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リーダーがいない組織で1on1がどのように行われているか

はじめに

こんにちは!Product Teamのデータサイエンティストの堀内です。
私が所属しているProduct Teamは、リーダーがいないフラットな組織として、ほかのエンジニア組織にはない独自のカルチャーを様々持っていると日々感じています。
今回は、そんな「リーダーがいない組織で1on1がどのように行われているか」をご紹介します。
1on1自体・ユーザベースのProduct Teamのカルチャー・フラットな組織のマネジメント、などにご興味がある方には是非読んで頂きたいと思います。

概要

企業の組織の多くは階層構造を持ち、そういった組織の1on1は、一般に、上司と部下で行われます。
しかし、弊社のProduct Teamには、そういった階層構造がなく、リーダーがいません*1
そのため、1on1はメンバー同士で行われ、一方がコーチ、一方はクライアントとなり、コーチングという形で行われています。
一般的な1on1と対比して、どのようなことを目的とし、どんな考え方で行われているか、そしてわたしたちがどんなメリットや課題を感じているか、本記事では、このことについて詳細に書きます。

一般的な1on1

一般的な1on1の詳細な説明は、Web上のより詳しい記事に譲るとして、一般的な目的と実施方法をかんたんに下記にまとめてみました。

目的

  • 部下のキャリア支援
  • パフォーマンス管理
  • モチベーションの向上
  • 良好な関係性の構築

実施方法

  • 上司と部下で1対1で話す時間を1,2週に一回30-90分程度取り、継続的に行う
  • 管理のためではなく、部下の育成のための時間にする
  • 部下は、チャレンジしたいこと・困っていること、ときにはプライベートのことも話す
  • 上司は部下の話に傾聴することに8割の時間を使う
  • 主に、コーチングを行い、ティーチングしすぎない

Product Teamの1on1

ここでは、わたしたちが通常1on1と呼んでいるものについて話します*2

通常1on1はメンバー同士で行われ、一方がコーチ、一方はクライアントとなり、コーチングという形で行われています。
なぜメンバー同士で実施するかというと、Product Teamにリーダーがいないということもありますが、Product Team自体がシェアドリーダーシップの考え方で全員がリーダーであり、マネジメントを相互に行っているということが大きな理由にあります。たとえば、Product Teamでは、メンバー同士が360度FB制度によって互いに評価し、給与もこれによって決められています。
こういった文脈の中で、メンバー同士で1on1を行うことを選択しています。

では、目的と実施内容をそれぞれ見ていきます。

目的

上司と部下の関係性が、コーチとクライアントというメンバー同士の関係性となること以外は、一般的な1on1と全く同じです。

実施方法

一般的な1on1とほぼ同じです。違うのは、以下の点のみです。

  • 上司と部下と言った明確な組み合わせが存在しないため、メンバー同士の組み合わせを1on1チームが決め、半年周期で組み変えて、周知している

1on1チームについて補足します。
Product Teamには、1on1チームという経営チーム*3 があります。
この1on1チームは、通常1on1のメンバー組み合わせや、都度発生する1on1の調整、1on1の意義を啓蒙などを先導して実施しています。

まとめ

実は、一般的な1on1とほぼ同じです! ...と結びそうになるのですが、やはり、独特の課題やメリットがあるので、そちらを次の項で共有したいと思います。

Product Teamの1on1の課題とメリット

課題

コーチとクライアントの組み合わせ決めはどうやるのか

一般的な1on1との違いである、メンバー同士の組み合わせ決めは、大きな課題の一つです。
上司と部下という関係性がメンバー間にはないので、良い1on1ができることが期待できる組み合わせ作業を行う必要があります。

様々なやりかたが試されてきましたが*4、状況の変化(フィードバックを受けてより良い組み合わせにしたい、メンバーが増えてきたことによる作業コストを削減したい)に対応するため、やり方を変えていっています。

現在は、以下のルールのもとベースの組み合わせをつくりあげ、その後、それぞれ組み合わせの相性など細かい要素を考えて組み替えるやりかたを試しています。

  • コーチの希望度に応じて、クライアントの割当人数を決める(原則最大2名)
  • キャリアや技術力*5の差が一定範囲内のコーチとクライアントをランダムに組み合わせる
  • 過去2年間同じ組み合わせになっていない
  • その期に、コーチとクライアントの関係が相互になっていない

2023年上期はこちらのやり方で実施しましたが、今後もフィードバックを得て、よりよい組み合わせ方法を模索していきます。

コーチがクライアントの業務をしらない可能性が高いが問題ないのか

1on1はコーチングによって行われますが、コーチングは、クライアントの情報をベースにクライアントが気づくことを目指すので、コーチが知っていることは必要ないと考えています。
また、どうしても業務や技術に特有のことを相談したい場合は、コーチやクライアントが自主的に、最適なメンバーとの1on1を別途組むようにしています。

全く話したことのないメンバー同士になる可能性があるが良い1on1になるのか

全く話したことのないメンバー同士が関係性を構築する機会になり、結果チーム内のコミュニケーションが活発になるので、メリットでもあると考えています。
しかし、確かに、個人の性格や親密度によって、話しにくい雰囲気になることはあります。
そのため、組み合わせ決めのときに話しやすそうな組み合わせにしたり、関係性構築のために、6ヶ月という長い期間同じ組み合わせで実施するようにしています。
また、初回の1on1では、お互いのことを知り、自己開示しやすい空気をつくるために、下記のような話題を話すアクティビティを行ってもらっています。

話題の例)

  • 座右の銘・好きな言葉・譲れない価値観
  • いまなぜここ (Product Teamなど)にいるのか
  • 失敗談
  • たぶんあなたが知らないわたしのこと
  • これだけは許せない〇〇

コーチ、つまり全てのメンバーが1on1の意義を理解できている必要があるが問題ないのか

全ての上司が1on1の意義を理解できているかというとそうではないため、一般的な1on1でも同じ課題はあると考えています。
Product Teamの取り組みとしては、入社オンボーディングの際に1時間ほど時間を割いて1on1について説明しており、都度1on1の意義を啓蒙することもしています。
何より、コーチをやってみたいというメンバーの意思を尊重し、1on1のスキルは身につけられるという前提のもと、組織全体のコミュニケーション能力を継続的に高めていければ問題ないという考えです。

メリット

コーチ(メンバー)のコミュニケーション能力の向上が期待できる

一般的な1on1とは違い、メンバーすべてにコーチングする機会が与えられます*6
コーチングはスキルであり、会得できるものであり、ひいては、業務や採用活動*7に役立つと考えています。
たとえば、MTGの場で全員が良い問いかけが出来るようになることで、お互いの意見を引き出したり、発見や気づきを得やすくなります。

普段業務でかかわらないメンバーと話す機会になる

コーチもクライアントも、普段の業務で関わる範囲では知ることができない考えややり方に触れることができます。
また、単純にメンバー同士の新しい出会いがあったり、仲が深まったりすることによって、チーム内のコミュニケーションが活発になります。

コーチ(メンバー)が違う視点を持つきっかけになる

コーチが、一般的な1on1でいう上司のような視点を持つことによって、日々の業務を客観的に見る機会になります。
その結果、自身の日々の業務での気づきに繋がります。

おわりに

リーダーのいない組織での1on1でも、一般的な1on1と目的は変わりません。
独特のメリットがある一方、課題もありますが、日々取り組み、よりよい1on1を目指して改善を続けています。
わたしたちの1on1のやりかたが、すこしでもみなさまの参考になれば幸いです。

また、今回は、1on1というProduct Teamのカルチャーの一端をご紹介させていただきましたが、わたしたちのフラットな組織の空気を感じてもらえたら良いなと思っています。
フラットな組織やProduct Teamのカルチャーにすこしでも興味をお持ちになられたなら、カジュアルにお話からできますので、是非ご応募ください。お待ちしています。

hrmos.co

*1:正確にはCTOが一人おり、その下はフラットという感じです。詳細については、以下のProduct TeamのCTO林のインタビュー記事をご覧いただければと思います。 www.uzabase.com

*2:NJ 1on1(新規参入者が1ヶ月間チームメンバーの誰か一人と行う1on1)やそれぞれ個人が必要と思ったら都度組む1on1もあります。

*3:経営をリーダーが持つのではなく、メンバーで共有し、その経営項目(予算・採用など)ごとにチームを作り、取り組んでいくという仕組みです。

*4:「クライアントが話したいコーチを指名し、指名状況を最適化して組み合わせる」、 「クライアントが1on1で主に話したいトピックを提出し、そのトピックを話せるコーチと組み合わせる」など

*5:ユーザベースの評価制度の結果、個人に付与されるタイトルを元に行っています。コンピテンシーと評価、タイトルについては、以下二つの記事をご参考ください。
ユーザベース全体のコンピテンシーとタイトルについて
https://speakerdeck.com/uzabase/jp_uzabase_hrhandbook?slide=29
Product Teamのエンジニアの評価、コンピテンシーについて
(以下記事「透明性の高い評価制度で、キャリアの指針を明示」の項)
https://hatenanews.com/articles/2021/06/29/103000

*6:実際は、全員がコーチをするわけではなく、今のProduct Teamでは6-7割がコーチになっています。

*7:Product Teamでは、メンバー全員で採用活動に関わっています。

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