
CES2026で読み解く米国テック最前線 ~米国市場で結果を出すためのマインドセット~
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イベント種別: セミナー/ネットワーキング
主催: Intralink Japan
登壇: 青木(マイク)光政(Intralink 米国拠点 VP, 北米事業開発統括)/森 ポール(Intralink 新橋拠点 事業開発ディレクター)
タグ: #CES2026 #米国テック #フィジカルAI #エコシステム戦略 #日米事業開発
要旨
CES は家電見本市からテクノロジー・イノベーションの祭典へと変貌。AI、特に「フィジカルAI」が中心テーマとなり、NVIDIAが初開催となるCES Foundryでその方向性を強く打ち出した。出展は米中韓が圧倒的で、中国企業の存在感が急増。LenovoのSphereキーノートやSamsungの独立出展を踏まえ、出展社によるCES活用法の変化とAIを核としたエコシステム構築とパートナーシップの重要性を示唆。
ファイアサイドチャットでは、フィジカルAI時代に**日本企業が“どう戦うか”**を起点に、業界における参入可能なポジショニング、コンポーネント材料における優位性、データマネジメントやインテグレータ、エネルギー供給ソリューションでの可能性を説いた。
登壇者
· 青木(マイク)光政(Intralink 米国拠点 VP, 北米事業開発統括)
シリコンバレーを拠点に北米事業開発をリード。IoTスタートアップ北米責任者、Deloitte Tohmatsu Venture Supportでのオープンイノベーション支援を経て現職。TMT、XR、デジタルヘルス、サーキュラーエコノミーに精通。
本セミナーではCES全体概観からグローバル観点でみたトレンド変化、インサイトを解説。
· 森 ポール(Intralink 新橋拠点 事業開発ディレクター/MC)
通信・ITを中心に欧米テックの日本展開を支援し、数億円規模の商談成立を複数実現。日米の現場視点をつなぐ進行で議論を深掘り。
CESを通じた主な発見
- CESの重心は「デジタルAI からフィジカルAIへ」:ロボット、モビリティ、家電まで“実装”が主戦場。
- AIビジネス競争は単体技術ではなくエコシステム:チップ、クラウド、データ、アプリ、パートナーの束ね方が勝敗を分ける。
- 地政学×供給網が前提条件:米国は上流(AIインフラ)を死守、中国(アジア企業)は下流(実装・量産)の支配力を拡張していく。
- 日本として立ち向かう現実解:アクチュエータ、ベアリング等のコンポーネント優位と、組込み・統合の現場力でレイヤーを取りに行く。
- ボトルネックはエネルギーとデータマネジメント:電力・水・計算資源の制約と、企業固有データの扱いが競争力を規定。
セッションサマリー
1|青木(マイク)講演:CES2026の構造変化
ポイント
- CES Foundry はAIと量子コンピューティングに焦点を当てた新設プログラム。メインスポンサーのNVIDIA ジェンセン・フアンはキーノートで**「フィジカルAI時代の到来」**を明言。
- LenovoのSphereキーノートは、AIエージェントからデバイス、チップ各社との連携まで、**“エコシステム設計”**を可視化して没入型シアターで企業プレゼンをエンタメに昇華
- Samsungはメイン会場外で独立展示し、来場者を限定。クローズドで体験密度を上げる戦略へ転換。
- 出展勢力図の変化:イノベーションアワードは「AI」カテゴリが過去最多。テックトレンドの推移が明確化。国別では韓国の後退と中国勢の拡大か顕著。
示唆
CESは“製品の博覧会”から“戦略と連携のショーケース”へ。個別カテゴリの製品・サービスだけでなく、どの企業が何のビジネスレイヤーを押さえるか、戦略方針を見るべき局面に入った。
2|ファイアサイドチャット(MC:森/スピーカー:青木)
テーマA:今年いちばん印象に残ったものは何か
- 青木:レゴのセンサ内蔵プロダクト。AIの“手触り”を消さず、子どもでも触れる実装に落とし込む点を評価。AIが抽象に留まる危険へのアンチテーゼ。
- 森:ロボットと人の関係性の変化。Unitree社のデモでの“殴り合うロボット”に象徴されるように、技術は使い方次第で価値もリスクも拡張する現実を再確認。
テーマB:フィジカルAI時代、日本企業はどう戦うか
- 青木:「勝つ/負ける」ではなく「どのレイヤーで戦うか」。ヒューマノイド一択ではない。
- 日本の強みはアクチュエータ・ベアリング等のコア部材。ここは容易に置き換えられない。
- 統合(インテグレーション)と組込みソフトで差別化余地あり。
- データ主権が次の競争軸。各社固有データをどうAIに生かすかが実装速度を決める。
- 森:米中は上流(計算・プラットフォーム)と下流(量産・実装)で役割分化が進む。日本はエネーブラー(部材・装置・実装)として価値を取りに行く現実解がある。
テーマC:エネルギーと地政学
- 両者:電力・水・計算資源は不可視の制約条件。AIビジネス拡張の“第一レイヤー”はエネルギー。米国は原子力+新エネルギー、中国は太陽光など再エネ量産で対応。ここなくしてAIビジネス戦略は成立しない。
- 結論:パートナーリング前提で、供給網の複線化とリスク設計を組み込むべき。
テーマD:中国の存在感をどう見るか
- 青木:CESでの中国プレゼンスは**“見せるため”と“量産するため”の二面性**。政治とビジネスは切り分けられ、やるべきことは淡々とやる姿勢が際立つ。
- 森:米国企業も攻めと守りの併用に移行。日本も賢いリスクテイクと関係構築が必要。
総括(ファイアサイドチャットの結論)
- フィジカルAIは製品競争ではなく、レイヤーと連携の競争。
- データ×エネルギー×パートナーを同時に設計できる企業が、次の2年でフィジカルAI市場におけるポジションを確保する。
- 日本は得意とするコア部品製造**・実装・統合は死守しつつ新領域参入を図るべき**。
日本企業への示唆(“翌日からのアクション”)
- 狙うレイヤーを明確化:完成品か、部材・装置か、統合か。曖昧なままPoCを回さない。
- データ戦略を先に決める:自社固有データの取得・管理・活用方針をAI実装と同時設計。
- エネルギー前提で設計:電力・冷却・運用コストをKPIに含める。
- パートナーリング前提:チップ、クラウド、現地実装の役割分担を早期に固定。
- 部品優位の深掘り:関節・駆動・精密機構など“代替困難”領域での標準ポジションを狙う。
まとめ
CES2026は、AIの“実装段階”への移行とAIエコシステム競争の可視化を決定づけた。ファイアサイドチャットで示されたのは、悲観論ではなく日本として戦える場所を選ぶ現実主義である。日本企業に必要なのは、完成品幻想を捨て、レイヤー戦略・データ・エネルギー・連携を同時に設計する実行力である。
連絡先
- お問い合わせ:Media.JP@intralinkgroup.com
- 当日の資料・録画や、スピーカーとのコンタクトをご希望の方は、上記メールアドレスまでご連絡ください





