SMARTCAMP Engineer Blog

スマートキャンプ株式会社(SMARTCAMP Co., Ltd.)のエンジニアブログです。業務で取り入れた新しい技術や試行錯誤を知見として共有していきます。

うまい棒で考える、意思決定におけるデータの役割

あいさつ

こんにちは。スマートキャンプのデータアナリストのkumanomiです。

現在はBOXIL SaaSのデータ分析業務や社内のデータ民主化のため、小さいながらも日々改善を繰り返しています。

前職ではアプリエンジニアを経験した後にデータ周りを担当していました。
その際の職種はエンジニアでしたが、スマートキャンプではデータアナリストでの採用となりました。

スマートキャンプ内のデータアナリスト1人目です。
そのため業務内容は他社の同職の人がされている範囲とは違うかもしれません。

そんな僕がデータの役割について思うことを共有します。

データドリブン

データ主導でビジネスの意思決定を行なうことをデータドリブンと言っていたりします。

例えば、うまい棒サラミ味が1本100円で売ってたら「高い」と思いますか?と質問されれば「高い」と答える人は大勢いるんじゃないかと思います。
なぜならうまい棒は1本10円や12円というデータとして、体に刻み込まれているからです。

データドリブンな意思決定を、私たちは日常から無意識のうちにしています。
日常の中ではできているのにも関わらず、ビジネスとなるとできなくなってしまうことがあるのではないでしょうか?

決定権をもった誰かの鶴の一声で施策や方針が決まってしまった経験はないでしょうか?
僕はあります。
言い方が良くないかもしれませんが、巻き込まれた側の認識だと間違いなくデータドリブンとは言えないんじゃないかなぁと思います。

そんな鶴の一声ですが、鶴の中に貯められたデータを用いて発せられたものである場合が多い印象です。人はこれを「勘」や「経験則」と呼んでいます。
データがDBにあるか鶴にあるかの違いなんです。

鶴の一声も一種のデータドリブンなのではないでしょうか?
意思決定に至るまでのデータが目に見えていないだけなのかもしれません。

データは共通言語

お偉い鶴も何かしらの意思決定をする際に、脳内でKGI*1なりKPI*2は考えているはずです。
何にも考えていなければ真の商売の天才か愚かな人です。

さまざまな異なる職種間で共通の認識を図ることができる1つの言語。それがデータなんじゃないでしょうか?
データから抱く印象は担当部署、職種間で若干の違いはあるかもしれませんが、データによってほぼ同じにように認識できるはずです。

データは共通言語

共通認識を阻害する要因

こんな感じのデータがあったとしましょう。
データがあることで「ほぼ同じにように認識できる」と上のほうで書きました。

ほぼというのは同じデータを見ても認識のずれが起きてしまう場合があるからです。
主に認識の誤差を生み出してしまう要因をいくつか抜粋しました。

  1. 各データ利用者の知識の差
    新人、ベテランによってデータに対するイメージが違う場合があります。
    最近の味を答えてくださいという問いがあったときに、新人はのり塩味、ベテラン勢はカレー味と答えたりするかもしれません。

  2. 説明情報が不足している
    表のcodeのカラムはJANコードを示しているのですが、見る人によっては何を示しているのかわからない場合があります。
    データが何を示しているものなのかを明記し定義することが大事です。

  3. 表記の揺れ
    人によってはチキンカレー味のことをカレー味と言う人もいるでしょう。
    略語であったり職場内の言語に置き換えられたりする場合に認識がずれてしまうことがあります。注意が必要です。

鮮度

データは常に新鮮なものを使っていきたいです。
あなたはうまい棒の値段を聞かれたときに何と答えますか?

うまい棒といえば10円という記憶で止まってしまっている人もいるかもしれません。
2022年4月1日に値上げしてから、うまい棒は12円なんです。

別の例を挙げるならば、体調が悪そうな人に「大丈夫ですか?熱ありませんか?」と訊ねたところ、「あっ、大丈夫です!先週は平熱でした!」と答えられたらどうでしょうか?

過去のデータは過去のものです。データの鮮度に気をつけましょう。

実践

鶴は無能じゃないと僕は思っています。少なくとも僕が出会ってきた鶴の中で無能な人は1人もいませんでした。
・・・本当は1人くらいはいたかもしれませんが記憶に残っていません。
日々インプットしているものが多すぎてうまく言語化できていないだけなんじゃないかと思います。

鶴からの依頼を受けたエンジニア側も、たとえ違和感があったとしても言語化することが意外とできていなかったりします。
なんでそんなことするんだろうと思うことがあっても、言い返す言葉に詰まることが僕にはありました。
そんなときにもデータを使って会話をして欲しいなと思います。

データがないときの鶴との会話
データがない時の会話です。
鶴に対して高すぎるという返しをしても、どう高いのか説明ができていません。
両者で物に対する価値観の違いがある状態です。データが加わるとどうでしょうか?

データがあるときの鶴との会話
両者の間で金額データを元にうまい棒は12円なんだという共通認識を持つことができました。

数字で見えている以上、流石の鶴もここから押し通すことはないと思います。
もしもこれでダメなら話しても通じない人です。諦めてその場から全速力で逃げてください。

でも数字を元に仮説を立ててきた鶴の一声だったら、実装が多少面倒くさくても全力でサポートして欲しいなと思います。
たいへん希少な鶴だからです。

まとめ

データは異なる役職、職種、部署間での共通言語としての役割もあると思います。
便利に正しく使って欲しいです。

僕はデータアナリストとしてスマートキャンプに入社しました。
僕の役割はBIツールを使うことでもクエリを書くことでもありません。
データを共通言語として定義していくこと、最新に保つこと、事業に活かせる状態にすることなんじゃないかなと実感しています。

*1:組織や企業が達成すべき最終的な大きな目標

*2:KGIを最適に分解したもの