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SNSを使った集客に挑戦!4ヶ月のSNSマーケティングの振り返り

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こんにちは!KINTOテクノロジーズでPrism Japanという観光メディア(Web/iOS/Android)を運営している喜多です。
2024年11月からPrism JapanのSNS運用を担当しています。従来の広告配信に留まらず、SNSを用いることでサービスの認知拡大と新たな集客方法として確立することを目的としていました。
ここではその約4ヶ月間の振り返りをしてみたいと思います!

できたこと

まずはSNS運用をしていく上で「これはできたな」ということからまとめていきます。

  1. ショート動画の作成
    TiktokおよびInstagram中心に、ショート動画は今のSNS環境においてキーとなる存在です。各媒体のアルゴリズムでは、投稿されたショート動画をフォロワー外のユーザーにも届け、その反応次第でさらに伸びるかどうかが決まります。
    SNSを用いた「認知拡大」という点においては必須科目だったため、類似したカテゴリにおいてバズっている閲覧数の多い動画を真似するところからスタートしました。
    そのイメージを元に動画編集ツールを触りながらスキルを習得しました。主に利用したツールは下記です。

    ツール名 特徴
    Canva 基本的に無料で利用可能。画像、動画の編集が自由自在に可能であり、共同編集者とのシェアもしやすく管理が楽である。過去一度だけ作業中にサーバーが落ちてやり直しになった。
    Adobe Express 基本的に無料で利用可能。Canvaと大きくは変わらないが、サーバーが安定していて作業途中で落ちることもなかったため、個人的にはこちらが好み。
    Capcut 基本的に無料で利用可能。動画編集機能がメイン。文字の読み上げ機能や画像の3D化、SNSで「よく見る」あのフォントが利用できるなど、SNS向けに特化した機能が多い。
    ※無料版に付く「透かし」はInstagramにおいては評価されないため注意。

    使う人や目的によって若干好みや使い方が分かれる部分もありますが、基本的にはどのツールを使っても問題はなく、無料の範囲でも充分なクオリティの動画が作成できると思います。

  2. インプレッションの獲得
    各媒体共通して多くのインプレッションを獲得することができました。
    ここでは運用を本格的に開始した2024年11月1日~2025年3月17日(執筆時点)の期間で前後比較してみます。
    X
    インプレッション数は293%増の62,500件となりました。
    x_imp
    Tiktok
    Tiktokは初めての運用だったため、比較対象がないのですが、全体を通して44万回再生されています。
    他のSNSと比較すると、後から再生数がじわじわと伸びてくるような特徴がありました。
    tiktok_view
    Instagram
    リーチ数が90%増の5万件となりました。
    ※閲覧数、インタラクションともに、2024年8月以前のデータが集計不可であったため正しい比較はできませんでした。
    instagram_view

    Tiktok,Instagramは特に顕著なのですが、年末年始のタイミングで山がグッと発生しています。
    多くの人がお休みであったタイミングと初詣シーズンにぴったりの神社を紹介したことが重なって伸びたのだと考えています。
    本格的なSNS運用前後で比較すると、投稿回数の増加やそもそも媒体を運用していなかったことも要因として挙げられますが、動画の形式や季節、話題性といったトレンドを押さえたこともあって、大幅な閲覧数の増加が見込めました。
    これらにより一定の「認知拡大」に貢献できたのではないかと思っております。

  3. ユーザーとのコミュニケーション
    殊にXにおいては新たなユーザーの発掘およびコミュニケーションを取ることができたと思います。
    従来の運用では、こちらからフォローを働きかけたりリプライするなどのアクションを行なっていませんでした。
    しかし、Xはエンゲージメント重視のアルゴリズムが採用されているため、積極的に観光系に興味を持つユーザーへアプローチしました。
    その結果、とあるユーザーさんが実際にアプリのインストールだけでなく、掲載しているスポットへお出かけレビューまで投稿してくださったことが判明しました!
    何より企画のアイディアなどもいただけて大変参考になりました。プロダクトやサービスを持っている方は積極的に動くことで結果的にサービス利用やフィードバックがもらえることもあるのでおすすめです。

できなかったこと

続いてできなかったことを振り返りたいと思います。

  1. アプリのインストールやWebサイトの流入には至らなかった
    上記に記載したように、「閲覧数」という観点においては増加するなどの結果であった反面、アプリのインストールやWebサイトへの流入は見込めない結果となりました。
    下記では各媒体の結果を分析したいと思います。評価期間はSNS運用を本格的に開始した2024年11月1日~2025年3月17日とします。
    以下はAppsFlyerで計測した期間中のアプリのインストール数になります。
    ※具体的なインストール数の公開は控えさせていただきます。
    dl_dailey

    Tiktok × アプリインストール数
    まずはTiktokの各指標とアプリのインストール数に相関関係がないか調査しました。

    視聴数
    上記で既出の画像となりますが、視聴数とインストール数を照らし合わせてみました。
    tiktok_view
    ぱっと見のグラフの比較でお分かりかもしれませんが、相関関係はないと考えています。
    例えば、視聴数が盛り上がっている2025年1月2日のインストール数に変化がありませんでした。
    反対にインストール数が盛り上がっている2025年1月29日の視聴数には変化がありません。
    このことからもTiktokの視聴数とインストール数は相関関係にないと結論づけています。

    プロフィールの表示回数
    tiktok_profile_view
    続いてはプロフィールの表示回数です。プロフィールに来てくれている時点で一定の興味を持ってくれているユーザーであると考えていました。
    嬉しいことに増加傾向にあるものの、現状ではインストール数に大きな影響を与えているとは言えないと思います。

    いいね
    tiktok_like
    いいねの付いた数はどうでしょうか。ぱっと見は視聴数と同じような推移だと思います。
    こちらも同様にいいねが最も付いた2025年1月2日のインストール数には変化がなく、2025年1月29日のインストール数の増加にも寄与しているとは言えませんでした。

    コメント
    tiktok_comment
    コメント数は全体通して81件であり、閲覧数を考慮すると少ない結果となりました。日によっては0件と連動しています。
    2025年2月17日のコメント数は4件とやや多めですが、インストール数に変化はなかったです。

    シェア
    tiktok_share
    シェアも視聴数、いいね数と似たような推移となりました。
    いいねやシェアが多い動画は評価されて「おすすめ」に表示され、結果的に視聴数が伸びるというアルゴリズムを身を持って実感しました。

    Instagram × アプリインストール数
    続いてはInstagramです。

    閲覧数
    instagram_view
    こちらも同様に年末年始にかけて大きく山ができています。
    そのタイミングでは上記の通りインストール数に影響はありません。
    一方で、複数日においてはやや相関関係にありました。全体を通して見ると相関関係は強くはないのですが、Tiktokと比較すると少しだけ関係がありそうです。
    また、リーチ数(いわゆるユニーク数)も上記と同様の傾向が見られたためここでは割愛します。

    インタラクション
    instagram_interaction
    最後にインタラクションです。Instagramにおいてはいいねや保存、コメント、シェアがこちらに該当します。
    こちらも同様にインストールとの相関は見られませんでした。

    まとめ
    全体を通して、インストール数で見ると相関関係は見られず、SNSによって集客ができた、とは言えない状況だとわかりました。
    ただ、あくまで相関関係を見ただけなので、仮に視聴者が時間をおいてインストールした可能性もあるとは思いますが、正確な評価は正直なところ難しいと考えています。

    Webサイトへの流入
    web_referral
    SEO以外の経路としてもSNSの集客が一定貢献することを想定していました。実際のところ、Instagramのストーリー機能およびXのポストから流入を獲得できましたが、総数で見ても約300件とわずかな送客しかできませんでした。
    これはXのフォロワー数が低いことによる拡散力の頼りなさ、Instagramのストーリー閲覧者を確保できなかったことが主な要因だと考えています。

  2. インプレッション数は伸びたが、大幅なフォロワー数の増加は見込めなかった

    X:425フォロワー
    Xにおいてはフォロー数やいいねなどのアクションがまだまだ足りていませんでした。
    他媒体との兼ね合いもあって、長い期間をかけてゆっくりと活動していたことが原因です。
    早期のうちに短期間でフォロー、いいねを行うことが好ましいかと思います。過度なフォローはシャドウバンや凍結にもつながるのでご注意ください。

    Tiktok:155フォロワー
    視聴数の割に全くフォロワーがつきませんでした。理由は大きく二つかと思います。
    一つは汎用的な情報を流していたこと。このアカウントをフォローしないと見逃してしまう情報だ、というオリジナリティや独創性に欠けていたと思います。
    二つ目はターゲットが曖昧であったこと。Prism Japanの特性上、旅行したいと考える人という幅広い層がターゲットになるかと思います。
    その上で、Tiktokではどういう層(年代、性別)にするか曖昧であったため、結局間口が広いまま多数の人に情報を届けていました。

    Instagram:6667フォロワー
    一見、多い印象を受けるのですが、広告の配信を停止して以降は下降傾向にありました。
    広告配信して獲得したフォロワーはエンゲージメントが低い傾向にあるのが一般的とも言われていることに加え、広告配信停止後の投稿は以前とガラリとニュアンスを変えていたため余計にユーザー離れが加速したように思います。

各SNSの特徴と改善ポイント

ここでは実際に運用して感じた各媒体の強みと、投稿内容の分析をしていきます。

  1. TikTok:フォロワー数が多くなくても内容次第でバズることができる
    最も伸びた投稿:東京で女子旅するのにぴったりの穴場スポット3選!
    tiktok_best_post
    「東京で女子旅する人」というかなり狭めたターゲットを勝手に設定して投稿しました。
    内容としてはアプリの実際の画面上で穴場のスポットを探すという実際のフローを踏んでいます。
    扱っているスポットはまさに穴場で、「海外風、某アニメ、縁結び」をテーマに取り上げました。
    結果として、94%の人が検索から流入し、「東京 遊ぶ場所 女子2人」「東京観光」といったクエリで検索した結果流入してくれました。
    ターゲットを狭め、穴場として実際にリアルなスポットを取り上げられたことが要因の一つかと考えています。

    最も伸びなかった投稿:日比谷のイルミネーションが綺麗すぎた!
    tiktok_worst_post
    伸びなかった動画は日比谷のイルミネーションです。こちらは実際に現地に足を運んで撮影し、イルミネーションの鮮やかや雰囲気を伝えたかったのがポイントです。
    また冒頭部分はBGMとムービーが連動していて興味を引くような作り方をしたつもりでしたが、全く視聴されませんでした。
    「クリスマス」「イルミネーション」といったハイクオリティな動画を提供する競合がひしめくキーワード帯に突撃してしまったことが原因ではないかと考えています。

    まとめ
    上記を比較すると、伸びた動画はターゲットが明確かつ内容がそのターゲットにとって有用であったことが挙げられるかと思います。
    結果、平均視聴数やフル視聴率といった各指標も高く、視聴数を大幅に上げられました。

  2. X:ユーザーとのコミュニケーションが強み

    最も伸びた投稿:神社仏閣×紅葉のおすすめ4選
    x_best_post
    紅葉と神社仏閣のコラボが見どころのスポットをまとめて紹介しました。各スポットの位置情報や見どころポイントとそれに付随した画像を載せています。

    最も伸びなかった投稿:今日はクリスマスですね!
    x_worst_post
    クリスマスに盛り上がっていた #MerryChristmas のタグとともに後述する生成AIを利用した動画を添えて投稿しました。
    目的としてはアカウントの「人間味」であったのとタグで若干のインプレッションを獲得したいところにありましたが、結果として盛り上がりに欠ける投稿となりました。

    まとめ
    Xにおいては他の伸びた投稿を見ても時季やトレンドに関する投稿が伸びる傾向にありました。
    そして情報として有用か(まとまっているか、自分にとって価値があるか)が重要だと思いました。

  3. Instagram:ショート動画を用いてフォロワー外にリーチしやすくなった

    最も伸びた投稿:【24~25シーズン】都内から行ける!おすすめのスキー場4選
    intagram_best_post
    冬のスキーシーズン開始に伴って関東から行けるスキー場を画像で紹介しました。
    各スキー場の開場期間や時間、料金情報を記載しました。その結果、「保存」が10件と他投稿と比べると多くなりました。
    よって、55.4%のフォロワー外ユーザーへもリーチできています。私の感覚では、「リール動画」は保存数あまり関係なく半数はフォロワー外のユーザーへリーチできる一方、画像投稿は9割がフォロー内に留まる印象でした。
    振り返るとユーザーが「保存」したくなる投稿が何よりも重要であると考えています。

    最も伸びなかった投稿:AIがあなたを診断!
    instagram_worst_post
    こちらは上記とは打って変わってアプリの機能「気分で検索」をリール動画としてアピールしたものです。
    実際のアプリ画面を録画し、手順通り進めることでユーザーが使うシーンを想起してもらうことを意図していましたが、結果としては最も再生されない動画でした。
    ターゲットが不明瞭で誰にも刺さらない動画であったことと、ユーザーの便益が伝わりにくいものであったのではないかと思います。

    まとめ
    リール動画、画像投稿によってフォロワー外へのリーチのしやすさ、に違いがあるものの、得てして「保存」されることで投稿が伸びるかどうかが決まっている印象を受けました。
    有益な情報であることはもちろん、保存を促したり、定期的にその分析を行うことが大事です。

全体のまとめと今後の方向性

全体を通して、SNSが強く集客に貢献しているとは言えないことが分かりました。一方で必ずしも貢献していないとも断言はできないため、引き続き振り返りを経て改善したいと思います。
投稿において特に重要なことは下記2点です。

  1. ターゲットを明確にすること
  2. 視聴者にとって有益な情報であること
    当たり前と言えば当たり前かもしれないですが、この2点は媒体問わず共通して伸びる動画にとって必要であることだと実感しました。
    また、Tiktokの内容をInstagramへもそのまま流用していましたが、それだと媒体でユーザー層が異なるため、反応が得にくい状態にありました。
    とはいえ、媒体別に投稿することが望ましいのですが、リソースにも限界があるため、有意義な取り組みになっていませんでした。媒体ごとに特性やユーザー層が異なるため、目的に合わせて何がベストかを見極めることをおすすめします。

参考文献

SNSマーケティング7つの鉄則

Facebook

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