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AWS Chatbot は Amazon Q Developer に名称が変わりました

本記事は 2025 年 2 月 26 日に公開された “AWS Chatbot is now named Amazon Q Developer” を翻訳したものです。

本日、AWS Chatbot が Amazon Q Developer に名称変更されたことを発表します。(訳註: 管理コンソールでは「Amazon Q Developer in chat applications (旧称: AWS Chatbot)」と表示されます。)これにより、生成 AI を活用した機能を通じて、開発者の生産性が向上します。

今回の変更は単なる名称変更ではなく、チャットベースの DevOps 機能の強化を意味します。AWS Chatbot の実績ある機能と Amazon Q の生成 AI 機能を組み合わせることで、クラウドリソース管理をより直感的かつ効率的に行えるツールを開発者に提供します。

既存ユーザーの移行

Amazon Q Developer への移行は、ほとんどのワークフローとの互換性が維持されます。現在の AWS Chatbot のユーザーは、以下のユースケースを除き、基本的に設定や権限、確立されたプロセスに支障をきたすことはありません。

通知: Q を利用してチャットアプリケーションで通知を送している場合、設定変更は不要です。今後、通知の送信者名が「Amazon Q」として表示されます。

手動コマンド: チャットチャンネルにて、以前の「@aws」メンションが「@Amazon Q」に変更されます。今後、コマンドを手動で実行する場合は、「@aws」の代わりに「@Amazon Q」を使用してください。

ヒント: 「@Q」と入力すると、チャットプラットフォームのオートコンプリート機能により、より素早くコマンドを入力できます。

プログラムによるコマンド: AWS Chatbot 内でコマンドをトリガーする Slack の自動化ワークフローは、名称変更後も変更はありません。ただし、Webhooks や API を使用してプログラム的に Slack チャンネルへメッセージを送信している場合、「@aws」の呼び出し方法を変更する必要があります。詳細については、「Updating Slack bot user app mentions when sending messages to chat channels programmatically」を参照してください。

なお、すべてのサービス API、SDK エンドポイント、および AWS Identity and Access Management (IAM) の権限は変更されず、互換性は維持されています。

Free Tier で提供される Amazon Q Developer のチャット機能によって、AWS Chatbot のアクセス性を継続して利用できます。これにより、チームの規模に関わらず、追加コストなしで強化された機能を利用できます。また、本サービスはすべての商用リージョンで提供されており、AWS Chatbot と同じ地理的範囲を維持できます。

Amazon Q Developer でも、セキュリティが最重要であることに変わりはありません。このサービスは、従来のセキュリティ制御をすべて維持しており、AWS Organizations のサービスコントロールポリシーやチャットアプリケーションのポリシーも変わりません。組織は詳細な IAM の権限設定やチャンネルごとのガードレールを通じて、リソースや機能へのアクセスを正確に制御できます。なお、生成 AI 機能を利用するためには、チャンネルの権限設定を追加する必要があります。

DevOps 向けの強化されたチャット機能

Amazon Q Developer は Microsoft Teams や Slack と統合し、これらのチャットアプリケーションを強力な DevOps コマンドセンターへと変革します。チームメンバーは AWS リソースとアプリケーションの監視、診断、最適化ができるようになります。チャットアプリケーションにおけるAmazon Q Developerは、環境の状態をリアルタイムで可視化し、どのリソースが正常稼働しているか、どのリソースに問題が発生しているかを即座に把握できます。

チームメンバーは、インシデント対応の迅速化、パフォーマンス問題の監視、トラフィックスパイク、インフライベント、セキュリティ脅威の検知 ができるようになります。DevOps ツールを通じて、クリティカルなアプリケーションイベントに対するチームメンバーのタグが付けられたカスタム通知、インタラクティブなアクションボタン、テレメトリ取得のエイリアス設定、チャットチャンネルでのコマンド実行 などの機能を利用し、より効率的な運用が実現できます。

Slack Channel での Amazon Q

カスタム通知やアクション、コマンドエイリアス、Amazon Bedrock Agents との統合といった既存の機能を基盤とし、Amazon Q Developer は自然言語処理を活用してコンテキストと意図を理解します。たとえば、特定のリージョン内のリソースを調査する際に、「What EC2 instances are in us-east-1?(us-east-1にはどのようなEC2インスタンスがありますか?)」と尋ねることができます。この自然言語理解により、操作がより直感的になり、効率が向上します。

AWS アカウント内のリソースについて Amazon Q に尋ねる

Amazon Q Developer は、チャットチャンネル内でのより包括的なリソース管理やステータス監視に活用できます。Amazon CloudWatch のメトリクスを基にしたアラートをチャットチャンネルに送信したり、リージョンやアカウント内のリソースを探索したりすることができます。
DevOps チームは、例えば「特定のリージョン内の VPC の総数をカウントする」「VPC 内のすべてのサブネットを一覧表示する」「特定のリージョン内の Amazon Elastic Compute Cloud (EC2) インスタンスの詳細を取得する」というようなクエリを実行できます。たとえば、「provide all details for EC2 instances in us-east-1(us-east-1のECSインスタンスの詳細をすべて教えて)」と入力すると、us-east-1 リージョンの EC2 インスタンスに関するすべての情報を取得できます。これにより、インフラの可視性が向上し、より迅速な判断が可能になります。

Amazon Q を使ってAWS リソースの情報を取得する

はじめ方

Amazon Q Developer のセットアップは、Amazon Q Developer コンソールまたは AWS SDK を通じて簡単に行うことができます。Amazon Q Developer の生成 AI 機能を利用するには、まず IAM ロールに適切な管理ポリシー (AmazonQDeveloperAccess または AmazonQFullAccess) を追加してください。その後、チームごとに通知の設定をカスタマイズし、自動応答を設定し、セキュリティガードレールを要件に応じて構成できます。

ベストプラクティスや高度な機能について詳しく知るために、はじめにガイドを確認し、最新のドキュメントを参照することをおすすめします。変更点の概要については、Amazon Q Developer のチャットアプリケーション名称変更に関するドキュメントをご覧ください。

この強化された機能を活用し、DevOps ワークフローの効率化やチームのコラボレーション向上にどのように役立てるのか、皆さんの活用事例を楽しみにしています。

翻訳はApp Dev Consultantの宇賀神が担当しました。

著者について

Aaron Sempf Profile

Aaron Sempfは、アジアパシフィックおよび日本地域のAWSパートナー組織におけるNext Gen テックリードです。分散システムエンジニアリングの設計と開発において20年以上の経験を持ち、大規模な複雑な統合システムやイベント駆動システムの課題解決に注力しています。余暇には、自律型ロボット、IoTデバイス、分散ソリューションのプロトタイプのコーディングや、生成AI支援によるビジネス自動化のためのエージェンティックアーキテクチャパターンの設計に取り組んでいます。