メルペイ青柳氏・ヘイ佐藤氏・バンク光本氏が語る「お金の価値はどう変わる?」―日本のお金をアップデートする#01

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メルペイ青柳氏・ヘイ佐藤氏・バンク光本氏が語る「お金の価値はどう変わる?」―日本のお金をアップデートする#01

決済・送金、会計・経理、投資・資産運用、ビットコインに代表される仮想通貨など、テクノロジーを活用した金融サービスが急成長しています。お金のやりとりがスムーズになっていく先には、どのような社会が創られていくのでしょうか。

日経FinTech記者の岡部一詩氏をモデレーターに、メルペイ 代表取締役 青柳直樹氏、ヘイ 代表取締役社長 佐藤裕介氏、バンク 代表取締役兼CEO 光本勇介氏が、お金の価値がどう変わるのか、テクノロジーはどう進化していくのかを語り合っていただきました。

金融ビジネスで新しい価値を生み出す3社が登壇

青柳:メルペイでは「信用を創造して、なめらかな社会を創る」というミッションを掲げています。メルカリはこれまで、「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」というミッションの下、モノの流れがなめらかになる社会を目指してきました。

モノが流れているところには、お金も流れています。日本は現金文化で、現時点では「決済の8割が現金」と言われていますが、メルペイでは新たに「信用を創造」しながらこのお金の流れもなめらかにしていきたい。デジタルウォレットの活用など、キャッシュイン・キャッシュアウトの循環・流動性を高め、新たな金融サービスの流れを創っていきたいと考えています。

株式会社メルペイ 代表取締役 青柳 直樹氏
ドイツ証券投資銀行本部にて、テクノロジー企業の株式公開支援やM&Aアドバイザリーを経験。グリーにて、CFOとして資金調達や株式上場を主導するとともに、事業開発責任者としてプラットフォームの立上げに従事。GREE International CEO、事業統括本部長などを歴任。2017年11月、株式会社メルペイ代表取締役に就任。(株式会社メルカリの執行役員も兼務)。

佐藤:ヘイは店舗のキャッシュレス決済ソリューションを提供しているコイニ―と、ストアーズ・ドット・ジェーピーというECストアを手軽に作成・運営できるプラットフォームを開発している2つの会社が経営統合してできた会社です。もともとはフリークアウトという会社を7年半ほど経営していて、ヘイの会社設立のタイミングで社長を退任して、今に至ります。

これからは、これまで売り手側に回っていなかった新しい売り手の人たちが増えていく。そのための商売に必要なツールセットを提供していきたいと考えています。そこには経営ソリューションや金融ソリューションも含まれるということで、その辺も話していきたいと思います。

ヘイ株式会社 代表取締役社長 佐藤 裕介氏
2008年、Googleに入社し、広告製品を担当。2010年末、COOとしてフリークアウトの創業に参画。また、株式会社イグニスにも取締役として参画し、2014年6月にはフリークアウト、イグニス共にマザーズ上場。2017年1月、フリークアウト・ホールディングス共同代表に就任。エンジェル投資家としても活動。

光本:2017年6月にサービスリリースして話題にしていただいた、目の前のアイテムが一瞬でキャッシュに変わるアプリ「CASH」を展開しています。普通の買い取りはアイテムをもらってから現金にしますが、「CASH」はユーザーを全力で信じて先に現金を渡して、アイテムを待ちます。

こうした1万円、2万円といった少額のニーズって意外とあるんですけど、そのニーズを満たす超スピーディにカジュアルに解決する企業がこれまであまりなかった。僕たちはそれを解決していきたいと考えています。今後は「CASH」以外にも、お金に関する問題を新たな手法で解決する新事業をリリースしていきます。

株式会社バンク 代表取締役兼CEO 光本 勇介氏
2008年10月、STORES.jpを運営するブラケットを創業し、2013年8月にZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイへ売却。2016年10月にスタートトゥデイ社よりMBO実施、ブラケット社の取締役会長に就任。2017年2月に株式会社バンクを創業し代表取締役に就任。同年6月に『CASH(キャッシュ)』をリリース。10月にDMM.comへ売却。2018年2月にhey株式会社を設立、取締役に就任。CASHのリリースから1年後の2018年6月28日、あと払い専用の旅行代理店アプリ「TRAVEL Now(トラベルナウ)」をリリース。現在に至る。

お金の5年後について

岡部:お金をめぐる動きがここ数年でガラリと変わってきています。5年後、さらにどう変わっていくのか、語っていただきたいと思います。

株式会社日経BP 日経FinTech編集 記者 岡部 一詩氏
2012年に日経BPに入社。日経コンピュータ編集部にて、アジアのIT動向や国内金融機関のシステム導入事例などの取材を担当。2015年春よりFinTechの取材を始め、同年末に発売した「FinTech革命~テクノロジーが溶かす金融の常識~」(日経BP)の企画・執筆・編集を手掛ける。「日経FinTech」創刊に携わり、2016年3月より同編集部に所属。

光本:世の中に少額の資金ニーズがあると考えて、「CASH」というサービスを出してみましたが、想像以上でした。メルカリの大成長はそれを証明していると思います。今はそのくらいの金額のお金を得る手段が限定されています。ニーズはあるので、お金がなめらかになるようなサービスがもっと増えたらいいなと。

岡部:「なめらかに」というキーワードが出ましたけど、現時点でなめらかでないと感じている部分とかあったりしますか?

青柳:株式や投信、保険、仮想通貨取引など、金融サービスの口座開設や投資などをするときって、一つひとつ口座を開設して、振り込みをして…といったことが結構手間ですよね。銀行の預金も簡易的に移しにくいとか。クレジットカードや電子マネーが使えないお店があるとか、ランチタイムはダメとか、個人タクシーはカード使えなくてつらいとか、制約がたくさんある。

忙しい人にとっての金融サービスは面倒くさいものになっているので、そういうところが変わるだけで、まだまだよくなっていくのかなと思っています。なめらかにという対象として時間の価値みたいなものを飛び越えるというのがあるといいですね。

佐藤: お金とモノやサービスのやりとりって、個人認証とニアリーイコールの話ですよね。個人に支払い能力があるかということが本来的には重要なのに、その信用を計測するだけの手段とか、個人を認証するためのケイパビリティを持たないがゆえに、中央銀行が信用を付与している媒介を使わないと、手軽に売買できない

本来は個人にどれだけの信用があるのかと判断してもらったほうがいいのに、そのケイパビリティがお店側にないのが、問題なんじゃないでしょうか。

ヘイではユーザーサイドのソリューションよりも、モノを売る店舗側のソリューションを提供しています。また、ウォレットやキャッシュなどが、結局使えなければ意味がないというところをどうやって解決するかにも取り組んでいます。今は都内だと3分の2の店舗がキャッシュレスになっていない状況で、クレジットカードの利用率は全決済の18%しかないんですよね。

岡部:政府は10年後にキャッシュレス決済比率を40%にしようと目標を立てていますが、現状だと相当少ないということですよね。アメリカや中国では個人に信用スコアをつける文化が広がってきていると思うのですが、日本は普通に生活している分には自分の信用力に対して、意識する場面が少ない気がします。

佐藤:あらゆる店で自分の信用や支払い能力が認証されてさえいれば、Amazon Goのように店舗で商品を取って、さよならで済む世界なんですけどね。

青柳:そこは可能性だらけですね。メルペイでは信用を創造することでキャッシュインの部分も増やせると思っています。これまでの信用はどちらかといえばクレジットカードの枠みたいなものが多くて、毎月の購入・支払い実績や、入会時にとれる職業や収入などの情報から判断していました。今の世の中はもっと情報が活用できるので、あらゆるものの価値や人の信用を定量化できる時代になってきていると思います。

収入に関しても、単純に正社員として働いている業務以外にも、副業やスポットコンサルティングみたいな形で収入を得る手段が広がっている。そういうものの信用や収益力はどう評価するのかという側面があります。また、ヤフオクやメルカリ、ネットショップなどでいつ何を買ったかといった情報も十分お金を貸す信用の手段になると考えています。

信用の対象とできるものが劇的に増えてきたので、金融業もわかりつつ、テクノロジーベースでやる会社が出てきたら、たぶんあっという間に世の中が変わる。そういう感覚を持っています。

光本:次の3年で世の中はすごく変わると思っています。このタイミングでこの領域に関われることはラッキーだし、世界が変わっていくことをまさに肌で感じています。

今はどこに行っても、この金融サービスの話になるとこれからの信用ってこう変わっていくよね、与信のとり方ってこういう新しい仕組みになっていくよねって話が出るんですよ。

僕がチャレンジしたいのはメルカリさんとは全く真逆になる気がするんですが、人を全力で信用してなめらかな社会を創りたい。これから絶対的に世の中がガラリと変わるので、新しい信用のカタチやいろんなサービスや仕組みを創りたいんです。

人を信用することってコストなんですよね。コストといっても、金額的なコストもあれば、取引するときに「この人大丈夫かな」って疑う時間も無駄なコストじゃないかと。だったら人を信用して取引してみて、成り立っていればそれでいいじゃないですか。

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