BASEプロダクトチームブログ

ネットショップ作成サービス「BASE ( https://thebase.in )」、ショッピングアプリ「BASE ( https://thebase.in/sp )」のプロダクトチームによるブログです。

新規事業のプロダクトマネージャーが入社6ヶ月で取り組んだこと

この記事は、BASE Advent Calendar 2022の22日目の記事です。

同日公開の@02 の記事もぜひご覧ください!

こんにちは!BASEグループの新規事業 Pay IDでプロダクトマネージャーをしている坪内 (@tsubo)と申します。

12月で入社半年になるのですが、今更ながら入社エントリーを兼ねて、入社半年でチームでプロダクトマネジメントをしていくために取り組んだこと・意識したことをまとめたいと思います。

この記事では、主に事業多角化・マルチプロダクトにおける新規事業や新規プロダクトのPM、またチームを推進する役割として、働かれている方が対象の内容になります。

⁠入社エントリー

改めて、22年6月にBASE株式会社に転職しました。 Pay IDという新規事業で、Pay IDチームでは2人目のプロダクトマネージャー(PM)としてジョインしました。

入社の軸は、PMとしてこれまでの経験を活かしつつ、新しいチャレンジをしたいという思いで、

  • ①(前職同様)BtoBtoCの事業で、2サイドに向けて価値を届けるプロダクト
  • ② クリエーター(つくり手)とファン(購入者・支援者)のコミュニティ・コマース
  • ③ 立ち上げで、出来上がっていない・自分が価値を発揮しやすい組織規模

という環境が、自分の経験が活かせそうだ・関心を持てそうと感じました。

また分散化していくインターネット全体がモール化していて、購入前後の体験がすべて地続きであり、適した体験を届けていく価値を実感していたこと、スモールチームや個人のエンパワーメントや購入者としてのファン体験がユーザー目線で大切にしたいなど、価値観が近かったことが決め手として大きかったです。

▶ そのあたりのインタビュー記事はこちら

やってきたこと

さて、入社後半年間で、色んなことにチャレンジさせてもらっています!

  • 1〜3ヶ月目キャッチアップ
    • プロダクトビジョンやプロダクトロードマップの言語化・可視化
    • 社内コミュニティ(コーヒー部)の立ち上げ(詳細はこちら
  • 2ヶ月目〜決済施策のPM
    • ビジネスオーナーの高橋と一緒にBNPLのPJ立ち上げと決済プロダクトのキャッチアップ
    • 決済という領域から、全社横断PJだったこともあり、ステークホルダーとの関係づくりや共通理解づくり、全社に方針共有などリードとキャッチアップを並行する
  • 5ヶ月目〜
    • チーム体制強化のため、PMチームのマネージャーに昇格
    • プロダクト全体の戦略や優先順位の判断など担うことになる
    • FY23に向けた来年のプランニングを含め、事業方針やプロダクトのコア・戦略部分の定義・共通言語づくりをマネージャー中心に取り組むなど

チームジョインして意識したこと

今回、新天地でリスタートするにあたり、「温故知新」というテーマで、これまでの積み重ねにリスペクトしながら、新しいことをつくっていく、ということを意識してきました。

新規事業の場合、非連続で新しい風を期待されることが多く、その期待のまま新参者が、課題をあれこれ定義・言及し、新しいことを提案するだけでは、なかなか共通認識/理解を作りにくく、結果的に到達したいところにたどり着けない、というのは、私自身の過去の失敗経験を踏まえて、よくあるアンチパターンかと思っています。

非連続な成長を狙い、早期にチームで推進していくために、これまでの経緯にリスペクトし、未来への想像を含む、共通言語化をつくり・つなげていきながら、チームでチャレンジできる方向性にいくことが、優先と考えていました。

似たようなお悩みをお持ちの方にとって、少しでもヒントになれば嬉しいです。

温故知新の『温故』

新規事業は、0からの立ち上げである、と同時に既存アセットの活用やチームが事業部として独立することで、既存事業とのシナジーを作っていく、という狙いで立ち上げるケースもよくあります。

その観点でPay IDという事業・プロダクト・組織において、

  • 旧Pay ID(PAY ID)と旧BASEアプリの2つのプロダクトが統合したもの
  • BASEのカスタマー領域のチームが事業部として独立した組織
  • BASEショップでお買い物をした購入者のアセットを活かす事業
  • 新Pay IDとして21年冬にリブランディングして2年目

など、過去の経緯を踏まえた上で、まだ立ち上げていくというのも、新しいものをつくっていく・取り入れていく上で、重要だと考えます。

意識していること

それを立ち上げフェーズのカオスな状況で、走りながら考え、作りながら言語化・共通理解をつくっていく中で、ブロッカーになることがあります。特に、過去のコンテキストについて、上記の状況から断片的な情報が多く、暗黙知や人によって尺度・観点が異なる理解というのが、キャッチアップや推進していく上での課題ではありました。

BASEグループとして、次の10年を見据えた新規事業をブレずに立ち上げきるには、当初の思想や狙い、当時の仕様や制約などを理解していくことが大切です。

中には未来に実現したいことと不整合になりえるものも少なくはないですが、「課題」や「べき論」の押し付けや過去の否定をするのではなく、それらを決めた人・作ってきた人たちへの敬意を持って、ヒアリング・ディスカッションしていくのが重要だと思います。

現状地点をドキュメントやFigjamなどで整理・定義しつつ、プロダクトビジョンやロードマップへの落とし込みも、その経緯や実態を踏まえた上で、物事を組み立て、理解していくのが大切だなと意識しました。

温故知新の『知新』

上記の通り、コンテキストを理解した上で、新しいことにチャレンジしていく上で、以下のような取り組みを行いました。

①プロダクトビジョン・ロードマップの言語化

入社後の事業責任者や1人目PMと一緒に、プロダクトビジョン・ロードマップの言語化をチャレンジしました。抽象的・流動的な内容で、暗黙知、認識ズレなど起きやすいこともあり、以下の観点で整理をしてみました。

  • 誰にどんな価値を届けるため、どんな世界を実現するのか?
  • プロダクト・ブランドとして、今後どんな戦略があって、なぜ独自決済(BNPL)に力をいれていくのか?
  • どのマーケットにどんな成長戦略で、どのポジションで、どのくらいシェアをつくりにいくのか?

これらを定義・整理し、PM内での共通言語はつくれてきましたが、残念ながらPay IDチーム内への浸透や活用という形には至っていませんでした。

②事業責任者やマネージャーを含むチームオフサイト

チームへの共通理解・浸透をするため、改めて「全社のミッション、事業・プロダクトの方針が 繋がってる状態」を目指して、事業責任者やマネージャーとオフサイトを通じて、チームでの対話や言語化を行いました。

KPIと企画・仕様とスケジュールだけではなく、「プロダクト全体像を理解し、施策をWhyから考えられる プロダクトチームに」という状態をつくりたいので、意思をもって、異なる職種とも共通理解で話せるテーマとファシリテーションで、あらゆる観点で議論や言語化をしました。

  • FY23-27の事業方針・計画素案
  • プロダクトのコアコンセプト
  • 購入者・ショップオーナーからみた価値や体験、コアバリュー
  • プロダクトの今後のブランドの方向性、何を大事にしたいか
  • 市場におけるポジショニングと理想の状態
  • 購入者・ショップオーナーを含め、社内外でどう認知してほしいか
  • チームの一員としてこれからどうしたい?どうありたい?

参加メンバーは一定の共通言語がつくれてきています。まだまだ誰もが分かる状態に、落とし込みができていないので、オフサイト後もメンバーへの普及や浸透・活用できるドキュメント整備、社内外の発信などやっていきます。

③購入者向けの⁠ユーザーインタビューの仕組み化

BASEは、これまでオーナー向けに、UXリサーチを含め、ユーザー理解に力を入れてきましたが、Pay IDをはじめとする購入者向けのUXリサーチは、会社として初めてでした。

PMとして、「まず顧客を知ることが重要」と考えているので、入社後進めたい気持ちでした。特になぜ作るか?何を作るべきではないのか?どんな状況を避けるべきか?をチームで共通理解をもつために、自社プロダクトやコアユーザー特有の実態を掴んだ上で、組み立てるのは絵に描いた餅やビルドトラップを避ける上で重要です。

チーム内で読書会「LeanUX」という書籍を通じて、リーン思考のユーザー体験設計プロセスでプロダクト開発をしていきたい、という思いがあり、まだまだ実行まで落とし込めていないのですが、これからチャレンジしていきたいです。

これまでのリサーチでは、コアユーザーの利用実態を知るきっかけとして、ユーザー理解や初期仮説の検証が少しずつ始まっており、チームでユーザー理解や仮説検証を促進していきたいです。

④改善フローの仕組み化・プロダクトチーム定例でプロダクトアップデートの共有機会

プロダクトチームが、継続的にプロダクトを良くしていけるための取り組みとして、改善のフローを改めて定義し、仕組み化しました。主に起票〜リリースまでのフローを定義し、要件ごとに優先順位や細かな要件決めを行う形にしました。

Pay ID チームの横の連携を強化して、プロダクトづくりをしやすくすることを目的に、チーム定例を実施しており、そこで改善を担当したPMやデザイナー、エンジニアが発信する機会を持ちます。

Slack チャンネルで、プロダクトアップデートを担当したメンバーへの称賛をわいわいしながら行うことで、チームの連帯感や自信がついてくることを期待しています。

⑤採用イベントや社内イベントでの縦横斜めの相互理解や発信機会づくり

BASEは、今年のPMconfでBASEが協賛をしたことをきっかけに、PMの採用イベントなど、PM起点の社外への発信に取り組む機会が増えました。

PMconf内ではスポンサードチャンネル内で、合計20名以上のPMやEM、Bizなど各プロダクトリーダーたちのトークセッションを企画・運営。また開催後も、採用イベントやプロダクトリーダーたちの社内イベントを企画運営する中で、PMやデザイナーの発信機会につながりました。

職種ごとのマネージャー主体で進行することで、発信機会やファシリテーションによって「普段は話さない、みんなが知らないこと」を、事業部横断でプロダクトに関わる縦横斜めの相互理解が促進され、社外への情報発信をしていく機会も増えてきました。

まとめ

プロダクトマネジメントは、PMだけが行うものではなく、チームで取り組むものだと思っています。 そのためには、対話ができる共通言語(プロトコル)や相互理解の継続的な取り組みが欠かせません。

新規事業は、短中期の非連続性を目指す性質上、短期的な意思決定・推進の速度だけではなく、チームで対話しながら、自律的なプロダクト開発ができるように、チームでプロダクトマネジメントをしていく必要があると考えています。まだまだ山の麓ですが、これからも挑戦していければとおもいます。

今回紹介したPay ID チームでは、現在PMやデザイナー、エンジニアを募集中です! 興味あるかも?と思った方はぜひ一度お話を聞きに来ていただけるととても嬉しいです!

詳細はこちら

明日は @FUJIIMichiro さんや @Linda さんのお話です。お楽しみに!