Gemini's in-context learning for Data Analytics in 15 minutes(Google Cloud Next '25セッションレポート)

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G-gen の山崎です。本記事は Google Cloud Next '25 in Las Vegas の2日目に行われた ライトニングトークセッション「Gemini's in-context learning for Data Analytics in 15 minutes」のレポートです。

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セッションの概要

本セッションでは、 ビジネスインテリジェンスの問題と、Gemini がその解決にどう役立つかについて、デモンストレーションを用いた解説が行われました。

ビジネスインテリジェンスの主要な問題点

3つのカテゴリごとの課題

ビジネスインテリジェンスの主要な問題点として、以下の3つの領域ごとに課題があるとしました。

  • データ品質
    • AI だけでは解決できない根本的な問題であり、良質なデータを確保するために継続的に注視することが必要。
  • データガバナンス、パフォーマンス、スケーラビリティ
    • Google Cloud の技術で支援可能な領域だが、データガバナンスは軽視される傾向にある。
  • スキルギャップ、ユーザーの利用促進、データの複雑さ、モデリング
    • 特に「ユーザーの利用促進」が重要な課題となる。多くの BI システムは、ユーザーが日常的に使う自然な言葉で対話できず、専門知識がないと使いこなすのが難しいため、Gemini が貢献できる領域となる。

別の視点での課題の提示

この問題を別の角度から捉え、「役割間のギャップ」を図示しました。

一方には、ビジネスの深い知識を持つがデータの詳細を知らない「意思決定者」がおり、もう一方には、データの構造やモデルに精通しているがビジネスの意思決定には疎い「データエンジニア」がいます。

その中間に「ビジネスアナリスト」や「データアナリスト」が存在します。理想は、ビジネスとデータの両方を深く理解する「ユニコーン」人材ですが、現実にはそのような人材は稀であり、このギャップを埋めることが課題となります。

課題の解決に向けたアプローチ

「自然言語から SQL へ」とその限界

このギャップを埋める試みとして、「自然言語から SQL へ」(NL to SQL)というアプローチが存在します。

しかし、この手法には多くの問題点があるとしました。

  • 巨大なスキーマ
    • Salesforce や SAP のようなエンタープライズシステムのデータベーススキーマは膨大で、中程度のコンテキストまでしか扱えない AI モデルでは扱いきることができず、ベクトル化が必要となる。
  • 関連テーブルの特定が困難
    • 複数のテーブルから情報を取得する場合、ベクトルベースの検索ではどのテーブルを組み合わせればよいかを正確に見つけることが難しい。
  • SQL 生成の複雑さ
    • 複雑な SQL クエリは、より広範囲の文脈を理解する能力が必要となる。中程度のコンテキストまでしか扱えない AI モデルではクエリ間の依存関係を見失ってしまう。
  • ビジネス用語の解釈
    • ビジネスユーザーの質問は、単なる SQL の言い換えとはならない。
    • 例えば、「トップ5顧客は誰か?」という単純な質問でも、「トップ顧客」の定義(売上、利益、顧客生涯価値など)は企業ごとに異なり、これをデータモデルにマッピングするには、思考の連鎖とビジネス用語の理解が不可欠となる。

Gemini がもたらす解決策

Gemini は以下の特徴により、従来の問題の解決にあたって有用であるとしました。

  • 長大なコンテキスト処理能力
    • 長大なコンテキスト処理能力を有しており、膨大な情報の中から特定の情報を正確に見つけ出す能力が優れている。
  • 文脈内学習
    • 与えられた情報からパターンやルールを学習する能力を持っており、特定企業のビジネスルールやデータモデリングの慣習を与えることで、より適切な SQL 生成や分析を行うことができる。

デモ

Gemini 2.5 Pro と Agent Development Kit を用いて構築されたアプリケーションのデモが行われました。

エージェントの構成は以下としました。

  • ルートエージェント
    • 全体を統括し、他のエージェントに指示を出す。
  • ビジネスアナリスト
    • 質問の意図を解釈し、ビジネスロジックを明確にする。
  • データエンジニア
    • ビジネスアナリストの定義とデータスキーマに基づき、SQL クエリを作成する。
  • BI エンジニア
    • 生成された SQL を実行し、結果を可視化する。

「私たちの最良のリードソースは何か?」という問いに対して、各エージェントが相互に連携を行い、最終的に1つのグラフが表示されました。

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山崎 曜(記事一覧)

クラウドソリューション部

元は日系大手SIerにて金融の決済領域のお客様に対して、PM/APエンジニアとして、要件定義〜保守運用まで全工程に従事。
Google Cloud Partner Top Engineer 2025 選出。
Google Cloud 全 12 資格保有。
フルスタックな人材を目指し、日々邁進。