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はじめに セーフィー株式会社 開発本部エンジニアリングオフィスの山崎(@ymzaki_m4)です! 今年も26新卒エンジニア11名が仲間に加わり、全体研修を経て4月20日から開発本部での研修がスタートしました! エンジニア研修といえば、言語の仕様やフレームワークの使い方、インフラ構成といった「技術(ハードスキル)」が主役になりがちです。しかし、セーフィーの開発組織が大切にしているのは、技術を使いこなす前の土台となる「人」「チーム」「プロセス」のあり方です。なぜなら、プロフェッショナルとしての仕事は「個人戦」ではなく「チーム戦」だからです。 今回は、研修の冒頭2日間でおこなわれた、組織
脱「モンキーAI」、Gemini Enterpriseによる「インラインAI」への移行 AIを導入しても成果が出ない企業の多くが陥っているのが、いわゆる「モンキーAI(Monkey AI)」の状態です。これは、あるツールからデータをコピーし、別のAIチャットツールに貼り付けて結果を得て、また元のツールに戻すという、非効率な「往復作業」を指します。
株式会社タイミーでモバイルエンジニア (Android / iOS) をしている、みかみです。介護領域のグロース施策を中心に、AB テストや分析、マーケティングとの連携などにも取り組んでいます。 2026年4月16日に開催された RevenueCat App Growth Annual Tokyo 2026 (以下 RAGA) に参加してきました。 アプリ成長、サブスクリプション、AI をテーマにしたセッションの中から、個人的に印象に残った話をいくつか紹介します。 RAGA について RAGA (RevenueCat App Growth Annual) は、 RevenueCat が主催する「モバイルアプリ成長」をテーマにしたグローバルカンファレンスです。RevenueCat は、モバイルアプリのサブスク収益化プラットフォームを提供している会社です。 カンファレンスでは「 AI・サブスクリプション・アプリ成長 」をテーマに、プロダクト戦略やユーザー獲得、マネタイゼーション設計といったトピックが扱われていました。登壇者は Notion、ElevenLabs、Speak、YAMAP、SmartNews、Mirrativ、NOT A HOTEL といった国内外のアプリ企業の実践者で、経営層・CPO・CTO クラスが多かったのが特徴的でした。加えて RevenueCat Co-founder / CTO による基調講演もありました。 参加した目的 RAGA に参加したのは、アプリグロースに取り組む他社の現場の話を直接聞ける機会だったからです。日々の業務では、アプリの機能開発だけでなく、AB テスト・分析・マーケ連携にも取り組んでいます。エンジニアリングの先にあるグロース領域への関心も、最近広がってきていました。RAGA で扱われるトピックは、まさに自分の関心と重なる内容でした。 もうひとつ、AI に聞けばなんでも答えてくれる時代だからこそ、現場で一次情報に触れる機会を大事にしたいという考えもありました。後からまとめ記事や録画で追える情報も多いですが、一日を通して様々な実践者の話を続けて聞ける経験は、その場に行かないと得られないと思ったからです。 印象に残ったセッション RAGA は2トラック構成で、世界でアプリを成長させたリーダーが集う「 Global Track 」と、日本市場の実践者や世界進出を目指す起業家が登壇する「 Japan Track 」がありました。自分が参加した中で特に印象に残ったセッションを紹介します。 1. 原点回帰:iモードから現代のアプリ経済へ RevenueCat 共同創業者兼 CTO の Miguel Carranza さんによる基調講演では、日本のモバイル市場の歴史を起点に、現代のアプリ経済が直面する変化が語られました。基調講演の内容や RAGA Tokyo 全体の様子は ProductZine の詳細レポート に詳しいので、ここでは個人的に印象に残った点を中心に紹介します。 冒頭で印象的だったのは、現代のアプリ経済で当たり前になっている概念の多くが日本発だった、という視点です。1999 年の i-mode、絵文字、LINE など、日本のモバイル文化が今のアプリ経済につながっているという話から始まりました。 同時に、日本市場の大きさも具体的な数字で示されました。 日本は世界 3 位のアプリ市場 ユーザー一人あたりの年間支出は $166 2027 年にはスマホユーザーが人口の 94% に達する見込み 一方で、印象に残ったのは「市場が大きい」という話だけではありません。AI によってアプリを作るハードルが下がった結果、過去 4 年間で アプリの供給は7 倍に増え、市場には明確な分断が起きているそうです。上位 25% のアプリは収益を 80% 以上伸ばす一方で、下位 25% は 33% 減少しているという話もありました。 この話を聞いて、アプリ市場は「作れば伸びる」市場ではなくなってきているのだと感じました。AI によって作る力が広がるほど、作れること自体の価値は相対的に下がり、継続して使われる体験をどれだけ設計できるかがより重要になっていくのだと思います。 最後に取り上げられていた 「AI パラドックス」 も、その流れとつながる話でした。AI を組み込んだアプリは初期コンバージョンが強い一方で、解約が約 30% 早く、継続率に課題を抱えるケースが多いそうです。AI の新しさで一度使ってもらうことはできても、継続的な価値に落とし込めなければ LTV にはつながらない、という指摘として受け取りました。 アプリ市場というと、これまで漠然と「大きそうだな」くらいに捉えていましたが、今回の話を聞いて、規模の大きさ以上に競争の中身が変わってきていることを実感しました。ペイウォール設計やトライアル期間、継続率改善といった細部への投資が差を生むという話は、日々のグロース施策を考えるうえでもかなり示唆的でした。 2. 広告視点で考えるサブスクハックネタお披露目会 Repro の中野竜太郎さんと Alethne の坂本翔也さんが、 Adjust の高橋将平さんのモデレートで議論したパネルディスカッションです。広告運用・計測・クリエイティブ最適化など、アプリ成長を広告の視点から見つめてきた登壇者ならではの、現場感の強い話が詰まったセッションでした。 冒頭で出てきたフレーズが強烈です。 "CPI (Cost per install) だけ見る投資はナンセンス。" "エンゲージメントの時代じゃない、アクティベーションの時代だ。" 登壇者たちが共通して強調していたのは、 広告で獲得したユーザーの8割は Day 0 で離脱する という前提です。離脱を防ぐ鍵になるのが 「アハ体験」 、つまりユーザーがアプリの価値を実感する瞬間の設計です。リワードで引っ張ってくるのではなく、自社サービスのコア体験そのものをゲーム化していくのが大事だ、という主張でした。 もう一つ参考になったのが「マジックナンバー」と最適化トリガーの設計の話です。トライアル開始を成果イベントにするのは弱く、「7日間トライアルで辞める気のユーザーは2時間で消える」というデータがあるそうです。そこで、「2時間以上滞在したユーザー」や「特定アクションを N 回実行したユーザー」をマジックナンバーに設定したほうが、広告の最適化トリガーとしても成果が出やすいとのことでした。 AB テストや分析に取り組んでいる身として、「何をイベントとして計測するか」の解像度を一段上げるヒントになる話でした。単に画面遷移を計測するのではなく、ユーザーがそのアプリの価値を実感したシグナルとしてイベントを設計する、という視点が新鮮でした。 3. 激動の時代、日本発メガベンチャーはどのように世界で勝ちに行くのか SmartNews のホン・ランドンさんと Mirrativ の赤川隼一さんによるパネルディスカッションです。コミスマの坂本達夫さんがモデレーターを務めたこの回が、自分にとっては強く印象に残ったセッションでした。プロダクト・グロース・経営の観点から、AI の進化と激化するグローバル市場にどう立ち向かうかが議論されました。 特に印象に残ったのが、グローバル展開の戦略の話です。展開する国の数によって取るべき戦略は変わるそうです。1 カ国に絞るなら徹底した現地化が有効、多国展開なら同一プロダクトを広げて手応えのある市場に集中投資する、という対比でした。いずれにせよ、個別市場の局所最適ではなく、会社全体の収益最大化を基準に手段を選ぶべきだ、という話が腑に落ちました。 セッションの締めくくり、ランドンさんからの「AI 時代に変わるもの・変わらないものは?」という問いに対する赤川さんの答えが、一日で最も刺さった言葉でした。 "変わるもの = ほぼ全部。アンラーニングとスピードが勝負。変わらないもの = 現地現物。" 「優秀な PM は必ず現地でユーザーが迷う姿を観察する」という話でした。AI で機能開発のスピードが上がる時代だからこそ、ただ機能開発を進めるだけではなく、問いを立てる力や、現場やユーザーに直接聞きにいくことの重要性は、むしろ増しているように感じます。 おわりに 参加してみて改めて感じたのは、AI 時代だからといって仕事が 華やか になっているわけではない、ということでした。 各セッションで語られていたのは、AI を使いこなす派手な事例というよりも、その手前にある 地道な計測や粘り強い観察、ユーザーの一次の声を拾い続ける姿勢 だったと感じます。今回語られていた事例のどれもが、こうした地道さの積み重ねの上にあるということを、当たり前のようでいて改めて強く感じました。 AI でプロダクトの作り方は変わっていきますが、アプリを成長させるために向き合う対象は変わらず、むしろ AI が広がるほど、ユーザーをどれだけ深く読めるかがアプリの差として出やすくなっていくのかもしれない、と感じた一日でした。 カンファレンス後のアフターパーティーも独特でした。ライブや DJ セットを交えた構成で、日中のセッション合間にもスタンダップコメディが入るなど、国内の他のカンファレンスと比べても振り切り方が際立っていて、一日を通して印象的でした。


























