかを確認できる画面が見られる。

Gemini in Looker で複数の生成 AI 機能が Preview 公開
Looker release notes - February 24, 2025 (2025-02-24)
Gemini in Looker で以下の2つの生成 AI 機能が登場(Public Preview)。
- 自然言語による LookML の生成
- 自然言語によるカスタムフォーマット生成
Looker バージョン 25.2 以降で対応。上記に加えて、対話式に分析を行える Conversational Analytics も Preview。
Gemini 2.0 Flash-Lite が 一般公開
Gemini 2.0 (2025-02-25)
Gemini 2.0 Flash-Lite が Preview から一般公開に。2.0 Flash より軽量で料金が安い。料金面やスピード面で 1.5 Flash ユーザーにとってのアップグレードパスとされている。
- 1M のマルチモーダルインプット
- 8k のテキストアウトプット
Gemini 系モデルの現在のリリース状況は、以下のとおり。
- Gemini 2.0 Pro : Experimental(試験運用版)
- Gemini 2.0 Flash : GA(一般公開)
- Gemini 2.0 Flash Thinking : Experimental(試験運用版)
- Gemini 2.0 Flash-Lite : GA(一般公開)
無償版の個人向け Gemini Code Assist が Public Preview 公開
Get coding help from Gemini Code Assist — now for free (2025-02-26)
無償版の個人向け Gemini Code Assist が Public Preview 公開。
Gemini 2.0 によるコード生成、補完、修正。VSCode などの IDE で利用可能。無償版は1か月あたり最大180,000件のコード補完。
また、GitHub レポジトリのコードレビュー・修正提案も無料で利用できる。
Cloud SQL for PostgreSQLでプライマリとレプリカの同時アップグレード
Include replicas in the major version upgrade (2025-02-26)
Cloud SQL for PostgreSQL で、メジャーバージョンのアップグレード時に、レプリカもアップグレードできるようになった。
現状では、gcloud と REST での操作のみ。コンソールからは不可。まずプライマリインスタンスがアップグレードされ、次にレプリカインスタンスがアップグレードされる。
Vertex AI Agent Builder の answer メソッドで Personalize answers
Personalize answers (2025-02-26)
Vertex AI Agent Builder(Vertex AI Search)の answer メソッドで Personalize answers が利用可能に(GA)。
リクエスト時に endUserMetadata オブジェクトを渡すことで回答がパーソナライズされる。
Vertex AI Agent Builder の search メソッドで関連度スコアが取得可能に
Get document-relevance score with search results (2025-02-28)
Vertex AI Agent Builder(Vertex AI Search)で検索結果から関連度スコアが取得可能に(GA)。
0〜1.0の間でクエリと検索結果ドキュメントの関連度を返す。search メソッドのリクエスト時に "returnRelevanceScore": true
に設定することで取得できる。
杉村 勇馬 (記事一覧)
執行役員 CTO / クラウドソリューション部 部長
元警察官という経歴を持つ現 IT エンジニア。クラウド管理・運用やネットワークに知見。AWS 12資格、Google Cloud認定資格11資格。X (旧 Twitter) では Google Cloud や AWS のアップデート情報をつぶやいています。
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