WEARお試しメイク計測の明るさチェックを最適化してUXを改善した話

WEARお試しメイク計測の明るさチェックを最適化してUXを改善した話

はじめに

こんにちは、計測プロデュース部の井上です。私たちはZOZOFITやZOZOMATといった計測系プロダクトの開発PM、データ収集、精度検証などサービス構築から、UI/UXの分析・評価などの幅広い業務を行っております。

あなたの「似合う」が探せるファッションコーディネートアプリ「WEAR by ZOZO」では、2024年5月に「WEARお試しメイク」機能をリリースしました。ARを活用し、WEARのユーザーが投稿したメイクを自分の顔で試すことができます。

この機能の開発にあたり、明るさチェックの閾値調整が大きな課題となりました。本記事では、その最適化プロセスとUX向上の取り組みについて解説します。

WEARお試しメイクとは?

WEARお試しメイクは、アプリ内のボタンを押すだけで、以下の体験が可能な機能です。

  • 投稿されたフルメイクを自分の顔に適用できる
  • メイクの濃さを調整できる
  • モデルやインフルエンサーのメイクに切り替えられる

AR技術を活用し、リアルなメイクシミュレーションを提供します。

wear.jp

WEARお試しメイクの登録フロー

ユーザーがメイクを登録する際の流れは以下の通りです。

  1. メイク投稿用の画像を選択
  2. 編集画面でメイクデータを登録
  3. インカメラ起動後、環境チェック(顔の距離・明るさ)
  4. 8方向から顔の計測
  5. 生成された計測データをプレビュー
  6. メイク登録完了

この中で、明るさチェックがUXと計測品質の両面で重要なポイントでした。

明るさチェックの課題

明るさチェックの閾値がUXとメイクデータ品質に大きく影響することがわかりました。

  • UXの問題:明るさチェックに時間がかかると、ユーザーのストレスになり離脱率が増加する
  • 品質の問題:明るさが適切でないと、メイクデータが白飛びし、実際の肌色と異なってしまう

明るさチェックの閾値を適切に調整することで、UXと品質のバランスを最適化する必要がありました。

明るさ閾値の影響調査

調査環境

  • 端末:iPhone 14
  • 照明条件:室内照明下
  • 指標:
    • 明るさチェックにかかる平均時間
    • 白飛び発生率(肌の色と著しく差があるケースを白飛びと定義)

調査結果と最適な閾値の決定

閾値 平均時間(秒) 白飛び発生率
18.8 0%
6.5 33%
2.4 83%

結果から、「閾値を中程度」にすることで、UXと品質のバランスが最も良いと判断しました。

  • 閾値が高すぎると、白飛びは防げるがUXが悪化
  • 閾値が低すぎると、UXは良いがメイクの品質が低下
  • 閾値「中」が最適解:UXとメイク品質のバランスを両立

まとめ

明るさチェックの閾値は、単純に「高ければ良い」「低ければ速い」といったものではなく、UXと品質のトレードオフを考慮する必要があると考えています。私たちは、データをもとに最適な閾値を導き出し、ユーザーが快適に使える「WEARお試しメイク」機能を提供できるよう改善を続けています。今後も、計測系プロダクトの品質向上とUX最適化を両立する取り組みを進めていきます。「WEARお試しメイク」機能の体験が向上したことを、ぜひ実際に試してみてください!

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