システムインテグレーションとサービスインテグレーションで求められるPM力の違いについて

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システムインテグレーションとサービスインテグレーションで求められるPM力の違いについて
2025年5月28日にウェビナー「TECH PLAY Career Talk ~PMの可能性を広げるキャリアデザインと働き方~」が開催され、TIS株式会社の関 雄太氏が登壇した。同社では、クライアントのニーズやビジネスのあるべき姿に寄り添い、それぞれの状況に応じたシステム開発を目指している。従来からの得意分野である受託開発型SI(=システムインテグレーション)に加え、近年は既存アセットを活用してスピードと変化への対応力を追求するサービス提供型SI(=サービスインテグレーション)に注力しているという。どちらか片方ではなく、それぞれの特徴を捉えて使い分けるために求められるプロジェクトマネージャー(以降「PM」)力とは何かが本講演で語られた。

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TIS株式会社
デジタルイノベーション事業本部
サービスプラットフォーム事業部
副事業部長
関 雄太氏
TIS株式会社 関 雄太氏

PMを取り巻く環境の変化

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関氏の約20年にわたるシステムインテグレーションおよびサービスインテグレーションの両分野におけるPM経験が、本講演の基盤となっている。2005年にTIS株式会社に入社後、12年間にわたり、大手クレジットカード会社向けのシステムインテグレーションに、開発担当者およびプロジェクトリーダーとして携わった。2017年にはサービスインテグレーションの組織に異動し、自社決済サービス開発のPMを経て、現在は複数のプロジェクトを統括している。

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まず、現在のPMが置かれている環境について「従来のビジネスモデルであったシステムインテグレーションの課題が顕在化してきている」と関氏は語る。その例として、労働集約型モデルによる慢性的な技術者不足や市場ニーズへの対応の遅れなどを挙げた。「昨今は、生成AIのようなソリューションを活用し、人数に依存しないビジネスへの方向転換が始まっている」と関氏は説明する。

またパッケージ製品やSaaSの台頭により顧客ニーズの時間軸が変化し、「100点満点ではなく、8割程度の機能でマーケットに迅速に提供する方が合理的」というアジャイル型の考え方が浸透しつつあることを明らかにし、システム開発の考え方そのものが変化してきていることを示した。

PMに求められる「能動的思考」

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こうした時代背景を受け、PMにはクライアントの要件ベースの「リアクティブ」なシステム開発から、既存アセットを活用し、クライアント目線で能動的にサービスを企画する「プロアクティブ」なサービス開発へのマインドの転換が必要だと関氏は考える。「発想と考え方を従来とは真逆に転換し、より自ら能動的に考える力がPMに求められている」と強調した。

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TIS株式会社では、社員が能動的に考える力を養うため、事業モデル、価値観、カルチャーを同時変革に取り組んでいるという。具体的には、コンサルティング強化によるフロントラインの強化、積極的な生成AIやSaaS活用による開発現場の生産性革新、品質マネジメントシステムのアップデートや、人事評価制度の見直しなどにより社員のマインド変革を推進しているそうだ。

現代における2つのPM像:「守護神」と「オーケストレーター」

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近年は、システムインテグレーション・サービスインテグレーションいずれか一方でなく、両者を行き来するハイブリッドなシステム開発プロジェクトが増えてきているという肌感があり、今後もその傾向が続くと関氏は予想する。

そんな今だからこそ求められる、3つのPM力を以下の通り挙げた。

1. 「2つのSI」を正しく理解する力

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まずは、システムインテグレーション(SI)とサービスインテグレーション(SI)の「2つのSI」の共通項と違いを正しく理解することが重要だ、と関氏は語る。

システムインテグレーションは大規模プロジェクトで重厚・堅牢性や納期遵守が重視される。一方、サービスインテグレーションは、小~中規模プロジェクトにおいて市場投入のスピード、変化への対応力、ビジネス企画力が重視されるなど、両者には明確な違いがある。ただし、どちらも「コストを最適化しつつ、品質を担保したシステムを構築する」というゴールは共通している。

2.「プロジェクトの守護神」としてのPM

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「2つのSI」を正しく理解したうえでPMに求められる力の1つ目が「オネスト(誠実さ)」と「やりきる覚悟」で困難を乗り越える推進力だ。

関氏は、PMによく起こりうる状況として、クライアントと開発現場の板挟みになるケースを挙げ、「こうした状況ではクライアントの立場に立ち最大限受け入れつつ、できないことは正直に伝え、代替案を提案する誠実さが重要」と強調する。

また、開発現場ではプロジェクトメンバーを励まし、コミュニケーションを通じて信頼関係を築く忍耐力も欠かせない。「この人ならば、なんとかしてくれるだろう」と両者に思ってもらえるような関係性の構築はPMとしての重要な役割であり、これを関氏は「プロジェクトの守護神」と表現。「PMの立場でしか得られない達成感やメンバーとの絆は、何ものにも代えがたい」とPMのやりがいについても語った。

3.「プロジェクトのオーケストレーター」としてのPM

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2つ目に、関氏は「スマート」と「全体最適」でサービス連携を成功に導く洞察力を挙げる。

PMには、時に目先の要件やクライアントのニーズに囚われず、サービス全体を俯瞰しながら、ビジネスの未来のあるべき姿をともに考える冷静さが求められる。一手先のクライアントのビジネスのあるべき姿を柔軟な発想で描く「プロジェクトのオーケストレーター」としての役割も今のPMに必要だと話す。

最後に、両者の違いと共通項を正しく理解し、常に頭を切り替えながら「守護神」としてプロジェクトを支え、「オーケストレーター」として全体を導く。この2つの役割を担うことこそが、今の時代に求められるPMの姿であり、醍醐味であると講演を締めくくった。

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