第16回全脳アーキテクチャ勉強会~人工知能は意味をどう獲得するのか~
イベント内容
第16回全脳アーキテクチャ勉強会
全脳アーキテクチャでは,脳全体のアーキテクチャに学び,人間のような汎用人工知能を創ることを目指して活動を行っております.人間のような知能を目指す上で,他の動物の知能との大きな違いである言語を考えていくことは避けられません。
言語に関する知的な要素は,意味に関する知識をどのように獲得するか,文章を理解するための処理はどのように行われるかなど,多岐にわたります.そのため,今回の勉強会では,視覚情報から意味をどのようにとらえていくかに焦点を絞り,二人の識者に講演をお願いしました。
前半は,脳の中で行われる情報処理に着目し,大脳皮質において意味がどのように表現されるかについて,情報通信研究機構/大阪大学の西本伸志氏に講演をお願いしました。後半は,計算機の中で行われる情報処理に着目し,画像から意味を理解し言語化する処理が,現状でどのように行われているかについて,東京大学の牛久祥孝氏に講演をお願いしました。
勉強会開催詳細
- 日 時:2016年10月12日(水) 18:00~20:30 (17:30開場)
- 場 所:株式会社リクルートテクノロジーズ 41Fアカデミーホール
東京都千代田区丸の内1-9-2 グラントウキョウサウスタワー41F http://www.recruit.jp/company/about/office.html (株式会社リクルートテクノロジーズ様のご厚意による会場ご提供) - 定 員:一般枠(学生および社会人の方)140名 学生枠(学生優先の枠)30名 ※定員に達し次第締め切らせて頂きます
- 参加費:無料
- 懇親会について:勉強会終了後、懇親会を開催いたします。参加希望者は、「勉強会+懇親会の参加」を選んでお申込みください。 ※懇親会費 社会人の方:3,800円 学生の方:2,000円となります。学生の方は、入場時に学生証の提示をお願いする場合があります。
- 申込方法:本イベントページよりお申込みください。
- 主 催:NPO法人全脳アーキテクチャ・イニシアティブ
- 後 援:株式会社ドワンゴ
レポーターを募集しています
NPO法人WBAIのウェブページに掲載する本勉強会の報告書作成にご協力いただくレポーターを開催5日前まで募集しております。(分量は1講演あたり1ページ程度であり,ドワンゴ人工知能研究所所長山川宏氏と共著となります)。
参考として、これまでのレポートは、ドワンゴ人工知能研究所のテクニカル・レポートとして発行しておりますので、ご覧ください。
●レポーターの特典
・レポーターの方には、レポーター席をご用意しますので、一般申し込みとは別枠で、勉強会の協力者として参加できます。
・報告書にレポーターのお名前を記載させていただきます。(希望される場合)
ご協力をいただける方は本ページのお問い合わせよりご連絡ください。
ネット配信について
ニコニコ動画にて生放送する予定です。
http://live.nicovideo.jp/gate/lv277453424
事前に「タイムシフト予約」をしておくと、講演から1週間閲覧可能になります。
※配信環境によって放送が途切れる場合がございます。予めご了承ください。
会場の利用注意
- 自動車での来場はご遠慮下さい。
- 会議室内に飲み物を持ち込むことができます。
入場時のご注意
- 18:30以降は受付スタッフが不在になります。18:30以降に入場される方は、以下の会場担当スタッフのTwitterまでご連絡ください。 https://twitter.com/kojira
講演スケジュール
18:00-18:05 株式会社リクルートテクノロジーズ様よりごあいさつ
18:05-18:20 全脳アーキテクチャハッカソンの報告 高橋恒一氏(理化学研究所)
18:20-18:30 「視覚情報からの意味獲得」 市瀬龍太郎氏(国立情報学研究所)
18:30-19:20 「ヒト大脳皮質における意味情報表現」 西本伸志氏(情報通信研究機構 脳情報通信融合研究センター(CiNet)・大阪大学)
ヒトは日常生活において物体、動作、印象等を含む多種多様な意味内容を知覚しています。近年、動画視聴等の自然で多様な知覚・認知体験下における脳神経活動を定量的に理解するため、自然言語処理技術を援用した研究が多数行われています。本講演では、私たちの研究を中心にして、ヒト脳内における意味空間の定量やその認知的ワープ、また認知意味内容のデコーディング等、最近の話題についてご紹介いたします。
*西本伸志氏 略歴
2000年 大阪大学 基礎工学部 生物工学分野 中退(飛び級)
2005年 大阪大学 大学院基礎工学研究科 修了(博士)
2005年-2013年 カリフォルニア大学バークレー校ヘレン・ウィルス神経科学研究所 博士研究員/アソシエートスペシャリスト
2013年-現在 国立研究開発法人 情報通信研究機構 脳情報通信融合研究センター(CiNet) 主任研究員
兼任:
大阪大学 大学院医学系研究科 招へい教授
大阪大学 大学院生命機能研究科 招へい准教授
19:20-19:35 休憩
19:35-19:40 WBAI賛助会員からのプレゼンテーション
19:40-20:30 画像キャプションの自動生成 牛久祥孝氏(東京大学)
画像の内容を言葉で表現する画像キャプション自動生成技術は、2010年代に研究が始まった萌芽的な研究課題である。計算機のより柔軟な画像理解を実現する重要な取り組みだが、コンピュータビジョン分野と自然言語処理分野それぞれでのチャレンジングな課題を内包する複合的な研究課題でもある。本講演では、この課題に対する一連の取り組みについて、その歴史的な流れとアプローチを整理しながら概説する。また、派生研究として動画へのキャプション生成や視覚的チューリングテストなど、言語と視覚を融合する新たな取り組みについても紹介する。
*牛久祥孝氏 略歴
2013年 東京大学 大学院情報理工学系研究科 博士課程修了。博士(情報理工学)
2013年 日本学術振興会特別研究員(DC2)および米国 Microsoft Research Redmond Intern
2014年 日本電信電話株式会社 コミュニケーション科学基礎研究所 入所
2016年より東京大学 情報理工学系研究科 講師、現在に至る
主として画像キャプション生成や画像認識、クロスメディア理解の研究に従事
2011年 ACM Mutlimedia Grand Challenge Special Prize on the Best Application of a Theoretical Framework、MIRU インタラクティブセッション賞
2012年 電子情報通信学会パターン認識・メディア理解研究会 PRMU研究奨励賞、各受賞。
21:00 - 22:30 懇親会(自由参加・要事前申し込み)
※会場近辺のお店で、有志による懇親会を行います。
※懇親会参加希望者は、お申込みの際に、勉強会+懇親会の参加(3,800円)のチケットをお申込みください。
本勉強会運営スタッフ
- プログラム委員長 市瀬龍太郎
- 実行委員長 吉岡英幸
全脳アーキテクチャ・イニシアティブ創設賛助会員
全脳アーキテクチャ・イニシアティブでは、賛助会員を募集しております。賛助会員に登録いただきますと、当サイトに貴団体ロゴとホームページへのリンク掲載や、各種イベントの優先参加など、さまざまな特典がございます。詳しくは、こちらをご覧ください。
全脳アーキテクチャ勉強会オーガナイザー
◎産業技術総合研究所 人工知能研究センター脳型人工知能研究チーム 一杉裕志
1990年東京工業大学大学院情報科学専攻修士課程修了。1993年東京大学大学院情報科学専攻博士課程修了。博士(理学)。同年電子技術総合研究所(2001年より産業技術総合研究所)入所。プログラミング言語、ソフトウエア工学の研究に従事。2005年より計算論的神経科学の研究に従事。
◎株式会社ドワンゴ人工知能研究所 所長 山川宏
1987年3月東京理科大学理学部卒業。1992年東京大学で神経回路による強化学習モデル研究で工学博士取得。同年(株)富士通研究所入社後、概念学習、認知アーキテクチャ、教育ゲーム、将棋プロジェクト等の研究に従事。フレーム問題(人工知能分野では最大の基本問題)を脳の計算機能を参考とした機械学習により解決することを目指している。
◎東京大学 准教授 松尾豊
東京大学で、ウェブと人工知能、ビジネスモデルの研究を行っています。 ウェブの意味的な処理を人工知能を使って高度化すること、人工知能のブレークスルーをウェブデータを通じて検証することを目指しています。
これまでに開催された勉強会の内容
第15回全脳アーキテクチャ勉強会 ~知能における進化・発達・学習〜
- ヒトの知性の進化
- 発達する知能 -ことばの学習を可能にする能力―
- 勉強会概要と発表資料
第14回全脳アーキテクチャ勉強会 ~深層学習を越える新皮質計算モデル〜
- 大脳新皮質のマスターアルゴリズムの候補としてのHierarchical Temporal Memory (HTM)理論
- サル高次視覚野における物体像の表現とそのダイナミクス
- 勉強会概要と発表資料
第13回全脳アーキテクチャ勉強会 〜コネクトームと人工知能〜
- コネクトームの活用とその近未来
- 脳全体の機能に迫る
- 勉強会概要と発表資料
第12回全脳アーキテクチャ勉強会 〜脳の学習アーキテクチャー〜
- 脳の学習アーキテクチャ
- パネルディスカッション「神経科学と全脳アーキテクチャ」
- 勉強会概要と発表資料
第11回全脳アーキテクチャ勉強会 ~Deep Learningの中身に迫る~
- 深層学習の学習過程における相転移
- Deep Neural Networksの力学的解析
- SkymindのDeep Learningへの取り組み
- 勉強会概要と発表資料
第10回全脳アーキテクチャ勉強会 「全脳アーキテクチャのいま」~全脳アーキテクチャプロジェクトとそれをとりまく周辺の最新状況報告~
- 全脳アーキテクチャの全体像
- 人工知能の難問と表現学習
- 全脳アーキテクチャと大脳皮質モデル BESOM の実用化研究の構想
- 全脳アーキテクチャを支えるプラットフォーム
- 人工知能・ロボット次世代技術開発
- 汎用人工知能に向けた認知アーキテクチャが解決するべき知識の課題
- 感情モデルと対人サービス
- 若手の会の活動報告
- 勉強会概要と発表資料
第9回全脳アーキテクチャ勉強会 ~実世界に接地する言語と記号~
- 脳内視覚情報処理における物体表現の理解を目指して ~Deep neural networkの利用とブレイン・マシン・インタフェースへの応用~
- 記号創発ロボティクス ~内部視点から見る記号系組織化への構成論的アプローチ~
- 脳科学から見た言語の計算原理
- 勉強会概要と発表資料
第8回全脳アーキテクチャ勉強会 時系列データ ~脳と機械学習技術は時間をどう扱うのか~
- 脳における時間順序判断の確率論的最適化
- 順序とタイミングの神経回路モデル
- 深層学習によるロボットの感覚運動ダイナミクスの学習
- 勉強会概要と発表資料
第7回全脳アーキテクチャ勉強会 感情 ~我々の行動を支配する価値の理解にむけて~
- 感情の進化 ~サルとイヌに見られる感情機能~
- 情動の神経基盤 ~負情動という生物にとっての価値はどのように作られるか?~
- 感情の工学モデルについて ~音声感情認識及び情動の脳生理信号分析システムに関する研究~
- 勉強会概要と発表資料
第6回全脳アーキテクチャ勉強会 統合アーキテクチャー ~神経科学分野とAI分野の研究蓄積の活用に向けて~
- 分散と集中:全脳ネットワーク分析が示唆する統合アーキテクチャ
- 脳の計算アーキテクチャ:汎用性を可能にする全体構造
- 認知機能実現のための認知アーキテクチャ
- 勉強会概要と発表資料
第5回全脳アーキテクチャ勉強会 ~意思決定 深いゴール探索と深い強化学習の技術をヒントにして、前頭前野の機構の解明を目指す~
- Deep Learning とベイジアンネットと強化学習を組み合わせた機構による、 前頭前野周辺の計算論的モデルの構想
- BDI ―モデル、アーキテクチャ、論理―
- 強化学習から見た意思決定の階層
- 勉強会概要と発表資料
第4回全脳アーキテクチャ勉強会 ~機械学習と神経科学の融合の先に目指す超知能~
- 全脳アーキテクチャ主旨説明
- AIの未解決問題とDeep Learning
- 脳の主要な器官の機能とモデル
- 脳をガイドとして超脳知能に至る最速の道筋を探る
- 自然な知覚を支える脳情報表現の定量理解
- 脳型コンピュータの可能性
- 勉強会概要と発表資料
第3回全脳アーキテクチャ勉強会 ~海馬:脳の自己位置推定と地図作成のアルゴリズム~
- 「SLAMの現状と鼠の海馬を模倣したRatSLAM」
- 「海馬神経回路の機能ダイナミクス」
- 「人工知能(AI)観点から想定する海馬回路の機能仮説」
- 勉強会概要と発表資料
第2回全脳アーキテクチャ勉強会 ~大脳皮質と Deep Learning~
- 「大脳皮質と Deep Learning」
- 「視覚皮質の計算論的モデル ~形状知覚における図地分離と階層性~」
- 「Deep Learning技術の今」
- WBAの実現に向けて: 大脳新皮質モデルの視点から
- 勉強会概要と発表資料
第1回全脳アーキテクチャ勉強会 ~機械学習と神経科学の融合の先に目指す超知能~
- 勉強会開催の主旨説明
- AIの未解決問題とDeep Learning
- 脳の主要な器官の機能とモデル
- 脳を参考として人レベルAIを目指す最速の道筋
- 勉強会概要と発表資料
その他関連情報
- 全脳アーキテクチャ勉強会Facebookグループ(現在2,500名以上が参加中!)
- 全脳アーキテクチャ勉強会公式Twitterアカウント
全脳アーキテクチャ勉強会の開始背景(2013年12月)
人間の脳全体構造における知的情報処理をカバーできる全脳型AIアーキテクチャを工学的に実現できれば、人間レベル、さらにそれ以上の人工知能が実現可能になります。これは人類社会に対して、莫大な富と利益をもたらすことが予見されます。例えば、検索や広告、自動翻訳や対話技術、自動運転やロボット、そして金融や経済、政治や社会など、幅広い分野に大きな影響を与えるでしょう。
私達は、この目的のためには、神経科学や認知科学等の知見を参考としながら、機能的に分化した脳の各器官をできるだけ単純な機械学習器として解釈し、それら機械学習器を統合したアーキテクチャを構築することが近道であると考えています。
従来において、こうした試みは容易ではないと考えられてきましたが、状況は変わりつつあります。すでに、神経科学分野での知見の蓄積と、計算機速度の向上を背景に、様々な粒度により脳全体の情報処理を再現/理解しようとする動きが欧米を中心に本格化しています。 またDeep Learning などの機械学習技術のブレークスルー、大脳皮質ベイジアンネット仮説などの計算論的神経科学の進展、クラウドなどの計算機環境が充実してきています。
こうした背景を踏まえるならば、全脳型AIアーキテクチャの開発は世界的に早々に激化してくる可能性さえあります。 そこで私達は、2020年台前半までに最速で本技術を実現できるロードマップを意識しながら、この研究の裾野を広げていく必要があると考えています。 そしてこのためには、情報処理技術だけでなく、ある程度のレベルにおいて神経科学等の関連分野の知見を幅広く理解しながら、情熱をもってこの研究に挑む多くの研究者やエンジニアの参入が必要と考えています。
注意事項
※ 掲載タイミングや更新頻度によっては、情報提供元ページの内容と差異が発生しますので予めご了承ください。
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