効果的なエンジニア研修の設計:学びやすさと実践重視のカリキュラム構築

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効果的なエンジニア研修の設計:学びやすさと実践重視のカリキュラム構築
エンジニア向けの研修では、受講者がスムーズに知識を習得し、実践的なスキルを身につけられるよう、適切なカリキュラムの設計が求められます。この記事では、TECH PLAY Academyが研修のカリキュラムを設計する上で、学習項目の選定からその順番、学習方法をはじめとした工夫していることに関して紹介します。

こんにちは、 TECH PLAY Academyでメンターをしている沢口です。本記事では弊社がプログラミング初学者に対して技術研修を行う際に使用するカリキュラムの作成方法に関して執筆します。

TECH PLAY Academyでは、企業のエンジニア向けにプログラミングの技術研修を提供しています。新卒・既卒エンジニアを対象に、モバイル、Web開発、フルスタックといった幅広い分野での技術研修を行い、受講者が短期間でスキルを習得できるよう、充実したサポート体制を整えています。特に新卒エンジニア研修に参加する受講者の中にはプログラミングのバックグラウンドを持たない未経験の状態で参加することも多く、初学者はプログラミングの概念やコードの書き方を理解するのに苦労するケースが多く見られます。また、特に他の分野の研修と比べて挫折する可能性が高いという課題も抱えています。

エンジニア向けの研修では、受講者がスムーズに知識を習得し、実践的なスキルを身につけられるよう、適切なカリキュラムの設計が求められます。カリキュラムは研修期間に応じて、日程ごとに扱う技術領域を定義し、また受講者がその技術をどのような課題や演習を通して学習するかを定義します。本記事では、TECH PLAY Academyが研修のカリキュラムを設計する上で、学習項目の選定からその順番、学習方法をはじめとした工夫していることに関して紹介します。

カリキュラム設計のTips

カリキュラムを設計する際のTipsを、「学習項目の選定」(何を)、「学習順序の設定」(どの順番で)、「学習方法の設定」(どのように学ぶか)という3つのフェーズに分けて解説します。

学習項目の選定

研修後の受講者の状態目標に応じたカリキュラム設計

研修後の受講者が求められるスキルや業務内容に応じて、柔軟にカリキュラムを調整します。例えば、基本情報技術者試験レベルの知識も含めてほしいという要望がある場合、実践的な演習に加えて、セキュリティの基本概念であるCIAやマルウェアなどについて学ぶ機会を設けることで、知識の定着を図ります。

受講者のレベルに応じた内容

受講者が初心者であるにもかかわらず短期間で高度なスキルが求められる場合は、期待値を調整し、まず業務に直結するスキルを優先するようにカリキュラムを最適化します。こうした調整を行うことで、受講者が研修後にスムーズに業務へ移行できるようサポートします。例えば、SQLの講義では、初心者向けには基本的なSELECT文やGROUP BYを中心に扱い、経験者向けにはウィンドウ関数などの高度な内容を追加することで、適切な難易度を提供します。

学習順序の設定

必要な前提知識を考慮

学習内容を効果的に習得するためには、各トピックの前提となる知識を適切に押さえることが重要です。例えば、JavaScriptでDOM操作を学ぶ前に、HTMLを木構造として理解することが重要です。そのため、まずデータ構造としての木構造を学び、それがHTMLにも適用されることを理解した上でDOM操作に進むようにします。

モチベーションを高める構成

学習の効果を最大化するためには、受講者の興味や関心を引きつけ、継続的な学習意欲を維持することが重要です。例えば、最初に「Hello, world!」とコンソールに表示するよりも、UIの変化を伴う内容の方が興味を持ちやすいです。そのため、Web開発の研修では、最初にHTML/CSSを使って画面を作成し、視覚的な変化を体験できるようにするなど、学ぶ順番を工夫しています。

学習方法の設定

実践を通じた理解促進

知識を深めるためには、理論だけでなく実際に手を動かして体験することが効果的です。例えば、セキュリティの研修では脆弱性のあるシステムへの攻撃を体験し、その対策を実装することで知識を深めます。またネットワークの研修では、AWS上でVPCを構築しEC2インスタンスの設置やルートテーブルの設定を行い、実際に通信の疎通を確認することで理論だけでなく実践を通じた理解を促します。

学習テーマ間の関連性を意識した体系的な理解促進

学習した各テーマの「つながり」を体系的に理解できるようにすることが重要です。例えば、Webフレームワークを少し学んでからデータベースの基礎を学び、その後そのフレームワークを使ってデータベースと連携する方法を学ぶといった順番にすることにより、これまでできなかった事が特定の技術を使うことでできるようになるというストーリー性が生まれ、その技術がなぜ必要なのかが理解できます。また、研修期間中には随所に1日費やす演習を用意し、これまで学んだ知識を紐付け、体系的な理解が得られるようにします。

最後に

本記事では、TECH PLAY Academyの研修におけるカリキュラム設計の工夫について紹介しました。カリキュラム設計では、受講者がスムーズに学習を進められるよう、いくつかの工夫をしています。まず、学習項目は研修を通した受講者の状態目標を踏襲しつつ受講者のレベルに応じて調整し、実践的な演習と基本的な知識をバランスよく組み合わせます。学習順序は、必要な前提知識を押さえ、受講者のモチベーションを高めるような構成を意識します。学習方法は、実践を通じて理解を深め、学習テーマ間の関連性を意識した体系的な学びを促進することで、受講者の知識を効果的に定着させます。これらの工夫により、受講者が理論を実践に活かせるよう支援しています。

今後とも研修の受講者の状態目標を達成しつつ受講者の学習効果を最大化する方法を観察・研究してまいります。ご覧いただきありがとうございました。ご質問やフィードバックがございましたら、お気軽にお知らせください。

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