テクノロジー

Tableau DATA SABERにチャレンジした話

はじめに

マイナビ内でTableau DATA Saber認定制度に挑戦された3名に、師匠(前編)・弟子(後編)それぞれの立場で2作に分けて体験記を書いていただきました。
本記事では後編・弟子についてお届けします。前編・師匠についてはこちらをご覧ください。

自己紹介

ご覧いただきありがとうございます。データソリューション統括部 データ活用推進1課のT・SとS・Sです。2023年2月からTableau DATA SABERプログラムに挑戦し、無事4月にDATA SABERに認定されました。
この記事ではTableau DATA SABERプログラムに挑戦していた時のことを回顧してみようと思います!

そもそもDATA SABERとは?

Tableauの技術はもちろんのこと、データのその先の世界を見通す技術力とデータドリブン文化を伝え、人々を導く力を身につける資格/制度です。
DATA SABERを目指す者は3か月間の限られた時間の中、

  • Tableauの技術力を磨くための十の試練
  • 導く力を鍛えるための、コミュニティ活動(社内外でデータドリブン文化を広めるための活動)

を行い、全てクリア/最後の試験を突破したものに与えられる称号となります。
(これをクリアするために3ヶ月で100時間以上の勉強時間が必要になります。)

1日1~2時間ペースで勉強をすればいいように見えますが、通常業務にプラスで時間をかけて勉強をしなければいけないので、大変な試練であることはお伝えしておきます。
詳しくは公式HPをご確認ください

それぞれの回顧録

T・SとS・S、それぞれがDATA SABERプログラムで過ごしてきた時間が異なります。
そのため、それぞれの歩んできた道を書いていこうと思います。

CASE 1 T・Sの場合

改めて自己紹介

私立大学文系学部卒。
「システムエンジニアってなんですか?」というレベルで、この業界に足を踏み入れました。
新卒1年目でSESの会社に就職し、某携帯電話キャリア会社に客先常駐。そこでBIについて色々と学びました。
新卒3年目の途中にマイナビに転職し、それからはBI開発に携わったり、現在ではセルフBIの導入、サポートなどを業務として行っています。

DATA SABERチャレンジ前のTableau歴・レベル

DATA SABERチャレンジ前のTableau歴:4年ほど
レベル:簡単なグラフや集計表とそれを組み合わせたダッシュボードが作れるレベル

初めてTableauに出会ったのが、某携帯電話キャリア会社で客先常駐していたころになります。
当時、新卒2年目の時に初めてTableauを触りました。そのころは簡単なグラフや集計表を作る程度で、ダッシュボードを開発したりなどのスキルは持ち合わせていませんでした。

マイナビに転職してからもしばらくはTableauは触っておらず、
2021年10月の部署異動を機に、久しぶりにTableauを触り、そこからは独学でTableauについて学んでいったというレベルになります。
独学だったため、Tableauの機能をちゃんと理解しているわけでもなく、有効活用もうまくできていませんでした。

チャレンジした経緯

簡単に言うと、Tableauのスキル・技術を身に着けるためです。
異動してから、Tableauでダッシュボードを作成する業務が発生しました。しかし、自分の知識不足のせいか、Tableauの機能を最大限に活かせていないと感じ、DATA SABERに挑戦しました。
また、同時に私はデータドリブン文化を社内に根付かせる部署に所属しています。Tableauのスキルや知識を他の方に展開する立場であるのに、Tableauの機能を活かせていない、機能を知らないのは、データドリブン文化を根付かせるうえで今後障壁になるのではないかと思いチャレンジしました。

弟子時代に取り組んだこと

Tableauの技術力を磨くための十の試練
こちらについては与えられた問題に対して回答するものになります。

内容は、①tableauをつかってデータを可視化し回答を探し出すという問題と、②データドリブン文化を広めていく上でどのような考えでどのような行動を取ったらいいかを問われる問題と2パターンあります。
どちらも全問正解しないとCLEARにはならない課題です。
①の問題例はこちら
②の問題例はこちら

①については技術力が問われる問題であるため、自分が持ち合わせている知識を使ったり、わからないものについては、別途、勉強動画を見たりして知識を習得しました。

②については、どちらかというとデータドリブン文化を作る上で必要なマインドや考えを問われるものになります。そのため、答えを導くために一緒に挑戦していたS・Sさんとディスカッションしたり、師匠とディスカッションなどをして答えを導いてきました。

技術力を磨くための試練とあるように、知識や考えを問われる問題であるため、わからないものは素直にわからないと認めて、勉強動画をみたり師匠などとディスカッションを重ねたりしました。

導く力を鍛えるための、コミュニティ活動(社内外でデータドリブン文化を広めるための活動)
いくつかお題が設定されており、そのお題ごとに取得できるポイントが決まっています。社内、社外それぞれ20ポイント、合計50ポイント取得してCLEARとなる課題です。
私が行った取り組みを社内向け、社外向けでいくつかご紹介します。

【社内向け】

  • Tableau Doctor

Tableauを社内で利用している方々の悩みや、こんなことを実現したいという要望を聞いて、どのように解決すればいいかを提示するものになります。 悩みや実現したいことの内容は様々ですが、社内のユーザーがどんなことに躓いているのかがわかったり、またその悩みに対してデータ活用推進部署としてどのような施策を打つと良いのかなどを考えるきっかけになりました。

この取り組みは、最初はDATA SABERの時だけ開催しようとしていたのですが、社内のTableauユーザーから好評でありましたため、上長と相談し、月2回開催できるようにしました。

  • Tableau勉強会「Tableauにおけるパフォーマンス改善」

社内全体でTableauを利用する上での課題で、Tableau ServerのCPUやメモリの使用率が逼迫してしまい、大規模障害発生につながってしまう恐れがあるという課題がありました。この事象が発生する原因の一つとして、ユーザーがTableau Serverに負荷をかけやすいダッシュボードを作っていることがあげられていました。
ですが、Tableau Serverに負荷をかけにくいダッシュボードの作り方をユーザーが知らないということが根本原因でありますため、「ユーザーの皆さんでもすぐに改善できる」というポイントを中心に、勉強会ではお話しました。
その結果、早速パフォーマンスをよくするために、作ったダッシュボードの改善に取り掛かってくれるユーザーが出てきたり、新規作成する際にも、勉強会でお話したポイントを頭に入れてダッシュボードを作ってもらったりなど、社内で少しずつ改善する動きが起こるようになりました。

【社外向け】

  • Tableauに関するブログ記事の投稿

Tableauに関するブログ記事をいくつか投稿しました。

  1. Tableau Serverのリポジトリについて
    TableauにはTableau Serverという、作成したダッシュボードを共有するWebアプリケーションツールがあります。その裏にはアクセスデータなどが蓄積されていまして、裏にはどんなデータがあるのかだったり、そのデータの活用事例などをまとめたものになります。
  2. DATA SABER見習いがTableauを使っていて思うこと
    DATA SABERのプログラムを進めていく中で、Tableauに関する色んな知識、表現技法を習得しました。ですが、どんなに凝ったものを作ったとしても、見る人が正確にデータを読み取れないと意味がないと考えています。「見る人第一のダッシュボードを作りましょう」という自分への戒めの意味も込めた記事になっています。
  3. Visual Analyticsについて
    こちらは、DATA SABERの課題で私が苦手に感じていた部分をまとめたものになります。データに応じた最適な表現の仕方や、色や形などの人間が無意識に把握できるものを効果的に利用すると、わかりやすいダッシュボードが作成できるということを記事にしています。
  4. Tableau DATA SABERになったので、自分なりの勉強法書いてみる
    こちらはDATA SABERになった後に書きました。私がDATA SABERにチャレンジしていた際に、どのように勉強を進めていけばいいか悩んでいる時期がありました。そんな私と同じ悩みを持っている方々に向けて、道しるべになればと思い書いた記事になります。

このようにして、DATA SABERで学んだこと、気づいたことなどを、社内だけでなく社外にも展開してきました。
今後もマイナビのDATA SABERとして、データ活用に関する情報発信を実施していけたらと考えています。

苦労したこと

一つ目は時間のやりくりです。

私がDATA SABERにチャレンジしている期間は、通常業務も繁忙期でありまして、学習時間を割けられない日もありました。そのため、上長に許可を得て残業して学習時間を得たり、何とかしてDATA SABERの試練にチャレンジするための時間を得ていました。
また、動画で勉強することもできるのですが、通勤時間に動画を見たり、隙間時間などを勉強に活用していました。

二つ目はデータドリブン文化を作る上でのマインドなどを問われる問題について、何度もやり直しを食らったことです。

tableauをつかってデータを可視化し回答を探し出すという問題とは異なり、この問題はDATA SABERが持つべきマインドを問われるため、DATA SABERのことをちゃんと理解していないといけません。
何度も躓きはしましたが、一緒に挑戦していたS・Sさんと意見交換をしたり、師匠とディスカッションしたりなどを行うことで、DATA SABERとしてのマインドが少しずつ分かるようになってきました。そしてこのマインドこそが、マイナビ社内にはまだまだ足りていないものであり、データドリブンを推進する立場である私自身にも不足していたものであることを痛感しました。

このような苦労はたくさんありましたが、それを乗り越えたが故に、自信につながったかなと今では思っています。

学んだこと

Tableauに関するスキルについてはもちろん多くの学びがあったのですが、一番はDATA SABERとして、データドリブン文化を根付かせるためにはどのように行動をすべきなのか、その姿勢や行動指針について学ぶことが多かったと思います。

今までの自分はデータ活用を推進する部門に所属していたものの、ユーザーから来た質問に対して答えたり、データ分析基盤の構築案件で任されたタスクに注力していたりしていました。これらの業務も勿論大切な業務ですが、DATA SABERの試練では「自分から能動的に動く重要さ」を学びました。今までの自分はどこか受動的な側面がありましたが、DATA SABERはデータドリブン文化を創造する、浸透させることが使命です。

受け身の姿勢でいるだけでは、キャッチアップできる社内のデータ活用の課題や悩みなどは氷山の一角に過ぎないですし、データドリブン文化を推進する立場である人間が受け身の姿勢でいては、データドリブン文化はいつまでたっても生まれないと実感しました。
この学びがあったからこそ、最初はDATA SABERの活動の一貫として行っていたデータ活用相談会を、自分が上長に進言して今も継続して活動を実施したりなど、自分自身少しだけ能動的に行動を起こせるようになりました。

これからもこの学びを大事にし、DATA SABERとして能動的にアクションを起こし、データドリブン文化を根付かせていきたいと思っています。

今後のこと

DATA SABERとして、データドリブン文化を根付かせるための活動を進めていきたいと考えています。社内外問わずとは考えていますが、まずは社内から根付かせて行けたらと思っています。
そのためには精力的に活動を行い実績を積み、社内にDATA SABERを認知してもらわないといけません。
まずは、データ活用相談会など、引き続きできることを地道に実施を行っていきながら、社内のデータ活用ユーザーと接点を作っていき、少しずつDATA SABERを認知してもらえるようにできたらいいなと思っています。

また、社内にインパクトを与えられるような取り組みも認知には必要かと思っています。ですので、社内でまだ誰も取り組めていないデータ活用のスキルベルト作成の検討も今後行いたいと考えています。
そして、私が今度は師匠となってDATA SABERを育成し、各事業部門でデータ活用が自走できる世界観を作っていけるようにしていきたいと思います。

CASE 2 S・Sの場合

自己紹介

私立大学理工学部数学科卒。
理工学部と聞くと一通りPC操作には慣れている印象を持たれますが、大学時代では採用活動でのESとレポート作成でしかPCを使わなかったくらいの初学者で入社しました。
2022年4月にマイナビに入社し、10月までは技術研修や社内インターンシップを行いました。
2022年10月にT・Sさんと同じ課に配属され、社内のデータ活用基盤の保守運用とデータ活用推進やデータ民主化を主な業務としています。

DATA SABERチャレンジ前のTableau歴・レベル

DATA SABERチャレンジ前のTableau歴:2ヶ月
レベル:BIツールがどのような目的で利用されており、Tableauが社内でどのように活用されているのか知っている状態。

2022年8月に社内インターンシップ内でTableauのハンズオンを体験させていただく機会があり、そちらでTableauの存在を知りました。(インターンシップ担当はT・Sさんでした)
2022年10月の配属後に自身の課が行っているTableauの導入相談や利用推進のミーティングに同席するようになったため、Tableauの特徴や役割を知るようになりました。

TableauはセルフBIツールとして現場に提供しており、部署のメイン業務としてダッシュボード作成を行うわけではないため、利用経験はほとんどありませんでした。

チャレンジした経緯

そのままですが、Tableauの知見を増やすためです。
データ活用相談で課の一員として貢献するためにもTableauの知見は必須でした。
ユーザーサポートも一人では行えない状況であったため、Udemyなどを活用して学習を始めた段階でした。
また、社内のTableau利用を推進する為にTableau社主催のイベントに参加し他社事例を伺う機会もありましたが、その際にDATA Saberについての話も耳にすることが多くありました。
学習するなら資格取得という明確な目標を持って取り組んだ方が良いと考えチャレンジを決意しました。

弟子時代に取り組んだこと

Tableauの技術力を磨くための十の試練
こちらについてはT・Sさんと同様のため割愛させていただきます。

導く力を鍛えるための、コミュニティ活動(社内外でデータドリブン文化を広めるための活動)
T・Sさん同様に社内、社外に向けた取り組みを行いました。

【社内向け】

  • DocBaseによる情報共有
    社内のドキュメント共有ツールであるDocBaseにてTableauのTipsをアップしました。
    具体的には、細かなフィルターアクションの設定方法や二重軸の設定方法、ウォーターフォールチャートの紹介など知っているからこそ活用できるTableauの機能や活用方法についてご紹介しました。

【社外向け】

  • Tableau PublicへのVizの投稿
    Tableau Publicとは世界中の方がだれでも自身で作成したVizを共有することができるTableauのサイトです。
    私は趣味である、海外サッカーについてのデータの可視化を行いました。
    ここで自身が作成したVizを共有する事の意義は、単にアイディアを発信するだけでなく、新たな繋がりを作る事ができる点にあります。
    私もここでコミュニケーションをとった方のVizから学びを得る機会となりました。

  • Tableau関連記事の投稿
    私は「Tableauの技術力を磨くための十の試練」の考え方について自身のブログに記事を作成しました。
    具体的には、パフォーマンスを構成する要素についての記事や社内データ基盤の在り方について記事を作成しました。
    この活動は正直他の誰の役にたったかは分かりませんが、インプットした内容をアプトプットする事で内容の整理ができました。

苦労したこと

苦労したことはタスク管理と時間の捻出です。

T・Sさんが初級の試験を着々と突破していく中で、頭からつまずいていました。
はなからそのつもりでのチャレンジではありましたが、想像以上に一つ一つの試験クリアに時間がかかってしまいました。

2022年10月の配属後は1ヶ月間各システムの説明を受けた後に、業務と課内技術研修(バッチや定義書の設計ワーク)を並行して行っていました。しかしその課内技術研修を完了させないままチャレンジを開始し、別途新規業務もいただいてパンク寸前でした。
終盤には上長のご協力で業務量を調整いただいたり、残業での学習時間の確保を許容いただき、なんとか合格する事が出来ました。

「これらの経験を経て、タスク管理について自分なりの方法を見いだす機会となりました。」
とはまだ言えないレベルなので引き続きこの問題と向き合っていきたいと思います。

学んだこと

タスク管理やTableauのスキルに関してはもちろん学びがありましたが、その他について記載します。
私が学んだことは文化醸成の重要性です。
この資格勉強を通して、Tableauのスキルを叩き込まれました。しかし、Tableauの機能を熟知しているからと言って良いダッシュボードが作成できるわけではありません。
ダッシュボード作成はダッシュボードを作成する明確な目的を持ち、それを達成するためにどのようなデータを用いるか考える必要があります。
その為、直接的にビジネスに携わっていない言わばエンジニアサイドの私がこの力を発揮するには、ビジネスサイドの方々と共通認識を持ち、一緒にダッシュボードの作成を行う必要があります。
その方々の明確な目標とビジネス知識を正確に受け取り、ゴールへのサポートをするのが我々の役割です。
しかし、DataSaber認定後にユーザーのサポートを行った際にはサポートを円滑に行うことができませんでした。
何故かというとお互いの常識を理解していなかった為です。
私はビジネスサイドの理解が浅く、ユーザーはデータの理解が足りていませんでした。
複数の事業を持つ弊社にとって、全てのビジネスについてエンジニアサイドが理解する事はできませんし、他事業部のデータ活用の事例共有や分析用のデータ共通基盤を運用する事は、ビジネスサイドにはできません。
異なる役割の中で
両者が近い距離で、目標を共有し、足並みをそろえて働く事の大切さを学びました。
その為にはこの考え方についても共通認識を持つ必要があり、組織として文化を醸成する事が必要です。
その文化醸成こそが我々DataSaberに求められるものだと学びました。

今後のこと

現在社内に4名いるDataSaberを中心にデータについての考え方を発信して、文化を醸成していきたいです。
また、それに伴う様々な知識やスキルを積極的に会得していきたいです。

文化を醸成する手段がまだ明確ではありませんし、そこで活用するツールがTableauでなければならない訳ではありません。
様々な方法を模索して、一歩一歩着実にこの考えを広めていけたらと思います。

データが集まる会社でありそこにはたくさんの可能性があると思っています。
文化を醸成し、同じ方向を向いて、新たな価値創造に貢献できればと思います。

終わりに

DATA SABERにチャレンジしたことを書いてみました。たくさん苦労したり、躓いたりしたのですが、頑張った結果DATA SABERになれたことは大変うれしく思っています。

ですが、2人とも、DATA SABERになれたことがゴールだとは思っていません。
社内に目を向けると、データドリブン文化を根付かせるという大きな目標が存在しています。また、データ活用人材を育成したり、データ活用を行っている人向けに情報発信したりなど、社外においてもDATA SABERとしての役目を果たさないといけません。

師匠は、私たちが社内外で精力的に活動できると期待して、DATA SABERに認定してくれたと認識しています。
その期待に応えられるよう、データ活用の中心的存在となって活動を行っていきたいと考えています。

※サムネに利用しているロゴは DATA SABER より引用

※本記事は2023年08月時点の内容です。

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