第37回 WBA勉強会[オンライン]
イベント内容
第37回 全脳アーキテクチャ勉強会[オンライン]
テーマ:大脳皮質の回路とその役割の謎に迫る
開催趣旨
大脳皮質はヒトの知能に関与する最も重要な脳の器官である。近年の深層学習の進展で、画像・音声・テキスト処理など、脳でしか行えないと思われていた情報処理の工学的実現はかなり進んだ。しかし一方で、現状の人工知能技術とヒトの知能には大きな違いがあるようにも見える。大脳皮質に関する理解が進めば、ヒトのような汎用人工知能の実現に役立つ手掛かりが得られるだろう。そこで本勉強会では、大脳皮質に関する基礎知識やいくつかの新しい知見を踏まえたうえで、今後何を解明していくべきか、人工知能に何が応用できるか、などを議論したい。
勉強会開催詳細
- 日 時:2023年2月17日(金)(18:00~20:45)
- 会 場:オンライン(Zoom Meeting)
- 定 員:一般150名、学生50名
- 主 催:NPO法人 全脳アーキテクチャ・イニシアティブ
- 後 援:学術変革領域研究「行動変容を創発する脳ダイナミクスの解読と操作が拓く多元生物学」
- 運 営:WBA勉強会実行委員会
申し込みから参加までの流れについては、下記を参照ください。
WBA勉強会用Slackチャンネルについて
ご希望の参加者さまには、「WBA勉強会」のSlackチャンネルにご招待します。Slackチャンネル上では、下記内容を予定しております。
公開出来るスライド資料がある場合、事前公開いたします
当日質疑応答では、Slackからのご質問を優先的に選ばせて頂きます
イベント終了後や翌日に、講師が直接質問にご回答させて頂きます
ご参加者さま同士での、勉強会内容についての議論も歓迎です
※ すべてのご質問にお答えする事を約束するものではありません。
参加枠/参加費について
今後とも、当勉強会を末永く続けてゆくために、主要な支出である講師謝金・配信運営費等の必要経費について、学生以外の参加者に分担していただく方針とさせていただきます。参加をご検討の皆様には何卒ご理解いただけますと幸いでです。
一般参加
先着順になります。お支払いいただいた代金は、今回の講師謝金および配信運営費に充当させていただきます。Zoomミーティングでオンラインで実行いたします。参加方法については下記、「申し込みから参加までの流れ」をご確認下さい。
学生参加
未来への投資のため、無料で参加可能です。参加時のアンケートで、本名や所属校などをお答え頂く必要があります。またSlack参加時は自己紹介や質問など積極的にご参加頂ければ幸いです。
講演スケジュール
時間 | 内容 | 講演者 |
---|---|---|
17:55 | 開場 | |
18:00 | 開会の挨拶 | 山川 宏(全脳アーキテクチャ・イニシアティブ) |
18:05 | 趣旨説明 | 一杉裕志 (産業技術総合研究所) |
18:10 | 講演1 | 一杉裕志 (産業技術総合研究所) |
18:55 | 講演2 | 田和辻可昌(早稲田) |
19:15 | 休憩(10分) | |
19:25 | 講演3 | 島崎秀昭(京都大学) |
20:10 | パネルディスカッション | 山川宏(モデレーター)、島崎、一杉、田和辻 |
20:40 | Closing Remark | 森岡 大成(実行委員長) |
20:45 | 終了 |
大脳皮質って何?大脳皮質についての基礎知識
講演者: 一杉裕志 (産業技術総合研究所)
概要: 大脳皮質は脳の中で知能をつかさどるもっとも重要な部分であり、その情報処理原理の解明が強く望まれている。本講演では大脳皮質の解剖学的特徴と古典的な計算論的モデルに関する基礎知識を説明する。大脳皮質には、コラム構造・6層構造、双方向に結合する領野間のネットワークといった解剖学的特徴がある。大脳皮質は50ほどの領野に区分されている。それぞれの領野は異なる情報処理を受け持っている。しかしどの領野も解剖学的構造は似ており、同じ原理で動いていると思われる。その情報処理に関する古典的な計算論的モデルとして、競合学習を用いたモデル、スパース符号化、ベイジアンネットを用いたモデルなどがある。 参考:「大脳皮質とベイジアンネット」https://www.airc.aist.go.jp/seminar_detail/docs/seminar01-ichisugi.pdf
大脳皮質の解剖学的構造と計算論的モデルの調査
講演者:田和辻可昌 (早稲田大学)
概要: WBA(Whole Brain Architecture)開発における主要な方法論としてSCID(Structure-constrained Interface Decomposition)法がある。この方法論では,均一サーキット(Uniform Circuit)と呼ばれる計算論的にユニークなまとまりを与える神経細胞集団と,それらの接続によって脳をメゾスコピックレベルで捉える。この観点から大脳新皮質の計算モデルを構築するにあたり,詳細かつ網羅的な新皮質間,より詳細には領野間のラミナ投射パターンの抽出をこれまで試みてきた。本講演では,我々が先行研究に基づき選定したした標準ラミナ構造(Standard Laminar Organization of Isocortex)および,抽出された標準ラミナ投射パターン(Standard Inter-area Laminar Pattern of Projections: SILPP)について述べ,このSILPPに基づいた計算モデルの位置づけについて概説する。
大脳皮質局所回路の結合推定と符号化方式
講演者:島崎秀昭 (京都大学)
概要: 生体内の神経活動から回路構造を同定し,回路が実現する符号化方式を明らかにすることは神経科学における基本テーマのひとつである。従来,回路構造は2細胞間の相関解析を網羅的に行い推定されてきたが,この手法は観測された細胞間の結合を明らかにする手法である.観測下の神経細胞は観測外の神経細胞からの共通入力によって相関を伴う様々な活動を示しうる。そこで本講演では,神経活動の高次を含む相関構造から隠れた共通入力の結合構造とそのタイプ(興奮/抑制)を推定する新しい手法を紹介する。この手法を用いた皮質局所回路の結合推定の結果を紹介し,皮質回路の符号化方式に関する考察を行う。
パネル討論
モデレーター:山川 宏(全脳アーキテクチャ・イニシアティブ)
申し込みから参加までの流れ
一般参加枠の方
- このconnpassから申し込み、PayPalでお支払いをお願いします。
- Zoom アプリの準備がまだの方はお使いの端末にインストールしておいてください。
- 開催前日および当日、Connpass から Zoom ミーティングのIDとパスワードに関するお知らせが届きます。
- 開場時間(17時55分)になったらconnpassから送られたURLをクリックし、Zoomにアクセスしてください。
学生参加枠の方
- こちらの google formリンクからアンケートにご回答ください。
- アンケートで氏名や所属校などなどをご記入下さい。
- アンケートの回答完了をもって登録完了となります。
- Zoom アプリの準備がまだの方はお使いの端末にインストールしておいてください。
- 開催前日および当日、運営から Zoom ミーティングのIDとパスワードに関するお知らせが届きます。
- 会場時間(17時55分)になったら運営から送られたURLをクリックし、Zoomにアクセスしてください。
※学生参加枠の場合、connpassからはzoom URLは来ませんのでご注意ください。
Zoomパーフェクトマニュアル
- zoomについてのご不明点は、以下のリンク先を参考にしていただければ幸いです。
- https://zoomy.info/zoom_perfect_manual/
運営スタッフ
- プログラム委員長:一杉裕志
- 実行委員長:森岡大成
- 司会:一杉裕志
- Zoomホスト:孫 暁白
- Zoom共同ホスト:生島 高裕、森岡、浅川、荒川、西村
- connpass:西村由弥子
- 広報/WBAI事務局:荒川 直哉
- QAチャネル招待担当:西村由弥子
全脳アーキテクチャ勉強会創設者
◎ 産業技術総合研究所 人工知能研究センター 一杉裕志
1990年東京工業大学大学院情報科学専攻修士課程修了。1993年東京大学大学院情報科学専攻博士課程修了。博士(理学)。同年電子技術総合研究所(2001年より産業技術総合研究所)入所。プログラミング言語、ソフトウエア工学の研究に従事。2005年より計算論的神経科学の研究に従事。 「全脳アーキテクチャ解明に向けて」
◎ 全脳アーキテクチャ・イニシアティブ 山川宏
1992年東京大学大学院工学系研究科電子工学専攻博士課程修了。博士(工学)。同年(株)富士通研究所入社。1994年から2000年まで通産省RWCプロジェクトに従事、2014年から2019年3月まで(株)ドワンゴ ドワンゴ人工知能研究所所長。現在、特定非営利活動法人全脳アーキテクチャイニシアティブ代表、東京大学大学院 工学系研究科特任研究員。人工知能学会(元編集委員長、汎用人工知能研究会主幹事)、電子情報通信学会(NC研究会専門委員長)、日本認知科学会、日本神経回路学会などの各学会員。専門は人工知能、特に、汎用人工知能、全脳アーキテクチャ、概念獲得、意見集約技術など。電気通信大学大学院連携教授、近畿大学情報学研究所知能システム部門長(客員教授)、理化学研究所生命システムセンター主管客員研究員および革新知能統合研究センター 客員研究員。
◎ 東京大学 教授 松尾豊
1997年東京大学工学部卒業。2002年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。博士(工学)。産総研、スタンフォード大学等を経て、2007年から東京大学勤務。深層学習を中心とする人工知能の研究に従事。産学連携やスタートアップの育成などにも取り組む。 http://ymatsuo.com/japanese/
賛助会員
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これまでに開催された勉強会の内容
こちらからホームページをご覧ください。
全脳アーキテクチャ勉強会の開始の背景(2013年12月)
人間の脳全体構造における知的情報処理をカバーできる全脳型 AI アーキテクチャを工学的に実現できれば、人間レベル、さらにそれ以上の人工知能が実現可能になります。これは人類社会に対して、莫大な富と利益をもたらすことが予見されます。例えば、検索や広告、自動翻訳や対話技術、自動運転やロボット、そして金融や経済、政治や社会など、幅広い分野に大きな影響を与えるでしょう。
私達は、この目的のためには、神経科学や認知科学等の知見を参考としながら、機能的に分化した脳の各器官をできるだけ単純な機械学習器として解釈し、それら機械学習器を統合したアーキテクチャを構築することが近道であると考えています。
従来において、こうした試みは容易ではないと考えられてきましたが、状況は変わりつつあります。すでに、神経科学分野での知見の蓄積と、計算機速度の向上を背景に、様々な粒度により脳全体の情報処理を再現/理解しようとする動きが欧米を中心に本格化しています。 また Deep Learning などの機械学習技術のブレークスルー、大脳皮質ベイジアンネット仮説などの計算論的神経科学の進展、クラウドなどの計算機環境が充実してきています。
こうした背景を踏まえるならば、全脳型 AI アーキテクチャの開発は世界的に早々に激化してくる可能性さえあります。 そこで私達は、2020年台前半までに最速で本技術を実現できるロードマップを意識しながら、この研究の裾野を広げていく必要があると考えています。 そしてこのためには、情報処理技術だけでなく、ある程度のレベルにおいて神経科学等の関連分野の知見を幅広く理解しながら、情熱をもってこの研究に挑む多くの研究者やエンジニアの参入が必要と考えています。
注意事項
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