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G-gen の川村です。Google Workspace の生成 AI ツールである Gemini アプリや NotebookLM を安全に運用するためのセキュリティ設定や、管理者が注意すべき点について解説します。 はじめに 概要 付属の生成 AI ツール 生成 AI ツールの外部共有機能 エンタープライズグレードのデータ保護 機能へのアクセス制御 生成 AI サービスのアクセス制御 サイドパネルのアクセス制御 CAA によるゼロトラスト制御 シャドー IT 対策と端末管理 シークレットウィンドウの使用禁止 ウェブプロキシによる個人アカウントの使用禁止 GCPW のエンドポイント保護 Chrome Enterprise Premium によるブラウザのポリシー強化 データ共有範囲の最適化 Google ドライブの共有設定 DLP でのデータ漏洩防止 IRM でのデータ持ち出し無効化 AI 分類機能 クライアントサイド暗号化の適用 運用・監査・データ保持 会話履歴の削除とデータ保持の管理 Google Vault によるデータ保持と検索 保持ポリシーの適用 データ検索 モニタリング・ログ管理 Gemini レポート Google Workspace with Gemini のログイベント AI コントロールセンター はじめに 概要 Google Workspace では Gemini アプリや NotebookLM などの生成 AI 機能が標準搭載されています。Google Workspace の生成 AI ツールにはエンタープライズグレードのデータ保護機能が標準で適用されていますが、組織のセキュリティポリシーやガバナンス要件に応じて、最適な環境を構築することが重要です。 管理者が意識すべき、セキュリティ対策のポイントは以下の通りです。 機能へのアクセス制御 シャドー IT 対策と端末管理 データ共有範囲の最適化 運用・監査・データ保持 当記事では、Google Workspace で上記のポイントを実現するための管理設定について紹介します。 付属の生成 AI ツール 2026年6月現在、以下のような生成 AI ツールが Google Workspace のコアサービスとして使用できます。今後もアップデートによりコアサービスが追加される可能性があります。 対象サービス 機能 特徴 Gemini アプリ 質問応答、文章生成、アイデア出し Web ブラウザやモバイルアプリからアクセスして使用できる対話型生成 AI サービス NotebookLM 要約、FAQ、メモの生成 アップロードしたドキュメントや PDF などのソース情報を基に回答する生成 AI サービス Google Workspace with Gemini サイドパネルでの生成 AI 補助 Gmail や Google ドライブなどのアプリケーション内で直接使用可能 Google Workspace Studio 生成 AI でのワークフローの作成 プログラミングなしで、自社の業務に合わせた生成 AI 搭載の自動化ワークフローを構築できる環境 Google Vids 動画作成・編集 生成 AI 支援でビジネス向けの動画やプレゼンテーションを容易に作成・編集できるツール 参考 : Google Workspace 利用規約 - Google Workspace 各サービスの基本機能については、以下の記事を参照してください。 blog.g-gen.co.jp 生成 AI ツールの外部共有機能 また、生成 AI によって業務が効率化できる一方、管理者が特に注意すべき 外部共有に関連する機能 が各生成 AI ツールに実装されています。以下の機能一覧を参照し、改めて組織のセキュリティポリシーに沿った設定になっているか見直すことを推奨します。 対象サービス 機能 特徴 Gemini アプリ 会話の共有 チャット内容の 外部公開機能 。組織外へのチャット履歴共有をユーザーに許可する。 Gemini アプリ Gems カスタムプロンプトの共有機能。データは Google ドライブに保存され、既存の 外部共有ポリシーが適用 される。 NotebookLM ノートブックの共有 ソース資料のドライブ権限を問わない共有機能 。ノートブックへのアクセスができればソース情報を確認できる。 Google Meet Google AI によるメモの共有 作成した 議事録のデフォルトの共有先 の設定。組織外のゲスト / 組織内のゲスト / 主催者 から選択する。 エンタープライズグレードのデータ保護 Google Workspace ユーザーの場合、 エンタープライズグレードのデータ保護 がデフォルトで適用されています。そのため、プロンプトを含むユーザーの入力データが Google の AI モデルの学習に使用されたり、人間のレビュアーによって内容を確認されることは ありません 。 参考 : Generative AI in Google Workspace Privacy Hub | Google Workspace with Gemini | Google Workspace Help ただし、組織内での過剰な共有設定や個人アカウントの利用といったリスクには、管理者が別途対策を講じる必要があります。ここからは、セキュリティ維持のために、管理者として理解すべき機能や設定について解説します。 機能へのアクセス制御 生成 AI サービスのアクセス制御 Google Workspace で生成 AI 機能を有したサービスを使用する場合、 グループ単位や組織部門単位でのサービスへのアクセス制御が可能 です。全社展開でなく、パイロット運用として一部の組織部門から展開する場合などに設定します。 管理コンソールの「生成 AI」メニューから、以下の各サービスの「サービスのステータス」を、グループ、もしくは組織部門単位でオンまたはオフにします。 Gemini アプリ NotebookLM Gemini Enterprise(Google Workspace データへのアクセス制御) 参考 : Turn the Gemini app on or off | Google Workspace with Gemini | Google Workspace Help また、以下の各サービスについては、「アプリ」>「Google Workspace」からステータスを変更できます。 Workspace Studio Google Vids (「ドライブとドキュメントの設定」箇所から可能) サイドパネルのアクセス制御 Enterprise Standard 以上のエディションの場合、Gmail、Google ドライブなどの各アプリケーションで提供される Google Workspace with Gemini (サイドパネル)機能に対するアクセス制御も可能です。「生成 AI」メニューの「Google Workspace with Gemini」の項目から個別にオンまたはオフにできます。 参考 : Manage access to Gemini features in Workspace services | Google Workspace with Gemini | Google Workspace Help CAA によるゼロトラスト制御 Google Workspace の Context-Aware Access を使用すると、IP アドレスや端末の状態に基づいて、Gemini アプリや NotebookLM などの Google Workspace コアアプリへのアクセスを細かく制御できます。 たとえば、社外からの生成 AI の使用を禁止するために「社内 IP アドレス、かつデバイス承認が完了している端末からのアクセスのみ、Gemini アプリの使用を許可する」といった複合条件を設定できます。 blog.g-gen.co.jp シャドー IT 対策と端末管理 シークレットウィンドウの使用禁止 セキュリティポリシーによっては、シークレットウィンドウを無効化することでユーザーのブラウザ環境を常に管理下の状態に保ち、抜け道を使用したデータの持ち出しやシャドー IT の試行を防ぐことができます。 管理コンソールの「デバイス」>「Chrome」>「設定」> 「ユーザーとブラウザの設定」 箇所から適用できます。 参考 : Chrome ブラウザ ポリシーを管理する - 組織の Chrome デバイスを管理する ウェブプロキシによる個人アカウントの使用禁止 個人の Google アカウント( @gmail.com )を使用してコンシューマー向けの無償版 Gemini アプリが使用されてしまうと、データは Google により再学習等に使用されてしまう可能性があります。 自組織の社内ネットワークでウェブプロキシサーバーを使用している場合、これを防ぐためにウェブプロキシサーバーにおけるドメイン制限をかけることができます。プロキシサーバー側で HTTP ヘッダー( X-GoogApps-Allowed-Domains )を追加し、これを Google 側でチェックすることで、ログイン可能なドメインを自社ドメインに限定でき、個人のアカウントの使用を防ぐことができます。 参考 : 一般ユーザー向けアカウントからのサービス利用を防ぐ | Security & data protection | Google Workspace Help GCPW のエンドポイント保護 Windows 端末を使用している環境では、 Google Credential Provider for Windows (通称、GCPW)を導入することも効果的です。 GCPW により、Windows 端末へのログイン時に Google Workspace アカウントを使用できます。ログインと同時に Google Chrome ブラウザの仕事用プロファイルに自動でログイン状態が引き継がれるため、仕組みとして会社アカウントの使用を徹底できます。 また、Windows ログイン時に Google の 2 段階認証が適用されセキュリティを向上させます。 参考 : Windows 用 Google 認証情報プロバイダをインストールする | Device management | Google Workspace Help Chrome Enterprise Premium によるブラウザのポリシー強化 ユーザーが Chrome ブラウザ上でプロンプトに組織の機密情報をアップロードしたり、コードをペーストしたりする操作自体をブラウザレベルで禁止したい場合は、 Chrome Enterprise Premium が使用できます。 追加ライセンスを購入して Chrome Enterprise Premium を設定することで、特定の Web ページに対するファイルのアップロードやコピー&ペーストのブロックなど、高度な データ漏洩防止ポリシー を Chrome ブラウザに強制できます。 blog.g-gen.co.jp データ共有範囲の最適化 Google ドライブの共有設定 Gemini アプリは、 操作ユーザーがアクセス権を持つ Google ドライブ上のファイルを参照 して回答を生成します。そのため、Google ドライブの権限管理が適切に行われている必要があります。 たとえば、人事部が社員の給与テーブルを「組織全員」に公開した状態で保存していると、本来権限を持つべきでない従業員が Gemini に質問するだけで、その機密情報が回答に含まれてしまうリスクがあります。 これは生成 AI の導入によるリスクではなく、そもそも従業員がアクセスすべきでないファイルにアクセスできる状態であり、Google ドライブの権限管理自体の不備に起因するものです。生成 AI の導入を機に、過剰な共有設定の棚卸しを実施してください。 適切な権限管理を行うには、「共有ドライブ」でのデータ運用が不可欠です。共有ドライブの仕組みや権限整理の詳細については、以下の記事を参照してください。 blog.g-gen.co.jp DLP でのデータ漏洩防止 Data Loss Prevention (以下、DLP)は、Enterprise Standard 以上のエディションで使用でき、クレジットカード番号やマイナンバーなどの機密情報を自動検出し、組織外への情報流出を防ぐ技術です。 blog.g-gen.co.jp DLP ルールは Gemini アプリ使用時にも適用 されます。例えば、DLP ルールでドライブ内の機密ファイルの外部共有を制限している場合、Gemini アプリで生成したコンテンツにもドライブの DLP が適用され、共有がブロックされます。そのため、ユーザーがコンテンツを明示的に共有しない限り、Gemini の使用によりデータが組織外に漏洩することはありません。 参考 : Generative AI in Google Workspace Privacy Hub - How can I prevent sensitive data entered into prompts from being leaked outside my organization? Do Workspace Data Loss Prevention (DLP) capabilities apply to interactions with Gemini? IRM でのデータ持ち出し無効化 Information Rights Management (以下、IRM)とは、Google ドライブ上のデータにおけるダウンロード、コピー、印刷を権限に基づいて無効化する機能です。IRM が適用されたファイルには各生成 AI ツールがアクセスできなくなるため、前述の DLP と組み合わせて IRM を自動適用する手法が有効です。 DLP ポリシーで機密ファイルを検知し、IRM を自動適用することで、Gemini アプリをはじめとする各種生成 AI 機能は、そのファイルをもとにした回答を 生成できなく なります。これにより、意図しない機密情報の参照を根本的に遮断できます。 参考 : ユーザーがファイルをダウンロード、印刷、コピーできないようにする | Security & data protection | Google Workspace Help 参考 : Google Workspace with Gemini におけるエンタープライズ セキュリティの管理 - IRM 制御を適用して Gemini から機密データへのアクセスを制限 参考 : Generative AI in Google Workspace Privacy Hub | Google Workspace with Gemini | Google Workspace Help - Do Workspace Data Loss Prevention (DLP) capabilities apply to interactions with NotebookLM? AI 分類機能 Enterprise Plus では AI を使用したデータ分類機能 が使用できます。 Google ドライブ内のファイルをスキャンして、自動的に機密ファイルにラベルを付与できます。 通常の DLP との違いは、事前定義されたルールでは判断できない曖昧な内容を AI でパターン化して分類できる点です。このラベルをもとに DLP ルールを適用することで、組織でのデータ保護管理が容易になります。 参考 : Label Google Drive files automatically using AI classification | Security & data protection | Google Workspace Help クライアントサイド暗号化の適用 Enterprise Plus 以上のエディションでは、機密データや規制対象データをさらに厳重に保存したい場合に、 クライアントサイド暗号化 の機能を使用できます。 Google Workspace の組織のデータはデフォルトで暗号化されていますが、組織で独自の暗号鍵を使用して暗号化のレイヤを追加できる機能です。 クライアントサイド暗号化されたコンテンツは Google やサードパーティで復号できず、Gemini アプリなどの 生成 AI ツールもアクセスできません 。そのため、センシティブなデータを取り扱う政府機関や大規模な組織への導入に有効です。 参考 : Google Workspace の生成 AI に関するプライバシー ハブ | Google Workspace with Gemini | Google Workspace Help ‐ 自組織内の他の部署に機密情報が漏洩しないようにするために、Google ではどのような手法を採り入れていますか? 運用・監査・データ保持 会話履歴の削除とデータ保持の管理 ユーザーによる会話履歴データの削除可否、データの保持期間はプロダクトの仕様によって異なります。 2026年6月現在、Google Workspace ユーザーの場合、 Gemini アプリではユーザーが個別に会話履歴を削除することはできません 。管理コンソールの「Gemini 会話履歴」をオンに設定した場合、ユーザーの会話履歴が強制的に保存され、オフにするとシステム内で最大 72 時間保持された後に削除されます。 一方、 Google Workspace with Gemini (サイドパネル)での会話履歴は、管理コンソールの 「会話の履歴と削除」設定から ユーザーでの削除操作を許可 できます。 また、 NotebookLM では管理者での制御なしに、チャット履歴やソースとしてアップロードしたファイル・作成したノートブックに対する ユーザーでの削除操作が可能 です。 これらの各生成 AI ツールにおける、データ保持期間や制御可否については以下の表の通りです。 対象サービス データ型 保持期間 管理者 ユーザー Google Workspace with Gemini(サイドパネル) プロンプトと回答 90 日から無制限 ユーザーでの削除可否を制御 組織で許可されている場合、削除可能 Gemini アプリ プロンプトと回答 最大 36 か月 保存有無や自動削除期間を制御 削除不可 NotebookLM プロンプトと回答 - なし 削除可能 ソースデータ / ノートブック 条項第 6 条に準拠 * なし 削除可能 参考 : Cloud Data Processing Addendum | Google Cloud 参考 : Google Workspace での生成 AI のプライバシー ハブ - Gemini データの保持 参考 : Chat in NotebookLM: A powerful, goal-focused AI research partner Google Vault によるデータ保持と検索 保持ポリシーの適用 Gemini アプリのデータ保持については、管理コンソール内の「Gemini 会話履歴」の設定が Google Vault にも適用 されます。保存期間を「3 か月」「18 か月」「36 か月」から選択でき、期間内でのデータ保持・検索ができます。 Google Meet で生成 AI が作成する議事録は、Google Meet の保持ポリシーに準拠します。なお、Google Meet 固有のルールが有効になっていない場合はドライブのルールが適用されます。 参考 : サポートされているサービスとデータタイプ - Google Vault ヘルプ - Vault でサポートされるドライブと Meet のファイル データ検索 Google Vault に「案件」を作成することで、Gemini アプリのプロンプト、回答内容、トピック、日時などの メタデータを検索・監査 できます。ただし、プロンプトに添付されたファイルや生成されたファイル自体の検索には現在対応していません。 案件の作成方法は、以下の記事を参照してください。 blog.g-gen.co.jp モニタリング・ログ管理 Gemini レポート 生成 AI ツールを導入した後は、誰がどのように使っているかを把握するための継続的な監査が重要です。「生成 AI」>「Gemini レポート」から確認できるレポートでは、組織全体の Gemini アプリ使用状況やアクティブユーザー数を可視化 できます。レポート情報はスプレッドシートや CSV でのエクスポートが可能です。 Google Workspace with Gemini のログイベント 「レポート」>「監査と調査」>「Google Workspace with Gemini のログイベント」から、ユーザーが各アプリケーションでのコンテンツの生成や要約を行った際の イベントログを確認 できます。例えば「特定のユーザーが過去1週間にどのような生成 AI 機能を使用したか」といった検索や調査、エクスポートが可能です。 AI コントロールセンター 「生成 AI」>「AI コントロール センター」から確認できる AI コントロール センターでは、組織内の生成 AI 使用に当たって 包括的にレポートや各生成 AI 機能の設定を確認 できます。適切な設定が行えているか、定期的にチェックすることを推奨します。 参考 : Explore the AI control center | Google Workspace with Gemini | Google Workspace Help 川村真理 (記事一覧) クラウドソリューション部 クラウドサポート課 美容業界からITへ転身。Google Workspace 専任サポートから Google Cloud にも興味が湧き日々奮闘中。海外旅行が大好きで11カ国突破、これからも更新予定
大学生向けのプログラミング学習コミュニティ「POSSE」では、実践的な開発スキルやチームワークの向上を目指して、独自のカリキュラムを提供しています。 その中でもチーム開発は、個人の学習では得られない「チームでものをつくる力」を試される実践プログラムとなっており、約2 カ月間、企業から提示されたリアルな課題のもとで、プロダクト開発に取り組み、その成果を発表します。 2年生・3年生にとって学びの集大成となる取り組みで、要件定義から設計・開発・発表までを一貫して経験します。上級生となる4年生は後輩たちの取り組みに対して相談に乗り、サポートしています。 この記事では、2026年4月12日に開催された決勝戦の模様をお届けします。 POSSEとは 「POSSE」は、株式会社アンチパターンが運営する大学生向けプログラミング学習コミュニティです。関東圏の大学生約 180 名が所属し、学生同士が教え合うコミュニティ形式で学んでいます。 独自カリキュラムによる学習に加え、ハッカソンやチーム開発といった実践的な開発機会を通じて、技術力とチームワークの両方を磨いています。AWS もこの活動を支援しています。 【参考記事】 大学の 4 年間で、即戦力レベルのデジタル人材に。AWS も支援する”人が育つ”コミュニティ「POSSE」 要件定義・開発・チームワーク──学生たちの挑戦が実を結ぶ! 大学生向けプログラミング学習コミュニティ「POSSE」決勝レポート 開会式 今年もPOSSEチーム開発決勝戦の日がやってきました。2026年4月12日、目黒セントラルスクエアにはPOSSE関係者、新入生候補者、企業審査員など約100名を超える来場者が集まり、昨年を上回る規模での開催となりました。 運営メンバーによる開会の挨拶で幕を開けると、会場は一気に熱を帯びました。今年はPOSSE入会予定の新入生も発表を見に来ており、コミュニティとしての成長を感じさせるイベントとなりました。 会場には、POSSEを卒業された社会人メンバーの姿もあり、後輩たちの発表を見届けようという温かいまなざしが印象的でした。かつて同じ舞台に立った先輩たちが、今度は見守る側として後輩を支えている。そんな光景に、POSSEが大切にしてきたつながりを感じました。 チーム開発発表 運営メンバーによる概要紹介が始まりました。チーム開発概要の説明に先立ち、POSSEというコミュニティが何を目指し、チーム開発がその中でどのような役割を果たしているのかが語られました。POSSEが見据える未来と、そこに向かうためにチーム開発が果たす役割について語られる場面があり、これから始まる発表の意義を改めて感じさせる導入となりました。 チーム開発は、2年生が挑む「初級プログラム」と3年生が挑む「中級プログラム」の 2 部門で構成されています。今年のチーム開発には初級 16 チーム、中級 6 チーム、合わせて 22 チームがエントリーしました。約 8 週間にわたり、テーマ提供企業へのヒアリングを起点に要件定義や設計、開発、そして発表までをチームで走り抜けるプログラムとなっていました。前日(2026年4月11日)の予選で全チームが成果を披露し、審査を経て初級 4 チーム・中級 4 チームが決勝へ駒を進めました。 チーム開発の序盤は、要件定義期間からスタートします。テーマ提供企業へのヒアリングをもとに、誰のどんな課題を解決するのか、本当に必要な機能は何かをチーム内で徹底的に議論します。方向性が固まってから設計・実装に入り、途中のヒアリングで得たフィードバックをもとに軌道修正を重ねながら、動くプロダクトとして仕上げていきます。 今回の初級プログラムのテーマは、主催の株式会社アンチパターン代表・小笹氏が独自に設計した「企業向けオフィス利用可視化ソフトウェア」。ハイブリッドワークが当たり前になった今、自社のオフィスは適正な広さなのかという経営課題に対して、データで意思決定を支援するプロダクトの開発に学生たちは挑みました。開発期間中には計 2 回の要件ヒアリングが設けられ、単に動くものをつくるだけでなく、なぜそれが必要なのかを問い続ける姿勢が求められました。 中級プログラムのテーマは、株式会社リンクアンドモチベーションが提供した「チームの生産性とモチベーションを高めるプロダクト」。 プロジェクトの停滞やメンバーのコンディション低下といった、組織マネジメントの現場で実際に起きている課題に正面から向き合いました。開発期間を通じて計 4 回の要件ヒアリングが行われ、プロダクトの実現可能性や提供価値について踏み込んだ対話を重ねました。 閉会式(結果発表) 全チームの発表が終わり、会場に緊張感が漂うなか、結果発表の時間を迎えました。 「OOPARTS」チーム 初級最優秀賞に輝いたのは「OOPARTS」チームでした。ハイブリッドワーク時代のオフィス最適化をテーマに、オフィス利用データの可視化と分析で経営判断をサポートするプロダクトを提案しました。受賞を受けてメンバーは、家族や友人をはじめ多くの人の支えに感謝を伝えた上で、「最後まで走り切れたのは自分たちだけの力ではない。この経験を通じて大きく成長できたと実感しています」と笑顔で振り返りました。 「marni」チーム 中級最優秀賞に選ばれたのは「marni」チームでした。チームの生産性やメンバーのモチベーションを見える化し、マネージャーが役割の再設計やメンバー間の相互理解を促しながらチーム力を底上げできるプロダクトを提案しました。 受賞を受けてメンバーは「チームのメンバーや周囲の方々に感謝したい」と穏やかに語りました。しかし、その言葉の裏には、昨年の予選で敗退し、悔しさを日記に書き殴った経験を持つメンバーもいました。「あの日があったから、今ここに立てている。諦めなければ来年は決勝に立てる」と、最後に後輩たちへ向けて力強いメッセージを送りました。 講評では、審査員・ゲストそれぞれの立場から温かいメッセージが贈られました。審査基準については「お客様に自信を持って提案できるかどうかで選んだ」と明かされ、ビジネスの現場に直結する視点で評価が行われたことが窺えます。また、「学びが大きいのは、むしろ負けたチームではないか。この経験を記録し、振り返ることで必ず次に活きる」と、結果に関わらず全チームの挑戦に敬意を表する言葉が印象的でした。加えて、「プレゼンテーションの水準が高く、実務の場でも通用するレベルにある」といった評価も寄せられ、学生たちの取り組みに対する期待の大きさが伝わる講評となりました。 AWS 相澤恵奏氏 POSSEの活動を支援する AWS からは、相澤恵奏氏が総評を行いました。「努力は熱中に勝てない」という言葉とともに、悔しさを感じられること自体が熱中の証であると述べ、その情熱を今後も大切にしてほしいとメッセージを贈りました。 基調講演 衆議院議員 平井卓也氏 イベント終盤には、初代デジタル大臣を務めた衆議院議員 平井卓也氏が基調講演に登壇しました。 講演では、インターネットの普及からクラウドコンピューティングの台頭、そして AI の急速な進展に至るまでの技術変遷を概観した上で、AI 時代に求められる姿勢について語られました。平井氏は、AI が既存の業務を担う時代において人間に求められるのは、責任ある意思決定と感性に基づく価値創造であると述べました。 学生たちに対しては、テクノロジーの主導権を自らの手に持ち続けること、すなわち道具としての AI を主体的に活用しながら、自分自身の価値を磨いていく姿勢が重要であると語りかけました。また、変化の激しい時代だからこそ、その変化を楽しんでほしいと前向きなメッセージを贈りました。 さらに、当日の学生たちの発表についても言及し、技術力だけでなく課題解決のアプローチやプレゼンテーションの質を高く評価されました。POSSE の活動については、ともに学び合う中で生まれる深いつながりに価値があると述べ、温かい言葉で講演を締めくくりました。 最後に 今年の決勝戦を振り返ると、印象に残るのは結果そのものよりも、各チームの発表から伝わってくる 8 週間の密度でした。プレゼンテーションの完成度や質疑応答での受け答え、そしてチームワークを語る時の実感のこもった言葉、どれも 8 週間を全力で走り抜けてきたチームにしか出せないものだと感じました。 POSSEで過ごした時間は、社会に出てからもふとした瞬間に立ち返る原点になると思います。あの時チームで悩み抜いた経験、本音でぶつかり合った記憶、そして最後にやり切った達成感、それらは年月が経つほど、自分を支える土台になっていくはずです。 今回の決勝に立った学生たちも、惜しくも届かなかった学生たちも、この 8 週間で得たものをぜひ大切にしてほしいと思います。学生たちのこれからに、大いに期待しています! 【関連リンク】 大学生向けプログラミング学習コミュニティ「POSSE」 公式サイト 株式会社アンチパターン コーポレートサイト 著者情報 影嶋亮太朗(Kageshima Ryotaro) AWS Cloud Support Engineerとして、AWSサービスを活用したアーキテクチャ設計のお問い合わせや障害対応などに日々取り組んでおり、お客様の技術的課題解決に努めております。スタートアップの支援や次世代デジタル人材の育成とAI領域に興味があり、活動しております。 森 瞭輔(Mori Ryosuke) ソリューションアーキテクトとして幅広いお客様の AWS 導入支援を担当しています。好きな AWS サービスは Amazon Connect で、業界問わずコンタクトセンター関連の技術支援も行っています。先日念願だったフルマラソン完走を達成することができました。
ランキング参加中プログラミング こんにちは。フロントエンドエンジニアをしているNokogiri(@nkgrnkgr)です。 はじめに カケハシのある新規プロダクト開発で、PdM やデザイナーが AI を使って実コードベースでプロトタイピングをするようになりました。進め方としてはわりと大きな変化です。 もちろん会社として全職種に対して AI の利用を推奨している背景もあり、PdM やデザイナー自身も AI を使うことには前向きでした。そのうえで、実際にプロトタイピングを始めるまでのハードルを越えるところを、フロントエンドエンジニアとしてサポートしたいという思いがありました。 その背景の一つに、新…

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