Amazon Web Services ブログ
【開催報告】AWS CES2025 Recap セミナー -Amazon for Automotive の最新自動車テクノロジー・ソリューションのご紹介-
皆様こんにちは。プリンシパルソリューションズアーキテクトの梶本(かじもと)とソリューションアーキテクトの黒木(くろき)です。3月18日に AWS が主催する自動車業界向けイベント「AWS CES2025 Recap セミナー -Amazon for Automotive の最新自動車テクノロジー・ソリューションのご紹介-」を開催しました。
AWSでは、世界中で進む自動車業界のデジタル変革に向け、 2023 年より最新技術や先進事例の活用方法等のご紹介を目的に、グローバルイベント CES に出展しています。2025 年は、業界全体で加速するモビリティのデジタル化と SDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)の実現に向け、 先進的取り組みをご紹介させていただきました。 今回のイベントでは、 SDV の分野で協業させていただいているホンダ様の CES でのご報告をいただいた後、AWS としての CES でご紹介した内容、パートナー様協業について報告させていただきました。
オープニング
― 竹川 寿也 アマゾン ウェブ サービス シニア・ビジネスデベロップメント・マネージャ
オープニングでは、CES の概要や自動車業界の会社様からリリースあったトピックのご紹介、また Amazon for Automotive としてどういった思いで CES に出展したのかなどを説明しました。特に SDV (Software Defined Vehicle) においては車載インフォテイメントだけではなく、安全基準も踏まえた自動車の運行制御(走る・曲がる・止まる)までのソフトウェア制御を行う車両を SDV と呼ぶという、AWS も委員として参加している経済産業省 モビリティ DXプロジェクトでの定義をふまえお伝えしました。
ホンダ × AWS CES で協同展示!爆速開発を支える両者での取組
― 渡邊 将行 様 本田技研工業株式会社 電動事業開発本部 SDV事業開発統括部 電動ソフトウェアソリューション開発部 チーフエンジニア
― 竹原 洋三 様 本田技研工業株式会社 電動事業開発本 SDV事業開発統括部 コネクテッドソリューション開発部 アシスタントチーフエンジニア
本セッションでは CES 2025 で Amazon / AWS と協同展示いただいた本田技研工業株式会社様より爆速開発を支える両者での取組についてご登壇いただきました。
従来、本田技研工業株式会社様ではソフトウェアの設計をするためにはハードウェアを待たなければならない、ハードウェアごとの差異もある、といった課題を抱えられておりそれを解消するためにDPG(Digital Proving Ground)を構築されました。Proving Ground は研究所内のテストコースを指されておりそれをデジタルで実現するというコンセプトのものです。
開発者が統合コンソールにアクセスすることで必要な開発環境が立ち上がり、開発者が Amazon DCV でそこへアクセスできるというアーキテクチャについてご説明いただきました。またそれを用いた一例として充電の体験を良くするPoCとして Amazon Bedrock をご活用いただき CES でも展示された CHARGING UX をご紹介いただきました。
SDV 開発クラウドワークフロー最前線
― 梶本 一夫 アマゾン ウェブ サービス プリンシバル・ソリューション・アーキテクト
本セッションでは、 CES において、 AWS の SDV 先進取組みとして展示した内容をご紹介しました。
昨今、自動車産業において言われる、「自動車は発売後も OTA 等によりアップデートされつづけお客様に価値を届け続ける」と言うライフサイクルに従い、そのライフサイクルに沿ったワークフローが、クラウド内の車両データを中心に循環する考え方をご紹介しました。この各ワークフローの実装に AWS のサービス群がインフラとして利用されています。さらに各ワークフロー全てにおいて AI による革新が及んでいます。
CES では、この循環するワークフローにおけるユースケースをいくつか展示しました。この展示においては、各ユースケースは、一つの共通 Web UI (Virtual Engineering Workbench) からデプロイすることができます。 Virtual Engineering Workbenchの導入により、高性能マシンや評価ボードがまだ入手できていない段階でも開発環境が構築でき、シフトレフトが可能となります。また、これまでサイロ化されることが多かった各分野間での連携開発が、クラウド上での車両データ連携やツール連携により可能になることを訴求しました。
具体的なケーススタディとして、例えばConnected開発環境において 、 ADAS の不具合に関係しそうな滅多に起きない特定シーンを AWS IoT FleetWise を用いた Campaign(車両に対するデータ取得の条件設定) により収集し、その内容を ADAS 開発環境と連携することを紹介しました。
ADAS環境では、自動運転学習モデルを検証するテストシナリオのデータセットを、自然言語から生成 AI を用いて生成する試作も紹介しました。
またIVIを事例に、 ECU の仮想化と生成 AI を組合わせることで、自然言語による仕様変更の表現から、要求仕様書の更新、ソースコードの更新、Virtual ECU 上での検証と、クラウド内で一連の開発ができることを示し、仮想化によるCut & Tryのしやすさも訴求しました。
EE Architecture 開発環境においては AWS Outposts を用いてクラウドをお客様環境まで延伸し、お客様の HILS 環境と組み合わせた試作環境も紹介しました。実際に全ての周辺回路などのハードウェアをクラウド上に仮想化することは、モデル設計など余分な工数もかかるため、現実解としてクラウドの仮想環境と周辺機器の実環境の連携の可能性を示しました。
AWS は、お客様が構築されるソリューション群において、共通的な部分をインフラサービスとして提供し、お客様には、より競争領域にてイノベーティブな業務に注力いただくとの考えで、今後ともお客様のパートナーとして併走させていただきたいと結びました。
AWS オートモーティブ パートナーのソリューション展示とアナウンスメント
― 橘 幸彦 アマゾン ウェブ サービス シニア パートナー セールス マネージャー
本セッションでは CES 2025 において Amazon for Automotive ブースにパートナー様としてデモ展示・協業いただきました NVIDIA 様、Siemens 様、 Capgemini 様、 HCLTech 様、 ZeroLight 様の展示内容についてご紹介しました。また CES 2025 でパートナー様から発表された AWS との協業ソリューション4事例についてもご紹介しました。このような自動車産業向けにケイパビリティを持ったパートナー様とのパートナーシップもあるという点をお伝えしました。
Amazonによる自動車販売への貢献
― 茂手木 光一 Amazonジャパン Account Executive
― 佐藤まさし Amazonジャパン Senior Vendor Manager
― 飯塚 零 アマゾン ウェブ サービス Senior Account Manager
本セッションでは Amazon を活用してのブランドロイヤリティの向上、ブランディングからセールスまでの統合的な施策、その中で AWS の生成 AI を用いてカーオーナーにどういった価値提供ができるかをご紹介しました。
車両販売を EC サイトから行うという響きは一見、自動車メーカー様と販売店様の関係に悪影響を与えかねないように誤解されることもありますが、あくまで EC サイトを接点の一つとしていただくだけで実際に販売されるのは販売店様であることなども質疑を通してお伝えしました。
おわりに
本ブログでは東京で開催した本セッションでは「AWS CES2025 Recap セミナー
-Amazon for Automotive の最新自動車テクノロジー・ソリューションのご紹介- 」についてレポートしました。CES 2025 にも参加された方、CES 2025 にはご参加できなかった方など様々なお客様がいらっしゃる中で「クラウドを活用することで自動車の開発が加速する可能性を感じた」「自動車 OEM が目指そうとされている方向性を知ることでサプライヤーとして気づきを得ることができた」などのご評価をいただきました。ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。本日の内容が少しでも今後の皆様の業務のお役に立てば幸いです。
著者について
梶本一夫(Kazuo Kajimoto)
Principal Solutions Architect
Amazon Web Services, Inc.
好きなOLP(Our Leadership Principles)はBias for Actionです。
黒木裕貴 (Yuki Kuroki)
Solutions Architect
ソリューションアーキテクトとして西日本の自動車OEM、サプライヤーなどのお客様を担当しています。