APIをより使ってもらうために行いたい9施策

APIの利用者が増えないという悩みは良く聞くところです。そのために行いたい施策を紹介します。

1. インタフェースを他と合わせる

もしすでに同分野においてAPIが存在するのであれば、そこに合わせたAPI設計を選択するという手があります。あえて独自性を貫くのは、あまり良い選択肢ではありません。開発者にとっても似たAPIは乗り換え対象にもなるので、全く別な構成よりは似ている方が手軽と言えます。

ただしGoogleとOracleの裁判で見るように、APIにも著作権が認められようとしています(最終的な判決は執筆時点では出ていません)。完全に真似するのは訴訟リスクを背負うことになるので止めましょう。

2. グローバルに提供する

APIは自動化の仕組みであり、使っていくことで国境や言語の壁を越えることが多々あります。そうした中、国内専用というのは、海外を考えた時に別なAPIを探さねばならず、後々面倒になります。利用者としては避けてしまうでしょう。

なるべく制限を設けず、グローバルに提供するようにしましょう。

3. 標準技術を利用する

独自の認証技術やアクセス方式を採用するのは止めましょう。RESTfulであったり、OAuth2.0のようにすでに標準化されている技術を積極的に使いましょう。URL設計や、セキュリティ、通信方式などもなるべくすでに数多あるものを採用するのが良いでしょう。

APIはあくまでも利用者にとって使いやすいものであるべきで、提供側のエゴを押しつけるのはよくありません。標準技術の採用は結果としてメンテナンスしやすく、セキュリティにも強いものになるはずです。

4. ライブラリ、SDKを用意する

APIを提供するだけで使ってもらえるわけではありません。APIをもっと簡単に使ってもらえるライブラリやSDKを充実させましょう。ライブラリはなるべく数多くの言語を採用すべきですが、最初は提供側の期待する言語からで良いでしょう。例えばエンタープライズであればJavaや.NETが最初になるでしょう。

SDKはスマートフォンアプリ向けに提供されますが、多くの開発者はよく分からないSDKをインストールしたいとは思っていません。また、SDKのせいでアプリが落ちたりするのは致命的な問題になりますので、テストを十二分に行う必要があります。

5. ドキュメントを充実させる

APIドキュメントはとにかくしっかりと作り込んでいきましょう。提供側にとっては当たり前のことであっても、利用者は全く知らないことがたくさんあります。それは利用者が不勉強なのではなく、提供側がその道のプロだからです。

コンテンツを拡充させれば、Googleなどの検索流入も増えていきます。利用者はまず最初にドキュメントをチェックして使えるかどうかを判断します。それだけに力を入れたい部分になります。

6. 質問を受け付ける

利用者からの質問を受け付けましょう。質問はなるべくオープンな場所で行い、コンテンツと一部になるように活用していきましょう。利用者の意見、バグ報告、希望する機能を聞くことで開発計画を柔軟に変更し、役立てるようにしましょう。

7. より短いコードで試せるようにする

APIを試すまでのステップはなるべく少ない方が良いです。色々インストールする手間があったり、登録して操作が必要だったりするとあっという間に飽きてしまいます。利用者はそこまでしてAPIを使いたいと思っていません。

オンラインだけで試すことができたり、チュートリアルを使って簡単に結果を確認できるようになっていれば、利用者も次のステップに進みやすくなるでしょう。

8. 宣伝する

かつてはAPIをリリースするだけで使ってもらえることがありました。また、大手の企業(Google、Facebook、Amazon、Appleなど)であればリリースするだけで開発者がこぞって寄ってきます。しかし多くの企業はそのようなことはありません。

しっかり宣伝し、一人でも多くの人たちに触れてもらえるように努力しましょう。

9. 分かりやすさ

APIの説明を一言で言えるようにしましょう。何ができるのか、何が嬉しいのか、明確になっていないと開発者は理解するだけで疲れてしまいます。彼らにあえて使いたいと思うモチベーションがないことを理解しなければなりません。


基本的にいかなるサービスでも同じですが、APIの場合は開発者が対象であること、画面にぱっと出せる見栄えの良いものでないことなどからより明確に、より短い時間でメリットを訴求できるようになっている必要があります。

特に分かりやすさはAPIを広めるファーストステップとして重要と言えるでしょう。

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