【数学カフェ】【第1回数理生物回】

2016/10/29(土)13:00 〜 19:00 開催
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イベント内容

いつもはまるまる講義に充てている数学カフェ。

今回は少し趣向を変えて、ディスカッションの時間を取ることにしました。

数理生物の研究についてお話をしたあと、 その後の展望について 数学、生物、その他様々なバックグラウンドを持つ方々と ゆっくりお話ができたらと思います。

ぜひお気軽にご参加くださいませ。

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概要

1: 発表者 twitterID @simizut22

生命科学への数学の応用は物理のそれと比べて長年難しい[1]とされてきていたが、21 世紀に入ってからその交流が活発化している。[2,3] この発表では、数学の具体的な分野が生命現象の何を明らかにするのに利用されているのかそれら一部を列挙し、逆に生命科学に端を発する数学的道具/定理についてを、それぞれについて深入りはせずに概説する。[4]

参考文献: [1] Reed, Michael C. "Why is mathematical biology so hard." Notices of the AMS 51.3 (2004): 338-342. [2] Cohen, Joel E. "Mathematics is biology's next microscope, only better; biology is mathematics' next physics, only better." Plos biol 2.12 (2004): e439. [3] Sturmfels, Bernd. "Can biology lead to new theorems." Annual report of the Clay Mathematics Institute (2005): 13-26. [4] Reed, Michael C. "Mathematical Biology is Good for Mathematics." Notices of the AMS 62.10 (2015).

2: 発表者 twitterID @nkjmu

近年の急速な生命科学、分析技術の発達により、生命の設計図であるゲノムの解読やそれに付随する研究がトレンドとなっています。微生物学の分野ではゲノムの小ささや微生物が目に見えないという特性から、こういった遺伝子解析技術が積極的に利用されています。  個々の微生物においては、微生物の増殖曲線に微分方程式が関わるだけではなく、遺伝子がいつどのように働いているのかという解析にグラフ・ネットワークが、あるいは細胞内での代謝物の流れが微分方程式・行列式として記述でき、数学が関わってきます。  生態系へと視点を広げると、食う食われる関係はもちろん、微生物の世界には「微生物ループ」という関係性も存在し、より複雑なものを記述していく必要があります。個々の微生物における「遺伝子」を「種」と言い換えれば、ネットワーク解析は生態系の研究にも重要なのです。  普段は実験屋故にまだまだ数理生物への理解が足りていませんが、何をどう組み合わせれば新しいことがわかるかということを考えていければと思います。

3: 発表者 twitterID @mathcafe_japan

2016年のノーベル物理学賞は、物質のトポロジカル相とトポロジカル相転移についての研究を行った3氏に与えられました。この研究に代表されるように、トポロジー※の理論物理学への応用は様々な分野で古くからよく研究されています。

R.C.Penner氏らは、このようなトポロジーの応用の自然な拡張[1]として、生命活動を司る高分子の立体構造の理解を目指し応用を試みています。特に、タンパク質やRNAの立体構造を理解することは、創薬への応用につながる重要な課題です。本講演では、Penner氏により提唱されたタンパク質とRNAのトポロジカルなモデルについて解説したのち、そのさらなる拡張について皆さんと議論したいと思います。

※トポロジーは、俗に「ゴム風船の幾何学」といわれるように、図形の伸び縮みで不変な性質を研究する柔らかい幾何学です。[2]

[1] R.C.Penner, “Moduli spaces and macromolecules”, Bull. Amer. Math. Soc. 53 (2016), 217-268 [2] 代数的トポロジー 枡田幹也著

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講師紹介

1: simizut22 他己紹介

清水さんは数学カフェの縁の下と上の力持ち。 溢れんばかりの数学愛で、社会人でありながら常に数学のセミナーを開き、研鑽を積んでいます。

今回お話を聞けるのを楽しみにしています。

2: nkjmu 自己紹介

nkjmuです。普段は微生物生態学を専門としている博士課程の学生をしております。数学はちゃんと習ったのが高校まで(ほぼ高校の復習で終わった学部の一般教養を除く)ですが、自身の専門と数学の融合を考える機会ということで発表させていただきます。

研究外活動として大学院生出張授業プロジェクト(BAP)という活動をしています。これは高校生に自分たちの研究や大学院というところの魅力を知ってもらうための活動で、スピンオフ企画としてBAPcafeというサイエンスカフェも開催しており、幅広い方々に科学の魅力を知ってもらえればと思っています。

今回の発表はそもそも生物とはどういうものかというところから始め、近年急速に発達しつつある遺伝子解析技術をの紹介を前菜とし、私の専門である微生物生態学内でどんなことに数学が関わっているのか、関わってきそうなのかというところをメインディッシュとしてお届けしようと思います。

3: mathcafe_japan

数学カフェの中の人です。 修士課程まで薬学専攻でしたが、数学がとても好きであるために大学で学ぶ数学を学び始めました。数学カフェを開催する動機は、様々な分野の数学を学び、生物学や薬学への応用をする種まきをしたいという点にあります。

応用数学の研究には、純粋数学とはまた違った楽しさがあります。今回皆様に日頃の学習の成果をお話させて頂き、数学、生物、その他様々な分野の皆さんと議論をし、学際的な交流を楽しんでいただけたら幸いです。

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皆様とお会い出来るのを楽しみにしております!

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