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実践から得たインストラクターのポイント4選

本記事は  インストラクターウィーク  4日目の記事です。
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こんにちは、システムエンジニアの檀上です。 普段は顧客の社内システムの要件調整・基本設計などを担当しています。

私は数年前にネットコムにキャリアで入社しており、前職でもネットコムでもインストラクターを担当しました。 複数の会社でインストラクターをしたという貴重な(?)経験を活かして、「これは気を付けておいてよかったな」というポイントを4つ紹介します。 なお、記載する内容は新人に限らず活かせるなと思ったので、あえて「新人」という言葉を使わず、「後輩」と表現しています。

1. 自分でインストラクターとしての目標をたてる

インストラクターを任されたら、まずは自分で目標を設定することをおすすめします。

せっかくの機会に上司からの指示を達成するだけで終わるのはもったいないです。 また、インストラクター業務と普段の業務との折り合いをつける必要も出てきます。 目標を設定しておくと、目標から外れた教育は省略しよう、などの戦略も取れるようになります。

私は、目標を「チーム・組織で主体的に働くために必要なスキルを身に付けてもらう」と設定しました。

2. 上司と自分と後輩の目標の橋渡しをする

1つ目の橋渡し:上司と自分

1.で立てた目標に向かって進んでいく際、会社や上司の方針も理解しておくべきと考えています。 なぜなら、組織の一員である限り、組織の目標を達成しないとインストラクターが評価されないからです。 私の場合は、「開発系のスキルを身に付けさせる」という目標がプラスされました。

加えて、外してはいけないポイントはないか上司に確認しておきます。 例えば、1年後も同じプロジェクトで業務をする予定か、1年目で何を重点的に育てたいのか(上流工程か下流工程か)、絶対に提出すべき成果物はなにか、などです。 この辺りは企業文化によって異なっており、あまり明文化されていないと感じたため、確認しました。

ちょっと世知辛く感じますが、これらのポイントはインストラクター自身の評価につながるので、抑えておきたいです。

2つ目の橋渡し:上司と自分、と後輩

後輩が自分のもとに来たら、少しずつ後輩の目標を確認していきます。 配属された直後から明確な目標を持っている人はそういないのではと思います。 まずは上司と自分の目標をもとに、「1年後にはこんな感じになっていてほしいんだよね」を伝えます。 後輩が仕事に慣れてきたら、様子を見て「これから先、どんな仕事がやりたいか?」「他にやってみたい仕事はあるか?」などを確認します。

日々の業務を淡々とこなしていると、目標を見つけてもらうのは難しいかもしれません。 このため、普段から自分のチームの外側にいる人の仕事内容・考え方について話をしたり、同期がどんな仕事をしているのか知る機会を設けたりするとよいと思います。

3つ目の橋渡し:後輩と上司

後輩を今後どんな風に育てていくかを上司にも連携しておきます。 もし目標同士が衝突してしまったら、上司の目標を曲げることはおそらく難しいので、今後の戦略を後輩と話し合うのもいいと思います。

3. 共通の敵をつくらない

共通の敵を作ると内部の結束が強固になることはよく知られた事実であり、簡単で効果的な戦略ではありますが、それでも後輩と絆を深めるのに使うのはおすすめしません。 一度壁を作ってしまうと、取り壊すときに苦労します。 内部の結束のために、組織的な分裂を招いてしまうと、損失は大きくなるばかりで本末転倒です。

ただ、傾聴を意識していると、意図せずこうした状況に陥ってしまうことがあります。 後輩が自分に徐々に心を開いてくれ、不満を漏らしてくれるケースです。このとき、気を付けていないとそれに同調してしまうことになります。

自分がよく使っている方法は、不満に無理に同調せず、まずは受け止めることです。 後輩の気持ちには協調しつつ、後輩の気持ちが落ち着いてその不満を受け止めてくれたタイミングで、「自分はこう思う」「あちらもこういう事情があるかもしれない」など、自分の考えをゆっくり説明できればいいかなと思っています。

とはいえ、共通の話題を持つと打ち解けやすいのも事実です。 全くしない方がいいという訳ではなく、適度に使いこなすのが大事だと思っています。

4. 気を付けてほしいことは対面で伝える

メッセージツールで後輩に「この件、こういう風に動いてほしかったんだけど」のように指摘したことがあったのですが、その後、結構長時間「自分はこう思ってたのでこう動きました」というラリーを続けることになってしまいました。。 ビデオ会議にせよ直接会うにせよ、対面での会話は「一番大事な内容」が心に残るものです。 しかし、メールやメッセージツールだと文章としてすべて残ってしまうため、細かい部分が気になってしまい、後にわだかまりを残してしまうことが多いように思います。

それからは、気を付けてほしいことは対面の1on1の時に直接伝えるようにしています。 そうしたほうが、お互いの気持ちが伝わりやすいと感じています。

おわりに

最近『「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか? 認知科学が教えるコミュニケーションの本質と解決策』という本を読みました。 その中で感銘を受けたのが次の記述でした。

「知識の枠組み」も違えば「思考の枠組み」も異なるため、仮にすべての情報をもれなく伝えたとしても、頭の中を共有することはできない

わかり合えない中でも、少しでもお互いに通じる表現を見つける。そう願って日常の努力を積み重ねるほうが、「すぐにわかる」よりも実はずっと大事なことなのです

インストラクターの想定した人物像そのものに、後輩になってもらうことは不可能です。 各々の目標を組み合わせて、色々な努力を積み重ねて、後輩の成長を助けるのがインストラクターの役割だと思っています。

最後に、後輩への指導を通じて自分のキャリアや目標を見直すきっかけにもなりました。 インストラクターは大変な役目ですが、得るものもたくさんあるはずですので、ぜひ頑張ってください。

執筆者:檀上未来
システムエンジニア。人の話を聞くことが好きです。