【イベントレポート】【動画アーカイブあり】アバナード山本誠樹氏が語る『リフト&シフトで終わらせない!Azureで実現する本気のシステム移行』(前編)

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ビジネス変化のスピードへの対応、柔軟な働き方を実現するため、クラウドトランスフォーメーションを進めたいと考えている企業は多い。特に「2025年の壁」を前に、その動きが加速している。どのように移行すれば、よりクラウド化による真のメリットを享受し、ビジネスにとって大きな効果をもたらすのか。その鍵を握るアプリケーションのモダナイゼーションをAzureで実現する方法について、アバナード マネージャー山本誠樹氏が解説した。
【イベントレポート】【動画アーカイブあり】アバナード山本誠樹氏が語る『リフト&シフトで終わらせない!Azureで実現する本気のシステム移行』(前編)

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●登壇者プロフィール

アバナード2
アバナード株式会社 マネージャー 山本 誠樹氏
.NETやJavaのシステム開発をソフトウェアエンジニアとして経験を積んだ後、Azureは黎明期より約10年間、構想策定から設計、構築、稼働後サポートまで支援。 コミュニティ活動を活発に行っており、Azure、Cloud Native、TDDなどに関する勉強会を開催している。Microsoft MVP for Microsoft Azureを2014年度から2019年度まで6年連続受賞。

リフト&シフトの何が問題なのか

大企業のほとんどは、迅速に適応できるだけの俊敏性や技術を十分に備えていない。だが、スタートアップ企業には取り巻く環境に俊敏に合わせて、ビジネスを展開している企業がある。例えば、コストコは2019年に最も多く車を販売した会社となった。

また、電気自動車で有名なテスラは、顧客に向けて保険の販売を始めている。グローバルでホテルや宿泊施設の運営を展開しているマリオットは、Airbnbと勝負する体制を作っている。このように現在は、スタートアップ企業がこれまでの業界の覆すチャンスとなっているのだ。これがなぜできるのか──。

それはクラウドトランスフォーメーションをしているからである。クラウドトランスフォーメーションすることで、迅速な意思決定や事業の成長など企業の営みができるようになる。

今、クラウドトランスフォーメーションをするには何が問題なのか。最も大きな問題は何から始めればいいのか、どんなことをすればいいのかを誰もが知っているわけではないこと。その結果、どんどん問題が膨らんでしまい、「クラウドトランスフォーメーションしたのに、効果が上がらない」「今までの方が良かったんじゃないか」ということになってしまっている。

では、クラウドトランスフォーメーションの価値とは何だろうか。この図を見れば分かるように、従来のITの価値モデルでは、数年かかって新しいニーズに対応してリリースしても、その後、価値が下がっていくと谷から抜け出すために時間がかかり過ぎる。

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抜け出すためのコストも高く、イノベーション活動ができない間に競争から外れてしまうことがある。リフト&シフトにとどまっているとこのようなことになりがちだ。そこでその一歩先のモダンITの価値モデルに持っていければ、ビジネス価値を高く保つため、継続して革新・反復が可能になる。

その成功の鍵がIaaS、PaaS、SaaSなどのクラウド、流動的なアーキテクチャ、アジャイル、DevOps。つまり、革新・反復が可能な状況にすることがポイントである。

Avanadeが考える本気のシステム移行

次に解説されたのは、アバナードが考える本気のクラウドトランスフォーメーションパスについて。トランスフォーメーションパスとは、レガシーのオンプレミスモデルからモダナイズされたアプリケーション、インフラストラクチャおよびプロセスを使用して、クラウド対応のエコシステムに導くことだ。

「対策として今一番、採用されているのがリフト&シフトです。これは従来のサーバーやアプリケーションを、クラウドにそのまま持っていくリホストから始まる。つまり、簡単に言うとサーバー移行です」(山本氏)

だが、リスト&シフトはそれで終わりではない。クラウドへのサーバーへのリホストは短期的な価値はもたらすが、長期的に考えると先の図のように、だんだん価値が落ちてくる。ニーズおよび成熟度によって次の一手(例えばアプリケーションの評価、アプリケーションのコンテナ化)を打つ必要がある。

「その方法をアバナードは持っています」と山本氏は強調する。

なぜなら、アバナードは世界で最も信頼されているマイクロソフトのパートナー。その技術、知見により3つのフェーズ(アドバイス、デザイン&ビルド、マネージ&エボルブ)を用意、お客さまのクラウドトランスフォーメーションを導き、クラウドの力を余すことなく実現しているからだという。

アバナードのサービスは大きく次の8つを提供している。


1.アドバイザリー提案
 ↓
2.評価とロードマップ(アセスメント)
 ↓
3.企業価値(ビジネス目標を成し遂げるために適切な投資を特定し、正当性を示す)
 ↓
4.プラットフォーム設計(クラウド上に適切なプラットフォームを設計・展開する)
 ↓
5.プラットフォームの移行とトランスフォーメーション
(スムーズでトラブルのないクラウド移行を迅速に実現する)
 ↓
6.先進的な管理
(Azureのパフォーマンス、コスト、セキュリティを最適化、運用、監視する)
 ↓
7.継続的なイノベーション(Azureの計測的に改善する)
 ↓
8.MiDS(マイクロソフト・インテリジェント・データ・サービス)


これらのサービスの中からお客さまに最適なものを選んで実施する。特に重要になるのが8つめのMiDS、データ。これを活用できるようにすることが、クラウドの価値である。

だが、データがクラウドにあると危険性もある。そこでアバナードでは最初にセキュリティを設計する仕組みを持っている。

続いて、アドバイザリープロポジションズを実施。これにより安全で将来に備えたインフラストラクチャ、アプリケーションおよびプロセスのための戦略と計画を迅速に構築するためのアドバイザリー提案などを行う。

そしてワークショップ、ツール、アクセラレータを実施することで、デザイン&ビルド、実行というサイクルを回していく。お客さまがクラウドに移行するにあたり、アバナードでは次の7つのシナリオを用意し、抜けと漏れのない移行ができるようになっている。

・SAP on Azure
・Data Center Exit
・Optimize your Cloud
・Mainframe Modernization
・Intelligent Edge
・Big Compute
・End of Support

全体像としては、以下の図のような仕組みでAzureによるクラウドトランスフォーメーションを進めていく。

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リフト&シフトから一歩進んだシステム移行・変換

プラットフォーム、インフラ、アプリケーション、データをクラウドに移行することの第一のメリットは、変革的な新しい機能や働き方を活用できるようになること。

アバナードのサービスは、アプリケーション、サーバー、データのAzureへの迅速でドラマのない(当日、大問題が発生するようなことがない)移行を目指している。そして資産をAzure上に置いてしまえば、安全かつスムーズで効果的な運用が可能になる。

「なぜ、今プラットフォームの移行・変換を必要としているのでしょう。クライアントは俊敏性と予測可能なコスト、規模に応じたオンデマンドサービスのために、ビジネスとITの目標を達成する必要があるからです」(山本氏)

では、クラウド移行にはどういうアプローチがあるのだろうか。

IT分野を中心とした調査会社、ガートナーでは、5つのR(Rehost:リホスト、Refactor:リファクター、Rearchitect:リアーキテクト、Rebuild:リビルド、Replace:リプレース)に基づいたクラウド移行戦略のアプローチを提案している。

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マイグレーション&モダナイゼーションではリホスト、リファクター、リアーキテクトという手法、クラウドネイティブではリビルドという手法、SaaSではリプレースという手法を採用している。

「アバナードはマイグレーション&モダナイゼーションの領域において、さらに6つのR(Retain:保持/Retire:リタイア、Replace:リプレース、Re-host:再ホスト、Re-Platform:再プラットフォーム化、Re-Factor:リファクタリング、Re-Architect:再構築)に基づいたアプローチを用意しています。

リフト&シフトではIaaSへ再ホスト、OS、DBのアップグレード、HA、DR、ストレージをクラウドに移行します。つまり、オンプレの資産をクラウドに持っていくという作業です。

リフト&最適化では自動プロビジョニング、セキュリティを統合したDevOpsパイプライン(DevSecOpsとも呼ばれる)、ログアナリティクス(ログの蓄積・解析)、規模の適正化、オートスケールなどを行います。

リフト&変革ではアプリケーションのリファクタリングやクラウドネイティブな機能の利用、SaaSやクラウドネイティブなサービスへリプレースします。リフト&変革に向かうにつれて、コスト削減、アジリティも増加しますが、移行の手間もかります」(山本氏)

アバナードが用意する6つのRアプローチ

続いて、アバナードが用意する6つのRのアプローチについて、その詳細が説明された。R1はオンプレをそのまま塩漬けすること。R2は省かれているが、オンプレミスのサーバーを新しくするだけなので、リテインとほぼ同様のパターンとなる。

R3はリホスト。アプリケーションを別のハードウェア環境に再デプロイする。リホストは今あるものを別のサーバーに移行するだけなので、基本的にアーキテクチャの変更はしない。

R4リプラットフォーム。既存のアプリケーションを破棄し、Office365などの商用SaaSに乗り換える。SaaSは今までできていたことができなかったり、業務要件に合わないことがあるので、困難な場合もある。

R5、R6がモダナイゼーションの中心のアプローチになる。R5のリファクターでは、アプリケーションのコード修正または構成の変更を行い、アプリケーションを新しいインフラストラクチャサービスに接続する。新しいAPIを呼び出すためにコードの変更が必要になるが、投資した開発言語、フレームワーク、およびコンテナを再利用できる。

また、クラウドアーキテクチャのプロバイダーのベストプラクティスを活用することができる。デメリットは、元のプログラムに設計書がなかったり、誰も分からない機能があったりするので、不足している機能が出る可能性があること。フレームワークが商用のものだとロックインの可能性もある。

「R6リアーキテクトでは、新しい機能を追加したり、レガシーシステムをサポートするために、アプリケーションや既存のコードと一部再構築します。他のクラウドの導入やレガシーモダナイゼーションの目標を達成するために、それを強化。ドキュメントやナレッジの欠如が改修を困難にします」(山本氏)

リファクターと何が違うのか。リファクターは既存のコードを頑張って直す。リアーキテクトは既存のコードはあるが、ドキュメントがないので、その一部をイチから全部作り直すことになるという。

「例えば10個のうち1個を修正する場合、修正は新旧のコードの両方を維持しようとすると、複雑な移行アプローチとなります。このときによく実施するのが、両方一緒に動かすという方法。古いコードはAs Isでやりつつ、リアーキテクトしたものを一緒に動かす。

その前段にロードバランサーを置き、アクセスを7対3の割合で振り分けて、被害を最小限に抑えるのです。そして、何も問題がなければ旧コードを破棄し、新しいコードに移行する。問題がでれば、旧コードにリクエストを割り当て、バグを修正します」(山本氏)

アバナード山本誠樹氏が語る『リフト&シフトで終わらせない!Azureで実現する本気のシステム移行』(後編)はこちら

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